自社技術の用途開発をWebマーケティングにより実現する

【執筆者紹介】徳山 正康
この記事の執筆者
徳山 正康
テクノポート株式会社 代表取締役

製造業専門のWebマーケティング事業と技術ライティング事業を手がけるテクノポートの代表を務める。「技術マーケティングで日本の製造業に追い風を」を経営理念に、これまでに数名の町工場から一部上場のメーカーまで、累計1,000社を超える製造業を支援し、数多くの企業の経営革新を実現。

グロービス経営大学院(MBA)卒業、(社)日本ファミリービジネスアドバイザー協会 フェロー、(社)Reboot 理事、(社)Glocal Solutions Japan 認定専門家

【寄稿実績】
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テクノポートの徳山です。ここ数年、比較的規模の大きいメーカーさんから「自社技術の用途をもっと多方面へ展開していきたいのだがWebマーケティングの力で何かできないか」といったご相談をいただくようになりました。

多くの分野で市場が飽和し、長年使われてきた技術も今までとは違う活用法を見出して行かなければ更なる成長が見込めなくなってきているようです。今回はWebマーケティングの活用によって自社技術の用途開発を行う際の考え方について解説します。

※本記事の内容は、弊社YouTubeチャンネルでも詳しく解説しています。

新しいマーケットを切り拓く手段となる「自社技術の用途開発」

用途開発に対する要望が高まっている背景としては、主力としている市場が成熟化し、競合企業が溢れかえるようになったことで、利益の稼ぎにくい市場になってしまっている、ということが挙げられます。

メーカーの戦略としては、既存のマーケット向けに新技術を開発し競合企業との差別化を図る方法もありますが、新技術の開発にコストがかかったり、そもそもマーケット自体が縮小している場合、顧客サイドのニーズがコストダウンに偏ってしまっている場合などもあり、マーケット自体の将来性に見切りをつけることが必要な場合もあります。

そこで自社の技術を別業界(分野)へ積極的に展開し別の用途として使ってもらう「用途開発」を行うことで、新しいマーケットを切り拓いていくことが必要になってきています。

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そして、その「用途開発」を行う手法としてWebマーケティングが大いに活用できるのです。

技術の用途開発とオープンイノベーション

「オープンイノベーション」という言葉をよく耳にするようになりましたが、技術の用途開発を行うための手段の一つとして考えていただいて良いかと思います。今までは技術の用途開発を行う場合は、自社技術だけでは不足してしまう一欠片の技術を外部から調達するといった「インバウンド型」が中心で、その活動は情報をオープンにせず、自社もしくは技術仲介業者などを使って水面下で行われることがほとんどでした。

インバウンド型の場合、課題と解決手段が明確な場合が多く、製品開発に必要な技術を見つけるという目的を達成できる可能性が高いものの、大きなイノベーションには繋がらないことが多いのが特徴でした。しかし、アウトバウンド型の場合は、不特定多数に問いかけることで思いもよらぬ分野の人や企業からの提案を集めることができ、結果として大きなイノベーションに繋がる可能性を秘めているのが特徴です。

Webマーケティングで用途開発を行うということは、不特定多数に自社技術の新たな使い道を問う方法であり、アウトバウンド型となります。よって、Webマーケティングによる技術の用途開発はオープンイノベーションの一手法といっても過言ではないかと思います。

Webマーケティングで用途開発するために考えるべきポイント

Webマーケティングで用途開発を行う場合、ターゲットが不明確な場合が多いので、戦略的に進めないと情報を外部へ公開しただけで何の結果をもたらさない、という最悪な状況を招く場合があります。そうならないために下記のポイントを考慮しながら進める必要があります。

どのような情報を掲載すれば相手に見つけてもらえるか

Webサイトなので当然まずは見てもらえないと何の意味もありません。見てもらうためには検索エンジンでどのようなキーワードで検索した時にWebサイトが上位表示されるかを考えなければなりません。技術に詳しい人、詳しくない人関らず様々な技術者に技術を知ってもらうためには、その技術を様々な切り口から検索されるようにする必要があります。

技術に詳しい人であれば具体的な技術名や、その技術が使われている業界や製品(部材)名でキーワード検索するでしょうし、技術に詳しくない人であれば自身が抱えている技術課題や解決するための機能といったキーワードで検索するでしょう。

自社の技術を様々な分野の技術者に見つけてもらうためにはどのようなキーワードが考えられるのか、社内でブレストしてキーワード候補を広げてみてください。

どのような情報を与えればユーザに思いついてもらえるか

Webサイトを見てもらってもユーザに技術の内容を理解してもらえなかったり、理解したとしてもユーザに活用法を見出してもらえないと意味がありません。

よく小学生にも分かるように説明できているコンテンツが優れている、と言われますが、理解するのが難しい技術を説明する場合は、尚更分かりやすく伝わるようにすることを意識する必要があるでしょう。

ここでは噛み砕いて技術を分かりやすく伝える、という特別なスキルが必要になります。テキストだけでなく動画やイラストなどを使うことも一手です。

どのような方法で用途開発アイディアを取得するか

最後のポイントとしては、どのような方法で用途開発アイディアを得るのかです。具体的な活用法を見出したユーザからの問合せを待っても良いのですが、それには少し時間がかかる場合もあるので、ここではWebの特色を活かすことが必要です。

アクセスデータを分析することで用途仮説を導き出したり、技術資料のダウンロード時に簡易的なアンケートを取得するなど、情報を取得するためのハードルを下げる工夫が必要となります。

Webマーケティングで用途開発を実現するための手順

最後に、用途開発をWebマーケティングという手段で進めるためには何をすればよいか手順をご説明します。

1、技術の棚卸しを行う

自社が持つ技術を棚卸し、どの業界で使われているか、機能はどのようなものか、どのような技術課題を解決できるかといったことを洗い出します。

2、技術を翻訳(分かりやすいコンテンツに変える)する

その技術がどのように呼ばれているか(業界によって違う場合があるので)、どのような機能を持ち、どのような技術課題を解決できるのかを分かりやすく文章、イラスト、動画などのコンテンツを活用し解説します。

3、Webサイトにて情報発信する

2で作成したものを含め、下記のようなコンテンツとしてWebサイト上に公開します。

  • 技術説明資料(公開しづらい情報はダウンロード資料にする)
  • 活用事例
  • 技術コラム
  • 技術用語解説

4、効果検証する

アクセスデータ、問合せの内容、アンケートなどから用途仮説を立て技術を用途展開します。

  • 問い合わせフォームの設置
  • アクセスデータの分析
  • 資料ダウンロードをネタにアンケートを取得

以上、技術の用途開発にお困りの方に少しでも役に立つ情報が提供できていれば幸いです。ぜひWebマーケティングの活用によって貴社技術の可能性を拡げてみてください。Webマーケティング手法をまとめた記事もございますので、こちらもご参照下さい。

技術の効果的な情報発信手法である「コンテンツマーケティング」については、下記記事に詳しく書かれていますので、こちらもご参照下さい。
コンテンツマーケティングの進め方(BtoB製造業・メーカー向け)

関連資料のご案内

  • 製造業の用途開発に関する実態調査レポート
  • 製造業が持つ自社技術の用途開発をWebマーケティングにより実現する方法
  • サプライヤー企業の新市場開拓をWebマーケティングにより実現する方法

資料イメージ
 
この記事の執筆者
徳山 正康
テクノポート株式会社 代表取締役

製造業専門のWebマーケティング事業と技術ライティング事業を手がけるテクノポートの代表を務める。「技術マーケティングで日本の製造業に追い風を」を経営理念に、これまでに数名の町工場から一部上場のメーカーまで、累計1,000社を超える製造業を支援し、数多くの企業の経営革新を実現。

グロービス経営大学院(MBA)卒業、(社)日本ファミリービジネスアドバイザー協会 フェロー、(社)Reboot 理事、(社)Glocal Solutions Japan 認定専門家

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