誰もが欲しいナイスアイデアの作り方

【執筆者紹介】熊坂 治
この記事の執筆者
熊坂 治
山形県生まれ
東北大学工学部(応用物理学科)を卒業後パイオニア(株)に入社し、基礎研究、プロセス技術、生産技術、製造技術、工場計画、技術営業、事業開発など広範に担当。
2008年に経営工学部門、2009年に総合技術監理部門と技術士資格を取得し、退社後技術士事務所を開設して、品質工学をコンサルティング。
2011年に株式会社産業革新研究所を設立し、2012年にWebサイト「ものづくりドットコム」を公開。多くの専門家と協力しながら製造業のプロセス革新と課題解決を支援している。
博士(工学)、技術経営修士(専門職)、山梨学院大学客員教授(技術経営論)
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ものづくり革新ナビゲーターの熊坂です。

私が暮らす山梨の夏は暑く、今年も日本で一番気温の高い日が何度かありました。38度を超える日に外へ出ると、さすがに頭がクラクラします。そこで比較的標高の低いゴルフ場は、夏の料金が安く設定されています。

ゴルフスクールで教わったことを早く試したいカミさんに付き合って、このお盆休みに料金が安かった某コースでラウンドしたところ、20年ぶりに90を切るスコアが出ました。一方のカミさんは、飛距離は伸びたもののスコアはいつもと変わらず。そう簡単に結果は出ませんが、様々なトライを重ねる事がいずれ実を結ぶと信じましょう。

さてものづくり革新の手法を一つずつ紹介しており、今回は「アイデア発想法」についてお話します。

アイデア発想の体系

ものづくりドットコムでは全部で140ほどのプロセス革新方法を紹介していますが、それらの中でアイデア発想法は最も種類が豊富です。ここで紹介していないものも含めると、100種類を超えます。それだけ世の中に需要があると言えるでしょう。製造業でもアイデアは重要ですが、サービス業、経営、販売などあらゆる分野でアイデアが不要な事業、業務は皆無です。

アイデア発想法を大きく分類すると、下図1のように(1)発散技法、(2)態度技法、(3)収束技法、(4)総合技法になります。

図1.アイデア発想法の体系

図1.アイデア発想法の体系

(1)発散技法

アイデアを考える初期には結果にこだわらず、柔軟にとりとめもなく出していくことが重要です。そのアイデア自体はボツであっても、そこからまた新しいアイデアが連想されることがあるからです。

(2)態度技法

発想は発想者の状態に依存します。発想しやすい態度や行動を取ることが重要であり、その方法を示します。

(3)収束技法

(1)(2)でアイデアの種を出すだけ出したら、そこから整理してまとめる作業が必要です。優先度に従い、つまらないアイデアはお蔵入りとし、良いアイデアを残していきます。

(4)総合技法

単独の手法ではなく一連の流れでアイデアをまとめる方法です。
これら多数の手法からどのように選択して使えばよいのでしょう? それぞれに特徴がありますので、すべてを理解、習得して対象となるケースに最適なものを選ぶべきではありましょうが、実際には全ての手法を使いこなせる人は稀ですから、自分が手慣れた方法を使う場合が多いようです。

ただし、ひとつの方法だけだといつも同じような発想になりがちです。重要な案件については複数のアイデア発想法を並行して使用し、発想を拡げた方が良いでしょう。

ではいくつかの発想法について、個別に説明します。

ブレインストーミング

アイデア発想と言えばすぐに思いつくのがこれでしょう。数人で集まってアイデアを出し合うやり方で、みなさん何度も実行した経験があると思います。実施する時は、オズボーン氏が提唱した次の4つの決め事が重要です。

brain storming

図2.ブレインストーミング

  1. 発言発案の一切に批判をしてはならない。
  2. 奔放なアイデアを歓迎する。つまらないアイデア、乱暴なアイデア、見当違いなアイデアを歓迎する。
  3. アイデアの量を求める。アイデアは多いほどよい。
  4. 他人が出したアイデアの改善、修正案や組み合わせなども歓迎する。

ブレインライティング

ブレインストーミングをやっていると、初めの発言や声の大きな人の意見に引きずられた経験を持つ方が多いでしょう。悪意はなくとも、それによって前記4つの注意点が実現できなくなるものです。

そこでブレインライティングでは、下図3のようなシートの最上段〔Ⅰ〕に各自ABC3つのアイデアを5分以内で書き、その用紙を左側の人に渡します。渡された人はその3つのアイデアをヒントにして、〔Ⅱ〕の列にまた5分間でアイデア〔Ⅰ〕を発展させたものを書く、という動作を参加者人数回繰り返します。

brain writing sheet

図3.ブレインライティングのワークシート

brain writing

図4.ブレインライティングの様子

これによってじっくり自分で考える時間を持ちながら、他の人のアイデアから触発されることも可能になります。

焦点発想法

アイデアの対象だけを見ていると、実は考えが固定してなかなか発想が膨らみません。そこで次のような手順で考えます。

  1. アイデア対象と全く違う分野の対象に焦点をあて、属性(機能や特徴)を列挙する
  2. この属性をやや抽象化した、中間アイデアを抽出する
  3. 中間アイデアをアイデア対象に適用して創案する

一見遠回りの様ですが、一度この中間アイデアリストを作っておけば、その後は大概のテーマに利用でき、面白いようにアイデアが出てきます。

次の表は、私の趣味であるトライアスロンに焦点をあてて、その属性から新たなスーツケースに関してアイデアを出した例です。

表1.焦点発想法の例

属性 中間アイデア アイデア
3種目 組合せ、合成 親子ケース組合せ、入れ子で収納
長距離 持久力 頑丈にする
サイクルPC GPS GPS内蔵で現在場所と移動距離が分かる
ウェットスーツ 水に浮く 防水型ケース
日焼け止め 紫外線防止 日焼けや、擦れに強い表面コート
筋肉痛 疲労防止 引き手の高さに合うハンドル
補給食 中間 カンガルーポケット付き

いかがでしょう?ものづくりドットコムには、もっとたくさんのアイデア発想法と事例が掲載されていますので、興味を持ったものから試してみてください。

またこの方面では日本創造学会理事の高橋誠さんが第一人者です。たくさんの著書を出版されており、今回コラム中の図もご提供いただきました。参考にしてください。

この記事の執筆者
熊坂 治
山形県生まれ
東北大学工学部(応用物理学科)を卒業後パイオニア(株)に入社し、基礎研究、プロセス技術、生産技術、製造技術、工場計画、技術営業、事業開発など広範に担当。
2008年に経営工学部門、2009年に総合技術監理部門と技術士資格を取得し、退社後技術士事務所を開設して、品質工学をコンサルティング。
2011年に株式会社産業革新研究所を設立し、2012年にWebサイト「ものづくりドットコム」を公開。多くの専門家と協力しながら製造業のプロセス革新と課題解決を支援している。
博士(工学)、技術経営修士(専門職)、山梨学院大学客員教授(技術経営論)
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