テクノポートの徳山です。
広報活動の一つであるプレスリリースですが、経験のない方が多くどのように出せばよいのかよく相談を受けます。今まで何度もお手伝いしてきた経験から中小製造業がプレスリリースを出すときのポイントについて書きます。
この記事の目次
そもそも広報・PRって?
大手企業では広報部というものがあり、日常的に広報活動を行っています。広報活動はその企業が抱えている課題を広報という手段を使って解決していくのが主な仕事になります。
大手企業だとステークホルダー(利害関係者)も多いので、顧客向け、投資家向け、求職者向け、社内(従業員や家族)向けなど、ターゲットによって広報の目的と方法もそれぞれ違ってきます。しかし、社内に広報という機能がなく、ステークホルダーも少ない中小企業の場合、ほとんどが広報=販売促進を目的とするのではないでしょうか。
とりわけ製造業であれば、自社で新しく開発した製品や技術を世の中に広めるということが目的になる場合が多いのではないかと思います。弊社でお手伝いする場合もほとんどがこのケースです。
中小企業にとっての広報活動で最も有効と言われているのが「プレスリリース」です。今回はそのプレスリリースの「書き方」と「発信方法」について解説します。
プレスリリースの書き方
プレスリリースとは、企業・団体が、TV、新聞、雑誌、ニュースサイトなどのメディアに向けて、新商品やサービス、イベントなどの活動を公式発表することを言います。活動の内容をワードなどの文章にまとめメディアへ送る訳ですが、当然ながら書き方のポイントのようなものがあります。
1、文章の書き方
文章はA4で1〜2枚程度でまとめるのが良いと言われています。よく気の利いたキャッチコピーや、読み込ませるような文章が必要だと思われがちですが、基本的にはビジネス文書を書く感覚でまとめてください。むしろ文章力やキャッチコピーのセンスよりもすぐに内容が相手に伝わるようなロジカルな文章、分かりやすい文章が求められます。細かいですが、体言止めや受動態はNG、あくまでビジネス文書を意識して書くことが重要です。文章が苦手な人は他社が出しているプレスリリースを真似るのも一手です。
Webメディアに掲載される場合、作成したプレスリリース文の内容を流用しそのまま掲載されることが多いので、注意しましょう。新聞・雑誌の場合は、訪問(あるいは電話)取材が入り、話を聞いた記者が文章をまとめ掲載されることがほとんどです。
2、タイトルが超重要
メディアの記者は多忙なので、ほぼタイトルで読むかどうか決められてしまいます。タイトルのつけ方にもいくつかポイントがあります。
ポイント① 「初」を付けてインパクトを出す
業界初、日本初、世界初など「初」を付けることで読んでもらえる可能性がぐっと上がります。もちろん本当に「初」なのかきちんと調べる必要はあります。なかなか「初」の要素なんか無いと思われがちですが、国でダメなら都道府県で区切るなど、区切り方一つで作り出すことができるのではないでしょうか(もちろん規模感が小さすぎると掲載可能性は下がるので注意ですが)。
ポイント② 時流に乗る
最近であればIoT、インダストリー4.0、オープンイノベーションといったキーワードが入っているネタであれば記者が取上げたがります。
プレスリリースの発信方法
大手の広報部だとメディアリスト(メディアごとに担当者の連絡先が書かれている)を持っているので、そこへ発信するのが基本ですが、中小企業の場合、そんなものはないので自力でメディアリストを作り発信するしかありません。メディアリストを作るための方法をいくつか挙げてみます。
方法① ネットの情報を集める
地道にインターネットの情報を集めメディアリストを作る方法です。メディアのWebサイトを見ているとプレスリリース受付用のメールアドレスやFAX番号が載っていたりします。ご想像の通り労力はかなりかかり、効果もそれほど高くありません。しかし、アプローチする数は多く確保できます。
方法② 人脈の活用
過去に取材してもらった記者に連絡を取ってみたり、取材されたことのある知合いの会社から記者を紹介してもらう方法です。既に構築された人脈の活用となるので労力は少なく、効果は大きいです。しかし、アプローチ数はそれほど確保できなかったり、本当に掲載されたいメディア先が候補に入るとは限りません。
方法③ プレスリリース配信サービス
民間のプレスリリース配信サービスを使う方法です。労力が少なく、多くのアプローチ数を確保することができますが、お金がかかるのがデメリットです。
個人的な配信サービスのオススメは@Pressです。理由は、メディアリストの選定、プレスリリースの文章校正、電話対応などアナログなサポートをしてくれる点で中小企業向きなのではないかと思うからです。
中小製造業の広報成功例
・大手の名前を使う&時流に乗る
川崎市で機械加工を行っている佐々木工機さんは、精密測定機器メーカーのミツトヨが保有する休眠特許を活用し真空吸着ツールスタンドという製品を開発しました。このニュースは様々なメディアに取上げられたそうですが、「大手(ミツトヨ)の名前を使う」、「休眠特許の活用(=オープンイノベーション)」といったポイントがメディアに良い印象を与えたのだと思います。
・記者をプロジェクトに巻き込む
いまや世界各地で行われている「コマ大戦」ですが、その規模が小さい頃からITmediaの担当者さんをプロジェクトに協力してもらう関係を築くことでよくITmediaに取上げてもらっていました。記者の方と良い関係を築くことで優先的に記事に取上げてもらうことはよく聞く話です。そう考えると人脈を広げる事自体が広報活動なので、立派な社長の仕事なのかも知れません。
・共感を呼ぶ
去年から今年にかけてやたらと「町工場の逆襲」みたいな感じのタイトルのTV番組を見かけるようになりました。下請けの町工場が自社の命運を懸けて自社製品の開発に取組む姿が視聴者の共感を得やすいからでしょう。この流れには賛否両論ありそうですが、せっかくメディアに露出する機会が増えるのですから活用しない手はありません。共感を呼ぶようなストーリーを考えてみてはいかがでしょうか。
以上、今回はプレスリリースの方法に関して書かせていただきました。決して弊社は広報を専門とした会社ではありませんので、誤った記載などあるかも知れません。その点だけご了承いただければ幸いです。