製造業マーケティング最大の課題は「顧客ターゲットの明確化」

【執筆者紹介】徳山 正康
この記事の執筆者
徳山 正康
テクノポート株式会社 代表取締役

製造業専門のWebマーケティング事業と技術ライティング事業を手がけるテクノポートの代表を務める。「技術マーケティングで日本の製造業に追い風を」を経営理念に、これまでに数名の町工場から一部上場のメーカーまで、累計1,000社を超える製造業を支援し、数多くの企業の経営革新を実現。

グロービス経営大学院(MBA)卒業、(社)日本ファミリービジネスアドバイザー協会 フェロー、(社)Reboot 理事、(社)Glocal Solutions Japan 認定専門家

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テクノポートの徳山です。当記事では、製造業者がマーケティングを成功させるための最大の課題である「顧客ターゲットの明確化」について解説します。マーケティングをこれから本格的に始めようと考えている方、なかなか成果が出なくてお悩みの方はぜひご覧ください。

製造業がマーケティングを成功させる際の一番の課題は「ターゲットの明確化」

2024年3月に当社では、「Webマーケティングを実施しているBtoB製造業を対象に、製造業の新規顧客獲得に関する実態調査」を実施しました。その調査の中で「実施したWebマーケティング施策に効果を感じている」と答えた回答者に対して、「新規顧客獲得の際に重要だと感じたこと」を尋ねました。

新規顧客獲得の際に重要だと感じたこと>調査レポートをすべてご覧になりたい方はこちら

その結果、1位はターゲットの明確化、2位は自社の強みをアピールするためのコンテンツ、3位は自社と合った施策の選定という結果でした。しかし、2位と3位の課題については、ターゲットの明確化が不十分なことが原因であることが多いと考えられます。

ターゲットが明確化されていて解像度が高ければ、おのずとアピールすべき自社の強みが明確になりますし、どのような施策を選定すればターゲットに情報が効果的に届くのかがわかるからです。つまり、マーケティングにおける多くの課題が「ターゲットの明確化ができていないこと」に起因することが多いといえるでしょう。

そのため、製造業がWebマーケティングを成功させるためには「ターゲットの明確化ができている状態とはどのようなことか」を知る必要があります。

「ターゲットの明確化ができている」とはどのような状況か

Webマーケティングを実施するうえでターゲットの明確化を行う、というのは当たり前のことのように聞こえますし、どこの企業でも取り組んだことがあると思います。しかし、多くの企業がWebマーケティングに苦戦する現状から、それが十分にできているケースは少ないように感じます。

実際に弊社へ相談に訪れる企業の多くが、ターゲットが設定できていると答えるものの、そのほとんどが属性情報のまとめに留まっていることが多いです。属性情報とは、会社の業種や規模、担当者の職種や仕事内容といった情報のことです。

しかし、BtoB製造業のWebマーケティングの場合、見込顧客の多くが長い時間をかけて購買活動を行うため、長い時間軸でターゲット顧客を理解する必要があります。また、競合他社と比較検討されるケースがほとんどのため、選定基準をより明確にする必要があります。

それでは、具体的に「ターゲットの明確化ができている」とはどのような状態でしょうか。例として、以下の5つの質問に明確に答えられるかどうか、考えてみてください。

  1. ターゲット顧客が新たな発注先を探す際の背景やきっかけは何か
  2. ターゲット顧客が発注先を探す際に抱えている技術的な課題な何か
  3. ターゲット顧客が発注先を探すための具体的な方法は何か
  4. ターゲット顧客が技術・製品に求める機能、性能、その他要素は何か
  5. ターゲット顧客が最終的に発注先を決定する際の要因は何か

これらの質問に対して即座に答えることはできたでしょうか?また、全社でターゲット顧客のイメージを共有し、誰が答えても同じような回答を引き出せるでしょうか?

十分にターゲットの明確化ができていないと感じた方は、ぜひこの機会にターゲットを明確化させるための取り組みを行ってみてはいかがでしょうか。

顧客ターゲットを明確化する方法

ターゲットの明確化が十分にできていないと感じている方の多くは、ターゲットを設定する際に一人、もしくは社内メンバーで話し合って決めたのではないでしょうか。しかし実は、ターゲットの明確化を行うために最もおすすめの方法は「顧客に直接聞く」というものです。

過去に、Webマーケティングの活動において新規受注した顧客がいれば、一度インタビューしてみてください。顧客に直接聞くメリットはいくつかあります。まず、社内で話し合うより直接顧客にインタビューしたほうが顧客の解像度が圧倒的に高いという点です。さらに、社内でコンセンサスが取りやすくなります。社内で話している空想論よりも、顧客が直接話した内容のほうが信憑性が高いため、これにより意思決定も早くなります。

インタビューできそうな顧客がいない場合は、インタビューサービスを活用することをおすすめします。最近では、ビザスクLiteやユニーリサーチなど、インタビュー相手を簡単に見つけることができるサービスが多く提供されています。

インタビュー未経験だったり、インタビューに苦手意識を感じている方は、弊社でも利用しているヒアリングシートを活用してみてください。個人情報の入力不要で無料でダウンロードしていただけますので、必要な方はこちらからどうぞ。

ユーザーヒアリングシート>ユーザーヒアリングシートのダウンロードはこちら

顧客ターゲットの情報をもとに購買フローマップを作る

ターゲットが明確化されたら、次に購買フローマップを作成していきます。購買フローマップとは、ターゲット顧客が情報収集〜購買に至るまでの行動を段階別に整理し、各段階における関心ごとや情報収集の方法を洗い出したものです。これを作成することで、採用すべき施策や作成すべきコンテンツを明確にできます。

購買フローマップ例

購買フローマップ例

購買フローマップの作成手順

1. 購買段階を段階別に整理する

ターゲット顧客の購買フェーズを考えていきます。BtoB製造業の場合、一般的には以下のようなフェーズが考えられます。

  1. 課題を認知する前の日常の情報収集段階
  2. 社内で課題が発生し、課題解決のための情報収集や解決策を模索する段階
  3. 解決策を特定し、解決策に関する学習を深める段階
  4. 解決策を提供しているメーカーの製品・サービス情報を収集する段階
  5. 複数の購買候補先から最終選定を行う段階

フェーズを分けるのが難しいと思われる方は、上記フェーズに当てはめて考えてみてください。

2. 各段階におけるユーザーの行動や関心ごとをまとめる

購買フェーズごとに、具体的にどのような方法で情報収集を行うのかであったり、そのフェーズにおいてユーザーがどのような関心ごとを持っているかをまとめます。関心ごとは、どのような情報を欲しているか、どのようなことで困っているか、といった観点で考えるとまとめやすいかと思います。

3. ユーザーを獲得するための集客施策をまとめる

BtoB製造業の場合、課題を認知した後のフェーズではほとんどのユーザーが検索エンジンによる情報収集を行うことがわかっています。集客施策の具体性を高めるために、該当するフェーズでユーザーが使用する検索キーワードの種類についてまとめておくとよいでしょう。

4. リード化するための獲得施策をまとめる

ユーザーを集客してもリード化に至らなければ、商談機会は生まれません。そのため、ユーザーの関心ごとに合わせたリード獲得施策を考える必要があります。リード獲得施策には、ホワイトペーパー、ウェビナー、カタログダウンロード、見積もり依頼などが挙げられます。

5. 購買フローマップをもとに施策の選定やコンテンツ案を考える

購買フローマップから導き出したユーザーの集客施策やリード獲得施策をもとに、優先順位をつけて施策を選定していきます。また、施策を実施するにあたって必要なコンテンツ案を考えていきます。

1〜5の手順により、採用すべき施策や作成すべきコンテンツを明確にすることができます。弊社でも利用している購買フローマップのフォーマットを、個人情報の入力不要で無料でダウンロードしていただけます。必要な方はこちらからどうぞ。

購買フローマップシート>購買フローマップのダウンロードはこちら

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テクノポートは、BtoB製造業を専門としたマーケティング支援を行っています。1,000社を超えるクライアントへの支援実績と経験を活かし、貴社のマーケティング活動を前進させることをお約束します。

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この記事の執筆者
徳山 正康
テクノポート株式会社 代表取締役

製造業専門のWebマーケティング事業と技術ライティング事業を手がけるテクノポートの代表を務める。「技術マーケティングで日本の製造業に追い風を」を経営理念に、これまでに数名の町工場から一部上場のメーカーまで、累計1,000社を超える製造業を支援し、数多くの企業の経営革新を実現。

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