【2026年版更新】アメリカの製造業(主要産業・進出している日本企業)

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2026年現在のアメリカ製造業は、単なる「大市場向け生産拠点」ではなく、半導体、航空宇宙、防衛、蓄電池、電力機器といった、米国政府が重点支援する戦略産業群の中心に位置付けられています。人口は3億人超の巨大市場であり、現政権は通商政策を安全保障や国内産業保護と結び付けて見直しているため、米国進出は販売拡大だけでなく、供給網の再設計や政策インセンティブの取り込みまで含めて考えるべき段階に入っています。

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基本情報

  • 正式名称:アメリカ合衆国(United States of America)
  • 首都:ワシントンD.C.(Washington, D.C.)
  • 大統領:ドナルド・J・トランプ(Donald J. Trump)大統領(2025年1月20日就任)
  • 通貨:アメリカ合衆国ドル(160.37円(2026年6月9日)
  • 人口:約3億4,235万人(2026年2月米統計局推計)
  • 面積:約962.8万km2
  • 公用語:英語
  • 宗教:信教の自由を憲法で保障、主にキリスト教

2026年6月時点の米国大統領はドナルド・トランプ氏です。また、外務省の2025年10月1日時点統計では、米国在留邦人は41万6,380人で、国別で最多です。実務面では、為替よりもむしろ関税・補助金・調達条件の変化が投資採算を左右する局面に入っており、米国を見る際の基本情報も「政治・制度込み」で捉える必要があります。

産業構造と経済の特徴

産業構造

アメリカ経済の土台は依然としてサービス業です。2025年第4四半期時点で、民間サービス産業の付加価値はGDPの73.2%を占める一方、製造業は9.4%、民間財生産部門全体でも15.7%にとどまります。つまり米国は「製造業国家」というより「サービス主導経済」ですが、その中で製造業はGDP比以上に研究開発、輸出、安全保障、設備投資を牽引する戦略部門として扱われています。 

経済の特徴

強みは3つあります。第一に、米国の研究開発支出は2022年で8,856億ドル、GDP比は3.4%に達しており、世界でも突出した技術投資国家であること。第二に、IMFのCOFERでは2025年第4四半期のドル建て準備通貨シェアが56.77%と、国際金融でなお最大の準備通貨としての地位を維持していること。第三に、EIAによれば2025年の原油生産は日量1,360万バレルと過去最高を記録しており、エネルギー安全保障面でも優位性が増していることです。反面、弱みとしては、関税や地政学をめぐる不確実性が企業のコスト管理や意思決定を鈍らせている点が挙げられます。連邦準備制度の地区報告では、関税が製造業のコスト上昇やマージン圧迫の要因として繰り返し言及されており、一部地域では製造業活動の弱含みや事業判断の慎重化にもつながっています。

製造業全体

足元の製造業は「政策追い風は強いが、操業率はまだ伸び切っていない」という状態です。連邦準備制度の2026年5月データでは、製造業の鉱工業生産指数は97.9で前年同月比1.4%上昇しました。一方、製造業の設備稼働率は75.7%と長期平均を2.5ポイント下回っています。つまり、新工場建設や投資発表は活発でも、既存工場が全面的なフル稼働に至っているわけではなく、生産能力にはなお一定の余力が残されています。

政策面では、バイデン政権期に成立したIRAとCHIPS法の効果が、2026年の製造業にもなお強く残っています。財務省はIRAの45X先端製造税額控除の最終規則公表時点で、同制度が過去2年間に1,260億ドル超のクリーンエネルギー製造投資発表に寄与したと説明しています。さらに商務省は、CHIPS法関連で半導体・電子分野の民間投資が4,500億ドル超、雇用創出効果が12.5万人超に達したとしています。これに対し、トランプ政権は2025年以降、「America First Trade Policy」に基づき通商政策の見直しを進め、同年4月には相互関税措置を導入しました。2026年にはUSTRが製造分野の構造的過剰生産を巡る301条調査の公聴会を実施しました。要するに、現在の米国製造業は「補助金で国内投資を呼び込みつつ、関税で海外依存を減らす」という二層構造で動いています。国内生産には追い風ですが、輸入部材依存が高い企業にはコスト上昇リスクも残ります。

製造業の主要産業

半導体・電子部品

最も大規模な政策支援の一つが半導体分野です。商務省によれば、CHIPS法を背景に半導体・電子分野では4,500億ドル超の民間投資が発表されています。さらにSIA/BCGは、米国の半導体製造能力が2022年から2032年にかけて203%増加し、先端ロジックの世界シェアも2022年の0%から2032年に28%へ拡大すると見込んでいます。AI、データセンター、先端防衛需要がこの分野を押し上げています。

航空宇宙・防衛

第二の柱は航空宇宙・防衛です。AIAによると、2024年の米国航空宇宙・防衛産業は220万人超の雇用を支え、賃金総額は2,570億ドルに達しました。加えて、商用航空分野だけでも2023年のGDP寄与額は2,840億ドルと評価されています。地政学リスクの高まり、防衛予算の増勢、旅客需要回復、航空機エンジンMRO需要の拡大が重なり、製造業の中でも裾野が広く、付加価値の高い領域として存在感を増しています。

EV・蓄電池・電力機器

第三の柱は、EVそのものだけでなく、蓄電池、重要鉱物、電力変換装置まで含めた電動化サプライチェーンです。DOEは2026年3月13日、重要鉱物処理と派生バッテリー製造・リサイクル向けに最大5億ドルの公募を開始しました。加えて、BlueOval SK向けには96.3億ドルの融資を発表し、3工場で最大7,500人の運営雇用、5,000人超の建設雇用を見込んでいます。需要面では、Cox Automotiveによると2026年第1四半期の米国EV販売は21.6万台、販売シェアは5.8%で、補助金終了後の調整局面にあります。ただし、販売が踊り場でも、工場・設備・部材の現地化投資は続いており、製造業としての重要度は高いままです。

製造業の代表企業

半導体分野の代表企業

Intel Corporation

Intelは商務省の2024年発表時点で、今後5年間の米国内投資が1,000億ドル超となる見通しを示し、アリゾナ、ニューメキシコ、オハイオ、オレゴンで約1万人の製造雇用と約2万人の建設雇用創出を見込んでいます。TSMC Arizonaは、最大66億ドルの直接補助と最大50億ドルの融資支援のもと、650億ドル規模の民間投資でアリゾナに3工場を整備し、約6,000人の直接製造雇用を生む計画です。2026年時点の米国半導体産業を象徴するのは、「売上規模」以上に「どれだけ米国内で前工程を増やせるか」という競争です。 

EV・蓄電池分野の代表企業

Tesla

この分野の代表格はTeslaです。Teslaの2025年通期売上高は948.27億ドル、総納車台数は163.6万台でした。一方で、Cox Automotiveによると、2026年第1四半期の米国EV市場におけるTeslaブランドのシェアは54.2%で、依然として最大プレーヤーです。EV市場全体は補助金終了の影響で減速していますが、Teslaは売上規模、量産能力、国内市場シェアの三点で依然として基準企業といえます。 

航空宇宙・防衛分野の代表企業

GE Aerospace

航空宇宙ではGE Aerospaceが代表例です。同社は2025年に顧客・パートナー資金を含め年間約30億ドルを研究開発に投じ、受注残はおよそ1,900億ドルまで積み上がりました。さらに主力LEAPエンジンの納入は2025年に28%増加しています。航空機需要の戻り、防衛需要、MRO拡大を同時に取り込める点で、米国製造業の高付加価値化を体現する企業です。 

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日本企業の進出状況

日本企業の米国展開は依然として厚い層を持っています。外務省の2024年10月1日時点「海外進出日系企業拠点数調査」の集計では、米国の拠点数は約9,600拠点規模に達しています。また、JETROの2025年度北米調査では、在米日系企業1,871社を対象に調査が行われ、2025年に黒字見込みの企業は66.5%、今後1~2年で事業拡大を見込む企業は約5割でした。さらに、トランプ関税を受けて、対米サプライチェーン移管への関心が高まっていることも示されています。米国は依然として、日本の製造業にとって最大級の現地化先です。 

アメリカに進出した日本企業

株式会社SCREENホールディングス

第一にSCREENホールディングスです。SCREENホールディングスは2025年12月、ニューヨーク州アルバニーのAlbany NanoTech Complex内に研究開発拠点「SCREEN Advanced Technology Center of America(ATCA)」を設立すると発表しました。ATCAは929平方メートルのクリーンルームと462平方メートルのオフィスを備え、NY Createsとの10年・7,500万ドル規模の戦略提携のもと、次世代半導体プロセス開発を行う拠点です。2026年4月15日には現地で開所式(リボンカット)が実施されました。狙いは、EUV以降を見据えた半導体製造プロセス開発を米国で顧客密着型に進めることです。

UBE株式会社

第二にUBEです。UBEは2025年2月、ルイジアナ州でDMC・EMCプラントの起工式を実施しました。DMC年産10万トン、EMC年産4万トンの計画で、発表時点では2026年7月の完工と同11月の稼働開始を予定しています。DMCとEMCはEV・HEV・ESS向けリチウムイオン電池電解液の主要原料であり、DMCは半導体プロセス用現像液原料にも使われます。さらにJBICは同社米子会社向けに総額4億ドルの協調融資を公表しており、対米バッテリー材料現地化の代表例といえます。 

TMEIC

第三にTMEIC Corporation Americasです。TMEICは2024年8月、テキサス州ヒューストンへの北米本社移転と、ブルックシャーでの144,000平方フィートのPVインバーター工場新設を発表し、2025年7月に新本社を開設しました。さらに2025年4月には、ウォーラー郡で第三の米国製造工場の起工式を行い、無停電電源装置(UPS)と中電圧ドライブを生産する計画を発表しています。テキサス州知事発表では、同プロジェクトは6,500万ドル超の投資と当初62人の雇用創出を伴うとされています。一方、TMEICの起工式発表では、267,000平方フィートの施設について、2026年5月の完成と同6月の生産開始を計画しており、初期雇用は約200人、将来的に500人まで拡大する計画とされています。再エネとデータセンター建設の拡大に合わせ、電力機器を米国内で供給する戦略が明確です。 

まとめ

2026年のアメリカ製造業は、単純な生産コスト比較ではなく、「補助金を取れるか」「関税や通商政策に耐えられるか」「米国内でサプライチェーンを閉じられるか」で競争力が決まる段階に入りました。半導体、航空宇宙・防衛、EV・蓄電池・電力機器がその中心であり、日本企業にも十分な商機があります。特に有望なのは、巨大完成品メーカーではなく、材料、製造装置、電力変換、工程技術のような“不可欠だが代替しにくいBtoB技術”を持つ企業です。今回選んだSCREEN、UBE、TMEICはいずれもその条件に合致しており、2026年の米国市場ではこうしたニッチ高付加価値型の進出がより重要になると考えられます。

参考ソース一覧

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