テクノポートの徳山です。AI検索が普及する中、製造業のコンテンツは「記事を増やす」だけでは成果につながりにくくなっています。本記事では、購買フローマップでターゲット顧客の購買段階を整理しながら、AIに参照されやすい“独自情報”の考え方と、技術コラム・事例・製品ページの具体的な作り方を解説します。
この記事の目次
AI検索対策用コンテンツを制作する際のポイント
狙うユーザー層で“作るべきコンテンツ”は変わる
AI検索対策というと「とりあえず記事を増やそう」となりがちですが、最初にやるべきは誰を獲得したいかの整理です。なぜなら、同じ製造業でも購買(検討)段階によって知りたいことがまったく違うからです。
まずは購買フローマップでターゲットを分解する
「どの段階のユーザーを増やしたいのか」を見える化するために、まずは購買フローマップを作るのがおすすめです。

前半:情報収集(基礎理解)
中盤:課題の原因特定・解決策の探索
後半:製品・サービスの比較検討〜選定
この分け方をすると、「いま作るべきコンテンツ」がブレにくくなります。ただし、購買フローは対象とするターゲット顧客によって大きく異なります。まずはターゲット顧客の解像度を高め購買フローマップを整理するところから始めましょう。
参照記事:顧客の購買プロセスを可視化する「購買フローマップ」
前半ユーザー:基礎情報の探索が中心

前半のユーザーは、たとえば次のような検索をします。
- 専門用語の意味(例:○○処理とは?)
- 技術の基本(例:○○方式の仕組み)
- 定義や特徴の整理
これらの基礎的な情報は生成AIの回答だけで満足しやすいのが現実です。つまり、丁寧に書いてもWebサイトへのアクセスにつながりにくい傾向があります。そのため、前半ユーザー向けは優先度は低めでOKです。
中盤ユーザー:課題の原因、解決策の探索が中心

中盤ユーザーは「課題が起きていて、解決策を探している」段階です。なぜ不具合が起きるのか(原因特定)、どう直すのがよいか(対策案)、他社はどう解決したか(事例)といった情報を求めている傾向があります。
このユーザー層は、AIの要約だけでは足りず、より専門的で具体的な情報を求める傾向があります。そのため、BtoB製造業のAI検索対策では、自社サイトへの訪問動機を持つユーザーが多いため、優先度は高くなります。
このユーザー層に対するおすすめコンテンツは以下のようなものが挙げられます。
- 専門性の高い技術コラム(原因→対策→注意点まで)
- 導入事例(条件・結果・学びがあるもの)
- トラブルシューティング(よくある失敗と回避策)
後半ユーザー:製品・サービスの比較選定材料の探索が中心

後半ユーザーは、具体的な製品・サービスの「比較検討〜選定」を行っています。よって、仕様(スペック)・制約条件、コスト、ROI、効果の見込み、導入手順、立ち上げ期間、サポート体制(保守、改善、トラブル時の対応)、既存設備との相性、導入リスクなどといった、製品選定に関わる具体的な情報を求めています。
この段階のユーザーは、AI検索でも情報収集を行ったうえで、企業サイト情報確認、問い合わせや資料ダウンロードなどを行うため、AI検索対策において最も優先度の高いユーザー層となります。
このユーザー層に対するおすすめコンテンツは以下のようなものが挙げられます。
- 製品・サービス紹介(用途別の入口も用意)
- 比較表(選定軸が分かる)
- ROI・費用対効果の考え方
- 導入の流れ、サポート内容、よくある質問(FAQ)
AI検索で強いのは「独自情報」、一般論だけでは勝ちにくい
AI検索は「一般論」を評価しにくい
生成AIの回答は、「どのサイトにも書いてある話」よりも、ユーザーの問いに対して判断材料になる情報を優先してまとめます。製造業の一般論(品質が大事、コスト削減が重要…)はすでに大量にあるので、AIがあえてあなたのページを参照する理由が弱くなります。
「差分・条件・実測」のある情報が重要
AIが参照価値を見出しやすいのは、次の3つが揃った情報です。
- 差分:他と何が違うか(独自の観点・結論)
- 条件:どんな場合に当てはまるか(適用範囲)
- 実測:数字や結果(現実のデータ)
特に製造業は「自社条件に当てはまるか」が最大の論点です。だからこそ、材質、ロット、工程、設備制約、NG条件、失敗パターンなどが書かれているだけで価値が跳ね上がります。
これからは「キーワード」より「プロンプト」を軸に設計する
従来のSEOでは「狙うキーワード」を決めるのが基本でしたが、AI検索対策ではこの考え方が少し変わります。ユーザーはAIに、会話文(=プロンプト)で質問するからです。
“ユーザーが打ちそうな質問”を先回りする
勝負になるのは、「ユーザーが実際に使いそうなプロンプト」をどれだけ想像できるかです。
- 「○○の不良が増えた原因を切り分けたい」
- 「○○方式と△△方式、どちらが小ロット向き?」
- 「既存ラインを止めずに導入する手順は?」
顧客や現場ヒアリングからプロンプトを設計する
SEOと違って、AI検索は「この質問がどれくらい検索されているか」を測るツールがまだ整っていません。そのため、営業が受けた質問、技術がよく聞かれる相談、サポートがよく対応するトラブルなどの一次情報を集めて、ユーザー解像度を上げることです。
プロンプト設計については別記事でも解説していますので、以下記事もご覧ください。
AI検索対策用コンテンツの作成方法
技術コラムページの作成方法
技術コラムはAIに「専門的で信頼できる情報」と認識してもらうために重要なコンテンツです。課題が発生して「原因を知りたい」「どう直せばよいか知りたい」と考える検討中盤のユーザーに届きやすいコンテンツなので、AI検索でも、こうした“悩みの解決”に直結する記事は参照されやすくなります。
まず押さえる4つの型
技術コラムは、次の型に沿うだけでAIにも人にも伝わりやすくなります。
- 結論を先に出す(原因は〇〇が多い/有効なのは△△)
- 条件を明記する(材質・ロット・工程・設備条件など)
- 一般論+現場知見をセット(理屈→現場で起きるズレ)
- FAQを入れる
ポイント①:結論ファーストで書く
冒頭で結論を示すと、読者は「自分に関係あるか」をすぐ判断できますし、AIも要点を取り出しやすくなります。導入文を長くするより、まず一度“答え”を置くイメージです。たとえば、冒頭の1〜2文で次を言い切るだけでも効果があります。
「〇〇の不良は、まず△△を疑うケースが多いです」
「この条件では□□が有効ですが、××の場合は別の打ち手が必要です」
ポイント②:条件付きで語る(最重要)
製造業の情報は「条件が変わると結論が変わる」ことが多いので、条件を書かない記事は価値が落ちやすいです。AI検索でも、条件が明記されたページは“判断に使える情報”として扱われやすくなります。最低限、次のような条件のうち、書けるものを入れましょう。
- 材質・形状・寸法
- ロット・タクト・生産体制
- 工程(前後工程含む)・検査条件
- 設備条件・制約(既存設備との相性)
さらに一歩進めるなら、効く条件/効かない条件をセットで書くとよいでしょう。具体的には、「〇〇の場合に限って有効」「△△では逆効果になりやすい」と書けるだけで、独自性が出ます。
ポイント③:一般論+現場知見をセットで記載
教科書的な説明は必要ですが、それだけだと“どこにでもある記事”になりやすいです。差が出るのは、現場で本当に起きていることを言語化できるかどうかです。書き方のコツはシンプルで、次の順にすると自然に読めます。
原理(一般論) → 現場で起きるズレ → よくある落とし穴 → 対処法
営業や技術が普段口頭で説明している内容を、そのまま文章に落とせると効果的です。
ポイント④:FAQ形式を積極的に入れる
AI検索は質問文との相性が良いので、記事内にFAQを置くと拾われやすくなります。記事末にまとめてもよいですし、本文中に“会話っぽく”差し込むのも有効です。
技術コラムのNG例(ありがち)
- 用語解説だけで終わる
- 「〇〇が重要です」で締めてしまう(具体的な判断材料がない)
- 条件やNGケースが書かれていない
事例紹介ページの作成方法
AIとユーザーに「自社でも再現できそう」と思ってもらうコンテンツとして、事例紹介は有効です。検討中盤〜後半のユーザーが「自社に当てはまるか」を判断するために読むため、AI検索でも、実例がある情報は信頼性が高いと評価されやすくなります。
事例記事ページを作成する際に重要なことは、成功したこと自体より、読者が知りたいのは「自社でも再現できるか」です。以下の4点に注意をして作成しましょう。
- 課題を具体的に書く(できれば数値も)
- 条件を明記する(業界・製品・ロット・工程・制約)
- Before / After を示す(数値 or 変化の方向)
- 迷いや失敗も書く(判断プロセスが伝わる)
ポイント①:課題の具体度を高くする
「生産性向上」「品質改善」だけでは伝わりません。課題はできるだけ“現場の困りごと”として具体化します。数値が出せるならなお良いです。例としては以下のような書き方です。
「不良率◯%がボトルネックになっていた」
「段取り替えに毎回◯時間かかっていた」
ポイント②:条件を必ず明示する
事例でも条件は必須です。条件が具体的なほど、AIにもユーザーにも刺さります。特に書けると強いのは、次のような要素です。
- 製品の特性(材質・サイズ・要求精度など)
- 生産条件(ロット・稼働時間・人員体制など)
- 制約(既存設備、停止できないライン、品質規格など)
ポイント③:Before / After を数値で示す
可能なら、不良率・工数・リードタイム・稼働率など具体的な数値を記載します。難しければ「短縮した」「安定した」など、変化の方向性だけでも価値があります。重要なのは「良くなりました」ではなく、「何がどう変わったか」です。
ポイント④:検討時の迷いや失敗も書く
成功談だけだと、比較検討中の読者には情報が足りません。むしろ参考になるのは、判断の現実です。
- 他案と比較して迷った理由
- 想定外だった点
- 調整に苦労した点
このあたりの情報を掲載できると、AIにも「リアルな判断プロセス」として拾われやすくなります。
事例ページのNG例
- 成功談だけで終わる
- 条件がぼかされていて汎用的すぎる
- 自社製品の宣伝色が強すぎる
製品・サービス紹介ページの作成方法
AIに、「ユーザーが比較検討する際に必要な判断材料が揃っている」と思わせることが重要です。製品ページは、ユーザーが比較検討する際に重要となるスペック情報を記載するとともに、「選び方」や「導入後の効果」といった情報まで書くとAI検索に評価されやすくなると考えられます。以下のような情報を掲載できるとよいでしょう。
- 向いているケース/向いていないケース(選定軸)
- ROI・効果の考え方(実数なしでもOK)
- 導入プロセスとサポートの範囲
- FAQ・比較表
ポイント①:スペックだけでなく「選び方」を書く
ユーザーが欲しいのは「良い製品」より、「自社に合うかどうか」です。そこで、向いているケース/向いていないケースを明示します。AIも“判断基準”を重視するので、ここがあると要約・引用されやすくなります。
ポイント②:ROI・効果の考え方を示す
実数が出せなくても大丈夫です。どのコストが減るのか、どの工程に効くのか、回収をどう考えるか。こうしたフレームがあると、ユーザーは社内説明に使えますし、AIも整理して引用しやすくなります。
ポイント③:導入プロセス・サポートを明確に
製造業では「導入後が不安」になりやすいので、導入までの流れ、立ち上げ支援、トラブル時の対応範囲を具体的に書きます。ここが丁寧なほど、問い合わせの質も上がります。
ポイント④:FAQ・比較表を充実させる
FAQや比較表は、AI検索でそのまま引用されやすく、ページの最後に自然に置くだけでも効果があります。
製品・サービスページのNG例
- 選定時に必要な定量情報が不足している
- 抽象的なメリットしか書かれていない
AI検索対策用コンテンツ制作に関するFAQ
Q. どんなコンテンツからAI検索対策を始めるのがおすすめですか?
A. 当記事で紹介しているように、まずは「技術コラム」「事例記事」「製品・サービス紹介ページ」から始めるのがおすすめです。
これらは課題解決や比較検討に直結しやすく、AI検索でも参照されやすい領域です。特に、検討中盤〜後半のユーザーが求める「原因の切り分け」「判断材料」「導入後のイメージ」まで含められるため、流入だけでなく問い合わせや商談の質の改善にもつながりやすくなります。
Q. 独自情報がないと、AI検索対策はできませんか?
A. 独自情報がなくても対策は可能です。
数値データや大きな実績がなくても、AI検索対策で重要なのは「完全に新しい情報」よりも、判断に使える具体性です。たとえば「どんな条件で有効か」「逆に向いていないケースは何か」「現場でよくある失敗」などは、それだけで十分に独自情報になります。一般論を少し“自社の現場の言葉”に置き換えるだけでも、価値は大きく上がります。
Q. 数値や実績を公開できない場合はどうすればいいですか?
A. 実数が出せない場合でも、書き方の工夫で十分カバーできます。
たとえば、効果は「増えた/減った」「短くなった/安定した」など、変化の方向性として示すだけでも判断材料になります。またROIも、金額を出さなくても「どのコストが減るのか」「どの工程で回収しやすいのか」といった考え方を説明すれば、ユーザーは社内検討に使えます。大切なのは、数字の有無よりも“どう判断すればよいか”が伝わることです。
Q. FAQコンテンツは必ず入れたほうがいいですか?
A. 必須ではありませんが、入れておくと効果が出やすいです。
FAQコンテンツは「質問」と「回答」がセットになっているため、AI検索が拾いやすく、ユーザーの理解も進みます。特に、営業や技術がよく受ける質問、比較検討で迷いやすいポイント、誤解されやすい点などをFAQにすると、記事全体の説得力が上がり、問い合わせのミスマッチも減らせます。
Q. AI検索対策では、記事タイトルはどう付ければよいですか?
A. 対策プロンプトがそのままタイトルに再現されているのがベストですが、対策するプロンプト数が多いと作成するページ数が膨大になるため、バランスも考える必要があります。
基本方針としては、ユーザーがAIに投げる質問に近い形で、タイトルに「悩み」や「判断」が含まれるようにします。たとえば「〇〇の特徴」より「〇〇で精度が出ない原因と対策」のように、課題と答えが見えるタイトルのほうが、AIにもユーザーにも伝わりやすくなります。
Q. 既存の記事は作り直す必要がありますか?
A. 全面リライトが必要なケースは多くありません。多くの場合は、構造を整えたり情報を足したりするだけで改善できます。
たとえば、冒頭に結論を追加し、本文に条件や制約(適用範囲・NGケース)を追記し、最後にFAQやまとめを入れると、AI検索に向いた形になりやすいです。まずは“直しやすいところ”から手を入れて、効果を見ながら深掘りしていくのが現実的です。
Q. 社内のどこから情報を集めるのが効果的ですか?
A. 一番の情報源は、すでに顧客と向き合っている部門です。
営業が受ける質問、技術が相談される原因調査、サポートが対応するトラブルなどには、ユーザーが本当に知りたい「リアルなプロンプト」が詰まっています。加えて、導入時に苦労した点や、比較検討で選ばれた理由、逆にお断りしたケースの条件なども、独自性の高いコンテンツになります。こうした情報を短くメモで集めるだけでも、コンテンツの質は大きく変わります。
Q. 初心者がAI検索対策で一番意識すべきことは何ですか?
A. 「この情報は誰の、どんな判断に役立つか」を常に意識することです。
AI検索では、一般論よりも判断材料がある情報が選ばれやすいので、結論・条件・理由(必要なら注意点)を揃えるだけで、内容の伝わり方が大きく変わります。まずは“ユーザーの質問にちゃんと答えているか”を基準に整えるところから始めるのがおすすめです。
◇◇◇
AI検索対策の第一歩は、狙うユーザーの購買段階を整理し、作るべきコンテンツを決めることです。そのうえで、一般論ではなく「差分・条件・実測」を盛り込み、キーワードではなくプロンプト起点で設計すると、AIにもユーザーにも選ばれやすくなります。技術コラム・事例・製品ページを優先的に整え、判断材料が揃った情報発信に育てていきましょう。
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