製造業勤務、機械系エンジニアライターの野口です。オープンイノベーションの成功事例が知りたい、成功事例を自社のオープンイノベーションに活用したいなどの悩みをお持ちではありませんか。本記事では、オープンイノベーションの成功事例を5つ厳選してお伝えします。
この記事の目次
オープンイノベーションとは
オープンイノベーションの目的は、他社や研究機関、ベンチャー企業など外部と協業し、新たな市場を切り開き、新しい商品を生み出すことです。
製品のライフサイクルの短期化や新興国の対等により競争が激化し、従来の自前主義によるイノベーションには限界が来ています。この激動の時代に対応するためにも、オープンイノベーションによる新規技術の開発や新規市場の開拓が求められています。
オープンイノベーションの成功事例
オープンイノベーションによって、新たな技術や製品を開発した事例を紹介していきます。
北陸テクノ株式会社
北陸テクノ株式会社は産学官連携(射水市、JAいみず野、富山県立大学と共同で開発)で新製品の開発に成功した企業です。
もみ殻を焼却しても環境負荷が少ない「もみ殻処理炉」の共同開発に成功し、灰を活かしたリサイクル製品の開発まで手がけています。その一例は、農業分野の肥料開発です。さらに、もみ殻灰の特性を活かしたコンクリート製品の試作に成功し、鳥取県の製造業者と製品化を目指しています。
ソニー株式会社
ソニーはスタートアップの創出と事業運営を支援するプログラム「Sony Startup Acceleration Program(以下、SSAP)」を2014年にスタートしています。その成功例の一つがソニー、京セラ、ライオンの3社でのオープンイノベーション活動です。
3社はSSAPを通じて仕上げ磨き用の歯ブラシ「Possi」を開発し商品化に成功。3社が協力し、スピード感をもって商品を世の中に発売しています。対談の中で、オープンイノベーションの成功の鍵は「社会的意義の共有」と3社座談会で言及しています。
鶴岡市
山形県にある鶴岡市は鶴岡市×山形県×慶応義塾大学の産学官連携により、オープンイノベーションに成功しています。
先端的な教育と研究開発を軸としたまちづくりを推進し、研究開発型の地域産業の育成を目指したものです。世界最先端のメタボローム解析技術の開発や、Spider株式会社と人工合成クモ糸繊維の開発が成果の1例として挙げられます。また、ベンチャー企業の創出や若い人材の育成と製品の開発のみならず人材の育成にも成功しています。
この活動を通して、大学発バイオベンチャーであるヒューマン ・ メタボローム ・ テクノロジーズ社が10年を経て上場しました。 これは「鶴岡の奇蹟」 とも言われているオープンイノベーションの成功事例です。
大阪市
大阪府大阪市はうめきた地区の先行開発区域に「大阪イノベーションハブ」を開設しています。
具体的な支援内容はイノベーション拠点の立地立地促進助成や、IoT・ロボット分野のビジネス支援です。これらの支援により、スマホ連携のウェアラブルトイの一般販売の開始。IoT ・ ロボットビジネス実証実験支援プログラム受講者のうち3チームがサービスの提供を開始しています。
立地支援とビジネス支援のハードとソフト、両面にわたる取り組みにより、オープンイノベーションを成功に導いた事例です。
森永製菓株式会社
森永製菓株式会社は、食品メーカー初のアクセラレーションプログラム「Morinaga Accelerator」を開始しました。
目的は、自社と起業家やベンチャー企業お互いのリソース不足を相互補完し イノベーションを起こすことです。このプログラムにより、新たなWebサービス事業「おかしプリント」を実施。森永製菓株式会社のコア技術ではないWebサービスや、画像加工の技術はベンチャー企業と提携して開発し、お互いの強みを最大限に発揮した事例です。
成功の要因は社長の協力と理解。さらに、積極的なチャレンジの推奨や社内に向けた情報発信といわれています。
まとめ
オープンイノベーションに成功した事例を紹介しました。成功している企業は、大企業だけではありません。中小企業や市、行政との連携事例も多数あります。自社の技術を伸ばしたい、外部と協業して新しい事業を興したいと考えているならば、一度オープンイノベーションの実施を考えてみてはいかがでしょうか。