世界的なパンデミックで現地へ渡航できなくなり、もうすぐ2年になります。その間、ビジネス環境が大きく変化し、オンライン商談が世界中で行われています。訪問営業ができなくなり、Webサイトの重要性も高まってきました。
本記事ではオンライン商談のきっかけを掴むことができる「海外Webマーケティング」に関して、製造業者が陥りがちな失敗パターンとそれを乗り越える方法について解説します。
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この記事の目次
海外Webマーケティングとは
製造業における海外Webマーケティングとは、海外向けのWebサイトをきっかけに、海外企業との商談を獲得することを一番の目的とする活動のことです。ただ単に自社のWebサイトを多言語対応することが目的ではなく、あくまで新規顧客獲得につなげることが目的となります。
また、副次的な効果として、アクセスデータを活用し各国のユーザーのニーズ調査などを行うこともできますので、ターゲットエリアが定まっていない企業にとっては、テストマーケティングを主目的とすることも可能です。
海外Webマーケティングのメリット
数ある海外販路の開拓手法の中で、海外Webマーケティングの特徴は「最も気軽に実施できる海外販路開拓手法」と言えます。具体期なメリットとして、以下の3点が挙げられます。
市場規模が大きい
海外Webマーケティングでは、全世界のインターネットユーザーがターゲットとなります。2021年現在、世界のインターネット接続可能な人々は全体の約60%なので、全世界で約47億人へアプローチできる可能性が生まれます。
もちろん全世界を相手にする場合は、世界各国の言語に対応する必要がありますが、使用人口の多い言語に対応するだけでも一気に市場が広がります。例えば、日本語を使用するインターネット人口が1億1,900万人に対し、英語を使用するインターネット人口は10億5,500万人となりますので、9倍を超える市場規模があると言えます。
また、世界各地で使用されている言語であれば複数の国へ一気にアプローチでき、想定していなかった国との取引が獲得できることも大きなメリットと言えるでしょう。
低いコストで実施できる
海外Webマーケティングは、海外展示会への出展や海外進出支援企業の利用などといった、他の海外販路開拓手法と比べ、低コストで実施することができます。
オフラインでの販路開拓手法は現地へ赴くことが前提となるため、渡航費や現地での滞在費などのコストが掛かってしまいますが、海外Webマーケティングであれば外国語の対応さえできれば、国内で行うWebマーケティングとほとんど変わらないコストで実施することが可能です。
ターゲットを誤った際の軌道修正が容易
現地法人の設立など、オフラインでの施策はターゲットを間違えたときにやり直しが簡単にはできません。しかし、海外Webマーケティングであれば、ターゲットの修正を容易かつ迅速に行うことが可能です。
また、ユーザーからの反応をスピーディに得ることが可能なため、ターゲットを間違ったかどうかの判断を迅速に行うことができ、失敗したとしても再チャレンジを行うことが容易です。
海外Webマーケティングにおける失敗パターンとそれを乗り越える方法
上述したメリットだけ見ると、いかにも魅力的な手段であると感じられますが、成功させるための難易度は高く、成功させるためにはさまざまな知識が必要となります。
よくある失敗パターンは、大きく分けて「戦略立案段階での失敗」「企画・制作段階での失敗」「運用段階での失敗」に分けられます。
- 戦略立案段階での失敗
ターゲットエリアや対応言語を基準が不明確なまま何となく決めてしまっていることで起こる - 企画・制作段階での失敗
企画段階で十分な市場調査を行わないために起こる - 運用段階での失敗
Webサイト公開後の運営段階において、現状の課題を正確に把握し、適切な改善活動を行わないために起こる
これらのうち、戦略立案段階での失敗は海外Webマーケティング特有の課題ですが、その他は国内と海外のWebマーケティング共通の課題と言えます。
戦略立案段階で失敗しないためには
戦略立案段階では「ターゲットエリアや対応言語の選定」が肝です。
ターゲットエリアや対応言語の選定を行うための判断材料は、海外Webマーケティングの目的、自社技術・製品の特性、事前の市場調査結果、自社の海外進出状況の4つの軸で考える必要があります。
なお、現地語か英語のどちらで対策するかを意思決定するためには、海外の検索ユーザーの特徴を知っておく必要があります。海外の検索ユーザーは、現地語は国内の情報収集に使い、英語はグローバルな情報収集に使う傾向があります。
そのため、ターゲットエリア(その国内)に拠点がある場合には、現地語を選定するほうが検索ユーザーのニーズに合うと言えるでしょう。
企画・制作段階で失敗しないためには
企画・制作段階でよく起こる失敗は、ターゲットエリアでの市場調査を十分に行わないまま、Webサイトを作ってしまうことで、検索ユーザーのニーズに応えることができないパターンです。
外国語Webサイトを制作する際に、日本語Webサイトの内容をそのまま外国語翻訳することが多いかと思いますが、日本と外国では使用する検索キーワードや、技術や製品に何を求めているのかが異なりますので、外国語Webサイトを企画・制作する際は必ずターゲットエリアの市場調査を行いましょう。
手軽に行える市場調査の方法として「検索キーワード需要調査」と「競合サイト(企業)調査」があります。両調査を行うことにより、ターゲットとする市場で勝機はあるのか、勝機がある場合はどのようなWebサイトを企画すべきかを考えていきます。
検索キーワード需要調査はキーワードプランナーを使用
ターゲットエリアでの検索需要調査には「キーワードプランナー」を使用します。デフォルトの設定では、エリアが「日本」、対象言語が「日本語」となっていますので、ここをターゲットエリアと言語に設定変更したうえで調査を行いましょう。
競合サイト(企業)調査は各国のGoogleを使い調査
ターゲットエリアでの競合サイト(企業)調査では、各国のGoogleを使用します。Googleは国別で検索窓口となるページを設けていますので、まずはターゲットエリアとなる国のGoogle検索窓口を探します。
世界各国のGoogle検索ページはこちら
運用段階で失敗しないためには
Webサイトを公開した後は、各段階(アクセス数が増えない→問い合わせ数が増えない→受注数が増えない)に応じた原因の究明と処方箋が必要です。
最初の段階の「アクセスが増えない」という課題を抱えている企業であれば、まずはSEO対策を行い、外国語キーワードでの検索順位を上げる必要があります。
SEO対策の考え方や実施する施策に関しては、国内でも海外でも変わりませんので、以下のSEOのチェックポイントをご参照ください。
SEOのチェックポイント
SEO対策をはじめ、基本的な施策は国内Webマーケティングと変わらないが、これを外国語で行うことになるので、必然的にハードルが高くなります。外国語が対応できWebマーケティングの知識を習得した人材は希少な存在なので、成功させるためには優秀な担当者を採用するか、社外で有力なパートナーを見つけるかが重要となります。
まとめ
- 海外Webマーケティングは、数ある海外販路開拓手法の中で、最も手軽にはじめることができる手法と言える。
- 戦略立案段階では、目的、自社技術・製品の特性、事前の市場調査結果、自社の海外進出状況、の4つの軸をもとにターゲットエリアと対応言語を選定する。
- 企画・制作段階では、日本語サイトをそのまま翻訳するのではなく、一からターゲットエリアの市場調査をやり直したうえで、サイト企画を行う。
- 運用段階において、Webマーケティングで行う施策は国内も海外も変わらないが、業務を外国語で行わなければならず、必然的に難易度は上がる。担当者は外国語対応ができ、Webマーケティングの知識も備えた人物が望ましい。
弊社(テクノポート株式会社)では、BtoB企業向けに「海外向けWebマーケティング」を支援しています。
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