海外企業の日本進出|マーケティングのカギはWebにあり(事例付きで紹介)

【執筆者紹介】小林(井上) 正道
この記事の執筆者
小林(井上) 正道
会社名:テクノポート株式会社
役職:取締役
【経歴】
製造業のWebマーケティング支援を15年以上。
製造業への訪問実績3000件を超える。
幅広い加工知識と市場調査をもとに、製造業の新規顧客開拓の支援を行う。

日本工業大学技術経営学修士号(MOT)
研究テーマ「Webを活用した用途開発マーケティング」

【専門領域】
製造業 × 企画コンサルティングスキル × Webスキル(SEO中心)

【寄稿実績】
・Webリニューアルが逆効果に? 問い合わせを減らさない製造業のサイト改革(MONOist)
・新規顧客が集まらない製造業のWebサイト、活用を阻む3つの壁(MONOist)
・技術PRのために最適なWeb戦略は何か、「アンゾフの成長マトリクス」の活用(MONOist)
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テクノポートの小林です。製造業のWebマーケティングを支援する中で、国内海外企業の日本進出や、日本法人の販売力強化したいという相談があります。海外の良い技術や製品をどのように日本国内で販路開拓を進めればよいか?今回は、Webを活用し販路開拓に成功した事例を踏まえつつ紹介いたします。

国内への主な販路開拓の手法

海外企業の販路開拓について、主な手法としては下記の3つが挙げられます。

パートナーシップの構築

日本の地元企業や代理店とのパートナーシップを構築することで、市場への理解を深め、販売チャネルを確立できます。文化的な障壁を乗り越え、製品の適合性を高めるのに役立ちます。

展示会への参加

日本で開催される業界展示会や見本市に参加することで、ブランドの認知度を高め、潜在的な顧客やパートナーと直接接触する機会を持てます。

デジタルマーケティングの活用

ユーザーがWebを活用して製品を探すケースが非常に増えており、Webをうまく活用することで幅広いユーザーに認知させることが可能になります。

国内への販路開拓がうまくいかない理由

販路開拓を行うにあたって、障害となる壁は主に下記の3つです。

文化的な違い

日本のビジネス文化は独特で、礼儀正しさ、細部への注意、長期的な関係構築に重きを置いています。外国企業はこれらの文化的側面を理解し、尊重する必要があります。

言語の壁

日本では英語が広く通じるとは限らず、ビジネス文書や製品情報を日本語に翻訳し、日本語でのコミュニケーション能力が求められます。

競争が激しい市場へ後発参入

日本の市場は既に多くの国内外の企業で競争が激しく、国内での認知度が低い状態で後から参入するのは、非常に高いハードルがあるといえます。

海外製品の日本国内でのBtoBマーケティング成功事例

上記のような日本国内への新規参入の障壁を超え、効果的に販路開拓を行っている事例を2社紹介いたします。

事例紹介①:イースタン電子

イースタン電子 事例

当時の課題

イースタン電子工業株式会社は、アメリカのマイクロ・ビュー社が開発した三次元測定機「マイクロ・ビュー」の日本総代理店として販売活動を行っています。

マイクロ・ビューは、世界的なシェアこそ高いものの、日本での導入企業はまだまだ少ないのが現状です。展示会を中心に販売活動を行っていましたが、日本市場は国内大手メーカーがシェアを占拠しており、後発参入は容易ではありませんでした。

新規営業はずっと展示会がメインで、Web広告なども出したりしたのですが、まったく費用対効果が合わなかったので、新しい手段として製品専門のWebサイトをリニューアルして新規顧客を効率よく捕まえられないかというところが狙いでした。

実施施策

☑ブランドコピーを刷新し訴求力アップ
国内シェアが低い同製品において、他社製品との差別化を図るためのブランディングを行うことは絶対条件となりました。そこで、マイクロ・ビューに対する機能的価値と情緒的価値を洗い出し、それらの情報を一言でまとめ直した結果、「世界トップシェアの実力と安心感」というブランドコピーが生まれました。また、Webサイトデザインは、国内製品に負けない圧倒的な存在感を創出することで差別化を図り、当製品のブランド価値向上を狙いました。

☑高難易度キーワード「三次元測定機」でのSEO対策
主要対策キーワードである「三次元測定機」で検索すると、国内大手企業がひしめいており、容易に上位対策ができるような状況ではありませんでした。このSEO難易度の高いキーワード「三次元測定機」で上位表示させるために、事例や使用方法など関連性の高いコンテンツを豊富に掲載することで対策。時間をかけてコツコツと対策を行った結果、検索1ページ目にランクインすることができました。

☑小型と大型モデルを主要ターゲットに設定
国内での競争が激しい中型市場を避け、価格競争力の高い小型モデル、機能的優位性の高い大型モデルをターゲットを設定しました。その結果、「大型三次元測定機」「小型三次元測定機」といったキーワードでどちらも検索順位がトップ表示されるようになりました。また、リスティング広告を併用することでファーストビューでの画面占有率を高め、ユーザーからアクセスしてもらいやすい状況を作り上げました。これらのキーワードによるアクセスを増やすことで、具体的なニーズを持ったユーザーからのアクセスが増え、問合せ獲得に大きく貢献しています。

Web活用の成果

デザインだけでなく情報が整理され、非常に見やすくなったと思います。リニューアル前はPDFでアップしている資料が多かったので検索にも引っかからなかったのですが、リニューアル後はSEOもしっかりと効くようになってきました。コンテンツを拡充してから一気に問い合わせが増えたので、現場も喜んでいます。

→事例詳細はこちら

事例紹介②:スペックジャパン

スペック・ジャパン 事例

当時の課題

国内には有名な大手ポンプメーカーが多く存在します。世界的には有名な同社のマグネットポンプですが、日本国内ではまだ認知度が低かったため、国内での認知度向上と販路拡大が課題となっていました。

実施施策

☑細かな製品の検索キーワードでの訴求
「マグネットポンプ」のようなビッグキーワードではなく、より具体的なポンプの名称を調査。その中で検索需要が高いものと自社の得意な領域をすり合わせ、対策すべきキーワードをピックアップし、製品ごとに訴求しました。

☑市場内での認知度向上と需要喚起
自社製品にこだわらない業界内でのお役立ち情報の作成。用途は決まっているが仕様が固まっていないような人向けに、役立つ情報を作成しました。マグネットポンプ市場での自社の認知度向上と、まだニーズが顕在化していない顧客に向けてのアプローチと需要喚起が狙いです。

Web活用の成果

  • 問い合わせ数、大幅アップ
  • 製品の仕様が決まる前段階からの相談が増加
  • 海外メーカーの日本国内での認知度向上

成功要因の考察

  • 日本ユーザーへの認知度向上(集客力)
    まずは日本市場へ認知されなければ始まらないため、製品の所属する業界に対してどうすれば自社を認知させられるか、キーワードの調査と選定、対策が重要になります。
  • 日本ユーザーへの訴求内容の明確化・差別化(問い合わせ率向上)
    サイトを訪れた日本のユーザーに対して、製品の有用性を明確にする必要があります。海外サイトにありがちな、抽象的な日本語翻訳では問い合わせにつながる確率が下がります。
  • サービス提供体制の明示(クロージング力強化)
    製品決定のプロセスでは、導入実績は日本において大きな要因になります。他にもサポート体制やトラブル対応フローなど、国内での体制がどのようになっているかを明確化していく必要があります。

よくある失敗例

海外企業のWebサイトについて、なかなかうまくマーケティングできない例として、下記の2つがあります。

ローカライゼーションされていない

製品情報、マーケティング資料、ウェブサイト等を日本語に適切に翻訳し、日本の文化やニーズに合わせて製品をカスタマイズすることが必要です。しかし、海外サイトをそのまま翻訳して掲載しているケースは非常に多く見られます。

日本独自のWebサイト更新体制がない

国内のニーズに合わせたローカライズやSEO対策などが必要になるにもかかわらず、国内でのWebサイト更新が独自にできないという問題もよく伺います。日本国内でのWebマーケティングを行いたいならば、まずは日本側のチームでマーケティング推進の主導権を握ることが先決です。

以上、海外企業の日本進出について、Web活用での事例を紹介しました。海外製品の国内でのマーケティングにお困りの方の参考になれば幸いです。

この記事の執筆者
小林(井上) 正道
会社名:テクノポート株式会社
役職:取締役
【経歴】
製造業のWebマーケティング支援を15年以上。
製造業への訪問実績3000件を超える。
幅広い加工知識と市場調査をもとに、製造業の新規顧客開拓の支援を行う。

日本工業大学技術経営学修士号(MOT)
研究テーマ「Webを活用した用途開発マーケティング」

【専門領域】
製造業 × 企画コンサルティングスキル × Webスキル(SEO中心)

【寄稿実績】
・Webリニューアルが逆効果に? 問い合わせを減らさない製造業のサイト改革(MONOist)
・新規顧客が集まらない製造業のWebサイト、活用を阻む3つの壁(MONOist)
・技術PRのために最適なWeb戦略は何か、「アンゾフの成長マトリクス」の活用(MONOist)
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