展示会やWebサイト、資料DLなどでリード(見込み顧客)は集まるのに、「営業に渡しても商談にならない」「対応が後手に回って失注する」──製造業BtoBではよくある悩みです。原因の多くは、営業に渡す前段で“商談になりそうか”を見極める基準と情報が揃っていないこと。
本記事では「リードクオリフィケーションとは何か」を出発点に、製造業で失敗しない進め方を、基準・質問テンプレ・落とし穴まで整理します。
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この記事の目次
リードクオリフィケーションとは
結論:営業に渡す前に「商談になりそうか」を判断すること
リードクオリフィケーション(Lead Qualification)とは、獲得したリードを「今、商談化の可能性が高い」と「まだ早い(要育成)」に分け、営業が動く価値のある案件かどうかを判断する取り組みです。ポイントは“点数付け”ではなく、営業が次アクションを取れるだけの情報を揃え、優先順位を付けて渡すことにあります。

やらないと起きる問題
クオリフィケーションがない(または形だけ)と、
①技術要件が曖昧なまま見積もり・打ち合わせが増え工数が膨らむ
②急ぎの案件が埋もれて初動が遅れる
③部門間で「質が悪い/追ってくれない」と不信が生まれる
といった問題が起きます。製造業は提案コストが高いため、ここでの失敗が利益に直結します。
ナーチャリングとの違い
ナーチャリング(育成)は情報提供で検討度を上げる活動。クオリフィケーションは「今、営業が動くべきか」を判定する活動です。育成は“広く”、クオリフィケーションは“深く・速く”が基本になります。
関連記事:リードナーチャリングとは?【製造業BtoB】KPI設計・スコアリング・シナリオ例とMAツール選定
関連記事:製造業がリード獲得をデジタルマーケティングで実現する方法
なぜ製造業はクオリフィケーションが特に重要なのか
理由①:検討が長く、関与者が多い
設備投資・部品採用・受託加工は検討期間が長く、技術、購買、生産、品質など関与者も増えます。早い段階で「誰が決めるのか」「何を満たす必要があるのか」を押さえないと、話が進みません。
理由②:技術要件が不明だと“商談にならない”まま工数だけが増える
材質・寸法・精度・数量・使用環境・規格などが不明確だと、営業が動いても提案できず、情報回収の往復で時間が溶けます。製造業では「最低限これだけは必要」という線引きを決めることが肝です。
理由③:見積・図面など「問い合わせの重さ」が案件化の鍵になる
資料DLよりも「見積依頼」「図面相談」「置換相談」など、行動の重さが案件化と相関しやすい傾向があります。だからこそ、問い合わせ種別で優先度と質問を変えるのが効果的です。
製造業の「良いリード」を決める3つの基準
現場で使いやすい“最低限の基準”を3つに絞ります。3つすべてが完璧でなくても、どれが埋まっていて、どれが未確定かがわかれば次アクションが決まります。
基準① 技術要件の“最低限”が揃っている
対象製品、用途、要求品質、数量レンジ、現状課題。最低限が揃えば概算可否や代替提案ができ、商談の入口に立てます。
基準② 導入時期が見えている
「いつまでに必要か」は優先度の最重要指標。すぐ見積もりが必要か、半年後の新製品検討かで、動き方が変わります。
基準③ 体制が見えている
担当・決裁・購買の関与、既存サプライヤー有無など。体制が見えないと商談が停滞します。

最初に決めることは「スコア」より「引き継ぎに必要な情報」
営業に渡すときの必須項目
最初から細かい点数設計に入ると運用が崩れがちです。まずは営業が困らない“引き継ぎ情報の型”を固定しましょう。
- 問い合わせ背景(困りごと/きっかけ)
- 技術要件の要点(仕様・数量・図面有無)
- 導入時期(希望納期、検討スケジュール)
- 体制(担当、決裁、購買、既存取引)
- 次アクション(誰が、いつまでに、何をするか)

いつ営業に渡すか
判断基準は「営業が次の行動を選べるか」です。技術要件が最低限揃い、導入時期が近いなら即パス。要件が曖昧でも“図面がある/現行品の課題が明確”なら、営業同席の技術ヒアリングに切り替える、といったルールを決めます。
渡した後に何が起きるか
初回連絡期限、差し戻し条件、担当割り当てまで決めて初めて機能します。差し戻しは「情報が足りない」ではなく、足りない項目を明示して返す運用にすると基準が育ちます。
問い合わせ種別で変わる「優先度」と「最初に聞くべき質問」

見積もり依頼のときの質問
仕様(図面有無)、数量、希望納期、用途(環境・規格)を最短で揃えます。
図面・仕様相談のときの質問
課題、仕様の確定度(変更余地)、試作・評価条件、次回までの合意事項を押さえます。
置換・更新相談のときの質問
現行品の情報、置換理由、切替時期と社内手続き。勝ち筋(理由と時期)をつかみます。
資料DL・ウェビナー参加のときの質問
興味テーマ、担当業務、次に知りたい情報。温度感が低い場合は育成に回します。
商談化の可能性を見極める質問テンプレ
共通テンプレ(最初の5問):最短で“提案できる状態”にする
最初の5問は「技術要件・時期・体制」を一気に揃えて、営業/技術が次の打ち手(概算見積、技術ヒアリング、サンプル提案など)を選べる状態にするための質問です。回答が“未確定”でも構いません。未確定なら『いつ、誰が、何を確認するか』まで合意すると、案件が止まりにくくなります。
共通テンプレ(最初の5問)の詳細
追加テンプレ(もう少し深掘る5問):勝ち筋と失注リスクを先に潰す
初回で全て聞けない場合は、優先度の高い案件だけ追加5問を使います。製造業では“必須要件の勘違い”が致命傷になりやすいので、妥協点・評価手順・次回合意までをセットで確認します。
追加テンプレ(もう少し深掘る5問)の詳細
回答が取れないときの次アクション
無理に詰めず
①確認用フォーム(図面添付・要件チェック)を送る
②選択式で答えやすくする
③技術資料で整理を手伝う
のいずれかで前に進めます。
よくある失敗と対策
「質が悪い」と言われる原因は“情報不足”になっている
温度感だけで渡し、技術要件・導入時期・体制が欠けていると、営業は動けません。必須項目を“未確定でも状態として”渡す(例:納期=未定、決裁者=購買が関与予定)だけで改善します。
営業が動かないときは「渡し方(情報の形)」を見直す
情報が散らばるほど優先度が伝わりません。1枚の引き継ぎシートに集約し、「推奨アクション」「期限」「根拠(図面あり、納期近いなど)」までセットで渡すのが効果的です。なお国内調査では、SFA/CRMの課題として「情報の入力・更新が煩雑」「営業メンバーが情報入力しない」が上位に挙がっています(出典:株式会社マツリカ PR TIMES 2025/1/28)。
基準がブレるときは「差し戻し理由」をメモして更新する
差し戻しのたびに「なぜ商談にならなかったか」をタグ化(図面なし/数量未定/用途不明など)し、月1回でも見直すと基準が育ちます。ポイントは、「案件化する情報を回収し、社内で共有できる形にする」ことです。
製造業のリードの“質”を上げるなら、Webマーケティング全体から整える
クオリフィケーションが機能するWeb導線(SEO/コンテンツ/サイト)を設計する
後工程のルールを整えても、前工程(SEO・導線・フォーム)が弱いと要件が集まりません。技術要件が伝わるページと、図面相談・見積依頼への導線を一体で整えると、判断しやすい問い合わせが増えます。
また、「材質別の加工可否」「公差の考え方」「コストが決まる要因」など、検討者が社内説明に使えるコンテンツは要件の質を上げ、ヒアリング往復を減らします。
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