本記事では、技術系メーカーがWebサイトを通じて成果を上げるための基本戦略を整理しています。問い合わせやアクセス数の向上といった課題に対し、「誰に、どこで、何を伝え、どう行動してもらうか」という設計の重要性を解説しています。
内容は、「発見」「好意」「リード獲得」の3つの戦略と、それを支えるサイト構成の視点で構成されています。あわせて、実際の調査データや現場での質問も交えながら、すぐに活用できる実践的な視点をご紹介しています。
Webの成果を設計から見直したい方にとって、考え方の軸としてご活用いただければと思います。
この記事の目次
1.技術系メーカーが成果を上げるための4つのポイント
メーカーのWeb担当者の方とお話ししていると、こんな相談をいただくことがあります。
- 問い合わせをもっと増やしたい
- サイトのアクセス数を伸ばしたい
- 製品情報をもっと探しやすくしたい
どれも、もっともな課題だと思います。
ただ、これらを根本的に解決しようとすると、どうしても必要になるのが「Web戦略の設定」です。「Webサイトをリニューアルしました。でも効果が出ません…」という声もよく聞きます。
それは、サイトを“作る”ことがゴールになってしまっていて、“成果を出すための設計”がなされていないからなんです。では、技術系メーカーがWebから成果を出すために、最低限押さえるべきポイントはどこなのか?
大きく3つの戦略がカギになります。
ポイント1.発見戦略|誰に、どうやって発見されるのか?
そもそも、対象となる見込み客に“見つけてもらわないことには”何も始まりません。検索エンジン、SNS、外部メディアなど、見込み客が普段使っている情報源を想定して、「どうすれば、見つけてもらえるのか?」を設計していく必要があります。技術系の場合、ニッチなキーワードや用途で検索されるケースも多いので、SEOやコンテンツ設計の戦略性がとても重要です。
ポイント2.好意獲得戦略|誰に何を伝えたら好意を持ってもらえるのか?
見つけてもらったあと、「あ、これいいかも」と思ってもらえるかどうかが勝負です。単に製品スペックを並べても、それだけでは伝わりません。どんな人に、どんな文脈で、どんな価値があるのか。見込み客の目線に立って、“魅力が伝わる言語と構成”で設計する必要があります。これには、技術的な内容を分かりやすく噛み砕く力や、「用途」「課題」「導入事例」といった補助コンテンツの活用が効果的です。
ポイント3.リード獲得戦略|リード情報をどうやってもらうのか?
好印象を持ってもらっても、「ふーん」で終わってしまったら次につながりません。だからこそ、“リード(見込み客の情報)”を獲得する仕掛けが必要になります。たとえば
- 資料ダウンロード(PDF、比較表、技術仕様)
- メルマガ登録や技術ニュースの配信
- 試作依頼や問い合わせフォームの設計
こうした「小さなアクション」を設計しておくことで、次の接点が生まれ、営業活動やフォローアップにもつなげやすくなります。このように、「発見 → 好意 → 獲得」という3つの流れを意識してWebサイトを設計すると、自然と成果が出るようになります。各ポイントについてはこのあと、より具体的に紹介していきますが、その前にまずは全体像としての「Webマーケティングの設計フレーム」を紹介します。
2.Webマーケティングの全体像
―成果を出すには「ホームページの役割」と「その作り方」を知ることから始まる
Webサイトで成果を出したいと思ったとき、まず最初に確認すべきなのが「そもそもホームページは、どんな役割を担っているのか?」ということです。
「アクセスを増やしたい」「問い合わせを増やしたい」といった要望がよくありますが、それらを実現するためには、Webサイトが営業プロセスの中でどこを支えているのかを正しく理解することが前提になります。
そして、その役割を果たすためには、どんな設計が必要で、どんなページが必要になるのか。言い換えると、“ホームページの成果は、役割の理解と戦略設計の質で決まる”ということです。この章では、ホームページの役割を段階的に整理しながら、それを実現するためにどんな視点・設計が必要なのかを順を追って説明していきます。
図1 ホームページが担う役割とは?
まず最初に整理しておきたいのが、「Webサイトと営業の分担」です。Webサイトは、見込み客を“発見し”“興味を持ってもらい”“問い合わせにつなげる”ところまでを担当します。そこから先の「商談」や「受注」は、営業活動の領域です。ここを混同してしまうと、ホームページの目的も、施策の優先順位もぶれてしまいます。Webは営業の代わりをするものではありません。ただ、営業の成果につながる入り口をつくることはできます。
図2 リードは2種類ある
では、問い合わせさえあればOKかというと、実はそうでもありません。リードには「いますぐ客」と「これから客」がいて、それぞれの反応のハードルも異なります。
- リード1:情報収集アクション(資料DL、事例閲覧など)
- リード2:お問い合わせ(明確なニーズがある)
この2種類をちゃんと分けて設計しておくと、アクセスを成果に変える確率が上がります。特にニッチな製造業では「とりあえず情報収集だけ」という人が多く、このリード1がとても重要になります。
図3 ページ単位での役割を考える
さらに一歩踏み込むと、ホームページを“ページ単位の役割”で整理することができます。大きく分けると、次の3つ。
- アクセス獲得ページ(SEOや広告流入の着地)
- 訴求ページ(製品情報、技術情報、導入メリット)
- リード獲得ページ(資料DLやお問い合わせ)
この3つの役割を意識し、それぞれをきちんと設計することで、Webサイトが「なんとなく見られて終わる場所」から、「売上の入り口になる場所」に変わっていきます。
図4 成果を出すには“戦略づくり”が欠かせない
ただ、これらの設計を“感覚”でやってもなかなか成果にはつながりません。そこで必要になるのが、戦略的な設計です。テクノポートでは、以下の視点からWeb戦略を組み立てていきます
- 市場・技術理解:顧客や競合、自社技術を深く理解する
- 戦略立案:誰に、何を、どう届けるかを構造化
- 実行・分析:サイト構築と効果検証
- 営業連携:リードの後追いや育成までを視野に入れる
ここまで考えて設計・運用できると、Webはしっかりと営業活動を後押ししてくれるパートナーになります。
このあと、Web戦略を組み立てる上で最も重要な出発点となる「ターゲットの想定と理解」について紹介します。誰に向けて設計するのかを明確にすることで、次に解説する3つの視点――「発見戦略」「好意獲得戦略」「リード獲得戦略」も、より効果的に機能させることができるようになります。
3.ターゲットの想定と理解
―誰が、いつ、どのような課題を抱えているのかを見極める
成果の出るWeb戦略を立てるには、「誰に届けるのか?」を明確にすることがすべての出発点になります。技術系メーカーの場合、BtoBならではの複雑な意思決定や、製品ごとの検討フェーズの違いもあるため、ターゲットの設定は非常に重要です。
ターゲットは「職種 × フェーズ」で考える
単に「設計者向け」「開発者向け」ではなく、その人が“どのフェーズにいるのか”によって求める情報は大きく変わります。以下の図をご覧ください。このように、ユーザーの関心や行動は、以下のような段階を踏んで変化していきます。
- なんとなく情報を探している段階(まだ課題は明確ではない)
- 技術的な問題を特定しようとしている段階
- 解決策を探している段階
- 外注先を探している段階
- 発注先を決める段階
たとえば、初期段階では「学習キーワード(○○とは、△△の基礎)」が刺さりますが、導入直前では「製品+購入キーワード(価格、納期、導入事例)」が必要になります。
このように、誰が・いつ・どんな課題を持っているかを見極めることで、サイト内の導線やコンテンツ内容を最適化することができます。
ターゲット理解は“仮説”ではなく“観察と検証”で
「うちのお客様はこういう人だと思います」といった感覚だけでは、正しいターゲティングはできません。ターゲットを理解するためには、次のような調査・分析が効果的です。
- インタビュー:実際に顧客と会話し、リアルな行動や言葉を知る
- アンケート調査:課題や導入理由、比較検討したポイントなどを広く収集
- 営業ヒアリング:現場での会話ややりとりを営業から共有してもらう
- アクセス分析:どんなページが読まれているか、検索キーワードは何かを確認
こうした一次情報をもとに、ユーザー像をより具体的に描くことで、「どういうときに、どんな情報が刺さるか」が見えてきます。
次の章からは、こうしたターゲット理解を踏まえた上で、どのように「発見されるか」「好かれるか」「リードを獲得するか」という3つの視点を紹介していきます。
4.発見戦略
―発見はすべての起点。だからこそ、最も重要な戦略になる
どれだけ優れた製品や魅力的なコンテンツを用意していても、ターゲットに“発見されなければ”何も始まりません。Webマーケティングにおいて発見は、まさにすべての起点です。どこで、どんな方法で、誰に見つけてもらうのか。ここを設計できてはじめて、その後の好意やリード獲得につなげていくことができます。
実際のユーザーは、どうやって新規外注先を探しているのか?
2024年5月に実施した調査では、「新規外注先を探す際に利用した情報収集手段」の第1位は「付き合いのある商社・外注先からの紹介(64.0%)」でした。これはBtoBの特性上、信頼関係や過去の実績が大きく影響するからです。
一方で、第2位は「検索エンジン(Google、Yahoo、Bingなど)」(54.1%)でした。つまり、紹介に次ぐ発見の手段が“検索”であり、ここを取りにいくかどうかで、出会えるかどうかが決まってしまいます。
Web上で見つけてもらうための中心施策が「SEO」
では、検索で見つけてもらうにはどうすればよいか。その中心にあるのがSEO(検索エンジン最適化)です。
SEOというと「キーワードを盛り込む」「タイトルを工夫する」といった表面的な施策が先に出てきがちですが、本質はそうではありません。検索している人が「どんな文脈で」「何を知りたくて」「どこまでの情報を求めているか」を想像し、それに対して“親切に・丁寧に・構造的に答える”ことがSEOの根本にあります。
たとえば技術系の場合、以下のような観点でのSEO設計が重要になります。
- 製品名や仕様だけでなく、「用途」や「技術課題」からの流入を設計する
- ターゲットの知識レベル(初学者/実務者)に応じて記事構成を分ける
- 導入検討時に不安になる「価格」「比較」「導入事例」などのキーワードにも対応する
詳細な施策についてはこちらの記事でも解説していますが、技術者が納得して次に進むためには、“正確で役に立つ情報”がきちんと伝わっているかがポイントになります。
SNSやYouTubeも、発見のきっかけになる
調査結果では、SNS(Facebook、X、Instagramなど)は13.5%、YouTubeは9.0%と、検索よりは割合が低いものの、若手技術者や新しい情報へのアンテナが高い層に対しては効果的な導線になり得ます。SNSや動画メディアの特徴は、「能動的に探す」検索とは異なり、“偶然出会う”ことに価値がある点です。いわば「潜在層への種まき」としての役割を持ちます。
- X(Twitter)やLinkedInで技術ブログや事例をシェア
- YouTubeで技術解説や製品の使い方動画を投稿
- 展示会出展時の告知や事後レポートをSNSで拡散
これらはすぐに問い合わせにつながらないとしても、ブランドの認知拡大や将来的な検索行動への誘導に貢献します。
次は「好意獲得戦略」に続いていきます。
5.好意獲得戦略
―“検討してみよう”と思ってもらえるかどうかは、ここで決まる
どんなにWebで見つけてもらえても、その後に「ちょっと話を聞いてみたいな」と思ってもらえなければ意味がありません。つまり、発見されたあとの最初の勝負どころが、この「好意を獲得するフェーズ」です。ここで“検討してみよう”という気持ちが芽生えなければ、ユーザーはそのまま離脱してしまいます。
このフェーズで重要なのは、相手にとって「この会社なら、自分の課題にしっかり応えてくれそうだ」「ちゃんと対応してくれるところかもしれない」と感じてもらえるかどうかです。好意とは、見た目の印象や雰囲気のことではなく、「この会社なら仕事を安心して任せられそう」という前向きな期待や納得感に近いものです。これをWeb上で伝えられるかが、次の行動につながるかどうかを左右します。
信頼されるには、何が必要なのか?
テクノポートで実施した調査では、「発注候補先を絞り込む際にホームページで確認する項目」として最も多く挙がったのが「加工事例(実績)」でした。次いで、「会社の規模」「取引先」「取得している規格や資格(ISOなど)」「設備情報」「経営者の考え方」なども多くの人が重視しています。
この結果を見ると、ユーザーが“信頼していいかどうか”を判断するときには、「どんなことをやってきたか(実績)」や「会社としての体制がしっかりしているか(規模・設備・資格)」、あるいは「どんな会社と取引しているか」といった背景情報を総合的に見ていることがわかります。つまり、単に製品情報を並べるだけでなく、「信頼できる会社かどうか」を判断できる情報があるかどうかが、好意を獲得するカギになります。
信頼につながる情報設計とは?
ユーザーがWebサイトを訪れるとき、多くの場合「この会社は信頼できるのか」「ちゃんと対応してくれるのか」という視点で情報を見ています。これは単なる印象の話ではなく、業務上の判断に直結する“信頼に足る材料”を探しているということです。だからこそ、ただ情報を並べるのではなく、「安心して検討に進めるだけの根拠が伝わる構成」にしておくことが重要になります。
たとえば、製造業でよく見られるのが次のような情報です。「過去の加工実績」や「取得している資格」「どんな設備を保有しているか」「どんな業界・企業と取引しているか」など。こうした情報があると、「技術力がありそうだ」「他社も採用しているなら安心かも」というように、ユーザーの中で“判断に足る感触”が少しずつ積み上がっていきます。
また、ただ情報があるだけではなく、その内容の“語り方”にも工夫が必要です。たとえば加工事例なら、単に「こんな部品をつくった」ではなく、「どんな背景があって、どんな課題を解決したのか」が書かれていると、訪問者は自分たちの状況と重ねながら読み進めることができます。こういった構成になっていると、「この会社なら自分たちのこともわかってくれそうだ」と自然に感じられるようになります。
つまり、好意を獲得するためには、情報の“量”ではなく“納得できる筋道”が必要なんです。「なるほど、この会社はこういう考えでこういう技術をもっていて、こういう業界にも対応しているのか」という理解がすっと入ってくる構成。それがあると、「まずは話を聞いてみようかな」という次の行動につながっていきます。
情報はできるかぎり公開する
実際に、あるかないかで大きく印象が変わるのがこのフェーズです。情報が不足していたり、断片的で信頼性が感じられなかったりすると、それだけで「今回は見送ろう」と判断されてしまうケースもあります。逆に、必要な情報が自然に揃っていて、読みやすく整理されていると、「あとは問い合わせてみよう」と行動が起きやすくなります。
検討に進んでもらうには、「この会社なら自分たちの課題に応えてくれるはずだ」と、自然と思ってもらえる構成にすることが何よりも大切です。
次の章では、こうして得られた前向きな印象を“リード”という行動に変えていくために、どんな設計と仕組みが必要かを見ていきます。
6.リード獲得戦略
―興味を「次のアクション」に変えるための仕組みをつくる
Webサイトに訪れ、内容に納得し、「ここなら対応してくれそうだな」と思ってもらえたとしても、そこで何も起きなければ成果にはなりません。だからこそ、その“好意”を「行動」に変えるための設計が必要になります。それがこのリード獲得戦略です。
リードとは、問い合わせや資料ダウンロード、メルマガ登録などを通じて得られる“見込み顧客の情報”のことを指します。この情報をもとに営業が接点を持てるようになるため、リードをいかに獲得するかがWebマーケティングにおける最終の山場になります。
「問い合わせ一択」にしてしまうと、ハードルが高すぎる
よくあるケースとして、Webサイトに「お問い合わせはこちら」しか用意されていない場合があります。でも、これは訪問者にとってかなりハードルが高い選択肢です。「いきなり問い合わせるほどではないけど、気にはなっている」段階の人を、取りこぼしてしまう原因になります。こうしたユーザーのために、“間の選択肢”を用意しておくことが重要です。
小さなアクションを設計する
検討初期の人や情報収集中の人でも動きやすいよう、次のようなアクションを設計しておくと、接点を持てる確率が大きく変わります。
- 資料ダウンロード(製品カタログ、技術資料、比較表 など)
- メールマガジン登録(技術情報、事例紹介、新製品情報)
- 導入事例のPDF提供(閲覧にはメールアドレスを入力)
- セミナーや展示会の案内登録フォーム
- チャットボットや簡易見積もりフォーム
こうした“入り口の広い設計”をしておくことで、ユーザーの関心を逃さず、リードとして蓄積していくことができます。
入手したリードは次につなげてこそ意味がある
リードは、集めて終わりではありません。獲得したあとのフォロー設計まで含めて初めて、成果につながる仕組みになります。営業との連携やステップメールなどを活用しながら、徐々に検討度を高めていくアプローチが重要です。BtoBでは特に、検討期間が長く、複数人が関与することも多いため、「一度で決まる」ことはほとんどありません。だからこそ、“少しずつ接点を重ねていく導線”を用意しておくことが、結果として商談化のチャンスを広げていくことになります。
発見で出会い、好意を持たれ、そして行動につなげる。ここまでの3ステップがうまく設計されているWebサイトこそ、営業の成果につながる“反響装置”として機能していきます。次の章では、そのためのサイト構成やレイアウトの工夫について触れていきます。
7.サイトの構成について
―情報が届き、伝わり、印象に残るための仕組みづくり
Webサイトは単に情報を並べるだけの場所ではありません。見に来た人に対して「必要な情報にたどり着けること」「読みやすく、信頼感を与えること」「しっかり認識され、印象に残ること」の3つがそろって初めて、戦略的に機能します。ここでは、成果につながるWebサイトを構成するための基本設計として、3つの視点を紹介します。
7-1.配置について
―たどり着けなければ、存在しないのと同じ
どれだけ良い情報を掲載していても、ユーザーがその情報にたどり着けなければ意味がありません。構造が複雑だったり、情報が深く埋もれていたりすると、ユーザーは「必要な情報がない」と判断し、離脱してしまいます。
実際、ある調査では「必要な情報に辿り着きにくい」ことを理由に、その企業を候補から外すと回答した人が3割以上にのぼりました【図Q6・33.3%】。このような離脱は、せっかく得られた好意や関心を無駄にしてしまう大きな損失です。
配置の基本は、「誰が、どのタイミングで、どんな情報を探しているか」を想定した上で、情報の優先度と導線を整えることです。見てほしい順に配置されているか、導入事例や技術資料への動線が途切れていないかなどを見直すだけでも、成果に直結する改善になります。
7-2.デザインについて
―“かっこよさ”は無関係ではない
「デザインは中身より後回し」「とりあえず情報があれば十分」と考えられがちですが、実際にはそうではありません。テクノポートが実施した調査では、64.9%の人が「ホームページのデザインの洗練度やかっこよさが、発注先の選定に影響する」と回答しています【図Q5】。また、「デザインが古い」「会社の雰囲気がわからない」といった理由で候補から外されるケースも少なくありません。見た目が整っているか、情報が読みやすいか、写真やレイアウトに気を配っているか。これらは単なる印象の問題ではなく、信頼性や仕事ぶりの表れとして見られているということです。
特にBtoBでは、「どんな会社か分からない」「しっかりしていなさそう」という印象を与えてしまうと、早い段階で候補から外されるリスクが高まります。デザインは、“選ばれるための最低限の礼儀”として考えるくらいがちょうどよいです。
7-3.目立つ仕掛けについて
―見つけられるだけでは不十分。認識されて初めて意味がある
Webサイトが検索結果に表示されたり、リンクを貼られたりして“発見される”ことは大切ですが、それだけでは足りません。情報を「認識される」こと、つまり“存在に気づかれる”ことが次のフェーズにつながる条件です。
マーケティング論で知られるバイロン・シャープも、「ブランドは認識されなければ、記憶にも残らない」と述べています。実際、SEOで上位に表示されたとしても、タイトルが目立たなかったり、構成が地味だったりすると、見つけてもらえてもスルーされてしまうことがよくあります。
印象に残るためには、以下のような“目立つ仕掛け”が有効です。
- 強いファーストビュー(キャッチコピーやビジュアル)
- 色彩設計やアイコンによる視線誘導
- 情報を一覧で見せる構造(比較表、導線パネルなど)
- 反復される要素(ロゴ、フッターでの訴求)
発見だけでなく、記憶に残るための「視認性」と「印象設計」がそろって、初めてWebは営業支援装置として機能します。
この3つの視点――「配置」「デザイン」「目立つ仕掛け」は、どれも単独ではなく連動しています。ユーザーの目線で設計されていて、信頼を感じられて、しっかり記憶に残る。そんな構成ができているかどうかが、Webの成果を大きく左右します。次の章では、よくある質問(FAQ)にまとめて答えながら、ここまでの内容を補足していきます。
8.FAQ(よくある質問)
Q1.うちみたいなニッチな業界でも、SEOって効果ありますか?
A.はい、むしろニッチな業界ほど効果があります。検索キーワードが限られている分、上位表示されれば確実に見つけてもらいやすくなります。特に用途や技術課題ベースで検索されるケースが多いため、ピンポイントで刺さる記事を用意することで、高精度なリード獲得につながりやすくなります。
Q2.問い合わせがなかなか増えません。サイトに問題があるのでしょうか?
A.問い合わせがない理由は、「サイトに訪れていない」か「訪れたけど行動に移していない」かのどちらかです。前者なら発見経路(SEO・広告・導線)の見直しが必要、後者なら好意獲得やリード獲得の導線(資料DLや事例ページなど)の再設計が必要です。まずはアクセス状況と行動データを見て、ボトルネックを特定するのがおすすめです。
Q3.BtoBだとSNSはやらなくてもいいですよね?
A.決して「やらなくていい」ということはありません。確かにBtoBではSNS経由の直接的な問い合わせは多くありませんが、認知拡大や若手技術者層への情報提供、展示会や事例の発信などには有効です。検索とは異なる“偶然の出会い”を作る場として活用するのが理想です。
Q4.実績や取引先は公開して大丈夫なんでしょうか?
A.可能であれば公開することを強くおすすめします。調査結果でも「加工事例」や「取引先情報」は、発注先の信頼性を判断する重要な要素とされています。もちろん守秘義務のある場合は匿名化や業種名での紹介でも構いません。「誰に選ばれてきたか」は、それだけで説得力のあるメッセージになります。
Q5.ホームページのデザインって、そこまで重視されるんですか?
A.はい、思っている以上に影響があります。調査では64.9%の人が「デザインの洗練度や見た目が発注先選定に影響する」と回答しています。とくに古いデザインや読みづらいレイアウトは、信頼性や技術力までも疑われる可能性があるため、最低限の整備は必須です。
Q6.資料ダウンロードやメルマガ登録って、BtoBでも効果ありますか?
A.はい、効果はあります。特に検討初期段階のユーザーは、いきなり問い合わせることを避けたがる傾向があります。その点、資料DLやメール登録など“ライトなアクション”は心理的ハードルが低く、接点をつくる入口になります。その後の営業活動やフォローにもつなげやすくなるため、設計しておくと効果的です。
Q7.何から始めればいいかわかりません…
A.まずは、自社サイトの「発見→好意→リード獲得」の流れを図に書き出してみるのがおすすめです。どこが途切れているか、何が足りないかが見えてきます。情報構成や導線、コンテンツに“空白”がある場合は、そこが改善のチャンスです。判断が難しい場合は、外部の視点での簡易診断から始めてみるのも一つの手です。
9.まとめ
Webサイトは、ただ情報を載せるだけの場所ではなく、「発見される」「信頼される」「行動してもらう」という一連の流れを戦略的に設計することで、営業成果につながる仕組みになります。本稿では、技術系メーカーがWebで成果を出すために必要な視点として、「発見経路」「好意獲得」「リード獲得」の3戦略と、それを支えるサイト構成の考え方をご紹介してきました。
どのフェーズで何が足りていないのかを見直し、それぞれの役割に応じた設計を進めていくことが、成果への近道になります。
もし、自社でどこから手をつけるべきか迷われている場合は、ぜひ私たちテクノポートにご相談ください。製造業に特化したWeb戦略の設計から実行まで、伴走型でご支援いたします。