調査結果
本調査レポートの結果から、この調査は「海外向けマーケティングで成果を出す企業は、 明確な戦略設計・デジタルとリアルの複合施策・Webサイト活用 を重視している」ことを示しています。一方で、多くの企業は「市場調査と戦略立案不足」に悩み、海外比率の低さから本格展開に至っていないのが実態です。
Q1. お勤め先では、海外向けマーケティングの成果は出ていますか。
概要
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約8割の企業が成果を実感(「十分な成果」26.1%、「やや成果」52.3%)。成果なしは約2割
考察
成果を感じている企業が多数派であり、海外マーケティング施策は一定の効果を発揮しているといえる。ただし「十分な成果」と回答した割合は3割弱に留まり、施策が限定的な効果にとどまっているケースも多い。今後は「成果を実感していない層」の課題抽出と改善が成長余地となる。
Q2. 海外向けマーケティングに取り組んでいる理由を教えてください。
概要
- 最多は「新規顧客開拓(72.1%)」、次いで「認知度向上(53.2%)」「現地日系企業への拡販(51.4%)」
考察
海外進出の主目的は「攻めの市場開拓」であることが明確。特に日系企業ネットワークを起点にする動きが強く、初期は既存の人脈や信頼を活かし、その後現地顧客へ拡大するステップを踏む企業が多いと推測される。
Q3. 海外向けマーケティングに取り組むうえで課題に感じていることを教えてください。
概要
- 最多は「マーケティング戦略の立案(52.3%)」、次いで「市場/競合調査(50.5%)」「ターゲット市場選定(47.7%)」
考察
多くの企業は戦術よりも「戦略の設計」でつまずいている。情報不足や分析ノウハウの欠如が背景にあり、データに基づく市場理解と戦略立案力の強化が不可欠。また、外国語や文化対応の壁も依然として高く、内製人材育成か外部パートナーとの協業がカギとなる。
Q4-1.海外向けマーケティングにおいて、対策を強化している地域を教えてください。
Q4-2.Q1で「十分な成果が出ている」「やや成果が出ている」と回答した方にお聞きします。海外向けマーケティングにおいて、対策を強化している地域を教えてください。(複数回答)
Q4-3.スクリーニングQ1で「従業員51名以上〜300名以下」と回答した方にお聞きします。海外向けマーケティングにおいて、対策を強化している地域を教えてください。(複数回答)
Q4-4.スクリーニングQ1で 「従業員301名以上〜1,000名以下」と回答した方にお聞きします。海外向けマーケティングにおいて、対策を強化している地域を教えてください。(複数回答)
Q4-5.スクリーニングQ1で 「従業員1,001名以上〜5,000名以下」と回答した方にお聞きします。海外向けマーケティングにおいて、対策を強化している地域を教えてください。(複数回答)
Q4-6.スクリーニングQ1で 「従業員5,001名以上」と回答した方にお聞きします。海外向けマーケティングにおいて、対策を強化している地域を教えてください。(複数回答)
Q4の概要
- 全体では「東アジア(中国/韓国/台湾)60.4%」が最多。中小は東アジア、大企業は東南アジア・欧米にも広がる
Q4の考察
地理的・文化的に近い東アジアはリスクが低く、進出先として第一選択肢になりやすい。一方、大企業は多拠点展開を行いリスク分散を図っている。今後は中堅企業がアジア以外へシフトできるかどうかが成長の分かれ目になる。
Q5. Q4の地域を選択した理由を教えてください。
概要
「市場規模と成長性(63.2%)」が最多。需要の高さや既存拠点の有無も大きな理由
考察
成長余地が大きい市場に積極投資する傾向。既存の生産・販売拠点の存在は参入コスト削減につながり、意思決定の大きな要因となっている。つまり、市場性だけでなく「自社の事業資産をどこまで活用できるか」が進出判断の軸といえる。
Q6-1. 海外向けマーケティングで行っている施策を教えてください。
Q6-2. Q1で「十分な成果が出ている」「やや成果が出ている」と回答した方にお聞きします。海外向けマーケティングで行っている施策を教えてください。(複数回答)
Q6-3. Q1で「十分な成果が出ている」「やや成果が出ている」かつQ4で「東アジア」と回答した方にお聞きします。海外向けマーケティングで行っている施策を教えてください。(複数回答)
Q6-4. Q1で「十分な成果が出ている」「やや成果が出ている」かつQ4で「東南アジア」と回答した方にお聞きします。海外向けマーケティングで行っている施策を教えてください。(複数回答)
Q6-5. Q1で「十分な成果が出ている」「やや成果が出ている」かつQ4で「南アジア」と回答した方にお聞きします。海外向けマーケティングで行っている施策を教えてください。(複数回答)
Q6-6. Q1で「十分な成果が出ている」「やや成果が出ている」かつQ4で「欧州」と回答した方にお聞きします。海外向けマーケティングで行っている施策を教えてください。(複数回答)
Q6-7. Q1で「十分な成果が出ている」「やや成果が出ている」かつQ4で「北米」と回答した方にお聞きします。海外向けマーケティングで行っている施策を教えてください。(複数回答)
Q6-8. Q1で「十分な成果が出ている」「やや成果が出ている」かつQ4で「アジア」と回答した方にお聞きします。海外向けマーケティングで
行っている施策を教えてください。(複数回答)
Q6-9. Q1で「十分な成果が出ている」「やや成果が出ている」かつQ4で「欧米」と回答した方にお聞きします。海外向けマーケティングで
行っている施策を教えてください。(複数回答)
Q6の概要
- 「Web広告(53.2%)」「展示会出展(51.4%)」が双璧。成果企業ほど両者の活用度が高い
Q6の考察
デジタル施策とリアル施策の両立が成功の鍵。Web広告は潜在顧客の幅広い獲得、展示会は信頼構築に有効で、組み合わせが高い成果につながっている。今後はSEOやSNSも併用し、デジタルでのリード醸成からリアル接点での商談へつなぐ「ハイブリッド戦略」が主流化しそうだ。
Q7-1.2024年に、海外向けマーケティングで強化していきたい施策を教えてください。(複数回答)
Q7-1.Q1で「十分な成果が出ている」「やや成果が出ている」 と回答した方にお聞きします。2024年に、海外向けマーケティングで強化していきたい施策を教えてください。(複数回答)
Q7の概要
- 「展示会出展(47.7%)」が最多。成果企業では「展示会出展」と「Web広告」が同率トップ(各51.7%)
Q7の考察
海外での直接対面の重要性が依然高いことが示唆される。オンライン中心の時代でも「展示会=信頼獲得の場」として位置づけられ、デジタルとの相互補完関係にある。日本企業特有の「対面重視」の文化が海外展開にも色濃く反映されているといえる。
Q8-1. 2024年の、海外向けマーケティングの予算を教えてください。
Q8-2. スクリーニングQ1で「従業員51名以上〜300名以下」と回答した方にお聞きします。2024年の、海外向けマーケティングの予算を
教えてください。
Q8-3. スクリーニングQ1で「従業員301名以上〜1,000名以下」 と回答した方にお聞きします。2024年の、海外向けマーケティングの予算を教えてください。
Q8-4. スクリーニングQ1で「従業員1,001名以上〜5,000名以下」 と回答した方にお聞きします。2024年の、海外向けマーケティングの予算を教えてください。
Q8-5. スクリーニングQ1で「従業員5,001名以上」 と回答した方にお聞きします。2024年の、海外向けマーケティングの予算を教えてください。
Q8の概要
- 全体では「1,000万〜5,000万円未満(23.4%)」が最多。中小は100万〜500万円未満が中心。大企業は1億円以上の投資も多数
Q8の考察
規模によって投資額に大きな差があり、マーケティングのスピードと効果にも直結する。中小企業は低予算の中で効果的なチャネル選定が必須。逆に大企業は資金力を活かし、複数市場や高度なデジタル施策に挑戦している。
Q9. 2024年のマーケティング予算のうち、海外向けのマーケティングに使用される予算の割合を教えてください。
概要
- 「25〜50%未満」が最多(49.5%)。25%未満も33.4%と高い。75%以上はわずか4.5%
考察
海外事業に本腰を入れている企業はまだ少数派。多くの企業は国内事業に依存しつつ、海外は補完的な位置づけにとどまっている。今後、国内市場縮小が進む中で「海外売上比率の拡大」が成長戦略の重要テーマになるだろう。
Q10-1. Q1で「十分な成果が出ている」「やや成果が出ている」と回答した方にお聞きします。Webサイトを活用した海外向けマーケティングに取り組んでいますか。
Q10-2. Q1で「あまり成果が出ていない」「全く成果が出ていない」と回答した方にお聞きします。Webサイトを活用した海外向けマーケティングに取り組んでいますか。
Q10の概要
- 成果企業の92%がWebサイトを活用。成果が出ていない企業でも62.5%が実施
Q10の考察
Webサイトは海外展開に不可欠な基盤であり、成果を出している企業ほど重視度が高い。成果の出ていない企業は「作っただけ」で終わっている可能性があり、SEO、コンテンツ、UX改善など活用度の差が成果に直結していると考えられる。
Q11-1. Q1で「十分な成果が出ている」「やや成果が出ている」と回答した方にお聞きします。2024年にWebサイトを活用した海外向けマーケティング施策を強化したいと思いますか
Q11-1. Q1で 「十分な 成果が 出ている」「やや成果が出ている」と回答した方にお聞きします。2024年にWebサイトを活用した海外向けマーケティング施策を強化したいと思いますか。
Q11の概要
- 成果企業の82.8%、成果の出ていない企業でも66.7%が強化予定
Q11の考察
成果の有無に関わらず「Web強化」は共通認識となっている。今後はWebサイト単独ではなく、広告・SNS・展示会と連動させた「総合的なデジタルマーケティング基盤」として発展させられるかが差別化要因になるだろう。
総合的な考察
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海外マーケティングは成果を出しやすい施策だが、「部分的成功」にとどまる企業が多数
成果を実感する企業が8割を超えている一方で、「十分な成果」を出しているのは3割弱。多くの企業が手応えはあるが、成長加速にまでは至っていない。これは「戦略不在」「実行力の差」が影響している。 -
成否の分かれ目は「戦略設計力」と「施策の組み合わせ」
課題の上位が「戦略立案」「市場調査」であることからもわかるように、海外市場攻略には計画段階からの精緻さが必要。成果企業は「Web広告+展示会」というデジタルとリアルを連動させた施策を展開しており、この複合戦略が成果を後押ししている。 -
地域選定は「近隣の東アジア」から始まり、大企業はリスク分散で欧米へ
日本企業にとって最も取り組みやすいのは東アジアだが、成長性を求めて東南アジア、さらにリスクヘッジとして欧米へ広げる動きが見られる。中小企業が次の成長段階に進むためには「アジア集中」からの脱却が課題となる。 -
Webサイトは成果企業の共通項
成果企業の92%がWebサイトを活用しており、海外マーケティング成功の必須基盤となっている。ただし単に作るだけでは不十分で、SEOや多言語対応、UX改善、広告との連携が成果の分岐点になる。 -
投資規模の二極化と海外比率の低さ
大企業は億単位を投じる一方で、中小は数百万円規模にとどまる。結果として「規模の差=施策の差」になりやすい。加えて、海外比率が25%未満の企業が3割を超え、海外マーケティングはまだ「補助的な施策」としての位置づけが強い。
本調査レポートが、海外市場開拓に向けた戦略立案の一助となれば幸いです。