テクノポートの徳山です。ここ最近、弊社にもデジタルマーケティングの相談が少しずつ増えてきました。そこで、製造業を中心とした技術系企業がデジタルマーケティングを成功させるためのポイントを「モノカク」で紹介します。
この記事の目次
デジタルマーケティングとは
デジタルマーケティングとは、獲得したリード(※)をデジタルツールを活用して育成し、リードの購買意欲を可視化することでクロージングの優先順位をつけ、効率よく顧客化していくための一連の流れのことをいいます。BtoBマーケティングにおいて非常に有効な手法として数年前から注目を集めています。
※リードとは、名前、所属、連絡先が明らかになっている、将来的に自社の顧客になり得る「人」の情報のことです。
デジタルマーケティングの進め方
デジタルマーケティングの基本的な流れは、
リード獲得(リードジェネレーション)
▼
リード育成(リードナーチャリング)
▼
クロージング(リードスコアリングして効率的に顧客化していく)
の3STEPです。
この一連の流れをMA(マーケティングオートメーション)などのITツールを活用し一元管理します。専門用語が多いので、一つずつ解説していきます。
リードジェネレーション
リードジェネレーションとは、リードを獲得するための活動のことを言います。その方法は大きく分けてオンラインとオフラインとで分けられます。オンラインの場合は、オウンドメディアやソーシャルメディアなどで情報を発信することでユーザへリーチし、メルマガ登録やPDF資料ダウンロードなどでユーザの個人情報を入力してもらうことでリードを獲得します。オフラインの場合は、日々の営業活動やイベント・展示会などで収集した名刺情報をデジタルデータ化することでリードにします。
オンラインでのリードジェネレーション
自社で運営するWebサイトを活用し、新規顧客を獲得している会社は多いと思います。多くの場合は、SEO対策やリスティング広告によりアクセスユーザを増やすことで新規顧客の獲得へ繋げますが、BtoBマーケティングの場合、検索ボリュームが少ないのがネックとなってきます。
また、その中でもすぐに顧客化できるユーザ(今すぐ客)はごく一部です。そのため、中長期的に顧客になる可能性があるユーザ(これから客)をリードとして獲得し、育てていく必要があります。
オンラインでリードジェネレーションを推進する場合、具体的にどのような手法でリードを獲得するか、説明します。
オウンドメディアの運営
オウンドメディアという言葉を聞くと難しそうなイメージがありますが、要はWebサイトの運用によってリードを獲得する活動のことですので、現在運用しているコーポレートサイトでも、新しく設立する特設サイトでも、リードが獲得できればその形態は何でも構いません。
大切なことはサイト内でどのようなコンテンツを掲載するかです。コンテンツ掲載を行う上で重要なポイントは以下の2つとなってきます。
- 「今すぐ客」だけでなく「そのうち客」にも読んでもらえるコンテンツを掲載する。
上述したようにユーザ数の限られる「今すぐ客」だけでなく「そのうち客」を呼び込めるようなコンテンツを掲載する必要があります(両者の特徴と具体的なキーワード例を図で説明)。 - メルマガ登録や資料ダウンロードなどの窓口を準備する。
いわゆる「問合せフォーム」だけでは、今すぐ客からの問合せしか獲得できません。「そのうち客」から気軽に問合せを獲得できるような窓口(コンタクトフォーム)を別途用意します。そのコンタクトフォームの入力項目は、メールアドレス、会社名、所属、氏名だけに絞るなどして、ユーザの負担を下げる必要があります。
ソーシャルメディアの活用
業種にもよりますが、BtoBマーケティングで活用できるソーシャルメディアは、Facebook、Twitter、Instagramぐらいだと思います。中でも技術系企業のマーケティングであればFacebook一択で良いと思います。BtoCと違い、積極的にユーザが情報を拡散しないので、ユーザの情報拡散に期待するのではなく、Facebook広告を活用するなどしてターゲット属性に対し効率的に情報を届ける方がいいでしょう。
Facebook広告からオウンドメディアに誘導してもいいですが、資料ダウンロードをFacebook上で行えるようにすればそのままリード獲得へつなげることも可能です。
ソーシャルメディアの活用方法については以下の記事もご参照ください。
メールマーケティングの活用
顧客になりそうな企業のWebサイトのコンタクトフォームへメールを送付し、リードを獲得する方法です。最近営業メールが増えたと感じる方も多いと思いますが、それだけデジタルマーケティングに注力している企業が増えたとも言えるでしょう。余りにもしつこいとブランド損失につながる可能性もありますので、その辺りを気にする方は避けたほうが良いかも知れません。
メールマーケティングでリードを獲得するポイントとしては、売り込みにならないように注意するところです。自社製品・技術のPRと営業の機会を求めるようなメールではなく、貴社に役立つ資料があるのでまずはダウンロードしてみてください、といったユーザのメリットを前面に押し出した内容であれば、リードを獲得できる可能性が高まります。
リードジェネレーションの方法については下記記事もご参照ください。
オフラインでのリードジェネレーション
製造業をはじめとした技術系企業であれば、オフラインでのリード獲得は展示会での名刺獲得が中心になるかと思います。それに加え、自社セミナーやイベントを開催している会社であれば、それらの活動の中で獲得した名刺がリード情報となります。
デジタルマーケティングでは名刺をリード情報としてデジタル管理し効率よく顧客化していくことが必要なので、ここでは名刺情報をデジタル化する方法を中心にお伝えします。
名刺情報のデジタル化
自社でやる場合
名刺情報のデジタル化を自社で行う場合は、名刺スキャンアプリを使うことをおすすめします。一昔前だと名刺用のスキャナを購入していたと思いますが、今では名刺スキャンアプリを使うのが主流です。スマホさえ持っていれば誰でも名刺をデジタル化することができます。
個人的なお勧めは「Wantedly People」です。理由は3つあり、①OCR処理の精度が高い、②複数の名刺を同時にスキャンできる、③データのエクスポートが無料でできる、からです。あとはエクスポートしたデータをマーケティングオートメーションにインポートすればOKです。
外注する場合
名刺情報のデジタル化を外注する場合は、クラウドソーシングを活用することをおすすめします。弊社がよく使っているのは「クラウドワークス」ですが、名刺情報のデジタル化といった軽作業であれば、募集してから1日で数十人の応募が来ますので、そこから信頼できそうな方を選べばOKです。
選定基準としては、コストが安いこと、過去の評価(実績)が高いこと、納期が早いかどうか、といった点です。Web上で機密保持契約なども結ぶことができますので、安心して発注することが可能です。あとはワーカーの方にまとめてもらった情報をマーケティングオートメーションにインポートすればOKです。
リードナーチャリング
リードナーチャリングとは、リードを育成し顧客化するための活動のことです。その目的はリードへ定期的なコミュニケーションを取ることで関係性を向上(エンゲージメント)させていき、最終的に受注することです。技術系企業が行うリードナーチャリングは、メルマガ送付、技術資料の提供、技術セミナーの開催などが主な活動となります。リードには「短期的に顧客化できるリード(今すぐ客)」と「中長期的に顧客化するリード(これから客)」の2種類あり、それぞれのリードにとって役立つ情報が異なることに注意が必要です。
リードナーチャリングが重要な4つの理由
①ボリュームゾーンである「これから客」との関係性を築ける
技術マーケティングにおいて、短期的に受注につながるリード(=今すぐ客)は全体のごく僅かです。Webマーケティングの戦略でそこだけにターゲットを絞ることは可能ですが、それでは十分な顧客獲得に繋がりません。逆に「今すぐ客」だけで受注量が十分だという会社はデジタルマーケティングに取り組む必要はないでしょう。受注量を最大化させるためには、ボリュームの多い「これから客」と関係構築が非常に重要です。
例えば「工業用CT市場」において「今すぐ客」と「これから客」がどのようなキーワードで検索するかの違いは下記の通りとなります。
キーワード調査に関しては、MFTフレームワークを使用するとうまくまとめることができます。規格化された製品を販売するメーカーの場合は、Market寄りのキーワードが「今すぐ客」、Technology寄りのキーワードが「これから客」に分類される場合が多く、受託型のビジネスを行う加工業者などは逆になることが多いです。
②「これから客」が比較検討段階に入った時に優位に立てる
これから客と早い段階で接点を持ち、関係を構築することで、いざ導入段階に入り他社と比較検討される際にその関係性が優位に働き、競合他社よりも貴社が選ばれる可能性が高まります。技術系企業の場合、検討の早い段階から相談レベルの問合せが入ることが多く、この段階から親切丁寧にリードと関係を築いておくことは、その後の受注確率を大きく向上させます。
③マーケティング活動の中で獲得した全てのリードを無駄にしない
マーケティングに力を入れている技術系企業であれば、専門展示会の出展をしたことがある企業がほとんどだと思います。しかし、展示会で獲得した名刺を適切に管理している企業は少ないのではないでしょうか。リードナーチャリングを行うことにより展示会をはじめ、様々なマーケティング活動の中で獲得したリードを無駄にせず、関係構築し、顧客化することに繋げることができます。
④技術の用途開発に繋がる
これから客は、自社で発生した技術課題に対し、どのような解決手段があるのかを探索しているフェーズにいる場合が多いです。そのフェーズに属するリードと接点を持ちコミュニケーションを取ることで、様々な情報を取得することができます。その情報が、自社技術がどのような分野で活用できるのか、どのような技術課題を抱えている技術者の役に立つのか、といった用途開発アイディアに繋がっていくことがあります。
リードナーチャリングの進め方
STEP 1 技術系企業における購買プロセスを把握する
リードが顧客化するまでのプロセスを考えておくことで、提供するコンテンツの内容が明確になってきます。技術系企業であれば下記のようなプロセスになる場合が多いと思いますが、業界・分野に応じて更に細かな購買プロセスを考えておくとよいでしょう。
【技術系企業における購買プロセス】
① 自社の技術課題の認知
社内で何らかの技術課題が発生。技術課題の原因や解決手段の探索をし始める。
② 技術課題における解決手段の探索
発生した技術課題の解決手段を専門誌やインターネットにより調べる。インターネットであれば検索キーワードは技術課題や解決手段を使うことが多い。検索キーワード、閲覧ページなどのデータをもとにしてリードが求めている技術課題に関する情報を定期的に配信すると良い。このフェーズのリードに対し、技術課題解決のプロフェショナルとして対応できるかが重要。
この段階で問合せを行うリードに対しては、自社技術が最も良い解決手段なのかを見極めながら対応する必要がある。またビジネスになるまで少し時間がかかることがあるので辛抱強く付き合う。
③ 解決手段の比較検討
解決手段の探索を一通り行い、解決するための手段に目星をつけた段階。その手段(技術)を持っている会社の探索を行う。インターネットであれば検索キーワードは解決手段となる技術・製品名になる。このフェーズに属するリードはすぐに受注に至る可能性が高い。
この時に②のフェーズでエンゲージがあるリードから比較検討フェーズを飛ばして受注できることがある。
④ 意思決定
購買先を決定する。
STEP2 リードスコアリングを設定する
MA(マーケティング オートメーション)のスコアリング機能を使って、それぞれのリードが1で作成した購買プロセスのどの段階にいるのかをグループ分けしていきます。どのような行動を取ったリードをどのフェーズに属するリードなのか、独自の定義を決めていきます。
具体的には、下記のような行動を取ったリードにそれぞれ点数付けし、点数ごとにグループ分けしていくイメージです。
- 特定のWebページの閲覧 →1点
- メルマガの開封・回帰 →5点
- 技術資料のダウンロード →10点
- セミナーの参加 →15点
など
STEP3 フェーズごとにコンテンツを配信する
2によって分けたリードグループごとにどのようなコンテンツを配信していくかを考えます。①②のフェーズにいるリードへは、業界情報や技術資料などの提供、③④のフェーズに入っているリードへは自社技術・製品のPRコンテンツや顧客事例などを配信すると良いでしょう。具体的にどのようなコンテンツを配信すべきなのか、に関してはまた別記事にて紹介する予定です。
STEP4 最終フェーズに入ったリードへは直接営業する
最終フェーズに入ったリードへは営業担当から直接コンタクトします。技術系企業の場合、当フェーズに入るよりも前に問合せが入ることも多いですが、過去に接点のある企業に対しても、最終フェーズに入ったリードへは適切なフォローを行っていくことが大事です。
リードナーチャリングのためのコンテンツ制作
リードの育成具合に応じたコンテンツを企画する
リードが求めている情報は購買プロセスのフェーズによって異なります。購買フローの初期フェーズにいるリードは、自社の技術課題に対する解決策を模索している情報収集段階です。業界情報、技術課題に対する解決策としてどのような技術があるのか、といったように、リードが情報収集したいと考えている内容にフォーカスしてコンテンツを企画すると良いです。
その時に、より専門的な情報を発信することで、貴社がその分野のプロフェッショナルであり、頼ることができる存在、という印象を与えることができるとなお良いでしょう。
次からはリードナーチャリングのために使われるコンテンツ例と制作上の注意点などをご紹介します。
メールマガジン
メールマガジンは配信回数とコンテンツの質のバランスが重要
デジタルマーケティングという言葉が広まる前から、リードとの関係性をつなぐ手段としてメールマガジンは使われてきました。その分、取り組んでいる企業も多く、発信してもほとんど見られないとも言われています。また、メールマガジンというと必ず一定期間ごとに配信しなければならない、という呪縛に取り憑かれ、疲弊してしまうことがあることが多いです。
個人的には配信回数よりもコンテンツの質を重視すべきだと考えているので、コンテンツの質を担保できないのであれば配信回数を減らすことも検討すべきだと考えています。とは言え、配信が一向にないとリードが育たないし関係性が切れてしまう、というデメリットもありますので、配信回数とコンテンツの質のバランスを保つことを常に気をつけましょう。
配信回数とコンテンツの質がトレードオフの関係となるため、配信回数にこだわるあまり、内容がつまらないものになっては全く意味がないからです。
※ここでは自社で獲得した名刺情報などのリード情報を元に、定期的に一斉配信するメールの事をメールマガジンとします。
タイトルの付け方がとにかく重要
前述したように、多くの企業が取り組んでいる施策ですので、最近では開封される可能性すら低い、ということを前提に考えましょう。特にリードとの関係性が弱い段階だと「どこの企業から情報が届いたか」よりも「どのような役立つ情報が届いたか」の方が重要なため、タイトルの付け方一つでメールの開封率が大きく変わってきます。
タイトル付けの主な注意点
-
- 購買フローの前半にいるリードをターゲットとして意識する(ボリュームゾーンなので)
- リードに自分事だと感じてもらう
- 文字数を30文字までに抑える
メールマガジンの内容(コンテンツ)をどのようなものにするか
自社の技術・製品をPRするための情報発信だけでなく、業界情報や動向、技術の解説、技術の活用事例なども情報発信することを検討しましょう。特に購買フェーズの前半にいるリードをナーチャリングしていく上で必要となります。
メールマガジンのコンテンツはWebサイト内に掲載する
メールマガジンのコンテンツをWebサイト内に掲載することでインデックス数が増えアクセス流入の増加が期待でき、新たなリード獲得につなげることができます。また、コンテンツを再構築すればSEOに強いWebページの制作にも繋がるでしょう。
メールマガジンの作り方に関しては以下の記事も参考にしてみてください。
技術資料(ホワイトペーパー)
技術資料(ホワイトペーパー)とはどのようなものか
リードナーチャリングで使う技術資料(ホワイトペーパー)は、メールマガジンと同様、自社の技術・製品をPRするための資料だけでなく、業界情報(動向)、技術の解説書、論文なども作成することを検討しましょう。特に購買フェーズの前半にいるリードをナーチャリングしていく上で必要となります。
ナーチャリングするユーザの状況を想定して制作する
購買フローのどのフェーズにいるリード向けの情報なのかを考慮した上で制作すると良いでしょう。そうすることで資料を閲覧してもらえる可能性が高まると共に、どの資料を閲覧したかによってどのフェーズにいるリードなのか、どのような課題を抱えているリードなのか、といった仮設を立てることもできます。
資料の内容が簡潔に伝わる情報を与える
ダウンロードを誘導するためのページ(メール)において、技術資料には分かりやすいタイトル、内容が簡潔に伝わる目次、全体のボリューム(ページ数)などを掲載することで、自分にとって必要な資料かの判断が付くようになり、ダウンロード数の増加=より多くのリードのナーチャリングに繋がります。
ホワイトペーパーの作り方に関しては以下の記事も参考にしてみてください。
導入事例
BtoBマーケティングにおいて導入事例は最強のコンテンツ
購買単価が高く、購買決定者が複数人となる場合が多く、導入後の失敗に対するリスクが高いBtoBマーケティングにおいて、導入事例は信頼性の高いコンテンツとしてリードをナーチャリングするのに最適です。
BtoC商材とは違い、ネット上での口コミ情報が極端に少ないので、メディアに掲載されている情報が有効と言われていますが、メディアに掲載されるのはハードルが高いですし、自社で増産していけるコンテンツとして導入事例は最強のコンテンツと言えます。
著名な企業の権威と身近な企業の親密感
導入事例にどのような企業が掲載されているとよいか?一見、著名な企業に多く掲載してもらった方が良いように思えますが、そのような企業ばかりだと導入ハードルが高く思えてしまいます(そのような企業だけターゲットの商材なら別ですが)。
「あんな著名な企業の導入実績があるのか!」といった信頼感と、「自社に近い課題が解決されている!」といった親密感が必要です。
最強のコンテンツなので二次利用は積極的に
前述したとおり、最強のコンテンツである導入事例を一回のメール配信などで終わらせてしまってはもったいないです。自社サイト内でWebページ化することはもちろん、営業マンが持ち歩くセールス資料や、PDFにしてダウンロード用のコンテンツにするなど、積極的に二次利用を行っていきましょう。
導入事例の作成方法に関しては下記記事もご参照ください。
FAQコンテンツ
FAQコンテンツとは、Webサイトに掲載する「よくある質問」に掲載するコンテンツのことを指します。よくある質問の中でもリードのニーズに沿った情報を配信することでナーチャリングコンテンツとして利用ができます。
全社で協力してコンテンツを集めることが大事
FAQコンテンツは、お客様と接する様々な部門に協力して集める必要があります。営業パーソンであれば、見込顧客から商談時やメールで聞かれる質問、お客様サポートであれば、既存顧客から寄せられる問合せ内容を収集することができます。
各部署の日報から自動的にFAQコンテンツを抽出するなど、コンテンツの作成をいかに自動化できるかがポイントとなります。
ニーズの高いコンテンツをナーチャリングに利用
全社で協力して集めたコンテンツをまずはWebサイトに掲載し、アクセスログで定期的にアクセス情報を計測していきます。その中でユーザのニーズの高い(アクセス数の高い)コンテンツや、問合せに至るユーザが読むことが多いコンテンツを中心にリードへ配信していくと良いです。
そのため、Webサイトに掲載するFAQコンテンツは一つの質問に付き1ページ作成するなど、後々にアクセス計測しやすいような工夫が必要となります。
FAQコンテンツの書き方に関しては以下の記事も参考にしてみてください。
リードナーチャリングを行う際はコンテンツの質が重要
本記事をご覧いただき、リードナーチャリングを行う上で最も重要なことは「コンテンツ制作」であるということが分かっていただけたと思います。
リードに定期的な情報伝達を行う際に届くコンテンツに魅力がないとせっかく捕まえたリードがメルマガ解除になってしまったり、そのような行動にまで至らないとしても「この企業からのメールはつまらないから今後はスルー」というレッテルをはられてしまったり、リードへ定期的な情報を届ける、といったことを優先し過ぎて、コンテンツの質が下がってしまうようであれば、一度立ち止まって考え直してみましょう。
+α 展示会の出展効果をデジタルマーケティングの力で最大化する
なぜデジタルマーケティングの活用が必要なのか
展示会で成果を挙げている企業の多くが、なぜデジタルマーケティングに取り組んでいるのでしょうか?
それは、展示会で獲得する名刺(リード)のうち、すぐに商談化できる「今すぐ客」は数%程度で、10〜20%ほどが中長期的に商談化できる「これから客」、その他の大部分は商談化につながらない「ひやかし客」だからです。
「今すぐ客」は展示会場で商談のアポが取れたり、見積りの依頼をされたりするので、展示会終了後に後追いする必要はありません。
重要なのは「今すぐ客」よりもボリュームが圧倒的に多い「これから客」をいかに商談に持ち込み顧客化することになり、これが出来るかどうかで展示会の出展効果は大きく変わってきます。
そして「これから客」を効率よく顧客化するために必要なのがデジタルマーケティングなのです。
上図は以前の記事でもご紹介した「技術系企業の一般的な購買プロセス」です。獲得したリードがこの購買プロセスのどのフェーズにいるかをイメージしてみましょう。「今すぐ客」は③④のフェーズにいるリードで、これから客は①②のフェーズにいるリードと言えます。
デジタルマーケティングでは、技術課題に関して認識したばかりで、これから解決手段の探索を行う様なリードに対し、様々な情報を提供することでフェーズが進展させ、商談化へ繋げていくことになります。展示会の効果測定期間が長くなりますが、せっかく多額のコストを費やして出展するのであれば1社でも多くの顧客を獲得しましょう。
展示会出展後のデジタルマーケティングの進め方
名刺をデジタル化する
どのリードが「これから客」なのか明確に定義はできませんし、将来「ひやかし客」が「これから客」に変化することがあるかも知れませんので、展示会の時点で商談化できた「今すぐ客」を除き、すべての名刺情報をリードとしてデジタル化していきましょう。
ただし、リード数によって料金が変わるマーケティングオートメーションのサービスをお使いの方は、見込みの低いリードを加えるのに抵抗があるかと思います。その際は「これから客」のみ厳選してデジタル化しましょう。見極めのために来場者向けヒアリングシートなどを準備しておくと良いでしょう。
名刺情報のデジタル化を自社で行う場合は、名刺スキャンアプリを使うことをおすすめします。個人的なお勧めは「Wantedly People」です。名刺をスマホで撮影するだけで、高精度のデジタル化ができます。名刺情報のデジタル化を外注する場合は、クラウドソーシングを活用することをおすすめします。弊社がよく使っているのは「クラウドワークス」です。
デジタル化の具体的な方法は、以前に書いた「リード獲得の具体的手法」内のオフラインでのリードジェネレーションの段落をご参照ください。
リードナーチャリングする
労力をかけてデジタル化し、いつでも一斉メール配信が可能になったリードに対し、来場お礼メールでお終いにしないようにしましょう。労力はかかりますが、定期的に情報提供することでリードナーチャリングすることが重要です。
リードナーチャリングを行う理由は下記の2点です。
- 定期的にコミュニケーションを取ることで自社を忘れないようにする
- 様々な情報を提供することで購買プロセスの次フェーズへ進める
名刺情報をマーケティングオートメーションに取り込む際に、「2020年1月展示会」といったタグ情報を付加しておき、類似内容の展示会出展時に展示会案内のメールを送ったり、興味分野ごとにカテゴライズしておき、送付するメルマガの内容を変えたりすると、効率的にリードナーチャリングすることができます。
リードナーチャリングの具体的なコンテンツを紹介
リードナーチャリングするコンテンツには、メールマガジン、技術資料(ホワイトペーパー)、導入事例、FAQなどがあります。詳細は「リードナーチャリングのためのコンテンツ制作」をご参照ください。
スコアリングしてアプローチする
スコアリングとは、メールの開封、メールに記載してあったURLのクリック、特定のWebページの閲覧などがあった際に、マーケティングオートメーション上でそのリードを点数付けすることです。「これから客」に対し、一斉メールでコンテンツを定期配信しながらスコアリングしていきます。スコアがある程度溜まったリードから順番に、メール、電話、セミナーの勧誘などの手法で営業アプローチしていくことで、営業効率を上げていきます。
アプローチする際に、リードのWeb閲覧履歴などから興味分野を把握し、アプローチ時の営業トークに役立てることができるので、アプローチ前に必ずリードの活動履歴をチェックしておきましょう。
いずれの手法にしても、一度獲得できた接点を切らすことなく関係性を維持することが重要となってきます。
その他のオンライン展示会後のフォロー手法や意識すべきことに関しては、下記の記事もご覧ください。