受注率を大きく上げるための問い合わせ対応

【執筆者紹介】小林(井上) 正道
この記事の執筆者
小林(井上) 正道
会社名:テクノポート株式会社
役職:取締役
【経歴】
製造業のWebマーケティング支援を15年以上。
製造業への訪問実績3000件を超える。
幅広い加工知識と市場調査をもとに、製造業の新規顧客開拓の支援を行う。

日本工業大学技術経営学修士号(MOT)
研究テーマ「Webを活用した用途開発マーケティング」

【専門領域】
製造業 × 企画コンサルティングスキル × Webスキル(SEO中心)

【寄稿実績】
・Webリニューアルが逆効果に? 問い合わせを減らさない製造業のサイト改革(MONOist)
・新規顧客が集まらない製造業のWebサイト、活用を阻む3つの壁(MONOist)
・技術PRのために最適なWeb戦略は何か、「アンゾフの成長マトリクス」の活用(MONOist)
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テクノポートの井上です。今回は、受注率が大きく変わる問い合わせ後の対応について紹介します。ホームページから新規の問い合わせが入った際の対応フローがしっかり確立されている会社もあれば、窓口となる担当が決まっていなかったり、後追いしていなかったりする会社もあります。そこには受注率を上げるためのポイントや、中長期での見込み顧客獲得のチャンスがあります。どのような対応がお客様に対して望ましいかを考察します。

前回に引き続き、ものづくり商社兼ものづくり営業トータルサポートを行っている野崎社長(COSMO ALPHA株式会社)にインタビューしました。野崎社長の経歴は以前の記事をご参照ください。
協力工場を増やす時の見極めポイントと良い関係の築き方

受注率を上げるために一番重要なことは?

お客様との信頼関係を構築することです。そのためにまず出来ることは、レスポンスを早くすることです。

ホームページの問い合わせフォームから問い合わせが入っても、可否の連絡すらしなかったり、数日後に連絡をする会社もありますが、当日に連絡がなければ、自信がないのかな?苦手なのかなと思われてしまいます。レスポンスを早くするというのは、ただ単にスピード早くするということではなくて、期日を伝え、期日通りに物事を進めることも含まれます。例えば、「製作可否はいつまでに返事します」、「見積もりはいつまでに返事します」というように事前に連絡を入れ、その期日を守って返事をするということです。

相手の求めている情報を必要な場面に的確に提供することが対応力です。当たり前のようでなかなかできていない会社がほとんどの様です。やれるかどうかは意識の問題ですが、それだけでも受注率に差が出ます。

信頼関係を構築するために、問い合わせの対応フローは決まっていますか?

基本的な流れはあります。内容を確認し、まずは電話でヒアリングを行い、そして期日を伝える、という流れです。

電話によるヒアリングはとても重要です。こちらの受注に対する本気度を見せると同時に、お客様の発注に対する本気度を推し量ることができます。

なぜ新規で頼もうと思ったのか、そこには必ず理由があるはずです。技術的に難しい、納期がない、価格が厳しい、既存の会社がキャパオーバーなど、様々な理由が考えられます。その背景をしっかり理解した上で検討、見積もりをしなければお客様の要望に合った提案はできません。既存の取引先には頼めないのでしょうか?という質問から、なぜ頼めないのかをヒアリングしています。

また、加工内容についてもわからない点は積極的に質問し、作業手順書があるのかどうか質問したり、加工時に懸念される点なども伝えたりします。こちらの受注意欲を見せるだけでなく、具体的な懸念事項が挙げられるということは、加工検討の段階に入っているという事なので、頼めそうだという期待感を先方に持って頂けます。

お客様がまず最初に欲しい情報は見積もりではなく、頼めそうかどうかです。それをいち早く電話することで提供できるよう心がけています。

見積もり提出後の後追いについても決まったフローがあるのでしょうか?

見積もりを提出した後、必ず電話しています。いつぐらいに結果を聞かせて頂けるかを伺います。そして、その期日に結果確認の連絡をします。これも基本は電話です。自分の存在を印象づけられるようにしています。

見積もりを提出してそのまま後追いしていない会社も多いようですが、しっかり返事をもらうことで、情報収集もできますし、次に繋がる可能性もあるため非常に重要です。また、協力工場に見積もり依頼している場合は、そちらへの結果連絡も必ず行っています。

あと少し話がそれますが、印象づけという点で、トラブルがあったときにどれだけ素早く解決できるかはとても大切です。「あのトラブルの時には色々と対応してくれたね」と相手の印象に強く残ります。トラブルが無いに越したことはないですが、長年やっていればなにかしら起こるものです。しっかりとした対応をとることができていれば、自社とは関係ないような話も来るようになります。「困った時はこの人」という認識にまでなれば信頼関係は築けていると思います。

顧客接点を増やすために全部の案件に全力で取り組むのは大変では?

見積もりを全部、全力でやっていたら営業は時間が足りませんので、冒頭でお話したような、ヒアリングによる見定めが重要です。真剣に依頼先を探しているお客様かどうかを見極め、真剣に探しているお客様に注力するようにしています。お互いが本気になれるような案件が受注につながりやすいと考えています。

以上、野崎社長へのインタビューでした。受注率を高めるためには、顧客との信頼関係を構築することと、本気度を見極め、確率の高い案件に注力することだということが理解できました。今後も野崎社長へのインタビューを連載予定です。少しでも売上向上のお役立ちができれば幸いです。

この記事の執筆者
小林(井上) 正道
会社名:テクノポート株式会社
役職:取締役
【経歴】
製造業のWebマーケティング支援を15年以上。
製造業への訪問実績3000件を超える。
幅広い加工知識と市場調査をもとに、製造業の新規顧客開拓の支援を行う。

日本工業大学技術経営学修士号(MOT)
研究テーマ「Webを活用した用途開発マーケティング」

【専門領域】
製造業 × 企画コンサルティングスキル × Webスキル(SEO中心)

【寄稿実績】
・Webリニューアルが逆効果に? 問い合わせを減らさない製造業のサイト改革(MONOist)
・新規顧客が集まらない製造業のWebサイト、活用を阻む3つの壁(MONOist)
・技術PRのために最適なWeb戦略は何か、「アンゾフの成長マトリクス」の活用(MONOist)
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