テクノポートの廣常です。金型メーカーの新規開拓は、ほかの業種と比べても簡単ではありません。金型は製品品質や量産性に直結するため、発注側は実績のある取引先を継続して利用する傾向が強く、新しい外注先を頻繁に探すわけではないからです。また、金型メーカー各社が保有する設備や対応技術力には共通点が多く、差別化がしづらいという課題もあります。そのため、Webサイトを作ればすぐに多数の問い合わせが入る、と考えるのは現実的ではありません。
一方で、既存の取引先が廃業・倒産した場合や、仕事が集中してキャパシティを超えた場合、品質・納期・コストに問題が生じた場合など、発注側は新たな金型メーカーを探す可能性はもちろん考えられます。特殊形状や高精度品など、従来の取引先では対応できない案件が発生したときも同様です。こうした限られた発注機会に候補企業として見つけてもらうために、平時からWeb上に十分な情報を公開し、自社を見つけてもらう仕組みを作る必要があります。
本記事では、自社の強みを整理し、問い合わせや受注につなげるWeb活用の考え方を紹介します。
この記事の目次
金型発注者は何を求めているか
金型メーカーを選ぶ際、発注者が確認するのは価格だけではありません。図面の意図を理解できるか、難しい箇所や量産時のリスクを事前に指摘できるか、仕様・納期・品質を安定して守れるかといった点も重視されます。設備や加工精度が優れていても、サイト上での表記が曖昧であったりすると発注側は判断できません。反対に、対応可能な型の種類、材質、サイズ、精度、測定環境、製作の流れなどが整理されていれば、初めて相談する企業でも検討しやすくなります。
金型業界では、技術そのものに大きな差がないと見られることもあります。だからこそ、特別な技術だけで差別化しようとするのではなく、「何を、どのような体制で、どこまで対応できるか」を具体的に示すことが重要となります。
※詳細につきましては、金型の発注経験がある大手メーカー担当者の方にインタビューをさせていただいた内容がございます。こちらもぜひご参照ください。
自社の強みを認識するための3C分析
Webサイトで何を訴求するかを決める前に、自社・競合・顧客の3つの視点から強みを整理します。
【自社】自社の提供価値の整理

まずは、保有設備や加工技術だけでなく、対応できる金型の種類、サイズ、重量、材質、精度、納期、設計支援、試作、修理・改造、成形までの対応範囲を洗い出します。「高品質」「柔軟に対応」といった抽象的な言葉で終わらせず、具体的な数値や自社で持っている資源を改めて整理します。
【競合】同業他社の分析

自社で取り扱っている金型名等で検索し、上位サイトに記載している訴求内容をチェック
次に、営業現場で競合する企業と、Web検索で上位に表示される企業を確認します。どの技術や業界を訴求しているか、実績や設備情報がどこまで掲載されているかを比較することで、自社が補うべき情報や、競合が十分に伝えていない領域が見えてきます。
金型メーカーは単一の要素で差別化するのが難しいため、「大型対応×設計提案」「小ロット成形×金型修理」「特定材質の知識×量産を見据えた検証」のように、複数の要素を組み合わせて自社の特徴をつくることが有効です。
【顧客】顧客評価の見直し
問い合わせ分析表のイメージ
既存顧客に選ばれている理由も重要な材料です。技術力だと思っていたものが、実際にはレスポンスの速さ、相談のしやすさ、トラブル時の対応、納期の安定性などに評価されている場合があります。
過去の問い合わせや受注・失注案件を見直し、どの業界から、どのような条件で相談が来ているかを整理すると、自社が市場から求められている価値を把握しやすくなります。
市場へのアプローチ
強みを整理した後は、どの市場へ届けるかを検討します。ひとつは、既存技術を新しい業界へ展開する方法です。対象業界での実績がなくても、近い材質、形状、精度、量産条件の実績を示すことで、相談につながる可能性があります。
もうひとつは、既存市場に対して提供範囲を広げる方法です。金型製作だけでなく、設計支援、試作、成形、メンテナンス、修理・改造まで対応できれば、発注側の手間を減らし、相談の入口を増やせます。
特に他社製金型の修理や、既存取引先のキャパシティ不足を補う対応は、新規取引を始めるきっかけになり得ます。最初は限定的な案件でも、対応を通じて信頼を得ることで、次の金型製作へ広がる可能性があります。
受注につなげるWebサイト活用
①集客:サイトへのアクセスを増やす仕組みづくり
Webサイトは、公開しただけでは見つけてもらえません。発注者が検索する型の種類、材質、成形方法、製品用途、地域、修理内容などを踏まえ、テーマごとにページを用意する必要があります。
たとえば「射出成形金型」だけでなく、「透明樹脂 金型」「プレス金型 大型」「金型製造+地域名」など、具体的な課題や条件に合わせた情報を増やすことで、発注先を探している人との接点をつくれます。
②訴求:訪問者に伝わるコンテンツ制作
アクセスを集めても、自社の対応力が伝わらなければ問い合わせにはつながりません。掲載したいのは、設備一覧だけではなく、その設備や技術を使って何を実現できるかという情報です。
有効なコンテンツの一つが、金型からできあがる成形品や加工品の写真です。金型単体の写真だけでは、発注者が難易度や用途を判断しにくい場合があります。完成した製品の写真とあわせて、材質、サイズ、形状上の課題、精度、工夫した点、量産時の効果などを紹介すると、技術の価値が具体的に伝わります。
機密上、製品全体を公開できない場合でも、一部を加工した写真、類似サンプル、模式図などで見せる方法があります。重要なのは、「製作できます」と伝えるだけではなく、実績と根拠を示し、相談後の対応をイメージできる状態にすることです。
テクノポートのWebマーケティング支援サービス
テクノポートでは、金型メーカーを含む受託加工業の自社分析、競合調査、Webサイト企画、コンテンツ制作、SEO対策、運用改善まで一貫で支援しています。前述の通り金型の新規発注が発生する機会は多くありませんが、発注側が新規依頼先を探したその瞬間に、自社の情報が見つかり、技術や対応範囲を理解してもらえる状態をつくっておけば、Webから受注を獲得できる可能性は十分にあります。短期的な問い合わせ獲得の道具としてだけでなく、将来の発注機会に備えて信頼を蓄積する営業資産として整備していくことが大切です。
金型メーカー様支援事例
【プレス金型】長野サンコー様:Webマーケティングでは難易度の高い量産案件の受注に成功
公開させていただいている事例以外にも、射出成形金型・ゴム成形金型・MIM金型など、幅広い金型分野での支援実績がございます。自社の強みの整理や、必要な施策の精査からサポートさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。


