テクノポートの廣常です。建設材料(建材)や建設用工具の業界は、長年の取引関係や商社・代理店を通じた商流が中心で、製造業のなかでもWebマーケティングの導入が比較的緩やかな傾向が見られていました。一方で近年では、ゼネコンや設計事務所の技術者・設計者がWebで工法や材料の情報を集め、比較したうえで問い合わせる流れが広がってきていると感じています。2026年現在では、生成AIに「〇〇の代替工法は?」などと尋ねて候補を探すユーザーも出てきており、自社の技術情報をWeb上に整えておく重要性は一層高まっています。
この記事では、工場、倉庫、商業施設、インフラなど非住宅分野の建設材料・工具を扱うBtoBメーカー様に向けて、新規顧客開拓につなげるWebマーケティング施策の考え方をご紹介します。
この記事の目次
建設部材業界の特徴
建材・工具メーカー様の支援をさせていただいているなかで、建設部材業界におけるマーケティングには次のような特徴があると考えています。
・従来工法・材料からの切り替えハードルが高い
・決裁者ではなく「技術者・設計者」が意思決定の起点になる
・一度仕様書に入れば継続的な採用につながりやすい(スペックイン)
従来工法・材料からの切り替えハードルの高さ
自動車や機械製造などの工業系分野では、新しい製品や素材があればサンプルを取り寄せて試験し、導入を検討するという動きが比較的活発に見られます。一方で建築・土木分野ではそうした新工法導入へのハードルが高く、実績のある従来工法が優先されやすい傾向にあります。
そのためWebマーケティングでは、商材の特長だけでなく、「(材料や工法を)切り替えても問題ない」と判断してもらえる根拠を示すことが重要となります。
決裁者ではなく「技術者・設計者」が意思決定の起点になる
建材の採否は、購買部門や経営層よりも、設計事務所の設計者やゼネコンの技術者の方の判断を起点に決まることが多いように見受けられます。工具についても同様に、実際に現場で使う方の評価が導入を大きく左右します。
そのためWebサイトでも、イメージ訴求より技術者の方が比較・検証に使える情報を中心に据える必要があります。
一度仕様書に入ればほぼ継続的に採用が決まる(スペックイン)
設計図書や特記仕様書に製品が記載されればその物件での採用がほぼ決まり、次の物件でも同じ仕様が引き継がれることも少なくありません。一度スペックインすれば継続的な採用につながりやすい点は、建材ならではの特徴ではないでしょうか。
反対に、設計図書が固まった後の見積り・入札の段階から関わる場合は、仕様も採用条件もすでに決まっており、提案できる余地は価格と納期に限られがちです。同じ図面が複数社に渡るため、価格の比較になりやすい傾向があります。設計が固まる前の早い段階でアプローチするために、設計者自身が情報を探す場面で自社を見つけてもらえるWeb上の仕組みが有効です。
建材(非住宅資材)の拡販に向けたWebマーケティング施策
こうした特徴を踏まえ、建材・工具メーカー様が取り組むべき施策を「①集客」「②訴求」「③問合せ促進」の3段階に分けてご紹介します。
① 集客 顕在層・潜在層それぞれへのアプローチ
建材のWebマーケティングでは、主に次の2つのターゲットを想定します。
- ゼネコン・設計事務所:製品を選定し、仕様書に記載する技術者・設計者
- 施主:工場・倉庫・商業施設などのオーナーや施設管理の担当者

建材・工具の購買フローマップ
購買までの流れを「前半(潜在層)」と「後半(顕在層)」に分けてみると、段階ごとに有効な集客手段が異なります。
前半は広告などを活用しながら自然な認知を広げ、後半は具体的な検索で見つけてもらう、という役割分担で接点をつくります。
前半:自然に目に触れる施策で認知を獲得する
購買フローの前半にいるのは、「緊急の必要性はないが、良い製品があれば乗り換えたい」という層です。差し迫った課題がないため、自ら検索するといった能動的な行動は起こりにくいのが特徴です。
この層には、ディスプレイ広告や業界専門メディアへの出稿など、情報収集中に自然と目に触れる施策が有効です。建設業界向けのニュースサイトや技術情報サイトを閲覧している技術者の方に広告が届けば、製品を知ってもらうきっかけになります。
ただし施主向けの場合は、一般消費者の流入に注意が必要です。例えばBtoB向け吸音パネルであれば、オフィスの会議室や学校向けの需要がある一方、ホームシアターや楽器演奏のために個人の方が調べるケースも多くあります。配信先を法人向けメディアに絞る、「工場」「倉庫」「オフィス」など明確に用途を示す語と組み合わせるといった絞り込みが必要となります。
後半:課題名・代替工法名でのSEO対策
購買フローの後半になると、劣化や規制対応、コスト削減などの課題が具体化し、具体的に解決策を探し始める段階に入ります。ここでは、SEO対策やAI検索対策によって、検索結果や生成AIの回答で自社製品が見つかる状態をつくっておくことが重要です。
その際、製品名や機能名だけでなく、抱えている課題や工法の名前でも見つけていただけるよう対策するのがポイントです。
■ 課題・トレンド
法改正や社会的な関心の高まりによって生まれる課題を切り口にする方法です。例えばアスベスト含有建材の除去では、規制の強化を背景に、粉じんを飛散させない工法や工具へのニーズが高まっています。こうしたトレンドに合わせたコンテンツを用意しておくと、工法を調べている施工会社や設計者の方との接点をつくれます。
検索語句例:「アスベスト 除去 工法」「床 防塵 対策」「会議室 反響音 対策」
■ 競合工法・代替工法
従来工法の名前で情報を探しているユーザーに、代替手段として自社製品をご提案する方法です。自社製品が選択肢に入っていない(存在に気づいていない)方とも接点をつくり、検討の幅を広げてもらうことを狙います。
対策例:騒音や振動が問題になる従来工法でのコンクリート穿孔を検討しているユーザー
→ 「低振動・低騒音で穿孔できる〇〇(自社製品)」と銘打ち、従来工法との違いを解説するコンテンツを用意する
② 訴求 技術者に合わせた情報提供
集客した技術者・設計者の方に採用を検討してもらうには、社内や施主へ説明できるだけの判断材料を用意する必要があります。仕様や基準のチェックが他業界よりも厳しい建築分野では、「良さそう」という印象だけで候補に残るのは難しいでしょう。
技術的な判断材料
- 従来工法との比較データ:強度・耐久性・施工時間・コストなどを、従来工法と同じ条件で比較したデータです。切り替えの根拠として最も求められる情報です。
- CAD/BIMデータ:図面にそのまま取り込めるデータを用意すると、設計段階での採用ハードルが下がります。
- 技術仕様書・施工要領書:仕様書への記載や施工計画の作成に使える資料を、ダウンロードできる形で掲載します。
工具や建設機械の場合は、損料やレンタル費用と比較できるよう、耐用年数や維持費の目安を示しておくことも、検討を後押しする材料になります。
第三者からの承認
メーカー自身の説明に加えて、客観的な裏付けとなる情報も掲載します。
- 取得している認証や、JISなど各種規格への適合状況
- 導入実績(施工事例、納入先の業種や物件種別)
- NETISへの登録有無
③ 問合せ促進 技術者との接点強化
建材は検討期間が長く、情報収集の段階でいきなり見積りを依頼されるケースは限られるかと思います。問い合わせフォーム以外の接点も用意し、検討の初期段階から関係をつくっておくことが有効です。
- 製品説明ウェビナー
製品の特長や施工方法、採用事例をご紹介し、参加者の質問にその場で回答します。設計事務所向けに、設計時の注意点に絞った回を設けるなど、ターゲットをある程度絞り込むことも効果的です。 - 体験機会の提供
サンプル提供や施工デモ、実験施設の見学など、実物に触れてもらう機会を用意します。切り替えのハードルが高い建材だからこそ、実物を確かめられることが検討の後押しになります。
建材のWebマーケティングはテクノポートへ
当記事では、建設材料(非住宅資材)・工具業界の特徴と、新規顧客開拓に向けたWebマーケティング施策の考え方をご紹介しました。
建材・工具は従来工法からの切り替えハードルが高く、技術者・設計者が意思決定の起点になるという独自の商習慣があります。一方で、一度スペックインすれば継続的な採用につながりやすいため、設計段階の早い時期から技術者との接点をつくれるWebマーケティングは、非常に相性の良い活動です。
弊社テクノポートでは、製造業に特化したWebマーケティング支援を行っております。建材・工具の拡販に向けた集客施策やWebサイトの改善にお悩みの方は、ご相談だけでもお気軽にお問い合わせください。