テクノポートの井上です。コロナ禍の影響により、製造業界の営業手法として、Webサイトの活用に注力する企業が非常に増えてきました。しかし、サプライヤー企業の中には、今まで営業に力を入れておらず、いざWebマーケティングに取り組もうとしても自社の強みや打ち出し方がわからないというお話しもよく聞きます。
今回は、自社の特徴を理解し、対策キーワードの選定にも役立つ事業内容の細分化方法について切削加工業者を例に紹介します。
この記事の目次
自社の事業内容を細分化する
自社分析を行うためには、いきなり強みや弱みがどこなのかを探すのではなく、自社が持っている経営資源の整理が必要です。整理した内容をもとに、市場や競合と照らし合わせて初めて自社の強みが見えてきます。
まずは「うちの会社ってこんな会社だよね」という現状を理解することが最初のステップです。そのために事業を細分化していきます。下記で考察すべき項目を紹介します。
加工方法
フライス・旋盤・ワイヤーカット・研削など自社で対応している加工方法を記載します。具体的に、5軸加工機、複合旋盤などをより詳細な情報を記載したほうがよいです。
対応サイズ
マシニングの最大テーブルサイズや高さ、旋盤の最大径・長さなどを挙げます。径によって長さも変わるため、いくつか例をあげるとよいです。
微細加工が得意な会社もありますので、最小径、微細穴寸法などもここに含まれます。例えば、微細穴は細さと深さの比率が重要なので、アスペクト比がどれぐらいかもわかるとよいでしょう。
加工材質
加工材質はとても重要です。探し手が「材質名+加工」というキーワードでよく検索されています。
そのため、対応できる材質を列挙し、特殊な材質での実績がないかも確認するとよいでしょう。普段削っている材質が他社ではあまり取り扱っていないということも稀にあります。
加工製品
完成品を作っているわけではないので、部材名を挙げていきます。例えば、シャフト、フランジ、チャンバー、マニホールドブロックなどの切削で作っているであろうものです。
何に使われているかわからなくても、図面などを見れば部品名は確認できます。自社がどのような製品をよく作っているのかも記載するとよいでしょう。
業界
どのような業界に携わっているかを掲載します。携わっている業界によっても、作る加工製品の傾向や会社の特徴があります。
生産体制
小ロットや試作が得意なのか、それとも量産なのか、量産ならば定義がどれぐらいなのかも記載します。コストメリットが出しやすいボリュームがどれぐらいなのかも具体的にわかるのが望ましいです。
他にも、一貫体制などの切削+表面処理+組み立て等のユニット対応や、切削+溶接などの複合提供などの可否を記載します。
Q・C・D
意外と比較しづらく、PRがしにくいのがQ・C・Dです。高品質・低コスト・短納期対応を掲げている会社は非常に多く、言葉が当たり前になってしまっています。
数値で表すことも難しく、キーワードの選定候補として使いづらいです。ただ、特徴を考えることは大事なので、「高品質」「低コスト」「短納期」の3つで優先順位をつけてもよいでしょう。
地域
取引商圏としてどこを見ているかを記載します。例えば、重量物の場合、近場での取引がメインとなるため、地域を絞ることがあります。
細分化した表をもとに特徴を見出す
以上のような項目で表を作成したら、この表は、自社にどのような特徴があるのかを見つけていきます。
特徴を見出すということは、事業内容を他と比較して違いを見つけることです。そのためには、ユーザーからの視点で意見をもらうことがおすすめです。社内で議論しても比較するための競合他社の情報が少なく、他社との違いを見出だすことはなかなか難しいでしょう。その細かな違いの組み合わせがどのような市場に対して強みとなるか、第3者に意見をもらいながら、PRする方向性を模索する必要があります。
表を見せることによって、「A社さんはこういう加工得意だよね」「この設備持ってる所少ないから助かってるよ」など意見がもらえたり、中には「A社さんこの加工やってたんだ」と気付いてもらえることもあります。
また、弊社のようなものづくり専門でWebマーケティングを行っている会社も、何千社と製造業者を見てきたため、違いを見つけ出すことが得意です。
Web上での市場調査、競合分析
ある程度自社の特徴がわかってきたら、次はWeb上でのキーワード調査から市場分析、競合分析を行い、戦略を組み立て、対策キーワードの選定を行います。
その方法についてこちらで詳しく説明しています。
「製造業WebサイトのSEO 〜対策キーワード選定3つのポイント〜」
サプライヤー企業がWebマーケティングで最初にするべき取り組みについて紹介しました。参考にしていただければ幸いです。