Webサイトのアクセスを増やすための方法として当たり前となったSEO対策ですが、対策に力を入れれば入れるほどWebサイト運用の本来の目的であった「新規顧客の獲得」ではなく、検索上位表示が目的化してしまっているケースが多いように感じます。目的を見誤ってしまうと、Webサイトが手間ばかりかかって売上を稼げない「ダメ営業マン」のようになってしまいます。
弊社が今までに関わったWebサイトの中にも、月間のアクセスが2000~3000件あっても数万円しか売上をあげることのできない効率の悪いWebサイトもあれば、月間アクセス300~400件であっても毎月数百万円を稼ぎ出す高効率なWebサイトもあります。
この両者の違いはなんでしょうか?今回は、後者を目指すために「どのようにSEO対策キーワードを選定するべきか」について書きたいと思います。
この記事の目次
SEOキーワード選定3つのポイント
弊社では、売上向上のためのSEOキーワード選定を行う上で、下記の3つの点に気をつけております。
- アクセスが稼げるか ・・・ 検索需要が大きく、競合サイト数が少ない
- コンバージョンする(問い合わせに繋がる)か ・・・ 仕事につながるキーワードかどうか
- 自社の強みと合致するか ・・・ キーワード検索した際に、自社の強みは他社よりも優位性があるか
1、アクセスが稼げるか
当たり前ですが、アクセスを稼ぐには検索エンジンで上位表示されなければなりません。特に中小製造業者が狙うような、検索需要が少ないニッチキーワードで対策を行う場合、検索結果の1ページ目に表示されることが絶対条件になります。
なぜなら、1ページ目と2ページ目とでは圧倒的に見られる確率が違ってくるからです。ある調査データでは2ページ目に表示されたWebサイトがクリックされる確率は1%を下回ってきます。冒頭にアクセスが少なくても売上を稼ぐWebサイトの例をお話しましたが、当然最低限のアクセスは確保しなければなりません。
アクセスを稼ぐキーワードを選定するために、まずはキーワードの候補を見つけなければなりません。キーワード候補の洗い出しについては、3C分析というフレームワークを使うのが最適です(下図参照)。
以前に3C分析に関しての記事を執筆していますので、詳細はこちらをご参照下さい。
また、MFTフレームワークというフレームワークを使うこともオススメです(下図は非破壊検査装置を販売するWebサイトの場合の例)。
こちらも以前に記事を執筆していますので、こちらもご参照下さい。
洗いだしたキーワードの中から「アクセスを稼げるか」を下記の順番で評価していきます。
①キーワードプランナーで検索需要を調べる
Googleが提供しているキーワードプランナーというツールがあります。こちらのツールを使って各キーワードの検索需要(月間に何回そのキーワードで検索が行われているか)を調べます。
②検索エンジンで競合サイト数を調べる
検索エンジン(Googleを使ってください)で各キーワードを検索した際に、競合サイト数が何件あるかを調べます。
③1ページ目に表示されるページをいくつかチェックする
1ページ目に表示される検索結果が、自社が狙っている内容と剥離がないかチェック調べます。同音異義語や、同じような意味でも少しニュアンスが違う場合は、別の角度からのアプローチを考えなくてはいけません。
典型的な例で「板金」というキーワードで検索した場合、検索結果にはレーザーやベンダーを使う「製造業の板金加工」ではなく「車の板金」の結果がほとんどを占めます。需要と供給のバランスがいくら良くても、意味が違うキーワードでは上位表示ができません。上記の例でいれば「板金+精密」「板金+レーザー加工」「板金+曲げ」などいくつかの組み合わせも視野に入れてください。
④検索需要と競合サイト数を見比べ、キーワードを評価する
中小企業のWebサイトであれば、1キーワードに対して検索需要が100件以上あれば十分だと考えています。なお、競合サイト数は100万件以下がおススメです。競合サイト数が多すぎると、検索需要が多いキーワードでも上位表示されるまでほとんどアクセスを稼ぐことができず、即効性がありません。
2、コンバージョンする(問い合わせに繋がる)か
2つ目のポイントは「本当にそのキーワードでアクセスが増えたら問合せが増えるのか」という疑問です。
弊社のお客様にも「アクセスが多いのに問合せが全然来ない」という悩みを抱えている方がたまにいらっしゃいます。なぜ、アクセスしてきているのに問合せをしないのか?考えられる原因は二つあります。
①抽象度の高いキーワード
例えば「金型」というキーワードは抽象度が高いと言えます。なぜなら「金型」と検索してくるユーザが「プレス加工用の金型」を調べているのか、「樹脂成形用の金型」を調べているのか分からないので、アクセスされたとしても問合せに至りにくい、問合せが入ったとしても的外れとなってしまいやすいからです。
②情報収集に使うキーワード
検索ユーザは「仕事を依頼する取引先を探すため」に検索エンジンを使うだけではなく、単に「情報収集を行うため」に検索エンジンを使うことも多々あります。ニッチキーワードを見つけることはとても重要ですが、専門的な用語になりすぎると「その言葉の意味」を調べているケースも多くなります。その場合、前述したMFT フレームワークを使い、情報を整理する必要があるでしょう。
3、自社の強みと合致するか
これを調べるためには、対策したいキーワードで検索した時に1ページ目に表示される競合サイト(会社)を何社かピックアップします。ここでピックアップした会社は、実際にユーザがアクセスしてきた際に比較検討を行う可能性が非常に高い会社となります。これらの会社と自社とを比較した際に優位性が発揮できるかどうかが評価軸となります。
気をつけて頂きたいのは、顧客のニーズはどのようなものかを理解した上で自社と他社を比較することです。顧客が求めていないもので争っても何の意味もありません。
KPI(重要評価指標)を設定する
3つのポイントは理解できましたでしょうか?この3つのポイントはそれぞれKPIとすることができます。
- アクセスが稼げるか → KPI:アクセス数
- コンバージョンする(問い合わせがある)かどうか → KPI:アクセス数に対する問合率
- 自社の強みと合致するか → KPI:問合せ数に対する受注率
この3つのKPIを追うことで、対策しているキーワードの何が悪いのかを3つの評価ポイントを前提に分析することができます。また、下記のようにどの指標が悪いかによって、対処法が異なります(対処法は一例です)。
アクセスが稼げていない場合
まずは対策キーワードで上位表示ができているかを確認します。上位表示できているのにアクセスが稼げていない場合は、①クリック率(クリック数/表示数)が悪いか、②キーワードの検索ボリュームが低い、のどちらかが原因です。
①の場合はタイトルや説明文の見直し、②の場合は違うキーワードで対策を行う、などの対処法が考えられます。
コンバージョン率(問合せ率)が悪い場合
ランディングページ(検索してから初めに閲覧するページ)の直帰率が高く、他ページへの遷移ができていない場合が多いです。ランディングページの内容を見直したり、他ページへ導線するような仕掛け(バナーを設置するなど)を考えてみましょう。もしくは問合せフォームの項目が多かったり、入力しにくいなどが影響している場合もあります。フォームを一度見直してみましょう。
受注率が悪い場合
営業体制が整っていない(メール返信や見積り提出が遅い、など)場合も多いですが、訪問ユーザのニーズと貴社が売り出したい強みにズレが生じている可能性があります。この場合は手間ですがイチから戦略(企画)を見直してみた方が良いかもしれません。
KPIの設定はキーワードを設定した後に行う分析の話になりますが、公開後の運用も踏まえてキーワードを選定することも大事かと思いましたので、最後に記載させていただきました。
また、Webマーケティングに関する手法をまとめた記事やWebサイト制作時における企画手法をまとめた記事もございますので、こちらもご参照ください。