カスタマージャーニーの作り方をBtoB製造業向けに解説|設計で失敗しない進め方

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BtoB製造業でカスタマージャーニーを作ろうとしても、一般的なテンプレートをそのまま当てはめるだけでは、実務で使える設計になりにくいものです。製造業の商談は検討期間が長く、技術部門・調達部門・現場担当者・決裁者など、複数の関与者が登場します。さらに、Webサイトの閲覧、資料請求、展示会、問い合わせ、営業商談といった接点が連続しており、単純な一直線のプロセスとしては整理しきれません。

そのため、BtoB製造業におけるカスタマージャーニーの作り方では、顧客の行動を並べるだけでなく、各フェーズで何を比較し、何に不安を感じ、どの情報が意思決定を後押しするのかを整理することが重要です。本記事では、BtoB製造業向けにカスタマージャーニーの作り方を解説し、設計で失敗しない進め方を実務目線でまとめます。

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BtoB製造業でカスタマージャーニーの作り方を考える前提

BtoB製造業では機能的価値と複数関与者を踏まえて設計する

BtoCでは感情や体験価値が重視されやすい一方、BtoB製造業では機能・品質・納期・供給体制などの評価軸が重視されやすい傾向があります。たとえば、精度、品質、加工対応範囲、納期、安定供給、技術サポート体制など、比較検討の軸は比較的明確です。しかも、情報収集を担う担当者、仕様を確認する技術者、価格や契約条件を見る購買担当者、最終判断を行う決裁者では、必要とする情報が異なります。

この違いを無視して一人の人物だけを前提にマップを作ると、現実の検討プロセスとずれやすくなります。BtoB製造業でカスタマージャーニーを作るときは、顧客企業の中に複数の視点があることを前提に、少なくとも主担当者と意思決定に関わる立場の違いを意識して整理することが欠かせません。

BtoB製造業のカスタマージャーニーに関わる担当者、技術者、購買、決裁者の関心事項を示した図

カスタマージャーニーの作り方で押さえたいBtoB製造業の特長

検討期間が長く、関与者が多い

製造業のBtoB商材は、すぐに購入が決まるケースばかりではありません。新規設備の導入、加工先の見直し、部材変更、試作依頼などは、情報収集から比較検討、社内調整、見積取得、最終決定までに長い時間がかかることがあります。この間、顧客は検索エンジンで情報を探し、メーカーサイトや技術資料を読み、導入事例を確認し、必要に応じて問い合わせや打ち合わせへ進みます。

このような長期検討型の商材では、複数の接点を経て比較検討が進むことが多く、各段階で必要な情報を提供できるかどうかが重要です。ジャーニー設計では、短期的なコンバージョンだけでなく、検討を前進させる中間接点まで含めて考える必要があります。

案件ごとに比較ポイントが変わりやすい

同じ会社であっても、案件の種類によって比較軸は変わります。試作案件では対応スピードや技術相談のしやすさが重視される一方、量産案件では品質の安定性、コスト、供給体制が重視されることがあります。装置導入なら、性能だけでなく保守体制や既存設備との相性も判断材料になります。

そのため、カスタマージャーニーを作る際に対象を曖昧にすると、誰にも刺さらないマップになりがちです。まずは代表的な案件類型を絞り、その案件で顧客がどのような基準で比較するのかを明確にすることが大切です。

Web接点と営業接点を分けて考えにくい

製造業では、Webで集めた情報がそのまま営業商談の下地になることが少なくありません。たとえば、検索経由で技術コラムを読み、製品ページを見て、資料をダウンロードしたあとに問い合わせへ進む流れです。さらに、営業との打ち合わせ後に、顧客が再びWebサイトで仕様や事例を確認することもあります。

つまり、カスタマージャーニーはWeb担当だけで完結するものでも、営業だけの管理資料でもありません。オンラインとオフラインが連動する前提で設計し、どの接点でどの情報を渡すべきかを整理する必要があります。

カスタマージャーニーの作り方の前に整理したいこと

誰の行動を軸にカスタマージャーニーを作るか決める

最初に決めたいのは、誰の行動を軸にジャーニーを描くかです。製造業BtoBでは、実際に情報収集を進める担当者を主軸にすることが多いものの、技術確認や決裁の観点を補助線として持っておくと、実務で使いやすくなります。最初から全関与者を一枚に詰め込むと複雑になりすぎるため、主担当者を中心にしつつ、フェーズごとに関与者の変化を書き添える方法が現実的です。

どの案件・商材を対象にカスタマージャーニーを作るか決める

次に、どの商材や案件を対象にするかを絞ります。自社の全商材を一つのマップで表そうとすると、課題も行動も判断基準も散らばってしまいます。まずは引き合いを増やしたい主力商材や、営業との連携改善が必要な案件を対象にすると、施策へ落とし込みやすくなります。

製造業BtoBにおける案件類型別の比較ポイント一覧

どこまでの行動・接点を可視化するか決める

ジャーニーの範囲も事前に決めておく必要があります。認知から問い合わせまでを見るのか、商談化から受注前後まで含めるのかによって、必要な情報は変わります。SEO施策や資料導線の改善が目的なら、検索から問い合わせ前後までを重点的に可視化するのが有効です。一方、営業フォローやナーチャリング改善まで視野に入れるなら、問い合わせ後の比較検討や社内稟議の段階まで含めて整理すると活用しやすくなります。

カスタマージャーニーの作り方で失敗しないための注意点

担当者と決裁者を同じ流れでまとめてしまう

よくある失敗は、担当者と決裁者の行動や判断基準を一つの流れとしてまとめてしまうことです。担当者は技術的な適合性や比較のしやすさを重視していても、決裁者は投資対効果や供給リスクを見ているかもしれません。この違いを無視すると、必要なコンテンツや営業資料の優先順位を誤りやすくなります。役割が異なる相手には訴求すべき情報も変わる、という前提で整理しましょう。

接点を並べるだけで判断材料まで整理できていない

カスタマージャーニーは、「検索した」「サイトを見た」「問い合わせた」といった行動の列挙だけでは不十分です。重要なのは、その時点で顧客が何を知りたいのか、何に迷っているのか、どの情報が次の行動につながるのかです。たとえば、比較検討の段階では、製品スペックだけでなく、導入事例、加工実績、品質保証体制、相談のしやすさなどが判断を左右します。行動と心理、必要情報をセットで整理することが、実用的なジャーニーにつながります。

カスタマージャーニーの各フェーズごとの課題と必要情報を示す表

作成目的が曖昧で施策に活かせない

もう一つの失敗は、きれいな図を作ること自体が目的になってしまうことです。カスタマージャーニーは、SEOコンテンツの企画、資料の見直し、問い合わせ導線の改善、営業フォローの設計といった施策につながってこそ意味があります。作成前に、何を改善するために作るのかを明確にし、完成後にどの施策へ反映するのかまで決めておくことが重要です。

使えるカスタマージャーニーにするための見直し方

フェーズごとに必要な情報が整理されているか確認する

見直し時には、各フェーズで必要な情報が過不足なく整理されているかを確認します。認知段階では課題啓発型のコンテンツ、情報収集段階では技術解説や選び方、比較検討段階では事例や仕様情報、問い合わせ前後では見積もりや対応体制に関する情報が求められやすくなります。フェーズごとの情報提供がつながっているかを確認することで、コンテンツの抜け漏れが見えやすくなります。

営業とマーケが共通認識を持てる内容か確認する

ジャーニーはマーケティング部門だけの資料ではありません。営業が実際に受ける質問、失注理由、比較されやすいポイントを反映できているかが重要です。営業とマーケが共通認識を持てる内容になれば、Web上で出すべき情報と商談で補うべき情報の役割分担が明確になります。作成後は、営業担当者や技術営業担当者にも確認してもらい、現場感覚とのずれを修正すると精度が高まります。

次のコンテンツ施策や営業フォローに落とし込めるか確認する

最終確認では、マップの内容が具体的な施策に変換できるかを見ます。たとえば、検索初期の課題に対してはSEO記事、比較検討には導入事例やFAQ、問い合わせ後には個別提案資料やフォローメールというように、接点ごとの施策へつなげられる状態が望ましいです。ジャーニーを作ることと、施策の優先順位を決めることを切り離さないようにしましょう。

カスタマージャーニーとコンテンツ施策および営業フォローの対応関係を示す図

【BtoB製造業向け】Webマーケティング支援サービス

カスタマージャーニー設計をWeb施策の改善につなげたい方へ

BtoB製造業では、顧客理解が曖昧なままコンテンツや導線を増やしても、問い合わせや商談化に結びつきにくいことがあります。重要なのは、顧客の検討プロセスを整理し、各フェーズで必要な情報と接点を設計したうえで、SEO、資料設計、導線改善、営業連携へつなげることです。

カスタマージャーニーの作り方に悩んでいる場合は、まず対象商材と顧客像を絞り、現場の営業情報も踏まえながら、実際に施策へ転換できる形で整理することが重要です。自社だけでの設計が難しい場合は、製造業BtoBの商談構造を理解した支援会社に相談することで、より使えるマップを短期間で整えやすくなります。

この記事の執筆者
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