加熱する製造業のオンライン営業

【執筆者紹介】野口 幸嗣
この記事の執筆者
野口 幸嗣
現役CAE工学エンジニア、工業系技術ライター
執筆テーマ:工業・製造業系の技術情報やCAEなど
【経歴】
工学部大学院を卒業後、精密機器業界で信頼性や材料評価、CAEエンジニアとして勤務。工業系に特化したライターとして活動中。計算力学技術者固体1、2級及び技術士補。
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製造業勤務、機械系エンジニアライターの野口です。コロナ禍で直接お客様に会う機会が減り、営業や販促のやり方に悩んでいませんか?実際、対面式からWeb展示会やWeb会議、企業ホームページからの情報収集と製品導入までの営業プロセスは劇的に変化しています。この記事では、コロナ禍におけるオンライン営業の方法や顧客に伝えたい情報、今後強化したいマーケティングについて解説します。

コロナ禍による営業形態の変化

オンライン営業とは自社ホームページやメールマーケティング、外部広告などを通じて行うデジタルマーケティングのことです。コロナ禍により、オンライン営業のニーズは高まっています。

コロナ禍では自社ホームページの充実が求められています。なぜなら、コロナ禍では、営業・販促形態がリアルからWebへと変化しているからです。例えば、従来の技術展示会は感染防止のため、参加者は9割減少しています。さらに顧客も外出を控えており、直接会う時間が激減しているのです。このような中、アンケートによると5割以上の製造業界の営業・販促担当者は「自社ホームページからの製品の問い合わせ」が商談につながると答えています。

一方で製造業の社員に対する調査結果では、企業ホームページからの情報が製品導入検討の決め手と回答しています。また、6割以上の企業はコロナ禍の影響により、「ホームページの機能や内容の見直しを実施・予定」というような回答結果もあります。

つまり、コロナ禍により人と直接会う機会が減った結果、製品の営業形態はインターネットを通じたオンライン営業へと変化しているのです。

オンライン営業で顧客に伝えたい情報3選

コロナ禍における情報収集は展示会からホームページへと変化し、自社ホームページからの問い合わせが製品導入につながる可能性が一番です。では、ホームページのコンテンツ作りは、どのような情報が求められるのでしょうか。

導入事例のコンテンツ

ホームページには導入事例のコンテンツページは最重要です。これは商品検討時の最大の決め手になるためです。製造業社員に対するアンケートの結果、実に66%以上の人は実際の導入事例のコンテンツが製品導入の検討にあがる際の決定打と答えています。そのため、他社への実績がわかれば、自社への効果を見定められるでしょう。

製品の説明コンテンツ

製品の詳細説明も大切です。導入事例のコンテンツと同じく62%以上の人が製品導入の検討にあがると答えています。製品に対する説明が詳細であればあるほど、自社に活用できるか判断できるのでしょう。また、性能や価格の差といった他社との比較表は社内判断の助けになるとの調査結果も報告されています。これらのことから、製品の魅力や他社製品との差別化がホームページから理解できると導入検討へとつながることが読み取れます。一方で、製品の説明不足は検討から外れる要因です。自社に合っているかを判断しにくいからと考えられます。顧客に対して公開できる範囲での情報提供が鍵になるでしょう。

製品の導入・維持費

商品の検討時期では実費や維持費用など、運用面での定量的な費用も載せておきたい内容です。製品の検討から遠のく最大の理由が「実際にかかる金額が不明」と報告されています。製品導入や維持に発生する費用があいまいであると、社内における検討材料になりにくいためです。もちろん、ホームページに記載しきれない内容もあるでしょう。しかし、お客様に検討してもらうためには、定量的な情報の提供も必要です。

オンライン営業で強化したいマーケティング分野

2社の調査結果を基にすると、自社ホームページの機能更新や内容の充実がオンライン営業における鍵になります。また、製造業の社員の7割は、コロナ収束後もWebからの情報収集は製品導入検討の決定打になるとも回答しています。

これらのことを考慮すると、これからも製造業のオンライン営業は必要不可欠になるでしょう。

問い合わせ率を向上のために訴求力を高める施策

顧客に興味をもってもらうには、製品の付加価値の伝え方が大切です。そのためには、自社ホームページのコンテンツの充実が有効になります。例えば、文章による製品の詳細説明や事例紹介、動画コンテンツの提供が有効でしょう。自社製品の魅力が伝わるコンテンツ製作が重要です。

より多くの顧客に見てもらうための施策

アクセス解析ツールの導入やSEOも必要不可欠です。なぜなら、顧客に自社のコンテンツページを閲覧してもらわなければならないからです。そのためには、ホームページへの流入経路の把握や検索エンジンの上位に表示される工夫が求められます。もし、SNSからの流入が多いのであれば、SNS強化の戦略をたてられます。また、検索エンジンの表示順位が低ければ、SEOによる改善が見込まれます。このように、自社コンテンツを閲覧してもらう施策も実施していきましょう。

能動的にお客様に情報を発信する施策

メールマーケティングによる営業も効果的です。企業から積極的に製品の魅力を伝えられるからです。さらに見込み客の購買意欲をメールマガジンによる情報発信で育成できます。日頃からの情報発信は顧客との関係性の維持・向上となり、商談へとつながるものです。メールマーケティングは能動的に情報を発信できるため、顧客との良好な関係性を作り出す有効な手法になります。

まとめ

コロナ禍における製造業のオンライン営業について紹介しました。営業方式は対面からWebへと変化していく中、顧客が目を引くホームページやコンテンツ作り、購入につながる導線の構築など、オンラインでのマーケティング強化が急務になると予想されます。コロナ禍における緊急事態に対応するためにも、オンライン営業を強化してみてはいかがでしょうか。

参考URL
*1 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000225.000006978.html
*2 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000022054.html

この記事の執筆者
野口 幸嗣
現役CAE工学エンジニア、工業系技術ライター
執筆テーマ:工業・製造業系の技術情報やCAEなど
【経歴】
工学部大学院を卒業後、精密機器業界で信頼性や材料評価、CAEエンジニアとして勤務。工業系に特化したライターとして活動中。計算力学技術者固体1、2級及び技術士補。
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