テクノポートの廣常です。
当記事では、「Webサイトへの集客はできているのに、なかなか問い合わせが来ない」と悩まれている製造業の方へ、考えられる要因とすぐに実施できる対策を紹介します。BtoB製造業界向けの要因もまとめていますので、貴社の商材の特徴を思い浮かべながらご確認いただければ幸いです。
この記事の目次
問い合わせに至らない要因と対策
Webサイトから問い合わせを獲得できない要因は、そのサイトが置かれている状況によってさまざまです。例えば自社のサイトへ訪れるユーザーの動き(流入→サイト回遊→問い合わせ)に沿って考えてみると、以下のような要因が挙げられます。
① 流入段階
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- 集客不足
- 訪問者や市場のミスマッチ
そもそも集客が不足していたり、サイト訪問者の属性・市場が自社のターゲットと合っていない場合、問い合わせをする可能性の高いユーザーの母数が少ないため、当然問い合わせ率も低下します。
その場合には、当記事でご紹介するような部分的なサイト改修ではなく、Webサイト戦略や集客施策を根本的に見直す必要があります。
② サイト回遊・問い合わせ段階
サイト回遊
- ユーザーの依頼/購買意欲が未熟
- ユーザーが問い合わせへ心理的ハードルを抱えている
- 導線設計不足
- 問い合わせ後の流れが不明瞭 など
問い合わせ
- 問い合わせ方法不足
- フォームの入力項目が多すぎる など
前述の流入段階での課題をクリアし、自社のターゲット像に当てはまるユーザーを十分に集客できている場合、問い合わせ獲得まではもう一歩です。ユーザーを後押しするような工夫や導線を見直すだけでも、問い合わせが獲得できる可能性があります。
これらの項目を掘り下げていくと、大きく3つの起因に分類することができます。
- 顧客・商材起因
- Webサイト起因
- 問い合わせ手段起因
今回はこの②サイト回遊・問い合わせの段階において、上記で分けた3つの起因別にお問い合わせを妨げる要因の例と対策を紹介していきます。
1. 顧客・商材起因
情報収集段階でまだ問い合わせしたいと考えていない
サイト訪問者の中には、「今後を見据えて情報のみ集めている」「相見積もりを取る前に、他社と比較している」といったように、まだ情報収集段階のユーザーも存在します。
このような段階のユーザーの多くはページを閲覧するだけで離脱していき、問い合わせまでには至りません。また、自社側もそのユーザーの動きからつかめる情報が少ないため、確度の高い見込み顧客かどうか判断がつきにくい状態となります。
対策:お役立ち資料の配布による接点強化
この場合には、製品や加工に関するお役立ち資料(ホワイトペーパー)などを設置し、情報収集段階のユーザーとの接点作りを図ることをおすすめします。
「まだ相談内容が固まっていないため、すぐに問い合わせはしにくい」と考えているユーザーであっても、関連資料であれば自身の理解促進に活用できるため、ダウンロードされる確率が高まります。
これにより、自社に興味を持つユーザーが顕在化されるほか、ダウンロード時に氏名・メールアドレスなど必要最低限の入力項目を設ければ、自社からアプローチの機会を得ることが可能です。(打ち合わせの場を持ちかけるなど)
商材の特性上、問い合わせに対しハードルを感じている
BtoB製造業の商材において、以下のような特徴を持つ場合、ユーザーは問い合わせに対し心理的なハードルを感じる恐れがあります。
・高単価
・大型、大ロット
・導入前 or 導入後の取引期間が長い(一度契約すると長期の付き合いとなる)ユーザー側は特に慎重に動き、製品や企業選定に長期間検討を重ねます。まずは相談レベルで問い合わせをしようとしても、そのまま導入へと強制的に促されることを懸念し、気軽に相談しにくいと感じているかもしれません。
対策:問い合わせ前段階での安心材料を提供
こうした特徴の商材を扱われている場合は、問い合わせの前段階に、より商材や自社への理解を深めてもらうための機会を提供してみてはいかがでしょうか。
例えば以下のような例が挙げられます。
- 相談申し込み用フォームの設置(「問い合わせ」とは表現を変え、あくまでも疑問解決の場とする)
- テストピースでの加工受付
- デモ機器の貸出
- サンプル品の送付
本導入の依頼をする前に、このような段階を踏めることはユーザーにとって大きな安心材料となります。商材への導入意欲を高めるという点でも効果的です。
社内の意思決定者が多く、問い合わせに至るまで時間を要している
こちらもBtoB業界においてよく見られる特徴ですが、社内の意思決定者が多く、問い合わせに至るまで時間を要しているケースも考えられます。
対策:社内承認を促進させる資料を提供
担当者がスムーズに社内展開・承認を進められるよう、単に製品・技術紹介を記載した資料ではなく、以下のような情報をまとめた包括的な資料をダウンロード資料として提供することも一つの手立てです。
- 会社概要
- 商材の強みを根拠づける情報、実験データ
- 他社と比較した際の差別化ポイント
- 導入事例
企業選定中のユーザーは、多忙な中、複数のWebサイトを閲覧して情報を集めたり、社内展開向けに要点をまとめた資料などを作成したりと、やるべきことが多くあります。こうした手間を省かせることで、社内確認〜問い合わせをスムーズに促す効果が期待できます。
問い合わせ時にどのような情報を記載すべきか分からない
ユーザーが業界や商材についてあまり知識がない場合、いざ問い合わせをしようと思っても、
・どのような情報を記載すべきかわからない
・どこまで詳細やデータを伝えたらいいか分からないと悩む場合があります。
対策:問い合わせ項目をカスタマイズ指定
この場合は、自社の商材に合わせて問い合わせ項目をカスタマイズすることをおすすめします。
<項目例>
規格品:型番・サイズ・量 など
加工:材質・精度・条件 などこのように指定することで、ユーザー側も必要最低限伝えるべき情報が分かりやすくなるだけでなく、自社側も問い合わせについて再質問(営業担当が改めて質問する)する手間が少なくなり、無駄なやりとりを減らすことができます。
2. Webサイト起因
最初に訪問したページで自社の価値を伝えきれていない
サイトに訪れたユーザーが、何かしらの行動(他ページに遷移する・問い合わせをするなど)を起こさずに離脱した場合、最初に訪問したページで自社が提供できる価値を伝えきれていない可能性があります。
対策:訴求内容の見直し
特に、検索流入を多く獲得できているページや、出稿されている広告のリンク先ページについては、訴求内容を今一度見直してみましょう。
商材の特徴ばかりを列挙するだけでなく、ユーザーのどのような課題を解決できるか?といった価値への言及や、顧客事例も良いコンテンツとなります。
また、下層ページに流入したユーザーは、次に「何ができる会社なのか」をより把握するためにTOPページや会社概要へ遷移する可能性が高いです。そのため、主要なページで自社が何を得意としている会社なのかが一目で伝わるような工夫も必要です。
問い合わせ先が分かりづらい
問い合わせ先がぱっと見で分かりづらい場合、ユーザーは不便に感じます。特に急ぎの場合、それだけでも他社に流れてしまう恐れもあります。
また、自社の事業が複数存在する場合、自社では整理できているつもりでも、ユーザー側はどの事業部に問い合わせすればいいのか判断がつきにくいこともあります。
対策:Webサイトの導線設計、問い合わせ分類の見直し
問い合わせ先については、どのページにいてもすぐに分かるようにヘッダーやフッター、バナーなどで明記しておきましょう。 各ページの合間や末尾に、「お問い合わせはこちら」などの誘導ボタンを挟むことも効果的です。
また、事業が複数存在する場合は以下のような対策が考えられます。
- 問い合わせフォームの冒頭に「〇〇に関する問い合わせは〜〜事業部へ」など補足説明
- 事業部ごとではなく、商材の名称や種類ごとで問い合わせ先を分類
問い合わせ後の流れがつかめない
急ぎで対応してほしい場合や、あまり業界・製品知識のない方が初めて問い合わせをする場合には、問い合わせ後の流れがつかめないと不安に感じることがあります。
対策:問い合わせ後の流れについて言及
こうした不安を解消させるために、以下のような内容を追加し、今後の流れを伝えましょう。
- ◯営業日以内に返信します といった文をフォームに追加
- お問い合わせ後から商談、製品導入までの流れを掲載
3. 問い合わせ手段起因
問い合わせ手段が1つのみ
「今すぐ電話で確認したい」「今は電話ができないためフォームから相談したい」など、ユーザーの閲覧環境やニーズはさまざまであるため、問い合わせ手段が限られている(電話だけ、フォームだけなど)と機会損失となる恐れがあります。
対策:電話・問い合わせフォームは必ず設置する
電話、問い合わせフォームなど、基本的な手段はぜひ揃えることを推奨します。
また、一時的なサーバーなどのエラーで問い合わせフォームが機能しないリスクも考えられます。自社で定期的に確認することは難しいかと思いますので、フォームが機能しない場合の連絡先として、メールアドレスなど代替手段を記載しておくことも一つです。
問い合わせフォームの入力項目が多すぎる
問い合わせの必要性や緊急性が低い場合、必須の入力項目が多すぎると面倒になって離脱されるケースも考えられます。
対策:フォームの入力項目の調整
特に相談依頼や資料ダウンロードなど、本格的な問い合わせの前段階であるとその傾向が顕著に現われるため、これらのフォームの入力項目はできるだけ簡素にしてみましょう。(企業名、氏名、メールアドレス、電話番号 など)
また、フォームの入力項目数の多さを見て離脱されることを避けるために、段階的な入力仕様(1項目の入力が完了すると、次の項目へ飛ぶ仕組み)にするという方法も考えられます。
図面を添付できない
送付した図面を元に、問い合わせや見積もり依頼をしたいユーザーが多くいるため、問い合わせフォームから添付ができないとやり取りの手間が増えてしまいます。
対策:フォームへ添付機能を追加
フォームへの添付機能はできれば追加しておきましょう。また、フォームによっては添付できるファイルの容量や形式(PDF、excelなど)に制限がついている可能性があるので、事前に確認をし、必要であればフォームに添付可能な条件を明記するとより親切でしょう。
まとめ
「Webサイトへの集客はできているのに、なかなか問い合わせが来ない」とお困りの方へ、比較的すぐに実施できる対策をご紹介しました。問い合わせ率が低い背景としては、単なる一つの原因だけではなく、複数の要因が絡み合っていることが多いかと思います。今回の記事で、そのうちの一要因でも突き止める上での参考となれば幸いです。