製造業のWebマーケティングにおいて、コンテンツをどのように作成していけばいいのかという悩みは尽きません。そんなときにこそ目を向けたいのが、「技術用語集」と「よくある質問(FAQ)」です。
これらは単なる補足コンテンツではなく、正しく設計すれば、安定した検索流入をもたらし、見込み顧客からの信頼を一気に高める強力なストック型コンテンツとなります。
今回は、製造業が取り組むべき用語集とFAQの構築ノウハウについて、SEO対策の視点を中心に、昨今話題のAI検索対策も交えて解説します。
この記事の目次
製造業に「用語集」と「FAQ」が必要な3つの理由
なぜ、製品ページや事例紹介だけでなく、用語集やFAQに力を入れるべきなのでしょうか。その理由は大きく3つあります。
1. ロングテールSEO:ニッチなキーワードを網羅する
「板金加工」といったビッグキーワードは競合が多く、検索上位を取るのは容易ではありません。しかし、「板金加工 バリ 原因」「マシニング加工 公差 限界」といった具体的な悩みを含むキーワード(ロングテールキーワード)であれば、競合は減ります。
用語集やFAQは、こうした細かいキーワードを自然に網羅できるため、購買意欲の高いユーザーを広く集めることができます。
2. 信頼性の向上:プロとしての知識量を示す
発注先を探している設計者や調達担当者は、技術的な疑問を持って検索しています。その疑問に対し、正確かつわかりやすい解説を提供できれば、「この会社は技術に詳しい」「信頼できる」というブランディングにつながります。
3. AI検索への備え
近年、ChatGPTやGoogleのSGE(Search Generative Experience)といったAI検索が増えています。AIは情報を参照する際、構造化された「定義(用語集)」や「解決策(FAQ)」を好みます。
あくまで基本はSEO対策ですが、情報を整理して掲載しておくことは、将来的にAIからの参照元として選ばれやすくなるという副次的なメリットもあります。
検索に強い「技術用語集」の作り方
ただ辞書的に言葉を並べるだけでは、Wikipediaや大手辞書サイトには勝てません。製造業が自社サイトで用語集を作る際のポイントを解説します。
キーワード選定のコツ
技術用語集の用語は一般的なキーワードよりはより細かい専門的なキーワードを選ぶのがコツです。加工名称そのものはもちろんのこと、その加工をする上で2次的に発生する作業や、加工名称の別名なども対象です。また素材や部品の名称は「JIS名称」と「現場の通り名(呼称)」の両方を掲載するなど、とにかく自社がPRしていきたい分野に関するキーワードについて思いつく限り技術用語集に詰め込みましょう。
SEOで上位を狙う構成テンプレート
検索エンジンに評価されやすい構成は、以下の流れが基本です。
- 概要(定義): 冒頭2〜3行で「〇〇とは〜のことである」と結論を書く(検索結果のスニペット対策)。
- 詳細解説: 仕組み、特徴、メリット・デメリットを整理して記載する。
- 自社独自の視点(E-E-A-T): ここが最も重要です。 一般的な説明に加え、「当社の経験では〜」「加工時の注意点として〜」といった、プロならではの知見(一次情報)を盛り込みます。これにより、コピペではない独自コンテンツとして評価されます。
CV(コンバージョン)への導線
用語を解説して終わってはいけません。
記事の最後に、「この技術を用いた当社の製品はこちら」「関連する加工事例はこちら」といった内部リンクを設置し、サービスページへ誘導する導線を必ず確保しましょう。
技術用語集事例
フコク物産SD開発センター
https://gomuseikei.com/archives/glossary
キーエンス(誰でも使える画像センサ用途事例)
https://www.keyence.co.jp/ss/products/vision/iv-casestudy/glossary/
顧客の悩みを先回りする「よくある質問(FAQ)」の活用術
FAQは「お問い合わせの入り口」であると同時に、顧客の疑問を先回りして解決する優秀な営業マンの役割を果たします。
ネタの拾い方:分類を設けて設定する
「何を書けばいいかわからない」という場合は、営業担当者のメール履歴や、過去の問い合わせリストを見返してください。そこに顧客のリアルな悩みがあります。
以下のようにカテゴリ分けをするとユーザーの利便性が高まります。
- 技術・仕様について: 「公差はどのくらい出せますか?」「対応可能なサイズは?」
- 納期・見積もりについて: 「試作の最短納期は?」「図面がなくても見積もりできますか?」
- トラブルシューティング: 「使用中に異音がする場合の対処法は?」
書き方のポイント
質問文(Q)は、ユーザーが検索窓に入力するようなフレーズにすることがSEOのコツです。
- 悪い例:Q. 納期について
- 良い例:Q. 試作品の製作期間は最短で何日ですか?
回答文(A)は、「結論ファースト」で書きましょう。まずYes/Noや数値を答え、その後に理由を解説します。
構造化マークアップの実装
少しテクニカルな話になりますが、FAQページには「構造化データ(FAQ Page Schema)」の実装を推奨します。
これを設定することで、Googleの検索結果画面に質問と回答が直接表示されることがあり(リッチリザルト)、クリック率の向上や、検索エンジンへの正しい内容伝達に役立ちます。
1ページにまとめるか?個別ページにするか?
FAQの構成でよくある悩みですが、以下のように使い分けるのがおすすめです。
- 回答が2~3行で終わる質問:
1つのページに「よくある質問一覧」としてまとめて掲載する。 - 回答に図解や長文解説が必要な質問:
1つの質問に対して個別の記事ページを作成する。
(例:「〇〇工法のコストダウン事例について教えてください」など)
特に検索需要がありそうな質問は、独立した記事(ページ)にすることで、そのテーマ単独での検索上位表示が狙えるようになります。
FAQ事例
石井精工
https://ishiiseikou.com/archives/faq
北進
https://www.hokushin1959.co.jp/qanda.html
2つを連携させてサイトを強化する
「用語集」と「FAQ」は独立させるのではなく、相互に連携させることで効果が最大化します。
内部リンクの強化
- FAQの回答内で専門用語が出てきたら、用語集ページへリンクを貼る。
- 用語集の解説内で「よくあるトラブル」に触れたら、FAQの解決策ページへリンクを貼る。
このようにサイト内でリンクを張り巡らせることで、ユーザーはサイト内を回遊しやすくなり、Googleからも「専門性が高いサイト」として評価されやすくなります。
スモールスタートのすすめ
最初から「用語集100語」「FAQ50問」を目指すと挫折します。
まずは、社内で特によく聞かれる質問ベスト5、自社の主力技術に関する用語ベスト10など、スモールスタートで公開しましょう。これらは後からいくらでも追加・修正が可能なのがWebの強みです。
まとめ
「技術用語集」と「よくある質問(FAQ)」は、派手さはありませんが、製造業のWebマーケティングにおいて非常に堅実な成果を出すコンテンツです。
まずは社内に眠っている「新人研修資料(用語集の元)」や「営業日報(FAQの元)」を掘り起こすところから始めてみてはいかがでしょうか。