製造業のプレスリリースの書き方|事例・メリット・記者に伝わる構成

【執筆者紹介】廣常 絵梨奈

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この記事の執筆者
廣常 絵梨奈
会社名:テクノポート株式会社(大阪オフィス)

表立つことは少なくとも、社会を大きく下支えしているBtoB製造業の技術・製品の奥深さ、ニッチさに強く惹かれテクノポートへ入社。
金属・樹脂加工等のサプライヤー企業から、自社製品を販売するメーカーまで幅広く支援。
商材の強み・商流の理解に特に重きを置き、顧客視点に立った施策を提案。

【経歴】
新卒で入社後、大阪オフィス責任者として近畿圏の製造業Webマーケティングを支援。
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テクノポートの廣常です。製造業におけるプレスリリースは、新製品・新サービスを発表するためだけのものではありません。新技術の開発、設備導入、特許取得などと、自社が持つ技術や知見を社会に伝えるための有効な情報発信手段です。

特に製造業では、専門性の高い技術や加工ノウハウほど、社外の人には価値が伝わりにくい傾向があります。そのため、単に「新しい技術を開発しました」「新サービスを開始しました」と伝えるだけではなく、その背景にある業界課題や、顧客・社会にもたらす価値まで整理して発信することが重要です。

製造業におけるプレスリリース活用

製造業のプレスリリースで扱えるテーマは幅広くあります。

■テーマ例
新製品発表、新技術開発、設備導入、量産体制の構築、共同開発、商標・特許取得、展示会出展、調査レポートの公開 など

広告や営業資料との違い

プレスリリースが「売り込み」ではなく「ニュースとして価値のある情報提供」である点が挙げられます。広告であれば、自社の商品やサービスの魅力を直接的に訴求しますが、プレスリリースでは、記者や読者にとって取り上げる意味があるかどうかが重視されます。そのため、製造業のプレスリリースでは「何を発表するのか」だけでなく、「なぜ今それが必要なのか」「業界や社会にどのような意味があるのか」まで伝えることが大切です。

製造業での配信事例

弊社で支援させていただいているお客様の配信事例を紹介いたします。

アシザワ・ファインテック様:茶葉専用粉砕機 本格展開に関するお知らせ

引用元:アットプレス

全文はこちら

世界的な抹茶需要の拡大を背景に、風味や色を守りながら工業生産に対応する「茶葉専用粉砕機」を発表しています。単に粉砕機を紹介するのではなく、「風味と色を守る」といった機能的特長、抹茶市場の拡大、石臼挽きと工業生産のギャップ、高品質な抹茶原料を安定供給する必要性まで説明している点が特徴です。

富士産業様:専門サイト立ち上げに関するお知らせ

引用元:PR TIMES

全文はこちら

近年インテリアや店舗デザイン分野で真鍮が再注目される一方で、真鍮が持つ本質的な魅力が十分に知られていないという課題を背景に、真鍮専門情報サイト「真鍮に夢中」を公開したことを発表しています。加工技術の紹介にとどまらず、真鍮の特性・歴史・種類、経年変化の魅力、メンテナンス方法、加工技術、製作事例、素材文化に関するコラムなどを通じて、素材そのものの価値を社会に伝える「素材啓蒙型メディア」として位置づけている点が特徴です。

企業認知“以外”の副次的なメリット

プレスリリースのメリット=企業認知の向上がよく挙げられますが、製造業のプレスリリースは、外部メディアや業界サイトに引用される可能性がある点でも価値があります。自社の技術、調査結果、業界に対する見解などが外部で引用されることで、第三者から参照される情報資産になります。

これはSEOやAI検索対策の面でも間接的な効果が期待できます。これらの流入対策においては自社による発信だけではなく、「外部(他媒体)からどれほど引用・言及されているか」といった指標も重要となります。そのため、プレスリリースが外部サイトに取り上げられたり、社名や技術名が言及されたりすることでWeb上での自社の評価が上がり、間接的にSEOでの順位向上やAIによる引用率を高める効果が期待できます。

製造業のプレスリリースで重要なこと

「自社よし・顧客よし・世の中よし」の三方よしで考える

製造業のプレスリリースで意識したいのが、「自社よし・顧客よし・世の中よし」の三方よしです。多くのプレスリリースでは、「自社よし(自社にとっての成果)」や「顧客よし(顧客にとってのメリット)」は書かれている一方で、抜けやすいのが「世の中よし」の視点です。その製品・技術や取り組みが、社会や業界にとってどのような意味を持つのかを示すことで、プレスリリースとしての価値が高まります。

プレスリリースを読むユーザーや記者は必ずしも業界知識があるとは限らないため、製品・技術や取り組みによって得られる機能価値、具体的な用途、業界への貢献度まで含めて書くことが必要となります。

ニュースサイト等の外部メディアに取り上げてもらうことをゴールにする

プレスリリースの配信サービスを展開しているPR TIMES社では、月間で4万6000件(2025年10月実績)ものプレスリリースが配信されており、配信件数は年々増加傾向にあります。単純換算で1日あたり1500件ほどの記事が公開されていることとなり、単にプレスリリースを配信するだけでは記者や読者の目に留まることが難しい状況にあります。

そのため、配信して終わりではなく、後述するような「記者に伝わりやすい記事構成」を意識しなるべくニュースサイトや業界メディアなどに取り上げてもらうことをゴールにすることが重要です。

記者に伝わるプレスリリース構成の作り方

①タイトル|専門用語や「〇〇に成功!」だけで終わらせない

専門用語や技術名だけをタイトルに入れても、記者や一般読者には「何がすごいのか」「何に役立つのか」が伝わらないことがあります。たとえば、「高精度〇〇加工技術を開発」「〇〇の量産に成功」といった表現だけでは、専門知識のない人にとって価値を判断しにくくなるため、タイトルでは製品や技術名だけでなく用途・効果・社会的価値が伝わる言葉を加えることが大切です。

例)

  • 「高精度〇〇加工技術を開発」→「半導体製造装置の高精度化に貢献する〇〇加工技術を開発」
  • 「金属接合技術の提供を開始」→「複雑形状部品のコスト削減に貢献する金属接合技術の提供を開始」
  • 「新ラインを稼働開始」→「焼成時間を短縮し、CO2削減にも貢献する新生産ラインを稼働開始」
  • また、タイトルに「従来比〇%短縮」「CO2排出量を〇%削減」「最短〇日で対応」 などと数値を入れることも有効です。

②基本フォーマット|課題(業界背景)・取り組み・メリットの順で整理する

基本的な雛形は以下の通りです。

従来抱えていた課題(業界背景) → 解決するための取り組み・技術 → それによってもたらされるメリットや具体的な用途

業界や顧客がこれまで抱えていた課題を前提として説明した上で、課題を解決するための取り組み、それによってもたらされるメリットや用途を述べることで、記者が記事化しやすい課題解決型の情報として整理できます。

③本文に入れたい要素|自社ならではの知見・将来展望

以下の要素は読み手にとって業界を理解するための有益な情報となります。これらを記事内に含めることで、自社が発信することの価値や、社会的意義がより伝わりやすくなります。

自社ならではの知見

製造業のプレスリリースでは、自社だからこそ語れる知見を入れることで、情報価値が高まります。たとえば、製造現場で見えている課題、顧客から寄せられる相談、引き合いの傾向、業界全体の変化などです。こうした情報は、日々の事業活動の中で蓄積された貴重な一次情報であり、独自性があります。

記事本文の中でこうした一次情報を示しておくことで、その後に紹介する技術・製品・取り組みにも説得力が生まれます。「なぜこの技術が必要なのか」「なぜ今この取り組みを発表するのか」が伝わり、プレスリリース全体が単なる自社のお知らせではなく、業界課題に基づいた情報として読まれやすくなります。

将来展望

今後どの市場に展開していくのか、どのような課題解決を目指すのかなど、売上・導入目標がある場合は、可能な範囲で記載します。また、自社の展望に加えて「対象となる業界・市場全体が今度どのように変化していくのか」といった視点を入れることによって社会の流れとプレスリリース内容を結びつき、記者の方も取り上げやすくなります。

まとめ

製造業のプレスリリースは、自社の技術や製品を宣伝するだけのものではありません。記者や読者にとって価値のある情報として届けるには、技術の内容だけでなく、背景にある業界課題、具体的な用途、顧客へのメリット、社会的な価値まで整理することが大切です。特に重要なのは、「自社よし・顧客よし・世の中よし」の視点です。自社の成果を伝えるだけでなく、その技術や取り組みが業界や社会にどのように役立つのかを示すことで、メディアに取り上げられやすくなり、外部引用やSEO・AI検索への間接的な効果も期待できます。発表事項をただ並べるのではなく、「なぜ今必要なのか」「誰にどのような価値があるのか」を意識して構成しましょう。

※プレスリリースの配信において、法的な観点(知的財産権の侵害等)での注意点をまとめた記事もご用意しております。詳しくは以下をご覧ください。

この記事の執筆者
廣常 絵梨奈
会社名:テクノポート株式会社(大阪オフィス)

表立つことは少なくとも、社会を大きく下支えしているBtoB製造業の技術・製品の奥深さ、ニッチさに強く惹かれテクノポートへ入社。
金属・樹脂加工等のサプライヤー企業から、自社製品を販売するメーカーまで幅広く支援。
商材の強み・商流の理解に特に重きを置き、顧客視点に立った施策を提案。

【経歴】
新卒で入社後、大阪オフィス責任者として近畿圏の製造業Webマーケティングを支援。
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