【2026年版更新】フランスの製造業(主要産業・進出している日本企業)

【執筆者紹介】テクノポート編集部

執筆者詳細を開く

この記事の執筆者
テクノポート編集部
製造業に特化したBtoBマーケティングの実務知見を、現場目線でわかりやすく発信。
検索・コンテンツ・サイト改善・海外向け施策まで、数字にこだわる検証と再現性あるノウハウをお届けします。
テクノポート編集部 が執筆した他の記事をみる

今回は世界の製造業ヨーロッパ編の第二弾として「フランスの製造業」を紹介します。

フランスは2024年の名目GDPでEU第2位の経済規模を持つ大市場であり、同時に航空宇宙、医薬品・バイオ、EV・バッテリーといった高付加価値製造業の集積地でもあります。2026年時点のフランスを見るうえで重要なのは、単なる「成熟先進国」ではなく、マクロン政権のもとで再工業化を国家戦略として明確に打ち出している点です。2026年6月1日に開催された第9回「Choose France」では71件、総額930億ユーロの投資案件が公表され、フランスが引き続き欧州の有力な投資先であることが示されました。

フランス政府が推進する産業政策「France 2030」は総額540億ユーロ規模の計画で、「支出の50%を経済の脱炭素化に充てること」と「支出の50%を新興企業・新興プレーヤーに振り向けること」を横断的な目標として掲げ、産業競争力と技術主権の強化を同時に狙っています。

海外Webマーケティング

基本情報

正式名称:フランス共和国(République Française)
首都:パリ(Paris)
大統領:エマニュエル・マクロン大統領(2017年に就任し、2022年4月に再選)
通貨:ユーロ(2026年7月21日のECB参考レートで1ユーロ=185.82円)
人口:約6,910万人(海外県を含む、2026年1月1日時点のINSEE推計)
面積:約60.6万km²(海外地域を含む)
公用語:フランス語
宗教:カトリック、イスラム教、プロテスタント、ユダヤ教等
平均寿命:男性80.3歳、女性85.9歳(2025年のINSEE暫定値による)

産業構造

フランスの産業構造は引き続きサービス業中心です。世界銀行の2025年データでは、GDPに占めるサービス部門の付加価値は70.9%、農林水産業は1.5%、製造業は9.0%でした。つまり、経済全体はサービス主導で、製造業のGDP比率は約9%にとどまりますが、輸出・研究開発・地域雇用・産業安全保障の観点では極めて重要な位置を占めています。

今後については、単純な量的拡大よりも「再工業化の質」が問われます。欧州委員会は、フランスの実質GDP成長率を2026年に0.8%と見込む一方、成長の下支え要因として航空宇宙・防衛関連の輸出を挙げています。

経済の特徴

フランス製造業の強みは、低炭素で安定した電力供給、研究・技術人材、EU単一市場へのアクセスにあります。これらを基盤に、先端製造業の集積と再工業化を進めています。航空宇宙産業はフランスの貿易収支を支える主要産業の一つであり、Business Franceでは最大の黒字創出産業と位置付けています。また、バッテリー分野では、原子力を背景とした低炭素で安定した電力供給が、製造拠点としての競争力になっているとしています。さらに、ヘルスケア・ライフサイエンス分野には3,100社超の企業が存在し、約45万5,000人を雇用するなど、研究・臨床・産業化が近接したエコシステムを形成しています。

一方で、弱みも明確です。OECDは2026年のフランスについて、中長期的な成長力を高めるには、産業競争力の強化、技能への投資、供給網リスクへの対応が必要だと指摘しています。欧州委員会も、2026年の失業率を8.3%、政府債務をGDP比118.1%と見込んでおり、高水準の公的債務と労働市場の弱さは依然として制約要因です。

製造業

フランス製造業の現状は、「GDP比では小さいが、戦略的重要性はむしろ高まっている」と整理できます。世界銀行によると、製造業の付加価値比率は2025年時点でGDPの9.0%です。しかし、2025年のBusiness France集計では、工業分野に関連する対仏投資プロジェクトが800件を超えました。また、投資活動別では、生産・製造活動を対象とする案件が472件記録されています。外国企業による製造拠点への投資は引き続き活発です。

今後を左右するのが「France 2030」です。総額540億ユーロのこの計画は、脱炭素化への重点配分と、新興企業・新興プレーヤーへの重点支援を横断的な目標として掲げています。フランス経済・財務省の国庫総局が2026年7月に公表した試算では、France 2030は2030年時点でGDP水準を0.4~0.6%押し上げ、2.5万〜5.8万人の雇用を生む可能性があります。

政策面では、再工業化の論点がかなり具体化しています。脱炭素では、France 2030の産業脱炭素支援により年間660万トンCO2換算の削減が見込まれます。次世代原発・SMRでは、革新的小型炉向けに6.1億ユーロが投入されています。バッテリー産業では、2030年までに6つのギガファクトリーと年間100~120GWhの生産能力を形成し、フランス国内で年間200万台の電気自動車を生産する目標が掲げられています。

製造業の主要産業

売上規模、輸出寄与、雇用、France 2030での政策優先度を踏まえ、航空宇宙産業、医薬品・ヘルスケア産業、自動車・EV/バッテリー産業を主要3産業として取り上げます。

航空宇宙産業は、Business Franceによればフランスの貿易収支に対する最大のプラス寄与産業で、2023年売上高は702億ユーロ、雇用は21万人に達します。民間航空、ヘリ、防衛・宇宙まで一貫した産業基盤を持つ点が強みです。

医薬品・ヘルスケア産業は、製薬、バイオテクノロジー、医療機器などを含む大規模な産業集積を形成しています。France 2030のヘルスケア分野には75億ユーロが配分され、研究、臨床開発、バイオ医薬品の製造能力を国内で強化する方針が示されています。

自動車・EV/バッテリー産業は、従来型自動車の延長ではなく、電池・資材・リサイクルを含む新産業クラスターとして位置付けるべき段階に入っています。Business Franceによると、2030年までに6つのギガファクトリーと年間100~120GWhの生産能力を形成することが目指されています。また、France 2030のもとで40件のプロジェクトが支援され、関連投資額は総額82億ユーロに上るなど、再工業化を象徴する重点分野となっています。

製造業の代表企業

Airbusは航空宇宙産業の代表例です。2025年通期の連結売上高は734億ユーロ、商用機引き渡しは793機、2025年末の受注残は8,754機でした。フランスを主要開発・生産拠点とする欧州航空宇宙産業を代表する企業です。

Renault Groupは自動車・EV産業の代表企業です。2025年通期の売上高は579.22億ユーロで、世界販売は233.7万台でした。さらに、フランス国内の乗用車・小型商用車市場では26.8%のシェアを占め、2025年もグループ首位を維持しました。

Sanofiは、フランスの製薬・バイオ産業における研究開発主導型の競争力を象徴する企業の一つです。2025年通期売上高は436億ユーロで、主力製品Dupixentの売上は157億ユーロに達しました。Sanofiをはじめとするグローバル企業、研究機関、スタートアップが集積しており、フランスの製薬・バイオ産業は研究開発主導型の競争力を維持しています。

日本企業の進出状況

外務省の2025年調査によると、2025年10月1日時点のフランスの日系企業拠点数は819拠点でした。なお、外務省は調査方法や把握精度が国・地域、年度によって異なる場合があるとしており、過年度との単純比較には注意が必要です。それでも、800を超える日系企業拠点が存在することから、フランスが日本企業にとって欧州の主要な進出先の一つであることがうかがえます。在リヨン領事事務所の公表資料では、オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域圏に本邦企業174社が所在し、このうち49社が製造業に分類されています。

今後は、単なる販売拠点にとどまらず、EU単一市場向けの営業・技術支援拠点や、脱炭素、資源循環、先端モビリティ分野の現地実装拠点としての役割が強まると考えられます。フランスでは2025年に1,878件の外国企業による投資決定が記録されました。また、Élyséeによると、2018年の開始から第9回会合までに、Choose Franceは230件超の投資決定を後押ししてきました。第9回会合前までの累計投資額は約870億ユーロとされ、2026年の会合ではこれとは別に、71件、総額930億ユーロの新たな投資案件が公表されました。外国企業による対仏投資は引き続き活発であり、製造・研究開発拠点を含む現地展開を検討しやすい環境は維持されているとみられます。

海外Webマーケティング

フランスに進出した日本製造業企業

次に実際にフランスに進出した日本の製造業企業3社を紹介します。

日榮新化株式会社

日榮新化株式会社は、2025年9月4日にリヨン市で現地法人「Neion France SAS」を設立し、2026年1月21日に事業を開始しました。粘着フィルム・コーティングフィルムの欧州市場向けの営業・技術支援拠点として、製品販売だけでなく、資源循環プロジェクトを含む技術・ソリューションの情報発信や、現地企業・パートナーへの対応強化を進める方針です。EU市場向けの顧客対応を現地化した点は、フランスを欧州事業展開の拠点として活用する典型例といえます。 

株式会社マクニカ

株式会社マクニカの子会社Navya Mobility SASは、2025年10月、フランス・ドローム県のサン=ヴァリエ工場で製造した新型自動運転EVバス「EVO3」を発表しました。この車両は最大15人乗りで、同社は日本市場での販売拡大に加え、中東・アジア・北米市場への展開を計画しています。フランスのモビリティ製造基盤を活用し、次世代自動運転分野のグローバル展開を狙う事例として注目されます。

NTN株式会社

NTN株式会社は2025年、連結子会社NTN Europe S.A.が運営するオート=サヴォワ県アルゴネ工場について、航空宇宙向け軸受の生産能力を増強すると発表しました。新たな生産設備の導入、既存建屋の拡張・改修、製造工程のデジタル化・ロボット化を進め、2030年度まで段階的に生産能力を引き上げる計画です。

アルゴネ工場では、ジェットエンジンやヘリコプターに加え、欧州の大型ロケット「Ariane 6」向けの軸受も生産しています。今回の増強により、同工場はNTNグループの欧州航空宇宙事業における中核拠点として、拡大する航空・宇宙分野の需要への対応力を強化します。

まとめ

フランスでは、GDPに占める製造業の比率は約9%にとどまります。しかし実態を見ると、航空宇宙、医薬品、EV・バッテリーといった高付加価値分野に政策・投資を重点配分し、再工業化を進めています。日系企業にとっても、フランスは単なる販売先ではなく、欧州向けの技術営業、共同開発、資源循環、次世代モビリティの拠点としての意味を強めています。とくにFrance 2030の継続、Choose Franceを通じた投資誘致、地域産業クラスターの活用は、今後のフランス進出を考えるうえで重要な判断材料となるでしょう。

参考ソース一覧

弊社(テクノポート株式会社)では、BtoB企業向けに「海外向けWebマーケティング」を支援しています。

【2024年最新】調査レポートのご案内
BtoB企業の
海外向けマーケティングに関する
実態調査
資料イメージ

【調査期間】 2024年1月22日〜1月23日
レポートの詳細はこちら

この記事の執筆者
テクノポート編集部
製造業に特化したBtoBマーケティングの実務知見を、現場目線でわかりやすく発信。
検索・コンテンツ・サイト改善・海外向け施策まで、数字にこだわる検証と再現性あるノウハウをお届けします。
テクノポート編集部 が執筆した他の記事をみる

関連記事