テクノポートの井上です。製造業といっても業態によってWebマーケティング手法は大きく異なります。今回は切削加工業者のWebマーケティングについて紹介します。
この記事の目次
Webマーケティングの基本的な考え方
サプライヤー企業にとってのWebマーケティングとは「Webを活用し、新規の引き合いを継続的に獲得する仕組みを作ること」です。
ブレない軸を作る戦略の重要性
Webマーケティングを企画するにあたり、言うまでもなく戦略が非常に重要です。戦略を立てることによってターゲットとする顧客に対して何を訴求すればよいか、そのために必要な要素を決めることができます。
例えば、Webサイトの制作途中で社内の意見が割れた時でも、戦略に立ち戻ることで目的を共有することができ、ブレない軸で制作を遂行できます。戦略の主な設定項目は下記の通りです。
- ターゲット
- ターゲットのニーズ
- 提供技術
- 提供価値
- 競合優位性
- 想定検索キーワード(戦術)
戦略立案のための3C分析について
戦略を立てるためにはWebの要素も取り入れた3C分析を行います。市場(顧客)、競合、自社を分析することで、ターゲットする市場、顧客の設定、自社の強みや競合に勝ちうる優位性を見出します。
切削加工業者のWebマーケティング例
具体的な切削加工業者の例を挙げ、Webマーケティング企画の流れを紹介します。
会社名:テクノポート製作所(仮想の会社です)
従業員数:10名
業種:切削加工
精密部品加工の小〜中ロット対応
市場や商流の理解:切削加工業界
市場や商流をある程度理解した上で、どのように分析を始めていくかを決めます。
- 競合が多い:部品加工業界というくくりでは数多くの競合が存在する
- 市場が広い:切削加工部品は幅広い業界の製品や機械部品として利用されている
- 差別化しづらい:自社でなければできないという加工技術を持っている会社は稀で、他社でもできる可能性があるものがほとんど
- 業界にこだわりは少ない:この業界の仕事しかうけないというこだわりはなく、自社の設備や技術でできるものであれば対応するという会社が多い
【結論】さまざまな市場がありターゲットを絞ることは困難です。まずは自社を分析し、得意分野を模索した上で市場・顧客分析をする流れのほうが戦略を決めやすいと言えます。
戦略策定までの主な流れは下記の通りです。
自社の事業内容を細分化する
自社が持っている経営資源の整理を行います。整理した内容をもとに市場や競合と照らし合わせることで、初めて自社の強みが見えてきます。まずは「うちの会社ってこんな会社だよね」という現状を理解することが最初のステップです。
ポイントとしては、いきなり自社の強みが何かを考えないことです。「強み」というものは、「誰に対して」や「だれと比べて」などの視点も含めて初めて「強み」というフレーズが使われるため、この段階では考える必要はありません。
細分化の項目の一例を下記に掲載します。
自社の特徴(得意・特異)を見つける
自社の事業を細分化したら、次は特徴をピックアップします。ここでは2つの視点で自社を分析します。
1.得意
自社でよく作っている製品や、加工などです。自社で得意な仕事(ノウハウがあり上手な仕事)は何かという視点です。
2.特異
他社と比べた際に、他であまり行っていない仕事はないか?という視点です。
特異は社内で議論しても比較するための競合他社の情報が少なく、他社との違いを見出だすことはなかなか難しいです。お客様や他業界などの第3者の視点から意見を参考にするほうが、多くの気付きを得ることができおすすめです。
自社の特徴を整理
では細分化した項目から特徴を整理していきます
- 切削と溶接をどちらも行っている会社は少ない(特異)
- 鋳物の追加工に対応している会社は少ない(機械が傷んだり、寸法がまばらなものの加工がしづらいなどの理由)(特異)
- フランジやバルブなどの油圧部品はよくやっている(得意)
特徴となるものをピックアップし、強みになるのでは?という仮定で次のステップへ進みます。
Web上での市場調査、競合分析
前段階で出てきた「強み」関連するキーワードで、キーワードプランナー、Google検索を利用し、競合、需要調査を行います。
具体的な利用方法については下記ブログにて紹介していますので、あわせて読んでみてください。
モノカク記事「サプライヤー企業のWebマーケティングにおける顧客ターゲットの絞り方」
戦略の策定
市場調査、競合分析により、ある程度勝負できそうだという推測ができた段階で、冒頭に挙げた項目の設定を行います。
・ターゲット
油圧製品を主としたメーカー
・ターゲットのニーズ
鋳物の切削に対応できる会社が見当たらない
切削と溶接の複合製品の加工に対応できる会社が見当たらない
・提供技術
鋳物切削加工・溶接を含む複合機械加工
・提供価値
鋳物切削加工技術・複合加工技術
・競合優位性
鋳物、複合加工どちらも、対応可能会社が少ない
鋳物切削のノウハウ、溶接とのすり合わせ技術
・想定検索キーワード(戦術)
鋳物切削・バルブ加工・フランジ加工・フランジ溶接
戦略を決定したら、具体的な実行の方法を立てます。Webサイト制作であれば、戦略をもとに、サイトマップ構築、キーワード対策(どのページで対策を行うか)掲載コンテンツ検討(どのようなコンテンツを掲載するか)などを決定していきます。
以上、サプライヤー企業向けWebマーケティング手法(切削加工編)について紹介しました。参考にしていただければ幸いです。