テクノポートの徳山です。WebマーケティングはSEO対策だけではなく、広告の掲載やSNSの活用などさまざまな施策があります。しかし、数多くあるマーケティング施策のどの種類から手を付けたらよいか分からず、お困りの方も多いと思います。今回の記事では、Webマーケティングの種類と、それぞれどのような顧客や課題に適しているかを解説します。
この記事の目次
Webマーケティングの種類
Webマーケティングとは、リード(問い合わせ)の獲得を目的に、インターネットを使って技術や製品を周知させるためのマーケティング手法です。
下の図は製品や技術を導入するまでの、ユーザーの意識や行動の変遷を段階別に分けた購買フローを示しています。左から右に進むにつれて、技術的な情報収集から購入する製品のスペックが定まっていくまでのフローになっています。
Webマーケティングは大きく分けると「オンライン広告」「SEO対策」「SNS活用(動画含む)」の3つの施策があります。それぞれの施策でアプローチできる購買フローのターゲットユーザーが変わってくるため、どの段階のユーザーをターゲットにするかを考えながら施策を実施すると効果的です。
では、それぞれの施策について詳しく説明していきます。
①オンライン広告
オンライン広告とはWebサイトやSNSに表示される広告のことで、次の種類に分けられます。
リスティング広告(運用型広告)
GoogleやYahooなどでキーワード検索した際に、検索結果の最上位に表示される広告のことです。検索結果に「広告」と書かれていれば、それがリスティング広告になります。SEOで検索上位を狙う代わりに料金を支払って上位に掲載されるようにするため、SEO対策にかける時間を省略したい場合に活用できます。検索結果に連動して表示するため、自社の製品やサービスに関心を持っているユーザーに効率良く広告を表示できる手法です。
純広告(バナー広告)
広告掲載先のWebメディアに料金を支払って、Webサイトに広告を表示してもらう方法です。自社製品やサービスに合ったWebサイトを選び、そこに料金を支払って広告の掲載を依頼します。純広告(バナー広告)にはテキストだけを表示するテキスト広告や、画像を表示するバナー広告、音声や動画を使ったリッチメディア広告などがあります。
ディスプレイ広告(運用型広告)
純広告が特定のサイトに掲示する広告であるのに対し、ディスプレイ広告は検索キーワードに応じて不特定のサイトに表示される広告です。GoogleやYahooが提供するアドネットワークを通して、自社のターゲットとなるユーザーに広告を配信します。
リターゲティング広告(運用型広告)
ディスプレイ広告ではWebサイトに訪問したユーザーに同じ内容の広告を表示させる機能があります。ある広告を見て「以前検索したものが表示されている」という経験はないでしょうか。これをリターゲティング広告と呼びます。ユーザーが商品購買の成約に至らなくても、再び同じ広告を露出することで、成約率の向上を狙います。
オンライン広告のメリット
- 運用型広告の場合、ユーザーの検索するキーワードに合った広告を表示できるので、製品・サービスに対して関心の高い顧客に訴求しやすい
- 純広告の場合、潜在ユーザーへリーチできる
- 即効性がある
オンライン広告のデメリット
- 運用型広告の場合、設定したキーワードで検索しないユーザーにはリーチしづらい
- 広告料が発生する
それぞれの広告の役割(主にどの段階のユーザーにアプローチできるか)
リスティング広告はユーザーが選定するキーワードに合わせて広告を表示することができるので、購買フローのどの段階にもアプローチが可能です。純広告はサイトに訪れたユーザーのみ訴求できるので、購買活動に入る前の情報収集段階にいる潜在ユーザーの認知向上に役立ちます。
製造業での事例(オンライン広告)
三次元測定機を販売しているA社は、購買フローの後期段階のユーザーが使いそうな検索キーワードを中心にリスティング広告を活用しました。具体的には「三次元測定機」というキーワードを筆頭に、同社製品の強みである「小型 三次元測定機」「安価 三次元測定機」などのキーワードで広告を実施し短期間で多くのリード獲得に成功しました。
②SEO対策
SEOとは検索エンジン上で自社のWebサイトを検索結果の上位に表示させるための施策のことです。SEO記事の対策については、当メディア内のSEOに関連する記事を参考にしてください。
SEO対策のメリット
- 広告費をかけずにユーザーの目に留まる機会を増やすことができる
- 広告よりもコンバージョン率(問い合わせにつながる確率)が高い
- 資産性がある(一通り対策が済んだ後は長期間効果が継続する)
SEO対策のデメリット
- 検索上位表示させるためのSEOの知識やスキルが必要
- 専門性や独自性の高い記事を作成するために労力がかかる
- 効果が出始めるまでに時間がかかる(特にドメインパワーが弱い場合)
SEO対策の役割
リスティング広告同様、対策するキーワードによってどの段階のユーザーへもアプローチが可能です。商談できるリードの獲得、用途開発など、目的に応じてキーワードを選定するのがポイントになります。
製造業の事例(SEO対策)
表面処理の技術を持つB社は、さまざまな切り口の検索キーワードでSEO対策を実施しました。SEO対策のキーワードは金属の表面にコーティングをする技術名(めっき、塗装、アルマイトなど)だけではなく、技術が持つ機能(防錆、防汚など)や用途(自動車、医療機器など)のキーワードに着目し、SEO対策を実施。その結果、当初ターゲットとしていた分野だけではなく、想定外の分野からの引き合いを獲得することに成功し、技術の用途開発を実現しました。
③SNS活用(動画含む)
SNS(Social Networking Service)とはSNSプラットフォームにアカウント登録して情報発信をしたり、他のユーザーと交流したりするツールです。ソーシャルメディアの利用者数が増えてきた背景から、SNSをWebマーケティングに使用する企業が増えてきました。
SNSでも広告料を払うことで、Webサイトのオンライン広告と同じように広告配信ができます。現時点でBtoB製造業が活用できるSNSマーケティングツールは以下になります。
- YouTube
SNSのメリット
- 良いコンテンツは拡散され、費用をかけずに潜在層のユーザーへリーチできる
- 採用力強化やブランディングといった新規顧客獲得以外の効果が出る
- 資産性がある
SNSのデメリット
- 情報発信の内容によっては炎上するリスクがある
- 運用にかかるリソースが非常に大きい
- 効果が出始めるまでに時間がかかる
SNSの役割
SNSに自社のサイトのURLを貼ることで、サイトに誘導して製品やサービスを訴求することができます。フォローしてもらった段階で企業の魅力が伝わっていることが多く、SEOで流入したユーザーよりも企業に対する購買意識が高い可能性があります。まだ商品・サービスを探していないユーザーの認知を増やせることから、購買フロー初期段階のユーザーへのアプローチが可能です。
製造業での事例(SNS活用)
精密切削加工を行うC社は、Twitterを中心としたSNSマーケティングを始めました。町工場の日常のリアルな風景を日々ツイートすることで、製造業関係者だけでなく一般人も含めた多くのフォロワーを獲得。「町工場の現状を少しでも多くの人に知ってほしい」という動機で始めましたが、結果として仕事を受ける数が増え、良い人材の採用などに繋がるようになりました。
④ポータルサイト掲載
Webマーケティングの手法として、これまで説明した3つの手法の他に、ポータルサイトに掲載する方法があります。
ポータルサイトとはいろんな企業の製品・サービスをまとめたサイトです。製造業のポータルサイトには、ミスミやMonotaroなどの商品購入サイトやイプロスなどのカタログ、企業コラムを掲載したサイトがあります。
ポータルサイトにアクセスするユーザーは、自分が持っている課題の解決や欲しい製品・サービスがそのサイトにあると知っています。そのためポータルサイトに自社の情報を登録することで、ユーザーから認知してもらう機会が増えます。ポータルサイトでは購買フローの初期段階のユーザーから後期段階のユーザーまで幅広くターゲットにすることができます。
また、ポータルサイトにホワイトペーパーなどを掲載し、メールアドレスを登録してもらうことでメールマガジンの配信も可能になり、購買制約率の向上が見込めます。
製造業BtoBのポータルサイトとして代表的なものは以下のものが挙げられます。
- ミスミ:https://jp.misumi-ec.com/
- イプロス:https://www.ipros.jp/
- Monotaro:https://www.monotaro.com/
- NCネットワーク:https://www.nc-net.or.jp/
- アペルザ:https://www.aperza.co.jp/
メリット
- 多くの人に認知されやすい
- 手間がかからない
デメリット
- 掲載料がかかる
- 多くの製造業が集まっているためライバルの数も多い(比較検討されやすい)
【課題別】おすすめのWebマーケティング施策
ここからは、課題別にどのWebマーケティング施策がおすすめかを解説します。
とにかく短期的に売上を上げたい(新規顧客を獲得したい)
新規顧客から短期的に売上を上げたい場合は、購買フローの後期段階のユーザーを狙って適切な施策を講じましょう。実施する施策としては、リスティング広告やSEO対策が効果的です。
後期段階のユーザーが使用するキーワードを中心に対策をすることによって、比較的短い期間でのリードの獲得が見込めます。技術課題を解決するための製品を探し始めている後期段階では、主に製品名+機能、技術課題、用途などのキーワードで対策をしましょう。
SEO対策よりもリスティング広告のほうが検索上位に表示されるまでの期間が早く、短期的に売上を上げるための施策として効果的です。
新規顧客の獲得はもちろんだが、自社製品・技術の用途を開拓したい
自社製品や技術の用途を開拓する場合では、購買フローの前期から後期段階における広い範囲のユーザーを狙って、満遍なく施策を講じるのがよいでしょう。
知見を深めるための情報収集している購買フロー初期段階のユーザーは、すぐ製品を購入するわけではないので、広告はクリックされにくい傾向にあります。そこで、広告によって表示されるものではないSEO対策を中心に行うのが効果的です。
購買フローの幅広いユーザーを自社サイトへ誘導できるSNS広告では、各ユーザーの属性が知りたい情報に絞った内容を発信することで、効率良くリードの獲得ができるのでおすすめです。
Webマーケティングを通じて自社のブランディングを実現したい
Webマーケティングを通じた自社のブランディングとは、自社の商品やサービスを他社と差別化することにより「その企業しかない」と愛着を持ってもらえるような施策を指します。ブランディングは今すぐ商品の購入を考えていない、購買フローの前期段階のユーザーに効果があります。じっくり時間をかけて施策を講じていきましょう。
購買フローの前期段階のユーザーを狙うときは、情報収集系のキーワードでSEO対策を行い、ユーザーの目に露出する機会を増やしましょう。そうすると「〇〇といえば△△(貴社名)」というイメージを与え、ユーザーに第一想起してもらいやすくなり、ユーザーが購買活動に移る際に最初にお声がけいただける企業となることができます。また、SNS活用を中長期的に行うことで、SNSをよく利用する若年層を中心にブランドを確立することができるでしょう。
まとめ
Webマーケティングには、オンライン広告とSEO対策、SNSの施策があり、それぞれ購買フローのどのターゲットに活用できるかを紹介しました。早期の商談成立、または用途の開拓やブランディングの実現など、さまざまな課題に応じてWebマーケティングの施策を使い分けていきましょう。
テクノポートではそれぞれの施策に関するアドバイスを行っております。具体的なWebマーケティングの運用でお困りの際はご相談ください。