中小製造業において 「リスティング広告を出せば、自動的に問い合わせが来る」と考えている方がいらっしゃいますが、リスティング広告は「万能薬」ではありません。明確に「相性が良いパターン」と「悪いパターン」が存在します。 弊社がこれまで支援してきた中での傾向で言うと、一般的な汎用加工のみを行っている場合よりも、独自の製品や、他社にはないニッチな技術を持つ「メーカー」としての側面を持っている場合、リスティング広告は最強の武器になります。
本記事では、Webマーケティング支援の現場で見てきた実例をもとに、「リスティング広告があまり向いていない製造業」と「やることで劇的に営業が変わる中小メーカー」の決定的な違いを解説します。
まずは自社のビジネスが、広告で「勝てるパターン」に当てはまっているのか。まずはその相性を診断することから始めましょう。
この記事の目次
リスティング広告と「相性が悪い」パターン
まず、「リスティング広告をあまりおすすめできない」パターンからお話しします。もし、以下に当てはまる場合、広告運用には慎重になる必要があります。
① 一般的な汎用加工(差別化が難しい)
「一般的なマシニング加工」「大量生産の板金加工」など、競合他社と設備や技術で大きな差がつきにくい分野です。 この領域で検索するユーザーは、多くの場合「相見積もり」をとって、少しでも安い業者を探しています。広告を出してアクセスを集めても、「価格競争」に巻き込まれるだけで、利益の薄い仕事しか取れないという事態になりがちです。
② 1件あたりの単価・利益が低い
例えば、1個数十円のボルトやワッシャーなどの量産部品(汎用品)や、1件あたりの加工費がそんなに高くない加工を扱っている場合です。 リスティング広告は、1件の問い合わせ獲得(CV)に数千円〜数万円のコストがかかるのが一般的です。もし1件の受注利益が広告費を下回る場合、売れば売るほど赤字になります。「数万個単位の注文しか受けない」といった縛りがない限り、少額商材は不向きです。
リスティング広告と「相性が良い」パターン
一方で、以下のような特徴を持つ企業は、広告を検討すべき「勝ちパターン」に当てはまります。
① ピンポイントの技術・課題解決(ニッチトップ)
「インコネル・ハステロイの微細加工」「大型ワークの現場加工」「特殊コーティング」など、「他社ができなくて断るような仕事」ができる企業です。 検索するユーザー(設計者や調達担当)は、対応できる業者がごくわずかであると知っているため、「見つかれば高くても頼みたい」という心理状態にあります。価格競争にならず、高単価・高利益率の案件に直結します。
こういったパターンはSEOでも集客ができる可能性は高いですが、広告を出すことで確実に検索時の上位に表示させることができます。
② 独自製品・自社ブランドを持っている(中小メーカー)
自社で開発した産業用機械、専用工具、特定の現場向け装置などを持っている「メーカー型」の企業です。 これらは「型番」や「〇〇(課題) 対策 装置」といった具体的なキーワードで検索されます。下請け構造から脱却し、自社の名前で商売ができるため、Web広告との相性は抜群です。
「中小メーカー」こそが広告に向いている?
特に、前述の中小企業にとって、リスティング広告は「営業課題を一発で解決する特効薬」になり得ます。その理由は2つあります。
検索意図が「比較」ではなく「解決」にある
汎用加工の検索意図が「どこが一番安いか?」であるのに対し、メーカー製品を探す検索意図は「この技術的な課題を解決できる技術やツールはないか?」です。 ユーザーは「解決策」を探しているため、自社の製品がその課題にマッチさえしていれば、会社の規模に関係なく選ばれます。つまり、大手企業と対等以上の土俵で戦うことができるのです。
Web広告が「全国対応の営業所」になる
中小メーカーの悩みで多いのが「良い製品を作ったが、売り込みに行く営業マンがいない」「地方の企業なので商圏が狭い」という点です。 Web広告を出稿するということは、「その製品を求めている全国のユーザー」の目の前に、一瞬で看板を出すことと同じです。人を雇って全国を行脚させるコストに比べれば、Web広告は圧倒的に低コストで、かつ24時間休まずに製品をPRし続けてくれます。
中小メーカーが広告で成功するための「3つのポイント」
ただし、「メーカーなら広告を出せば必ず売れる」わけではありません。成功させるには、以下の3つのポイントを押さえる必要があります。
「誰の・どんな悩み」を解決する製品か言語化できているか
単に「高性能です」と謳うのではなく、「〇〇の摩耗でラインが止まる現場向け」など、ターゲットの痛みに刺さる言葉選びが必要です。
Webサイト(LP)に「スペック・事例」が載っているか
広告をクリックした先に、ただの会社概要しか載っていないのはNGです。技術者は「仕様」「寸法」「導入事例(写真)」を見て判断します。
ニッチなキーワードで「待ち伏せ」しているか
ビッグワードで予算を浪費せず、製品特有の複合キーワードで、本当に必要な人だけを狙い撃ちにする設定が必要です。
脱・下請けを目指す中小メーカーこそ、Web広告を武器に
リスティング広告は、すべての製造業に推奨できるものではありません。 しかし、もし「他社にはない独自の技術」や「自社製品」を持つ中小メーカーであるなら、Web広告を使わないことは大きな機会損失です。「うちはニッチだから…」と諦める必要はありません。むしろ、ニッチであることこそが、Web集客における最大の武器になります。
まずは自社の商材が「広告で勝てるパターン」なのか、それとも「避けるべきパターン」なのか。正しく見極めることが重要です。
「自社の技術・製品は、広告で成果が出る『勝ちパターン』に当てはまるのか?」と迷われた方は、製造業特化のノウハウを持つ弊社の広告運用支援サービスをぜひご覧ください。