中小企業専門の弁理士の亀山です。お陰様で、開業して5年目になります。開業して約300社の中小企業様・個人事業主様のご相談を受けてまいりました。今回も、前回に引き続き、特許相談のときに、よく見受けられるお客様の勘違いについてご紹介します。
この記事の目次
1、特許権取得までの道のり
特許権取得までの道のりとして、以下の6つのイベントがあります。
- 先行技術調査
- 特許出願
- 出願審査請求
- 審査対応
- 特許査定
- 特許権の維持
特許を取るためには、特許出願をする必要がありますが、特許出願をしても、すぐに特許権取得になりません。その理由は、前述の通りですが、わからない方は過去の記事を参照ください。
2、特許出願や特許権が死んでしまうケース
特許出願が死んでしまうケースとして主なケースは、以下の3つです。
- ケース1:出願審査請求をしないまま、特許出願の日から3年が経過した。
- ケース2:審査において拒絶査定が確定した。
- ケース3:特許料の不納により消滅した。
※レアケースを含めると、ケース1~3以外のケースもありますが、説明が複雑になるため割愛します。
前述の6つのイベントとケース1~3の関係は、次のようになります。
- 先行技術調査
- 特許出願
- 出願審査請求 ⇒ ケース1(出願審査請求をしないまま、特許出願の日から3年が経過)に該当すると死んでしまう。
- 審査対応 ⇒ ケース2(審査において拒絶査定が確定)に該当すると死んでしまう。
- 特許査定
- 特許権の維持 ⇒ ケース3(特許料の不納)に該当すると死んでしまう。
3、ケース1の判別方法
(1)ケース1(出願審査請求をしないまま、特許出願の日から3年が経過した。)の判別方法は次のように行います。
(2)まず、J-Platpatにおいて、出願番号や、公開番号などから、知りたい特許公開公報を検索します。
※検索方法は、過去の記事をご参照ください。
(3)特許公開公報を選ぶと、下のような画面が表示されます。ここで、「経過情報」を見るためには、赤枠で囲まれた「経過情報」のボタンを押します。
(4)「経過情報」のボタンを押すと、次のような画面が表示されます。ケース1の場合、「未審査請求によるみなし取下」と表示されます(赤枠部分)。
4、ケース2、3の判別方法
(1)ケース2(審査において拒絶査定が確定した)の判別方法も同様です。「経過情報」のボタンを押すと、次のような画面が表示されます。ケース2の場合には、「拒絶査定」と表示されます(赤枠部分)。
(1)ケース3(特許料の不納により消滅した。)の判別方法も同様です。「経過情報」のボタンを押すと、次のような画面が表示されます。ケース3の場合には、「年金不納による抹消」と表示されます(赤枠部分)。
(2)ちなみに、特許権が継続している場合には、「本権利は抹消されていない」と表示されます(赤枠部分)
5、まとめ
- 特許出願が死んでしまうケースは、3つある。
ケース1:出願審査請求をしないまま、特許出願の日から3年が経過した。ケース2:審査において拒絶査定が確定した。
ケース3:特許料の未納により消滅した。 - どのケースに該当するかは、「経過情報」を見ればわかる。
- 「経過情報」は、J-Platpatを見ればわかる。
何かの参考になれば幸いです。