テクノポートの徳山です。最近、製造業のお客様から昔よりも展示会の出展効果が落ちている、という声をよく聞きます。確かにインターネットによる情報収集が主流になりつつある中で、展示会の来場者は伸び悩んでいると言われています。
しかし、そんな状況下においても安定した成果を挙げている企業が多く存在します。そのような企業が取り組んでいる手段の一つが、展示会の出展とデジタルマーケティングを掛け合わせた施策です。
今回は、展示会で成果を挙げている企業が、展示会出展効果をデジタルマーケティングにより最大化するためにどのような行動を行っているかについてご紹介します。
※デジタルマーケティングの概要については下記記事をご参照ください。
この記事の目次
なぜデジタルマーケティングの活用が必要なのか
展示会で成果を挙げている企業の多くが、なぜデジタルマーケティングに取り組んでいるのでしょうか?
それは、展示会で獲得する名刺(リード)のうち、すぐに商談化できる「今すぐ客」は数%程度で、10〜20%ほどが中長期的に商談化できる「これから客」、その他の大部分は商談化につながらない「ひやかし客」だからです。
「今すぐ客」は展示会場で商談のアポが取れたり、見積りの依頼をされたりするので、展示会終了後に後追いする必要はありません。
重要なのは「今すぐ客」よりもボリュームが圧倒的に多い「これから客」をいかに商談に持ち込み顧客化することになり、これが出来るかどうかで展示会の出展効果は大きく変わってきます。
そして「これから客」を効率よく顧客化するために必要なのがデジタルマーケティングなのです。
上図は以前の記事でもご紹介した「技術系企業の一般的な購買プロセス」です。獲得したリードがこの購買プロセスのどのフェーズにいるかをイメージしてみましょう。「今すぐ客」は③④のフェーズにいるリードで、これから客は①②のフェーズにいるリードと言えます。
デジタルマーケティングでは、技術課題に関して認識したばかりで、これから解決手段の探索を行う様なリードに対し、様々な情報を提供することでフェーズが進展させ、商談化へ繋げていくことになります。展示会の効果測定期間が長くなりますが、せっかく多額のコストを費やして出展するのであれば1社でも多くの顧客を獲得しましょう。
展示会出展後のデジタルマーケティングの進め方
名刺をデジタル化する
どのリードが「これから客」なのか明確に定義はできませんし、将来「ひやかし客」が「これから客」に変化することがあるかも知れませんので、展示会の時点で商談化できた「今すぐ客」を除き、すべての名刺情報をリードとしてデジタル化していきましょう。
ただし、リード数によって料金が変わるマーケティングオートメーションのサービスをお使いの方は、見込みの低いリードを加えるのに抵抗があるかと思います。その際は「これから客」のみ厳選してデジタル化しましょう。見極めのために来場者向けヒアリングシートなどを準備しておくと良いでしょう。
名刺情報のデジタル化を自社で行う場合は、名刺スキャンアプリを使うことをおすすめします。個人的なお勧めは「Wantedly People」です。名刺をスマホで撮影するだけで、高精度のデジタル化ができます。名刺情報のデジタル化を外注する場合は、クラウドソーシングを活用することをおすすめします。弊社がよく使っているのは「クラウドワークス」です。
デジタル化の具体的な方法は、以前に書いた「リード獲得の具体的手法」内のオフラインでのリードジェネレーションの段落をご参照ください。
リードナーチャリングする
労力をかけてデジタル化し、いつでも一斉メール配信が可能になったリードに対し、来場お礼メールでお終いにしないようにしましょう。労力はかかりますが、定期的に情報提供することでリードナーチャリングすることが重要です。
リードナーチャリングを行う理由は下記の2点です。
- 定期的にコミュニケーションを取ることで自社を忘れないようにする
- 様々な情報を提供することで購買プロセスの次フェーズへ進める
名刺情報をマーケティングオートメーションに取り込む際に、「2020年1月展示会」といったタグ情報を付加しておき、類似内容の展示会出展時に展示会案内のメールを送ったり、興味分野ごとにカテゴライズしておき、送付するメルマガの内容を変えたりすると、効率的にリードナーチャリングすることができます。
リードナーチャリングの具体的なコンテンツを紹介
リードナーチャリングするコンテンツには、メールマガジン、技術資料(ホワイトペーパー)、導入事例、FAQなどがあります。詳細は「リードナーチャリングのためのコンテンツ制作」をご参照ください。
スコアリングしてアプローチする
スコアリングとは、メールの開封、メールに記載してあったURLのクリック、特定のWebページの閲覧などがあった際に、マーケティングオートメーション上でそのリードを点数付けすることです。「これから客」に対し、一斉メールでコンテンツを定期配信しながらスコアリングしていきます。スコアがある程度溜まったリードから順番に、メール、電話、セミナーの勧誘などの手法で営業アプローチしていくことで、営業効率を上げていきます。
アプローチする際に、リードのWeb閲覧履歴などから興味分野を把握し、アプローチ時の営業トークに役立てることができるので、アプローチ前に必ずリードの活動履歴をチェックしておきましょう。
以上、参考になりましたでしょうか。展示会の成果が落ちていると展示会主催者側の責任にしても何も始まりません。自社で出来る努力を最大限行っていきましょう。まずは過去に出展した際に収集した名刺情報を引っ張り出してきてデジタル化すること、来場お礼メールを送って終わりにしていたリードに対し定期的な情報発信を行ってみること、その辺りから始めてみてはいかがでしょうか。
ご紹介したデジタルマーケティングのプロセスを遂行することで、展示会の出展効果が何倍にもアップするかも知れません。