テクノポートの井上です。今回のテーマは既存顧客(メーカー)からの取引拡大方法です。
既存顧客は既に関係性が出来ているからといっても「何か仕事ありませんか?」だけでは獲得できる仕事に限界があります。明確な目的を持ち、顧客の求めるものに対して提案をするためにはどうすればよいか?前回に引き続き、ものづくり商社兼ものづくり営業トータルサポートを行っている野崎社長(COSMO ALPHA株式会社)にインタビューしました。
野崎社長の経歴は以前の記事をご参照ください。協力工場を増やす時の見極めポイントと良い関係の築き方
実際に野崎社長の行っているアプローチの手法をご紹介します。既存の顧客からの受注を増やすために、すべきことは大きく3つあります。
- 自社と顧客を知り、ターゲットを選定
- キーマンに会うためのアクションをおこす
- 一度のキーマンとの面談で、出来る限り話を進める
この記事の目次
自社と顧客を知り、ターゲットを選定
相手の会社について、一般公開されている情報を調べます。どのくらいの売上があり、今後どのような業種、業態に進もうとしているのか?また、それは先々伸びそうなものかどうかを考察します。そして、自社の受注状況を調べ、自社にとっての各顧客の重要度を考えます。
また、逆に顧客にとって、自社の重要度を考えます。主要取引先に入っているのか?サプライヤーは何社ぐらいあり、その中で自社はどう思われているのか?自社としては売上が多く重要な顧客だと思っていても、相手にとってのその売上はそれほどの金額ではなく、主要サプライヤーに入っていなかったというケースもよくあります。そのような関係性も考慮した上で、ターゲットの選定のために、その会社の売上規模、業種、業界の伸びしろや、その顧客に納めているサプライヤーが複数存在する場合は、シェア拡大の可能性を模索します。
また、顧客の要望に何で貢献できるか?顧客のやろうとしていることに対して、提案材料を一つ用意します。具体的な提案材料があれば良いですが、無くても、やろうとしていることに対しての、実績や加工技術の強みがあれば大丈夫です。ピンポイントで提案できるような材料はなかなか用意できるものではありません。あくまできっかけを作る目的です。
キーマンに会うためのアクションをおこす
現状の担当の窓口がどのような方なのかは重要です。提案したいものに対し、どこまで関係のある人なのか、あまりわからないということであれば、別のキーマンを紹介してもらう必要があります。窓口が購買の担当さんだけだと、事業の全容が見えてこないので、まずは設計者へのアプローチを図り、そこから事業責任者へアプローチをかけます。具体的な動きかたとしては、図面には設計者の名前が書かれているケースが多いため、「まずは設計者とお話させてもらっても良いですか?」と紹介していただきます。
設計者につないでもらった際には、次に、事業の全容のわかるプロジェクトの部長を紹介してもらっています。設計の方はけっこう垣根の無い方が多いので(あくまで経験上ですが)気軽に上司を紹介頂けるケースが多いです。
一度のキーマンとの面談で、出来る限り話を進める
部長クラスと面談した際には、自社が貢献できそうな内容を提示し、実際にそれに携わる人をその場で紹介してもらうこともあります。一度の面談で、可能であれば図面を頂く所まで進めるのが理想です。
何度も訪問し、関係を構築するということではありません。関係を作って情報を引き出すのではなく、話す材料、キーマンが揃っているのであればむやみに回数を増やさず、短い時間で成果を出すことがお互いにメリットとなります。
そもそも、それまでの顧客とのやりとりで、良好な関係性ができている上で紹介して頂いているわけですから、断られるとしたら、最初の窓口の段階で断られているはずです。ただ、最初の窓口でも新規でアプローチかけるよりは断られる確率はかなり低いと思います。
一番重要なことは踏み込むこと
以上のような流れでアプローチしていますが、一番重要なことは、まずはアクションを起こすことです。顧客をしっかり調べた上でアプローチを行い、相手の反応から、自社との関係性を知り、そこからまた動きを決めます。紹介して提案できるようであればそれは良いですし、かたくなに拒否されるようであれば、そのような現状だということを知る必要があると思います。その場合は、相手が何を求めているのか?何が自社に足りないのかを考えれば良いと思います。
まずは目的をもってアプローチをかけ、断られることを恐れないことが重要だと思います。簡単なことのようですが、実際にそこまで行っている会社は非常に少ないです。
以上が野崎社長の実際に行っているアプローチ方法でした。
今後も野崎社長へのインタビューを連載予定です。少しでも売上向上のお役立ちができれば幸いです。