リスティング広告の1クリックあたりの単価の調べ方と単価の抑え方

【執筆者紹介】渡部 仁志
この記事の執筆者
渡部 仁志
会社名:テクノポート株式会社
役職:コンサルティング課、上級ウェブ解析士
執筆テーマ:ホームページの制作に役立つ記事や、Webに関する最新情報など
【経歴】
2013年入社。
ホームページ制作ディレクションやWeb解析の仕事に従事。上級ウェブ解析士の資格を持ち、GA4の活用方法について幅広い知見を持つ。
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こんにちは。テクノポートの渡部です。自社のWebサイトを作ったものの、アクセスをなかなか集められず、広告を出してみようと検討したことがある人もいるのではないでしょうか?

本日はWeb上において、最も簡単で気軽に始められるリスティング広告について、その1クリックあたりの単価の調べ方についてご紹介します。

リスティング広告とは

リスティング広告とは、GoogleやYahoo!など検索エンジン事業者に対して広告料を払い、広告枠として検索結果の1ページ目に自社のサイトを表示させる方法です。具体的には下記の枠の部分です。検索結果とは別に「スポンサー」というタグがつきます。

※Googleで「射出成形」と検索した結果

SEO対策との比較

SEO対策はWebページのコンテンツが検索エンジンに評価されれば、長期的に集客を見込めるのは確かですが、コンテンツが評価されて上位表示されるとは限りません。キーワードによっては上位に表示されているWebサイトが強すぎて、それらのサイトよりも上位に表示させることが難しいキーワードもあります。それに対して、リスティング広告は広告料を支払えば、自社のサイト検索結果の1ページ目に表示させることができます。そのため即効性が高く、しかもクリックされて初めて料金が発生するため、無駄がなく確実な集客を見込むことができます。

キーワード単価の調べ方

Googleで広告を出す場合は、キーワードプランナーで調べることができます。(要Googleアカウント)Yahoo!の場合は、キーワードアドバイスツールというツールで調べることができましたが、2023年5月末でサービスの提供を終了しています。弊社のこれまでの運用履歴からすると、Googleで出した広告とそこまで大きな乖離は見られないので、Yahoo!で広告を出す場合にもGoogleのキーワードプランナーで大体の目星をつけるといいでしょう。

キーワードプランナーでの調べ方は簡単で、「新しいキーワードを見つける」という枠に希望のキーワードを入れて結果を表示させるだけです。(広告を出していないアカウントの場合、月間検索需要は100~1,000といった範囲で結果が表示されます)

キーワード単価の決まり方

リスティング広告におけるキーワード単価は、以下の要因によって決まります。基本的には広告オークションの仕組みで決定されるため、高い設定をしていた方が有利には働きますが、その他にも様々な要因によってキーワード単価が決まります。

1:オークション方式

最も大きな要因として、リスティング広告(Google広告やYahoo!広告)はオークション形式で掲載順位やクリック単価が決まります。各キーワードに対して入札単価」を設定し、広告オークションに参加します。この金額は広告オークションでの入札額として使用され、競合他社とのオークション結果に基づき、実際のクリック単価が決定されます。入札単価を高く設定すると、広告の表示順位が上がる可能性がありますが、自社の予算に応じて適切に設定する必要があります。

2:広告の品質スコア

キーワード単価に影響を与えるもう一つの重要な要素は、広告の品質スコアです。これは、Googleなどの広告プラットフォームが広告の関連性や品質を評価したスコアで、次の3つの要素で構成されます。

  • 広告のクリック率(CTR)の予想値
  • 広告とランディングページの関連性
  • ランディングページの利便性

品質スコアが高いほど、同じ入札額でも広告の掲載順位が高くなり、クリック単価が低く抑えられる可能性があります。反対に、スコアが低い場合は、入札額が同じでも掲載順位が下がり、クリック単価が高くなる可能性があります。

3:地域やターゲティング設定

広告の配信対象となる地域やユーザー属性も、クリック単価に影響を与えます。たとえば、都市部や特定の地域で検索されるキーワードは、より多くの広告主が競争に参加するため、単価が高くなることがあります。また、特定のデバイス(スマートフォンやデスクトップ)や時間帯でのターゲティング設定も、クリック単価に影響を与えます。

どういうキーワードの単価が高いのか?

競合がそのキーワードに対して高い単価で入札していれば単価が高くなりますが、競合性が高くなる要因として下記のような要因が考えられます。

  1. コンバージョン率が高く、オンライン上で成約まで進むものや、成約までの確率が高いもの。
  2. コンバージョンに繋がったときの単価が高いもの。
  3. 緊急性が高いもの。

1つ目はオンライン上でコンバージョンまで完了するもので、製造業の場合あまりオンラインでコンバージョンまで進むものは多くありませんが、「3Dプリント」と「3Dプリンタ」のキーワードの比較が下記です。

「3Dプリンタ」本体の単価は高いもののオンラインでコンバージョン(購入)まで行くことはほぼありません。「3Dプリント」を依頼する場合はオンライン上でコンバージョンまで完結するサービスも多数あるので、3Dプリントの方が単価が高くなっています。

2つ目と3つ目に当てはまるキーワードとして例を出すと、「交通事故 弁護士」といったキーワードでの間と1クリックあたりの単価はかなりの高額になります。ただ、2と3の条件を両方とも満たしているので、1クリックあたりの単価が高くても広告代は十分元が取れると思われます。

キーワード単価を抑えて予算を最適化する

リスティング広告の予算を抑えて集客力を最大にするためには、クリック時のキーワード単価を抑える必要があります。キーワード単価を下げるには、以下のような方法があります。

  • 適切なキーワード選定
  • 広告品質の向上
  • ターゲティングの適切な設定

これらの3つのポイントについて解説します。

キーワード選定で予算を抑える方法

各キーワードのクリック単価はオークション形式で決まるため、リスティング広告においてはキーワード選定が費用対効果を大きく左右します。適切なキーワードを選ぶことで、無駄なクリックや高すぎるクリック単価を防ぎ、予算を抑えられます。

基本的に競争の激しい人気キーワードはクリック単価が高くなる傾向にあります。代わりに、ロングテールキーワード(検索ボリュームは少ないが、より具体的な検索意図を持つキーワード)を活用することで、単価を低く抑えられます。たとえば、「樹脂成形」よりも「POM 成形」、「樹脂 射出成形」といったように、具体性のあるキーワードを狙うことで、競争が少なくクリック単価を抑えやすくなります。

品質スコアを上げて予算を抑える方法

リスティング広告のクリック単価は、広告の入札額だけでなく、品質スコアによっても左右されます。品質スコアが高い広告は、同じ入札額でもクリック単価が低く抑えられ、費用対効果が向上します。

具体的例として、広告品質が「3」のAのLPと広告品質が「5」のBのLPがあったとします。掲載の順位は、これにクリック単価をかけ合わせたスコアが順位の基準になります。

A:品質スコア3×広告単価200円=600

B:品質スコア5×広告単価150円=750

この場合、品質スコアが高いBの方が、広告単価の高いAよりも高い順位で掲載されます。上記は単純化した計算式ですが、品質スコアが上がれば相対的に広告単価を抑えられます。

適切なターゲティング設定をすることで予算を抑える方法

適切なターゲティング設定により、広告の関連性が向上し、クリック単価を下げることが可能です。地域、デバイス、時間帯、オーディエンスを最適化することで、前述の品質スコアが上昇し、結果として広告単価の抑制につながります。

まとめ

今回はリスティング広告を検討するにあたって、大枠の仕組みと1クリックあたりの単価の調べ方、クリック単価の抑え方について解説しました。少額からでも始めることができ、すぐに効果を実感できる方法ですが、奥が深く、最適化すれば大きな成果が見込めます。ぜひ一度取り組んでみてください。

この記事の執筆者
渡部 仁志
会社名:テクノポート株式会社
役職:コンサルティング課、上級ウェブ解析士
執筆テーマ:ホームページの制作に役立つ記事や、Webに関する最新情報など
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