自社のマーケティング企画を成功させるための3C分析のやり方

【執筆者紹介】卜部克哉
この記事の執筆者
卜部克哉
会社名:テクノポート株式会社
執筆テーマ:Web広告、Webマーケティング
【経歴】
通信機器メーカーでの法人営業を経てWebマーケティングコンサルタントへ。セールスとWebマーケティング(サイト改善/SEO/Web広告など)両方の視点から製造業の認知拡大とリード獲得施策を得意としている。

【寄稿実績】
製造業にとってオンライン展示会は“使える”のか? コロナ後の可能性を考える(MONOist)
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「いいモノを作れば売れる」という時代は終わり、いいモノをどのようにすれば売れるか。マーケティング戦略の重要性が増してきています。

では、どのような方法があるのでしょうか?本記事では3C分析について解説していきます。

自社のマーケティング企画を成功させるための3C分析のやり方

3C分析とは

3C分析とは、顧客・市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)それぞれの視点を分析し、課題を解決に導く方法のことです。3Cはその頭文字を取ったもので、マーケティング環境を客観的に分析することができます。

3つのCについて

3つの「C」は顧客・市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)を指しますが、それぞれ次のような内容が分析対象となります。

・自社(Company):自社製品の強み・弱み、自社のブランド価値など
・競合(Competitor):競合他社のシェア率、競合他社への市場の評価、強みや弱み
・顧客・市場(Customer):利用者層や購買層、顧客のニーズ

この3つの「C」を分析することで、製品開発や集客に関係する要素をあぶり出すことができます。企業の事業戦略に3C分析を活用している企業も多くあります。

3C分析とは?

ビジネスブレイクスルー大学の学長であり、経営コンサルタントの大前研一氏が1982年に書いた自著「The Mind of the Strategist」で発信したことで、3Cのフレームワークは知られるようになりました。

事業戦略を成功させるためにどのようなことが必要かを導き出す分析手法で、事業計画やマーケティング戦略を決定する際に活用します。自社を取り巻く競合・顧客の外的要因を分析することで、事業実現のための成功要因(Key Success Factors)を導き出すことができると言われています。

3C分析の必要性

3C分析においては、顧客・市場、競合、自社の3つの観点からビジネスのKSF(Key Success Factor:成功要因)を見出すことが重要です。

通常、分析には多くの情報や時間を必要としますが、3C分析ではポイントを絞ることによりスピーディーで効果的な分析が可能になります。さらに、客観的な情報収集をすることができ、その後の事業戦略を決定する指標ともなります。

3C分析のやり方

3C分析のやり方や手順を解説していきます。手順としては次の3STEPで実施します。

  • STEP1 顧客・市場を分析
  • STEP2 競合を分析
  • STEP3 自社を分析

はじめに、顧客・市場を分析します。市場やトレンドや変化を知らなければ、自社の強みや競合の存在意義がわからないためです。

2番目は外部要因である「競合」の強みや弱みを分析します。競合他社の成功例や失敗例がある場合は、どちらも分析しておくことが重要です。

顧客・市場、競合の情報を整理したあとに、最後に自社の強みや弱みを分析します。

テンプレート紹介

ここで3C分析を行うためのテンプレートを紹介します。
「顧客・市場(Customer)」 → 「競合(Competitor)」 → 「自社(Company)」の順番で行うのが基本です。
自社のマーケティング企画を成功させるための3C分析のやり方

それぞれテンプレートの中に情報を抜き出します。次のような情報が例として挙げられます。

顧客(Customer):業界の市場規模、市場の成長性、顧客ニーズ、ターゲットになりそうな顧客情報

競合(Competitor):競合各社の現状シェアと推移、競合の特徴(採用している戦略・保有リソースなど)、自社が特に注意すべき対象となる製品、注意すべき競合企業と特徴と今後想定される行動

自社(Company):既存事業・自社製品の現状(売上、シェア、商品ラインナップ、戦略、など)、ヒト・モノ・カネの現有リソース、強み・弱み

STEP1 顧客・市場(Customer)を分析する

カスタマー(Customer)は顧客を指していますが、市場も含まれます。また、マクロ分析とミクロ分析の2つを行うことで、より効果的な分析が可能となります。

マクロ分析は、消費や景気の変動、法律の改正などの社会的要因を整理する方法です。政治(Politics)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)の4つの要因により、自社にとってどのような影響を与えるのかを分析し、今後の戦略に役立てることが重要です。

ミクロ分析は、マクロ分析の反意語です。分析の対象を企業や顧客ニーズに絞り整理します。

~顧客・市場分析を製造業のWebサイトに活かすには~

制度の改正や助成金、政府や自治体が支援する製品領域では、制度説明なども記載するといいでしょう。助成制度は特定の業界のビジネスチャンスになるため、自社製品の必要性をより一層訴求できます。

また、自社の技術力をアピールしたい気持ちはとても良くわかりますが、それよりも顧客のニーズに合わせて製品紹介を行うことが重要です。例えばある特定の部品の製造会社の場合は、その製品自体の技術力だけではなく、その製品がどこに使われるものなのかや、それが他社製品と比べてどこが優れているかなど、顧客が必要とする情報もしっかりと網羅する必要があります。

STEP2 競合を分析する

競合他社の規模や売上、商品などに関する情報を分析します。他社の製品情報や従業員ごとの売上などを自社と比較し、自社商品が他社に対して勝っている点や劣っている点を理解します。

製造工程や販路や営業体制など、バックグラウンドや仕組みも分析しておきましょう。また、他社の成功や失敗した事例を把握することで、自社のマーケティングの参考になります。

~競合分析を製造業のWebサイトに活かすには~

競合会社の製品の強みや弱みを理解し、それぞれに優位性をもたせた形で自社の製品訴求を行いましょう。仮に価格では勝てない競合製品に対しては、価格よりも機能性や性能を強く訴求し、価格に納得してもらうような構成が必要です。

スペック比較表の作成も有効です。その比較表をホワイトペーパーに落とし込み、お問い合わせのインセンティブとして設定することで、リードの獲得も期待できます。

STEP3 自社を分析する

顧客・市場、競合の分析が済んだら、最後に自社の分析に入ります。自社の分析の方向性としては、自社が持つ顧客に対する強みや弱みはなにか、また自社が競合と比較して勝っている点や劣っている点はどこかなど、それぞれとの比較の上で分析することをおすすめします。

これが自社分析を最後のステップに持ってきた理由です。いちばん重要なことは、自社が顧客と競合という環境に対しての課題やチャンスを掴むことです。

~自社分析を製造業のWebサイトに活かすには~

顧客ニーズと競合を分析し、自社サイトに掲載する情報を決めましょう。例えば次の情報は十分に比較検討した上で掲載する必要があります。

  • 製品の仕様、機能、スペック
  • 納期
  • アフターサービス、メンテナンス体制

3つのCの関係性で考える

市場・顧客、競合、自社の立場の異なる3つの視点や、その3つが影響し合う関係性を意識することで、より質の高い分析ができます。例えば次のような分析の仕方がおすすめです。

  • 自社⇔競合:競合が自社と同じ製品を作ったらどのような売り方をする?
  • 自社⇔顧客:今の顧客はなぜ自社の製品を買ってくれている?
  • 競合⇔顧客:顧客が競合の製品を使うのはどんなとき?

3C分析をするときのコツ

3C分析を行う際の3つのコツを紹介します。

①重要なファクターに絞って情報収集をする

一言に「顧客を分析する」「競合を分析する」と言っても、何から手を付ければよいかわからないことがあります。そんなときには、特定の機能や価格、スペックだけに絞って分析していきましょう。例えば板金加工メーカー製作するラックを例にすると、特定の用途での耐荷重について、他社は何kgまで耐えられるか、顧客は何kgの機器を乗せる必要があるのか、自社はそれに対して何kgと設定しているかなど、共通軸を設定し比較していきます。

②可能な限りデータを元にした客観的な分析を行う

例えば市場分析の際に「おそらく今後は〇〇が流行るだろう」などという主観的な判断はできるだけ避けましょう。「政府による助成金が〇年に〇円投下されるので、〇円の設備投資が実施されるだろう」など、可能な限り客観的なデータをベースにして分析を行うと精度が高まります。

③それぞれのCを意識しながら分析する

顧客を分析するときには、競合と自社の存在を意識しながら。競合を分析する際には顧客と自社の共通項を意識しながら分析を行うと、それぞれに関係する情報を収集できるためおすすめです。

3C分析を行った実例

実際の企業はどのような方法で3C分析を行い、成功しているかを紹介します。実例を学ぶことで、自社の分析に役立てたり、ガイドラインにしたりすることもできます。それでは実際の3C分析を解説します。

株式会社協友製作所様の例

協友製作所様は金属加工の会社ですが、HPリニューアル前は自社を選ぶメリットとして「品質は最優先」「充実した設備環境」など一般的な言葉で表現されていました。

HPリニューアル時には、自社の製品や技術のどの部分が顧客に選ばれているのかや、同様の製品や技術を保有している会社の数や優位性がどれくらいあるかを調べ、3C分析を行いました。

自社のマーケティング企画を成功させるための3C分析のやり方

そしてHPリニューアルでは、特徴的な技術の説明を追加するとともに、製作している製品名「コールドプレート」「バッキングプレート」「真空装置」などを加えました。
自社のマーケティング企画を成功させるための3C分析のやり方

その結果、一般的な機械加工業者から特殊な技術で、特定の製品を製作している会社へと特徴を出すことに成功しました。

それにより、これまで一般的な機械加工の相見積もりと思われるものしか来なかった問い合わせが、特定の技術での加工や特定の製品の製作の見積もりなど、問い合わせがより具体的になり、受注率も大幅に改善しました。

スターバックスの例

最後に皆様になじみ深いスターバックスの3C分析を通じて、具体的イメージを持ってみてください。

これまでと同様にテンプレートを活用します。

自社のマーケティング企画を成功させるための3C分析のやり方

顧客・市場(Customer)
「おしゃれなで居心地のよい空間で休憩したい」「高級感がある場所で仕事をしたい」「ワンランク上のコーヒーを飲みたい」などのニーズが挙げられます。

競合(Competitor)
ドトールを例に挙げますと、スターバックスのような価格設定やサービスとは異なります。リーズナブルな価格設定で喫煙所もある。しかし、大衆的ではあります。スターバックスはブランド力やおしゃれな店内装飾といったことに力を当て、ドトールと差別化しています。

自社(Company)
強みはおしゃれな空間、店員の質高いサービスなどが考えられます。弱みは、強みの反対を分析することで見えてきます。一杯のコーヒーが高い、おしゃれで入りにくい、喫煙ルームがないなどの理由で通わない方もいるでしょう。しかし、スターバックスは強みにフォーカスを当てることでブランディングに成功しているようです。

まとめ

マーケティングの企画は非常に複雑です。何をすればいいのか悩むケースもあります。本記事は3Cそれぞれの視点から分析することで、自社の強み・弱み、課題そして解決策が明確になる方法をお伝えしてきました。今後どうしていくべきかのガイドラインにもなりますので、一度分析してみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者
卜部克哉
会社名:テクノポート株式会社
執筆テーマ:Web広告、Webマーケティング
【経歴】
通信機器メーカーでの法人営業を経てWebマーケティングコンサルタントへ。セールスとWebマーケティング(サイト改善/SEO/Web広告など)両方の視点から製造業の認知拡大とリード獲得施策を得意としている。

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