BtoB製造業が海外でやるべきSNSは?海外のSNS利用動向

【執筆者紹介】大城竜亮
この記事の執筆者
大城竜亮
会社名:テクノポート株式会社 海外Webマーケティング担当

【経歴】
2002年に機械系の学部を卒業後、機械設計者としてパワーステアリングおよびトランスミッションのメーカーに6年、汎用圧縮機メーカーに15年勤め、製品のコンセプト作りから量産化まで推進、国内だけではなく、海外メーカ製のOEMや海外工場への製品移管を実施。
2024年11月より、テクノポートへ入社。
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テクノポートの大城です。今回は、BtoB企業が海外でSNSマーケティングを検討するにあたって役立つ、海外SNSの利用動向について取り上げます。

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企業における海外向けSNSの利用動向

コロナ禍以降、デジタル活用の動きが活発になっていますが、その流れの中で、SNSのグローバル展開を検討する企業が増えています。SNSは、潜在顧客への認知喚起やブランディングとして企業に積極的に活用されています。それは国内に限らず海外でも基本的に目的は同じです。

ただし、ソーシャルメディアの活用方法は国によって特性が異なります。Facebookの利用率が非常に高い国もあれば、独自SNSが発展した国もあります。ユーザーの属性、用途は国によってバラバラです。全く同じ投稿でも文化の違いや国民性によって受け入れられるものとそうでないものがあります。

海外でSNSを活用するのであれば、対象国のSNS利用状況や各国のソーシャル事情を理解した上で情報発信したいところです。ここからは、世界各国のSNS利用状況について解説いたします。

BtoB製造業で主に使われるSNS

BtoBの領域でも、SNSを活用した情報発信・マーケティングはグローバルで一般化しており、特に米国・中国・インド・ASEAN諸国などの主要市場では、SNS活用が企業戦略の一部として定着しています。

現在、BtoB企業が海外向けに主に活用しているSNSは、LinkedIn、YouTube、Facebook、Instagram、X(旧Twitter)の5媒体が中心です。中でもLinkedInは、実名・職種ベースのビジネスネットワーキングが可能なため、採用・営業・ブランド構築の全方位で利用率が高まっています。

また、国や地域ごとに利用されるSNSは異なっており、たとえば中国では、LinkedInが撤退したため、WeChat、Weibo、Zhihu、Douyin、MaimaiなどのローカルSNSの活用が必須です。東南アジアや台湾では、FacebookとLINEが強く、YouTubeやInstagramも効果的です。インドでは、LinkedInとYouTubeが中核となっており、WhatsAppやFacebookもビジネス連絡・顧客接点として活用されています。

このように、地域ごとのSNS特性を理解し、それぞれのプラットフォームに適したコンテンツを展開することが、BtoB企業の海外マーケティング成功の鍵となっています。

主な地域のSNS事情

ここでは、BtoBで対象となる主な地域について人気のSNS媒体の傾向や主な利用者層、用途について簡単に整理します。

米国

米国で普及しているSNS Top5は以下になります。

  • 1位:YouTube
  • 2位:Facebook
  • 3位:LinkedIn
  • 4位:Instagram
  • 5位:X(旧Twitter)

米国におけるBtoB向けSNSで最も利用されているのはYouTubeで、月間2億人以上が利用し、製品デモやウェビナーといった視覚的訴求に強みがあります。Facebookは実名制SNSとして企業ページや広告機能が充実しており、中小企業からも広く活用されています。

LinkedInはBtoBに特化した最重要プラットフォームで、特にプロフェッショナル層との接点形成に有効です。Instagramは若年層へのブランディングや採用広報に強く、X(旧Twitter)は速報性を活かしたニュース発信やイベント対応で利用されます。

なお、全体としてYouTubeの存在感が圧倒的で、FacebookとLinkedInは用途や対象によって使い分けられています。

中国

中国のSNS TOP5は以下です。

  • 1位:WeChat(微信)
  • 2位:Douyin(抖音)
  • 3位:Weibo(微博)
  • 4位:Zhihu(知乎)
  • 5位:Maimai(脉脉)

中国のBtoBマーケティングにおいては、WeChat(微信)が圧倒的な存在感を持ち、ビジネスチャット、情報発信、商談、予約、決済など、あらゆる業務を支える「業務OS」として機能しています。Douyin(抖音)は一見BtoC向けに思われがちですが、実際には自社工場の様子や技術力を短動画で紹介するなど、BtoBショーケースとしての活用も広がっています。

Weibo(微博)は拡散力と検索性に優れ、メディア露出や公式情報の周知に適した広報チャネルです。Zhihu(知乎)はQ&A形式の信頼性ある知識共有サイトとして、BtoB企業の専門性や技術力を深く訴求する長文コンテンツマーケティングに有効です。

脉脉(Maimai)はLinkedInの中国版とも言えるビジネスSNSで、採用活動や企業ブランディング、従業員の声を通じた企業文化の発信などに活用されています。

韓国

韓国のSNS TOP5は以下です。

  • 1位:Kakao Talk
  • 2位:YouTube
  • 3位:Instagram
  • 4位:Facebook
  • 5位:NAVER系サービス(ブログ・カフェ・BAND)

韓国のBtoB企業におけるSNS活用では、KakaoTalk(カカオトーク)が中核的存在です。国民の大多数が利用する「生活インフラ」として、社外パートナーとの打ち合わせや資料共有など、ビジネスコミュニケーションに日常的に使われており、広告配信や公式チャネル機能を通じてマーケティングツールとしても活用されています。

YouTubeはテレビの代替メディアとして広く定着し、技術紹介や顧客インタビューなどBtoB向けの動画発信に最適です。検索エンジンのように利用されることも多く、SEO対策にも効果を発揮します。

Instagramは視覚的表現に強く、特に若手マーケターやデザイナー層に人気で、オフィスの様子や社員紹介を通じたブランディングに活用されています。

Facebookは韓国では他国より若年層の利用が一定数残っており、グローバル発信を目指すスタートアップやIT企業に重宝されています。加えて、NAVERブログやカフェ、BANDといったNAVER系サービスは、SNSというより検索・情報ストック用途で使われており、BtoBではSEOや情報発信の補完手段として位置付けられています。

台湾

台湾のSNS TOP5は以下です。

  • 1位:Facebook
  • 2位:LINE
  • 3位:YouTube
  • 4位:Instagram
  • 5位:LinkedIn

台湾におけるBtoB向けSNS活用では、Facebookが最も中心的な存在で、ほぼすべての企業が公式ページを運営し、広報・販促・顧客対応のプラットフォームとして機能しています。

LINEもビジネス連絡のインフラとして定着しており、展示会後のフォローアップや商談のやり取りなど、実務的なBtoBコミュニケーションに欠かせないツールです。

YouTubeはテレビに代わるメディアとして活用され、検索導線と組み合わせた動画による詳細説明がBtoBにおいて大きな効果を発揮します。

Instagramはデザイン性の高い業種や若手人材へのアプローチ手段として用いられ、企業のブランディング強化に寄与しています。

LinkedInは現時点では普及率が限定的ながら、グローバルBtoB企業との接点形成や高精度なターゲティング広告の活用が可能な点から、今後の成長が期待されるSNSです。

なお、WeChatも一定の利用はあるものの、主に中国企業との取引に限定されており、台湾国内ではLINEが主流のビジネスチャネルとなっています。

インド

インドのSNS TOP5は以下です。

  • 1位:YouTube
  • 2位:WhatsApp
  • 3位:Facebook
  • 4位:Instagram
  • 5位:LinkedIn

インドにおけるBtoB向けSNS活用では、YouTubeが最も強力な動画マーケティング手段として確立されており、都市部から地方まで多言語対応が可能な点から、非常に高い情報伝達力を持つプラットフォームとされています。

WhatsAppは単なる連絡ツールから進化し、特にWhatsApp Businessが中小企業の営業・マーケティング支援に活用されるなど、実務的なBtoBコミュニケーション手段として普及しています。

Facebookは地域密着型のBtoBチャネルとして、グループ運営やコミュニティ形成に活用され、地場企業間の情報共有や関係構築に寄与しています。

Instagramは若年層向けのブランディングやリクルーティングに効果的で、ビジュアル要素を活かした企業イメージの発信に適しています。

そして、LinkedInはインドで特に高い活用率を誇り、BtoB商談や採用活動、業界ネットワーキングの中心的なツールとして非常に高く評価されています。

東南アジア

東南アジア地域のSNS TOP5は以下です。

  • 1位:Facebook
  • 2位:YouTube
  • 3位:WhatsApp
  • 4位:Instagram
  • 5位:LINE

東南アジア地域では国によってSNSの人気にばらつきがありますが、全体的にFacebookとInstagramが強い存在感を示しています。例えば、フィリピンではFacebookが最も利用されているSNSで、若年層にはTikTokも人気です。タイではFacebookに加えて、メッセンジャーアプリのLINEが幅広い層で使われています。インドネシアやマレーシアではWhatsAppが日常の主要連絡手段となっており、SNS利用者数でもトップクラスです。このように各国で主力となるプラットフォームは異なるものの、東南アジア全体として動画系ではYouTube、交流系ではFacebookやInstagramが多くのユーザーを抱えているのが特徴です。

中東

中東地域のSNS TOP5は以下です。

  • 1位:YouTube
  • 2位:Facebook
  • 3位:Instagram
  • 4位:WhatsApp
  • 5位:LinkedIn

中東地域ではソーシャルメディア利用者の割合が非常に高く、世界有数のSNS大国が存在します。中でもYouTubeの人気が突出しており、ユーザー数は約1億5,070万人と地域で最も多くの人が利用するSNSです。特にアラブ首長国連邦(UAE)では人口の94%がYouTubeを利用しており、世界でも最高水準の普及率となっています。FacebookとInstagramも広く浸透しており、例えばUAEではInstagramの利用率が2014年の38%から2024年には80%に急伸しました。Facebookに関しても、リビアでは13歳以上人口の96%が利用しているなど圧倒的なリーチを持つ国があります。このように中東では複数のプラットフォームが活発に利用されており、特に動画コンテンツへの嗜好が強いのが特徴です。

ヨーロッパ

ヨーロッパ地域のSNS TOP5は以下です。

  • 1位:Facebook
  • 2位:YouTube
  • 3位:WhatsApp
  • 4位:Instagram
  • 5位:LinkedIn

ヨーロッパにおけるSNS利用は米国と似た傾向にあり、FacebookとYouTubeが主要なプラットフォームとして広く普及しています。統計によると、2024年時点で欧州のソーシャルメディア利用のシェアはFacebookが約45%と最も高く、次いでInstagramが約25%を占めています。国別ではポルトガルやオランダなどで1日平均2時間20分以上もSNSに費やすというデータもあり、日常生活の中でSNSが重要な役割を担っていることが伺えます。企業による活用も進んでおり、2023年には欧州企業の約59%が何らかの形でSNSを活用しているとの報告があります。なお、若年層ではInstagramやTikTok、Snapchatなど新しいプラットフォームへの移行も進んでおり、Facebook一強だった状況から多様化が進んでいます。

BtoB企業の海外SNS事例

最後に、BtoB企業の海外の取り組みについて2社ご紹介します。

オムロン株式会社

制御機器、電子部品を手掛けるオムロンは、中国ではWeChatとSina Weiboを活用し、それ以外の海外ではFacebookとLinkedInを使って情報発信をしています。 同社はオウンドメディアに力を入れており、SNSもこうしたメディアへ誘導するものが目立ちます。

Facebook: https://www.facebook.com/omron.corporation.global
LinkedIn: https://www.linkedin.com/company/omron-corporation/

株式会社三ヶ島製作所

三ツ島製作所は自転車ペタルや自動車部品を手掛ける従業員85名の企業です。企業規模は小さいですが、数年前からSNSで積極的に情報発信を行っています。Instagram とYouTubeは英語で情報発信しており、Instagramではフォロワー数が1万人に達しています。投稿頻度は月に数回程度とそれほど高くないですが、クオリティの高さがうかがえる写真投稿が目を引く内容となっています。

Instagram: https://www.instagram.com/mkspedal/
YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCHyzsDrJ0Yfu2UlMXdxWf2g

Siemens AG

ドイツに本社を置く大手電機メーカーSiemens(シーメンス)は、海外向けSNS戦略でも積極的な取り組みを行っています。同社はLinkedInやYouTubeを主要な発信基盤として活用しており、LinkedIn公式アカウントのフォロワー数は700万人を超えます。エグゼクティブ自らが情報発信する取り組みにも力を入れており、米国法人CEOがLinkedInで先進事例やビジョンを発信して約3万フォロワーを獲得した事例もあります。また、YouTubeでは「Siemens Knowledge Hub」をはじめ複数の公式チャンネルで自社の技術紹介や導入事例動画を公開し、視覚的なコンテンツでブランド価値の訴求を図っています。SNSを通じて業界のリーダーシップを発信し、グローバルなブランドプレゼンス強化につなげています。

LikedIn:https://www.linkedin.com/company/siemens/
Youtube:https://www.youtube.com/siemens

ABB Ltd.

スイスを拠点とする重電・自動化技術の大手企業ABBも、SNSを通じて積極的に情報発信を行っています。LinkedInの公式フォロワーは370万人以上に上り、電化やオートメーション分野での最新の取り組みや事例を発信してユーザーとのエンゲージメントを図っています。また、YouTube上では「ABB Explains」といったシリーズでエンジニアリングの舞台裏や技術解説コンテンツを公開し、専門性の高い情報を分かりやすく発信しています。こうしたSNS活用により、グローバルな顧客やステークホルダーとの接点を広げ、ブランドの親近感や信頼性向上につなげています。

LikedIn:https://www.linkedin.com/company/abb/?originalSubdomain=jp
Youtube:https://www.youtube.com/abb

3M Company

米国の大手総合技術メーカー3M(スリーエム)は、BtoBとBtoCの両面で幅広い製品群を持つ企業として、SNSでも多角的な情報発信を行っています。LinkedInの公式フォロワーは230万人以上にのぼり、科学技術による課題解決への取り組みや製品開発ストーリーなどを発信しています。また、YouTubeでは製品のデモンストレーション動画や顧客事例、イノベーションの裏側を紹介するコンテンツを公開しており、専門家から一般ユーザーまで幅広い層にリーチしています。SNSを活用することで、同社のブランドメッセージである「科学で毎日の生活にインパクトを与える」姿勢をグローバルに伝えています。

LikedIn:https://www.linkedin.com/company/3m/
Youtube:https://www.youtube.com/c/3MCorporate

まとめ

海外展開を目指すBtoB製造業にとって、SNSは国や地域の事情に応じて戦略的に使い分けたほうがよいでしょう。国ごとに利用率や主流SNSが異なるため、画一的な発信ではなく、現地ユーザーの行動特性や言語、文化に配慮した運用が求められます。

YouTubeやLinkedInのようなグローバル共通プラットフォームを軸にしつつ、中国のWeChat、インドのWhatsApp、韓国のKakaoTalkなど地域特有のSNSも取り入れることで、海外顧客との信頼構築・関係強化に繋がります。まずは主要市場のSNS環境を理解し、自社に合ったチャネル選定と発信設計を進めていくことが、BtoB企業のグローバルマーケティング成功の鍵となるでしょう。

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【調査期間】 2024年1月22日〜1月23日
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この記事の執筆者
大城竜亮
会社名:テクノポート株式会社 海外Webマーケティング担当

【経歴】
2002年に機械系の学部を卒業後、機械設計者としてパワーステアリングおよびトランスミッションのメーカーに6年、汎用圧縮機メーカーに15年勤め、製品のコンセプト作りから量産化まで推進、国内だけではなく、海外メーカ製のOEMや海外工場への製品移管を実施。
2024年11月より、テクノポートへ入社。
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