テクノポート株式会社の稲垣です。
BtoB企業向けの「海外向けWebマーケティング」サービスの責任者を務めています。
この記事では、英語でSEO対策における「クリック率(CTR)の上げ方」を解説します。
この記事の目次
クリック率(CTR)とは?
SEO対策におけるクリック率(CTR: Click-Through Rate)とは「検索結果ページに表示されるWebサイトのリンクが、ユーザーによってどれだけクリックされているか」を示す指標です。(「検索結果ページ」とは、こちらのページです)
具体的には「CTR(%)=(クリック数 / 表示回数)× 100」で計算されます。例えば、あるウェブページのリンクが100回検索結果に表示され、そのうち5回クリックされた場合、CTRは5%になります。
クリック率(CTR)の決定要因
クリック率は以下の2つの要因により決定します。
- ページの検索順位
- ページのタイトル、ディスクリプション
1. ページの検索順位
以下のグラフは、横軸にCTR、縦軸に検索順位をとり、検索順位における平均のCTRを示したものです。(灰色の棒グラフが通常の場合、青色の折れ線グラフは「強調スニペット」ありの場合のCTRです)
出典:SEO CTR stats to inform your 2023 SEO strategy [SERP trends]
上記のグラフが示す通り、検索順位が高いほど、CTRも高くなることがわかります。原理は単純で、検索結果の上の方に表示されるページほど、ユーザーの目に留まりやすくクリックされやすいためです。
2. ページのタイトル、ディスクリプション
ページのタイトル、ディスクリプションとは、検索結果に表示される以下の表示です。
タイトルは、基本的に「title(タイトル)タグ」を設定することで、意図的に決定できます。一方、ディスクリプションは「description(ディスクリプション)タグ」の設定がそのまま採用されることもあれば、Googleが検索キーワードによって意図的に表示を変えることもあります。
クリック率(CTR)を上げるメリット
Webサイトへのアクセス数が上がる
クリック率が上がる一番大きなメリットは、Webサイトへのアクセスが多く集まることです。ただ一概にクリック率が高ければ高いほど良い、と言い切れないことに注意が必要です。
例えば、”industrial equipments“というキーワードでの検索行動を考えます。このキーワードで検索を行うユーザーの検索意図(検索者が検索によって解決したい課題)は、以下の2つに大別できます。
- “industrial equipments”について知りたい
- “industrial equipments”が欲しい(”industrial equipments”を扱っている会社を探している)
この場合、前者のユーザーは情報収集が目的であり、貴社のサイトに訪れたとしても、購買行動に結びつく可能性は低いと言えます。一方、後者のユーザーは購買を目的とした検索を行っているため、購買に結びつく可能性が高いユーザーであると言えます。
もし”industrial equipments”の購買を目的としている人にWebサイトを訪れてほしい場合、注力するべきことは、後者のユーザーからのクリック率を上げることです。たとえクリック率が低くとも、後者のユーザーからのクリックが集まっていればOKというイメージです。
そのため、やみくもにクリック率を上げようとするのではなく、ターゲットとするユーザーが抱えている課題を推測し、彼らがクリックしたくなるタイトルを考えることが重要です。
検索順位が上がる
これはあくまで私の予想です。Googleは、クリック率が高い記事ほど検索結果の上位に表示していると考えられます。
なぜなら「クリック率が高いページ=検索者が求めるページ」と解釈できるためです。検索者が求めるページを優先的に上位に表示することで、検索者が満足し、またGoogleを使いたいと思ってもらえる可能性があります。
したがって、このようなアルゴリズムを採用することは、検索者にもGoogle側にもメリットがあります。ただし、タイトルだけが魅力的で、中身に内容がない(検索者を満足させることができない)ページは、一時的に順位は上がっても、すぐに他のページに抜かされると思います。
クリック率(CTR)改善の進め方
私は、以下の5つのステップでクリック率の改善を行います。
- ページの選定
- キーワードの洗い出し
- 原因の仮説を立てる
- ページタイトルを変更
- 効果検証
STEP 1. ページの選定
まず、クリック率を改善するべきページを選定します。クリック率を改善するべきページとは、以下の3つの条件を満たすページであると考えます。
- 対策キーワードでの検索結果が10位以内である(すでに検索結果の1ページ目に表示されている)
- 対策キーワードでのクリック率が、その順位における平均のクリック率より低い
- クリック率の改善が見込める(指名検索に使用されるキーワードではない)
3の条件については、会社紹介ページ、TOPページなど、ユーザーが貴社を名指しで指名し検索しているキーワードを除くという意味です。これらのページは、タイトルを変えることによるクリック率の向上が見込めないページであるためです。
1と2の条件を満たしているかどうかは、Googleサーチコンソールを使って確認します。Googleサーチコンソールの「検索パフォーマンス」メニューを選択し、任意の期間を選びデータをエクスポート(出力)します。すると以下のような表がダウンロードできます。(キーワードは仮の値を入力しています)
上位のクエリ | クリック数 | 表示回数 | CTR | 掲載順位 |
---|---|---|---|---|
keyword 1 | 72 | 7,410 | 0.97% | 6.14 |
keyword 2 | 36 | 130 | 27.69% | 1.25 |
keyword 3 | 30 | 418 | 7.18% | 2.44 |
keyword 4 | 20 | 1,346 | 1.49% | 7.97 |
keyword 5 | 18 | 128 | 14.06% | 1.94 |
keyword 6 | 18 | 94 | 19.15% | 1.68 |
keyword 7 | 14 | 113 | 12.39% | 2.86 |
keyword 8 | 12 | 1,073 | 1.12% | 5.19 |
keyword 9 | 11 | 2,239 | 0.49% | 8.22 |
この表におけるそれぞれの指標は以下を意味しています。
- 上位のクエリ:ユーザーが検索に使用したキーワード
- クリック数:クエリ(1列目)のキーワードが検索された際に、Webサイト内のページがクリックされた回数
- 表示回数:クエリ(1列目)のキーワードが検索された際に、Webサイト内のページが検索結果に表示された回数
- CTR:クエリ(1列目)のキーワードが検索された際に、Webサイト内のページがクリックされた確率(クリック数/表示回数×100%)
- 掲載順位:クエリ(1列目)のキーワードが検索された際の、Webサイト内のページの平均検索順位
この表の中で特に注目すべき数字は、4列目の「CTR」と5列目の「掲載順位」です。ここで先に述べた3つの条件の1と2を確認します。
例えば、2行目の”keyword 1″の4列目の「CTR」と5列目の「掲載順位」を見てみます。このキーワードは、平均検索順位が6.14位であるため、CTRは4%程度が見込める位置にランクインしていると言えます。(先に紹介した検索順位とCTRの相関を示したグラフをご覧ください)
したがって、現在のCTR、0.97%は検索順位から考えると低い数字であると言えます。つまりこのキーワードは、先に紹介した条件1と2を満たすキーワードであると言えます。また、このキーワードが貴社の社名や製品名などの固有名詞ではない場合、3つの条件をすべて満たしたページであると言えます。
この手順で、CTRを改善するべきページを選定します。またこのページの中でも、特に改善の優先度が高いキーワードを「メインキーワード」とします。今回の場合、表示回数が最も多い “keyword 1″をメインキーワードとして設定することが妥当であると言えます。(基本的に表示回数が多いキーワードほど、CTR改善の影響が大きいため、メインキーワードにふさわしいと言えます)
STEP 2. キーワードの洗い出し
次に、1で選定したページにおいて、現在当該のページで検索結果に表示されている他のキーワードを確認します。その際、掲載順位が10以内のキーワードを以下の2種類に大別します。
- (検索順位に対して)CTRが低いキーワード
- (検索順位に対して)CTRが高いキーワード
具体的には、1のステップで選定したページにフィルターをかけ、もう一度Googleサーチコンソールで上記の表をエクスポート(出力)します。(手順は先ほどと同様で、Googleサーチコンソール内で、ページのフィルターをかけて先ほどと同じ表を出力してください)
すると、先ほどと同じように以下の表が出力されます(キーワードは仮の値を入力しています)。
上位のクエリ | クリック数 | 表示回数 | CTR | 掲載順位 |
---|---|---|---|---|
keyword 1 | 72 | 7,410 | 0.97% | 6.14 |
keyword 1.1 | 18 | 281 | 6.41% | 2.8 |
keyword 1.2 | 14 | 280 | 5% | 2.96 |
keyword 1.3 | 12 | 2,573 | 0.47% | 7.48 |
keyword 1.4 | 11 | 2,239 | 0.49% | 8.22 |
keyword 1.5 | 6 | 391 | 1.53% | 3.3 |
keyword 1.6 | 6 | 101 | 5.94% | 2.9 |
keyword 1.7 | 5 | 187 | 2.67% | 6.7 |
keyword 1.8 | 5 | 71 | 7.04% | 5.9 |
この表における2行目は、先ほどの表と同じキーワードです。この表を見ながら先ほどの分類にしたがってキーワードを大別し、それぞれの分類のキーワードに対して次のような対策を取ります。
- (検索順位に対して)CTRが低いキーワード:CTRの改善を行うメインキーワード “keyword 1″と合わせて、対策できる余地がないか検討する
- (検索順位に対して)CTRが高いキーワード:CTRの改善を行うメインキーワード “keyword 1″によって、CTRが下がる可能性がないか検討する
前者は、具体的には、3行目の”keyword 1.1″、4行目の”keyword 1.2″、などの(検索順位に対して)CTRが低いキーワードについて、メインキーワード “keyword 1″の対策と合わせてCTRの改善できる余地があるか考慮するという意味です。
後者は、具体的には、最後の行の”keyword 1.8″など、(検索順位に対して)CTRが高いキーワードにについて、メインキーワード “keyword 1″の対策によってCTRが落ちる可能性があるか考慮するという意味です。
このような確認を行う理由は、一つのキーワードだけを意識してCTRの改善を行うと、他のキーワードでCTRが悪化し、ページ全体としてCTRが悪化してしまう可能性があるためです。したがって、CTRの改善を行う際は、上記のようなキーワードも複合的に考慮し、ページ全体としてCTRを上げるためのページタイトルをつけることが重要です。
STEP 3. 原因の仮説を立てる
次に、(検索順位に対して)CTRが低いキーワードについて、現在CTRが低くなっている原因を考えます。この工程では、まず優先的にCTR改善を行うメインキーワードで検索し、検索結果に表示されるページを確認します。
検索結果を見るとよくわかりますが、CTRは他社サイトとの比較によって決定します。
例えば、自社のページに魅力的なタイトルをつけていると思っていても、自社と同じようなタイトルの他社サイトが上位に表示されている場合、そのページはクリックされづらいと言えます。なぜなら、同じようなタイトルのページが2つある場合、単純に検索順位が高いページがクリックされやすいためです。
したがって、自社のページを以下のような観点から確認し、現在のページタイトルの問題点を洗い出します。
- 独自性のあるタイトルになっているか(上位表示されている他社のページとタイトルが被っていないか?)
- サイトに訪れてほしいユーザーが求める情報がページ内に含まれていることを暗示できているか?
- 簡潔でパッと見て意味が理解できるか?
STEP 4. ページタイトルを変更
次に上記で洗い出した課題を元に、改善策を考えます。改善策を考える際の具体的なテクニックは、記事の後半で説明します。
ここで注意するべきことは、タイトルの変更によって、STEP 2で分類分けした2つのキーワードに与える影響です。つまりメインキーワードでは、CTRが改善しそうだが、その他のキーワードでは、CTRが下がってしまいそうな場合、その改善案は優れたものではないと言えます。
同様に、メインキーワードでも、その他のキーワードでもCTRの改善が見込めそうな改善案は、優れたものであると言えます。もちろん、タイトルの変更により全てのキーワードに対するCTRが上がることは考えにくいため、メインキーワードを中心に、特に注力したいキーワードを軸にタイトル改善案を考えます。
ここで考えた改善案を当該のページに設定します。合わせて、Googleサーチコンソールでインデックス登録のリクエストも行いましょう。変更したページタイトルが、早く検索結果に反映させるためです。
STEP 5. 効果検証
変更したページタイトルによって、CTRが上がったのか検証します。
検証のために必要な期間は、約1ヶ月〜3ヶ月程度です。これは検索ボリュームに応じて、データの蓄積速度が変わるため、それまでのデータと比較するために十分なデータが取れるだけの期間が必要になります。
ここで、意図通りCTRが改善しなかった場合、再度STEP 3で洗い出した課題を見直し、別の改善策を実行します。このステップを繰り返すことで、CTRを改善します。
英語ページのクリック率(CTR)を上げるタイトル付け方
最後に、英語ページのクリック率を上げるタイトルの付け方を4つ紹介します。
テクニック1. タイトルは検索キーワードから始める
基本的に、ページのタイトルはユーザーの検索キーワードを含めることはもちろんですが、そのキーワードから始まるものをつけたほうがクリック率は上がりやすい傾向があります。
例えば、貴社が精密切削加工(precision cutting)を提供する会社で、精密切削加工のサービス紹介ページにつけるタイトルとして、以下の2つを考えました。
- Precision Cutting: Upgrade your Products with Our Service
- Upgrade Your Products with Our Precision Cutting Service
上記の2つのタイトルは、同じようなメッセージを伝えていますが、私の経験則では、前者のタイトルの方がクリック率が高いと言えます。なぜならユーザーは、”precision cutting”という検索キーワードを使用しているため、当該のキーワードがパッと見て入っているページをクリックする可能性が高いと考えられるからです。
実際にこのタイトル変更を行うだけでも、CTRが5%以上改善した事例もあり、再現性が高い改善方法だと思います。
テクニック2. 短縮表現を活用する
ページのタイトルを、簡潔で直感的にわかりやすくするために、短縮表現を使う方法があります。
短縮表現とは、以下のような表現方法です。
種類 | 方法 | 具体例 |
---|---|---|
頭文字 | 各単語の最初の文字だけで表す方法 | HVAC: Heating, Ventilation, and Air Conditioning |
略語 | 一部の文字を省略する手法 | Information: Info. Number: No. |
記号・数字 | 文字の代わりに記号や数字を使用する方法 | and: & B to B: B2B |
シンプルな表現 | シンプルでわかりやすい表現を使う | Understanding the Basics of ~: ~ 101, The ABCs of ~ Difference between A and B: A vs. B |
このテクニックを使う際に注意することは、対策する検索キーワードに対して省略表現を使用しないことです。Googleにきちんと対策キーワードを伝えるためにも、対策する検索キーワードは正確な表現でタイトルに含めることをおすすめします。
あくまで、これらの表現は、対策する検索キーワード以外の場所で使い、タイトルを簡潔にするためのテクニックとして使う方が安全だと思います。
テクニック3. 主題+副題方式を使う
英語では「:(コロン)」を使うことで、タイトルを主題と副題に分けることができます。
例えば、先ほどの例同様に貴社が精密切削加工(precision cutting)を提供する会社で、精密切削加工のサービス紹介ページにつけるタイトルとして、以下の2つを考えました。
- Precision Cutting: Upgrade your Products with Our Service
- Precision Cutting Service for Next-level Quality Products
前者と後者でメッセージは同じですが、前者の方が主題と副題を使用することで、タイトルにメリハリが出ます。(少なくとも私はそう感じます)このようなタイトルとつけることで、ユーザーが直感的にページの意味を理解できると思います。(実際このようなタイトルの付け方はよく見かけます)
テクニック4. 疑問文を使う
特にブログ系のページで有効なテクニックとして、疑問文を使う方法があります。
ここでも、先ほどの例と同様に貴社が精密切削加工(precision cutting)を提供する会社で、今回は、精密切削加工に関する基礎知識をまとめたブログページにつけるタイトルとして、以下の2つを考えました。
- “What is Precision Cutting? A Beginner’s Guide to the Fundamentals
- A Beginner’s Guide to Precision Cutting Techniques
こちらも両者のメッセージは同じですが、前者のタイトルはまさに読者の頭の中の疑問がそのままタイトルとして現れているため、ドンピシャな疑問を持つユーザーからのクリック率が上がりやすいと考えられます。実際に、海外のブログ系の記事では上記のような疑問文形式のタイトルのページをよく見かけます。
まとめ
英語SEO対策におけるクリック率の上げ方について解説しました。CTRは一気に全てのページを改善するのではなく、まずは1つのページで取り組んでみることで、感覚がつかめると思います。
SEO対策においては、検索順位に加えてCTRも改善することで、検索からの流入も増え、検索順位の向上も見込めます。時間と労力をかけて作ったページを無駄にしないためにも、CTRも重要な指標の一つとして認識いただければと思います。
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