地方の中小製造業が県外の顧客獲得をした成功事例と考察

【執筆者紹介】小林(井上) 正道
この記事の執筆者
小林(井上) 正道
会社名:テクノポート株式会社
役職:取締役
【経歴】
製造業のWebマーケティング支援を15年以上。
製造業への訪問実績3000件を超える。
幅広い加工知識と市場調査をもとに、製造業の新規顧客開拓の支援を行う。

日本工業大学技術経営学修士号(MOT)
研究テーマ「Webを活用した用途開発マーケティング」

【専門領域】
製造業 × 企画コンサルティングスキル × Webスキル(SEO中心)

【寄稿実績】
・Webリニューアルが逆効果に? 問い合わせを減らさない製造業のサイト改革(MONOist)
・新規顧客が集まらない製造業のWebサイト、活用を阻む3つの壁(MONOist)
・技術PRのために最適なWeb戦略は何か、「アンゾフの成長マトリクス」の活用(MONOist)
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テクノポートの小林です。今回は、地方の中小製造業の県外への販路開拓についてお話します。中小製造業において、地元のメーカーからの仕事だけでは、将来的な売上の拡大が困難になるという点は重要な問題です。地方の中小企業が生き残り、成長するためには、地元市場を超えて県外や首都圏などの大きな市場での案件を獲得することが不可欠です。「そのための商談会や展示会に参加しているけれど、それだけではなかなか思うような成果を挙げられていない」と感じている企業は多いと伺います。ひとつの手法として、Webを活用することで活路を見出した企業の事例紹介と、地方製造業を取り巻く環境について紹介します。

ローカルな地域だからこそ、Webマーケティングで顧客開拓の活路を見出す

会社名:株式会社ピーエヌ機電
所在地:長崎県西彼杵郡時津町
事業内容:鉄・非鉄金属のプレス加工および機械加工
サイトURL:
https://www.pn-kiden.co.jp/press-machining/
地方創成事例

抱えていた課題

同社はプレス加工と切削加工を営む30名ほどの会社で、営業部門に専任担当者を配置できていませんでした。この状況は、新規受注の獲得という重要な業務を後回しにせざるを得ない原因となっていました。特に、県外の顧客の開拓は困難であり、受注活動は主に県内に限定されていました。その結果、県外のユーザーをどのように獲得するかが大きな課題となっていました。東京で行われる展示会などにも出展していましたが、思うような成果に結びついていませんでした。

Webを活用することで県外からの顧客獲得に期待

同社の担当となる橋本社長は、Webサイト制作やコンテンツ事業に関わっていました。その経験から、長崎という地方であってもWeb活用のポテンシャルを肌で感じていました。「九州圏内、よくて関西ぐらいまでを商圏とした顧客が呼び込めれば」というのが当初の思惑でした。

取り組みの成果:さまざまな地域から多くの引き合いを獲得

北海道、石川、関東圏など、遠方からも問い合わせを獲得、継続取引に結びつくケースも出てきました。「関西ぐらいまでが商圏」という当初の思惑を超えた成果となりました。もちろん、近場の九州圏内からの問い合わせが一番多いですが、わざわざ県外に頼む理由を見つけることができれば、距離のハンデを超えて問い合わせを呼び込むことができます。

成功のポイント

主なポイントは下記の4つです。

  1. 事業分解:事業内容をしっかり見つめ直し、「なんでもできる」ではなく「何ができる」かを細かく事業分解
  2. 訴求ポイントの選定:特徴になりそうなポイント(特異)、よく行っている加工製品など(得意)を精査
  3. Webコンテンツにて訴求:コンテンツ訴求とSEO対策を意識したサイト作り
  4. 公開後の定期的な分析と改善:公開後の問い合わせ状況の確認・Webサイト分析・改善

同社の場合は、航空機を中心に銅合金に関する加工ノウハウを非常に多く持っていたため、まずはそこから企画を組み立てていきました。

コロナ禍以降、Webサイトをリニューアルして活用しようという動きは活発になっていますが、きれいなサイトへのリニューアルはお金を払えばいくらでもできます。また、それを補助するための国や県の補助金もあります。ただ、顧客開拓を目的とするならば、前述の①②④の部分を徹底的に分析し運用しなければ、ただきれいなWebサイトができるだけで、本来の目的を達成することはできません。

地方の中小製造業の現状を4つの視点で分析

ここからは、地方の中小製造業が置かれている現状について4つの視点で分析し、そこからの考察について紹介します。

機会

  • 国内回帰の流れ: グローバル化が進む中で、製造業が国内で再び注目されています。これは地方の中小製造業に新たな市場や顧客との接点を提供する可能性があります。実際に私のお客様でも、国内回帰をきっかけとした相談をちらほらと目にします。
  • ITツールの発達: 以前は活用があまりされていなかったオンライン会議などのツールが急速に普及しており、打ち合わせを気軽に行えるようになりました。
  • 情報伝達の簡便化: インターネットやSNSの普及により、情報の収集が以前に比べて容易にできるようになりました。
  • 運送網の発達: ロジスティクスの改善により、地方でも国内外の市場へのアクセスが向上しています。

脅威

  • 地場産業の衰退: 人口減少や若者の都市部への流出により、地元市場が縮小している可能性があります。
  • 地場メーカーの工場移転: 大手企業の地方からの撤退や海外移転により、地元経済や雇用に影響が出ている可能性があります。

強み

  • コスト競争力: 都心に比べて、土地や人件費が安いなどのコスト面での競争力があります。
  • 大物の加工や組み立ての適性: 広い土地を活用することで、大型製品の製造や組み立てが可能です。

弱み

  • 県外企業との接点の欠如: 距離的なへだたりやネットワークの不足により、新たなビジネスチャンスを探すのが困難な場合があります。
  • 対面での打ち合わせが困難: 交通の不便さや地理的な隔たりにより、顧客やパートナーとの直接的なコミュニケーションが難しい場合があります。
  • 情報収集力の弱さ: 市場の動向や新技術に関する情報を収集する能力が限られている可能性があります。

以上のことから、地方の中小製造業が県外からの顧客を獲得するためのチャンスは追い風になっていると推測できます。そのチャンス獲得のための手段として「Webをどううまく活用するか」が大きなテーマになっていると考えます。その影響で弊社でも、地方創成や産業振興をテーマに自治体等の支援団体さまからのセミナーの要請が増えてきています。

県外からの新規顧客獲得について紹介しました。新規顧客獲得、新市場開拓のヒントになれば幸いです。

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資料イメージ
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小林(井上) 正道
会社名:テクノポート株式会社
役職:取締役
【経歴】
製造業のWebマーケティング支援を15年以上。
製造業への訪問実績3000件を超える。
幅広い加工知識と市場調査をもとに、製造業の新規顧客開拓の支援を行う。

日本工業大学技術経営学修士号(MOT)
研究テーマ「Webを活用した用途開発マーケティング」

【専門領域】
製造業 × 企画コンサルティングスキル × Webスキル(SEO中心)

【寄稿実績】
・Webリニューアルが逆効果に? 問い合わせを減らさない製造業のサイト改革(MONOist)
・新規顧客が集まらない製造業のWebサイト、活用を阻む3つの壁(MONOist)
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