【2024年調査】海外向けマーケティングの手法Top10・施策の選び方

【執筆者紹介】稲垣 達也
この記事の執筆者
稲垣 達也
【経歴】
テクノポート株式会社「海外Webマーケティング」サービスの責任者
名古屋工業大学大学院 電気機械工学専攻 博士前期課程卒業
同大学 機械工学科卒業

【保有資格】
TOEIC L&R:990/990、英検一級:合格、TOEFL iBT:108/120
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テクノポート株式会社の稲垣です。
BtoB企業向けの「海外向けWebマーケティング」サービスの責任者を務めています。

この記事では海外向けマーケティングの施策をご検討されている(実施されている)事業者の方に、役に立つ情報をまとめました。

【2024年最新】調査レポートのご案内
BtoB企業の
海外向けマーケティングに関する
実態調査
資料イメージ

【調査期間】 2024年1月22日〜1月23日
レポートの詳細はこちら


海外向けマーケティングの定義

海外市場を対象とした製品やサービスの販促活動の中でも、継続的に売れる仕組みを作るための活動と定義します。したがって、海外向けマーケティング活動の中には、市場調査、製品開発、価格設定、プロモーション戦略、流通チャネルの確立、販売後のサポートなど、製品の企画から販売、アフターサービスに至るまでの一連の活動が含まれます。

今回の記事では、その中でも企画〜プロモーションにおけるステージで、どのような施策が広く使用されているかを調査した結果を、ランキング形式でご紹介します。

【2024年調査】海外向けマーケティングの施策Top10

海外向けマーケティングで用いられている施策を、弊社が2024年1月に実施した「BtoB企業の海外向けWebマーケティングに関する実態調査」から取り組む企業の割合が多いものを10個紹介します。

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出典:BtoB企業の海外向けマーケティングに関する実態調査(2024年1月実施) | テクノポート株式会社

第9位:アライアンス先の開拓取り組んでいる企業の割合:22.5%

施策の概要 海外市場でのビジネス拡大や新しい市場への進出に際して、現地企業や組織との提携や協力関係を築く手法
特徴 時間とコストの削減:海外での事業確立にかかる多大な時間とコストを軽減できる
不確実性の低減:現地の商習慣になじみがない中での事業運営による、不確実性を低減できる
向いている企業 ・新規進出国で自社製品の販売代理店を探している企業
・コスト低減を目指し、生産委託先を海外に求めている企業
・海外での保守・メンテナンス業務や部品供給を担う会社と提携したい企業
・働き手の確保のため、一部業務を海外企業へ委託したい企業
費用の目安 数百万円〜

海外向けマーケティングにおけるアライアンス(提携)先開拓の目的は、大きく以下の3つに分かれます。

資本の確保

海外に現地法人を設立する際に発生する初期投資に必要な資金を、現地企業や外資企業との提携によって調達を目的とする場合です。アライアンス先としては、進出国の地場企業との合弁事業が一般的ですが、外資同士で組んで進出するという外資100%の合弁企業もあります。この外資同士の合弁の場合、日系企業同士で組むほか、日系企業と台湾企業や韓国企業、日系企業と米国企業という例もあります。

販路の開拓

現地の販売代理店や流通業者との提携を行い、販路を確保するための提携です。進出先での販路開拓を行うに際して、販売代理店や流通会社と契約するのか、すでに販売チャネルを有する地場企業等と販売提携や資本提携(合弁事業)を行うという選択肢があります。また,他の企業との販売提携の場合、同業の会社と組むケース、他業態の会社と組むケースもあります。

生産委託

現地で協力工場を見つけ出し、そこに必要に応じて原材料供給と技術協力を行って生産(製造)委託を行うことを目的とした提携です。この提携方法は、中堅・中小企業が海外にものづくりの拠点を持ちたいが、自社1社では資金や人材の面から難しい場合の選択肢になります。

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第9位:プレスリリースの配信取り組んでいる企業の割合:22.5%

施策の概要 製品やサービス、イベントなどの情報を海外のメディアを通じて広く一般に伝達する方法
特徴 業界内での認知度向上:特定の業界関係者がよく閲覧するメディアでプレスリリースを配信することで、特定の業界内の認知度向上、業界内でのプレゼンスの向上が期待できる
信頼性の向上:権威のあるメディアにおいて出したプレスリリースを活用することで、業界内での企業の信頼性の向上が期待できる
情報拡散性:特に米国への配信では、多数のニュースサイトやポータルサイトにプレスリリースが転載されることもあり、Web上での情報拡散が期待できる
向いている企業 専門性の高い技術を保有している企業:技術に対して需要のある国・地域のターゲット顧客からの認知度向上、引き合いの獲得が狙える
研究開発に力を入れている企業:研究成果を紹介するメディアを利用し、世界的な認知向上が狙える
費用の目安 10〜30万円(配信代行サービス利用時)

以下では、海外の有名なプレスリリースの配信先メディアを5つ紹介します。

Associated Press(北米)

Press Releases - AP News - apnews.com_resized
出典:Press Releases | AP News

1848年に設立された世界最大級の通信社です。米国発のニュース配信に強みを持ち、6,000社以上のメディアに配信されており、高い信頼と影響力を持っています。

AFP(ヨーロッパ)

Press releases - AFP.com - www.afp.com
出典:Press releases | AFP.com

1944年に設立された世界で3番目に大きい通信社です。フランス発のニュース配信に強みを持ち、7つの言語で世界中のニュースを配信しています。160以上の国と地域で利用されており、高いグローバルな情報発信に適したメディアであるといえます。

中国通信社(中国)

日本語_新華網 - jp.news.cn
出典:日本語_新華網

1931年に設立された中国国営の通信社です。中国政府機関の情報発信に強みを持ち、中国国内外のニュースを10の言語で配信しています。

Newsis(韓国)

공감언론 뉴시스통신사 __ - www.newsis.com
出典::: 공감언론 뉴시스통신사 ::

1997年に設立された韓国最大級のニュースサイトです。韓国国内のニュース配信に強みを持ち、24時間365日、韓国語、英語、日本語でニュースを配信しています。

Press Trust of India(インド)

Press Trust of India - www.ptinews.com
出典:Press Trust of India

1947年に設立されたインド最大の通信社です。インド政府機関に関する情報発信に強みを持ち、インド国内外のニュースを英語、ヒンディー語、その他インドの言語で配信しています。

第8位:業界史への広告取り組んでいる企業の割合:27.9%

施策の概要 特定の業界や分野に関する出版物(オンライン含む)に広告を掲載し、業界内でのブランドの認知度向上を狙う手法
特徴 業界内での認知度向上:特定の業界関係者がよく閲覧する業界紙で広告を配信することで、特定の業界内の認知度向上、業界内でのプレゼンスの向上が期待できる
紙媒体での情報収集を好むユーザーへの認知拡大:オンラインでの情報収集を積極的に行わないユーザーや業界関係者に対して、認知の拡大が期待できる
向いている企業 特定の分野で専門性の高い製品/サービスを提供している企業:技術に対して需要のある国/地域のターゲット顧客からの認知度向上、引き合いの獲得が狙える
費用の目安 10万円〜

以下では、BtoBの各業界において海外の有名な業界誌を5つ紹介します。

Semiconductor Digest(半導体業界)

出典:Home – Semiconductor Digest

1980年創刊の半導体業界向け情報誌であるSemiconductor Digestには、最新技術、市場動向、経営戦略など業界関係者向けの記事が掲載されています。

Charged EVs(電気自動車業界)

出典:Charged EVs | Electric Vehicles Magazine

2011年創刊の電気自動車業界向け情報誌であるCharged EVsには、電気自動車の技術開発、市場動向、政策動向などに関する記事が掲載されています。

Aerospace Manufacturing(航空業界)

出典:Latest Aerospace News and Insight – Aerospace Manufacturing

1946年創刊の航空業界向け情報誌であるAerospace Manufacturingには、航空機の製造技術、材料、サプライチェーンなどに関する記事が掲載されています。

Chemical Engineering(化学業界)

出典:Chemical Engineering

1902年創刊の化学工業業界向け情報誌であるChemical Engineeringには、化学製品の製造技術、プロセス、設備などに関する記事が掲載されています。

HealthTech Magazine(ヘルスケア業界)

出典:Healthcare Technology News & Trends | HealthTech Magazine

2007年創刊のヘルスケア業界向け情報誌であるHealthTech Magazineは、医療機器、医薬品、ヘルスケアサービスなどに関する記事が掲載されています。

第7位:外国語Webサイトの構築/更新/改善取り組んでいる企業の割合:29.7%

施策の概要 自社の製品・サービスに関する外国語Webサイトを構築し、Webサイト経由での見込み顧客への認知の拡大、引き合い獲得を狙う手法
特徴 中長期的な効果:制作したWebサイトを通して、中長期的に海外の見込み顧客から引き合いの獲得が見込める
柔軟性が高い:Webサイトの種類や構築方法をアレンジしたり、一度構築したWebサイトの更新が容易にできる
多言語展開が可能:特定の言語で構築したWebサイトを基に、多言語展開ができる
向いている企業 オンラインでの商取引が一般的な業界でサービスを提供している企業:顧客の購買プロセスの中で、オンライン上での情報収集、購買先の検討・決定が起こり得る業界に対してサービスを提供している企業
費用の目安 100万円〜

以下では、代表的な外国語Webサイトの種類を紹介します。

グローバルWebサイト

企業が世界中の顧客に対して一貫したブランドイメージを提供するために設計されたWebサイトです。このタイプのWebサイトは通常、英語で制作され、世界中のどこからでもアクセスができるよう、信頼性のあるクラウドサーバーを使用し制作される場合が多いです。グローバルWebサイトの主な目的は、企業のグローバルなプレゼンスを確立し、国際的な顧客基盤に対して企業情報、製品、サービスを紹介することです。

多言語Webサイト

多言語Webサイトは、複数の言語でコンテンツを提供するWebサイトです。このタイプのWebサイトは、言語ごとに存在する複数のWebサイトが統合された形で構成されます。多言語Webサイトを制作することで、世界中の複数の国や地域に対して企業が製品やサービスを紹介でき、ユーザーは自分の母語で情報を得られるため、ユーザーエクスペリエンスが向上します。

ローカライズされたWebサイト

ローカライズされたWebサイトは、特定の国や地域の文化、言語、ニーズに合わせて専用に設計されたWebサイトです。このWebサイトは、単に言語を翻訳するだけでなく、地域の文化的慣習、法律、商慣習、消費者の行動パターンに合わせてコンテンツやデザインを調整します。ローカライズされたWebサイトを制作する目的は、特定の市場の顧客に対してよりパーソナライズされた体験を提供することです。(多言語Webサイトは、ローカライズされたWebサイトの集合にもなり得ます)

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第6位:外国語コンテンツの制作取り組んでいる企業の割合:31.5%

施策の概要 企業の製品・サービスの価値を伝えるためのマーケティング資料(=コンテンツ)を制作し活用する手法
特徴 資産性:制作したコンテンツは何度でも利用できる
二次利用が可能:各コンテンツ同士を組み合わせて使用したり、制作したコンテンツを複数の媒体で活用できる
豊富な選択肢:顧客の情報収集方法に合わせて、複数の選択肢から自社の取り組みやすい形式で制作できる
向いている企業 基本的に全ての企業
費用の目安 記事コンテンツ:数万円
SNSコンテンツ:数万円〜(月額)
動画コンテンツ:数万円〜数十万円
カタログ/紹介資料:数万円〜数十万円
ホワイトペーパー:数万円〜数十万円

以下では、外国語コンテンツの代表的な例を紹介します。

記事コンテンツ

Webサイト上で定期的に公開されるテキストベースのコンテンツを指します。業界のトレンド、製品レビュー、ハウツーガイド、企業のニュース、お役立ち情報など、自社の顧客に対して有益な情報を発信することで、認知度の向上やブランドの信頼性・権威性の向上が期待できます。記事コンテンツの制作時は、SEO(検索エンジン最適化)を意識することで、特定のキーワードに対してWebサイトの検索順位を向上させ、Webサイトへの流入を増加させるためにも活用できます。

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SNSコンテンツ

Facebook、Twitter、Instagram、LinkedInなどのソーシャルメディアプラットフォーム上で共有されるコンテンツです。テキスト、画像、動画など、多様な形式の中から自社の顧客に対して高いエンゲージメントが期待できる形式を選択できます。コンテンツを投稿する媒体や、投稿するコンテンツの種類を選定することで、特定のターゲット顧客の関心を引き、業界内での認知度の向上に役立てることができます。

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動画コンテンツ

製品紹介、企業紹介、ハウツーガイド、顧客インタビュー、お役立ち情報など、動画形式のコンテンツを指します。特にテキストベースでの説明が難しい製品の使用方法や、現場の雰囲気を伝えるために有効で、言語が伝わらない場合であっても、視覚的に情報を伝達できることが大きな強みです。また一度作成した動画は、各種媒体(例:Webサイト、SNS)で二次利用ができるため、利用シーンが多岐に渡るのも魅力の一つです。

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カタログ/紹介資料

企業の製品やサービスを紹介するための印刷物、またはデジタル形式のコンテンツを指します。これには、製品の写真、説明、仕様、価格などをまとめて説明する資料として作られる場合が多く、製品やサービスに関する包括的な情報を一箇所で提供し、顧客が購入決定を下す際の参考情報としての役割を果たします。またデジタル形式で提供される場合、Webサイトやメールを通じて簡単に共有でき、特にWebサイトでは顧客の購買検討度を把握したり、リード情報を獲得したりする際にも活用できます。

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ホワイトペーパー

ホワイトペーパーは、特定のトピックや問題に関する専門的な調査や分析結果を提供したり、業界関係者へのお役立ち情報をまとめたコンテンツです。企業が自社の専門知識やソリューションを示すために使用され、詳細な調査や分析に基づく情報を提供することで、業界内での企業の権威性と信頼性の構築に役立ちます。またWebサイト上に設置することで、見込み顧客の連絡先情報の獲得手段として機能します。

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第5位:検索エンジンの最適化(SEO対策)取り組んでいる企業の割合:37.8%

施策の概要 海外で検索が行われた際、自社のWebサイトを検索結果の上位に表示させるための施策
特徴 中長期的な効果:継続的に取り組むことで効果が改善し、中長的なWebサイトへの集客ができる
ターゲット市場の大きさ:世界中に存在する潜在顧客が英語サイトにアクセスする可能性がある
新しい市場の発見:国内では需要がないようなニッチな製品・サービスでも、海外に市場を広げることで顧客を獲得できる
向いている企業 顧客が検索エンジンで情報収集を行う企業:顧客の購買プロセスの中で、検索エンジンを使用し情報収集、解決策の探索、購買先の検討・決定が起こり得る業界に対してサービスを提供している企業
費用の目安 ページ制作:数万円〜
SEOコンサルティング:数万円〜数十万円(月額)

海外向けマーケティングにおける検索エンジンの最適化(SEO対策)については、以下のコラム記事で詳しく解説しています。

全体像

英語SEO記事制作の方法

第4位:市場調査サービスの活用取り組んでいる企業の割合:38.7%

施策の概要 海外の消費者の行動、競合分析、市場のトレンド、文化的傾向、法規制などの調査を目的としたサービスを活用する手法
特徴 リスクの低減:海外に進出してから失敗(撤退)する確率を可能な限り下げるために必要な進出先の情報を獲得できる
向いている企業 特定の国/地域への進出を検討している企業:特定の地域や国において自社の製品・サービスが参入の余地があるかどうかを見極めるための情報として活用できる
費用の目安 調査代行サービス:数百万円〜
専門家:数万円〜数十万円
現地出張:数百万円〜
公開情報:無料

以下では、海外向けの市場調査における代表的な手法を紹介します。

調査代行サービス

日系の民間企業や公的機関、現地の調査会社に調査を依頼する方法です。大手コンサルティング企業に依頼することで、調査の設計からデータ収集、分析、報告までの一連のプロセスを代行してもらえます。一方で、対象国のユーザーに近い現地企業へ依頼することで、より現地からの生の声が聞きやすくなり、信ぴょう性の高い結果が得られます。

専門家

進出候補国の業界情報、現地の有力企業に関する情報について、専門のコンサルタントに調査を委託する方法です。特定の地域や分野に特化した詳細な情報や戦略的な提案を得られる可能性があるため、そのほかの手法で得られた結果を基にアドバイスをもらったり、結果からどのような示唆が得られるか検討する際に使用する用途が考えられます。

現地出張

直接現地に出向き、市場の状況を視察したり、現地の関係者と面談する方法です。情報収集を一通り終え、進出候補国が絞り込めた場合に利用するべき手法だといえます。現地では、現地でしか得られない情報を収集することが重要です。具体的には、アポイント先からのヒアリングを中心に、事前に用意した質問に対する回答を集める方法や、国内で得た情報が正しいのかを現地で確認する作業も重要であるといえます。

公開情報

インターネットや書籍などで公開されている情報を収集・分析する方法です。特に、信頼できる機関が発信している情報(例:JETROやアセアンセンターのWebサイトに掲載されている情報)を優先的に収集することが重要です。低コストで手軽に始められるため、初期段階の市場調査に適しているといえます。

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第3位:SNSマーケティング取り組んでいる企業の割合:45.0%

施策の概要 SNSのアカウント運用、投稿作成、広告出稿、ネットワーキング活動を通して製品・サービスの販促を行う手法
特徴 更新の手軽さ:最新の情報を気軽に更新でき、(フォロワーを中心に)拡散させることができる
インタラクティブ性
:顧客とのコミュニケーションツールとして活用できる(特にアジア圏)
向いている企業 アジア向けの集客を検討している企業:アジア圏をはじめとするモバイルデバイスの使用率が高く、SNSがビジネスで使用されている地域に向けて集客を行うことを検討している企業
費用の目安 SNS運用代行サービス:数万円〜数十万円(月額)
SNS広告運用代行サービス:数万円〜数十万円(月額)

以下ではBtoB企業が、海外向けのSNSマーケティングでできる具体的な取り組みの例をご紹介します。

見込み顧客の獲得

ホワイトペーパーやお役立ち資料のダウンロードを促したり、セミナーの予約を獲得したりすることで、リード情報を取得する使い方です。この使い方をする場合は、見込み顧客に適したターゲティング(例:Webサイトの特定のページを閲覧)を設定し、特定の業界のユーザーが関心のある内容を資料として提供します。資料ダウンロード時にリード情報(名前、メールアドレス、会社名など)を入力してもらい顧客の連絡先を獲得し、インサイドセールスチームがフォローアップすることで商談に引き上げる流れが一般的です。

意思決定者にメッセージ

LinkedInをはじめとする仕事用で使用されるSNSを活用し、ターゲットとなる企業の意思決定者にパーソナライズされたメッセージを送ります。このメッセージでは、企業が直面している可能性のある課題への言及や、それを解決するための製品・サービスの提案を行い、顧客が興味関心を示した場合は、担当者につなぎ商談を獲得する手法です。

認知拡大

企業のWebサイトにおけるブログ、お知らせやプレスリリースの内容をSNSで共有し、業界における最新情報や有益な知識を定期的に発信します。この取り組みを一定期間継続することで、特定の業界に対して知見のある会社というブランドイメージを強化し、顧客が課題に直面した際に真っ先に想起される確率を高めるための使い方です。

カスタマーサポート/メッセージング

Facebookをはじめとするメッセージ機能が利用できるSNSを活用して、顧客からの問い合わせに対応します。特に東南アジアをはじめとする、仕事においてもモバイルデバイスを使用するユーザーが多い地域では、SNSが仕事で活用されている場合も少なくありません。それらの国に対してマーケティング活動を行う場合は、ぜひ取り入れておきたい使い方です。

訴求(動画)

YouTubeをはじめとする動画配信プラットフォームを活用し、製品のデモンストレーションや使い方、顧客インタビューなどの動画コンテンツを制作します。これらの動画は、製品やサービスの理解を深めると同時に、Webサイトへの集客や、Webサイトへ別の形で訪問したユーザーに対して訴求をする意味でも、有効なコンテンツになります。

第2位:海外の展示会出展取り組んでいる企業の割合:51.4%

施策の概要 特定の業界に関するイベントや見本市に参加し、自社の製品やサービスを展示し、見込み顧客との商談獲得、認知の拡大を狙う手法(基本的にはオフラインで開かれる)
特徴 現場での対話:顧客と実物大の製品を見ながら話ができるため、具体的なイメージが湧きやすい
業界×地域でのターゲティング:イベントと関連性の高い業界、関わりの深い企業と開催地域、という2つの軸でターゲティングされた見込み顧客が集まりやすい
最新情報の取得:他企業の製品や出展内容から業界の動向や他社の戦略が分析できる
向いている企業 有形の製品・技術を提供している企業:自社で製作した製品・技術のサンプルや実物大を用いてデモンストレーションや商談ができる企業
オフラインでの業者探索が優位な業界:自社の顧客がインターネットではなく、展示会をはじめとするオフラインでの情報収集を重視している業界
費用の目安 出展費用:数十万円〜
交通費:数十万円〜
輸送費:数十万円〜
宿泊費:数万円〜
用品費:数万円〜

以下では各業界における、BtoB企業向けの主要な展示会をご紹介します。

SEMICON West(半導体業界)

SEMICON
出典:Home | SEMICON West

北米最大規模の半導体製造装置・材料関連の展示会です。毎年7月に米国のカリフォルニア州で開催され、2024年で53回目を迎えます。世界中から700社以上の出展者と25,000人以上の来場者が集まります。半導体製造の最新技術や製品、市場動向について情報交換を行う場として、業界関係者にとっては重要なイベントです。

EVT Expo(電気自動車業界)

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出典:North America’s largest advanced EV/HEV event | October 7-10, 2024

2024年10月7日から10日までデトロイトのダウンタウン、ハンティントン・プレイスで開催されます。このイベントは、エンジニア、ビジネスリーダー、業界トップ企業、革新的な思想家が集まり、19,000人以上の来場者、1,150社以上の出展者が参加する見込みです。

NBAA Business Aviation Convention & Exhibition(航空業界)

2024-NBAA-Business-Aviation-Convention-Exhibition-NBAA

出典:2024 NBAA Business Aviation Convention & Exhibition (NBAA-BACE) | NBAA – National Business Aviation Association

2024年10月22日から24日にラスベガスで開催され、1,000以上の展示者と25,000人以上の参加者を見込んでいます。ビジネス航空業界の最新の航空機、フライトデッキの革新、そして業界の未来について最新情報を聞くことができます。

Chemspec europe(化学業界)

Chemspec Europe 2024 - www.chemspeceurope.com

出典:Chemspec Europe 2024

ドイツのメッセ・デュッセルドルフで2024年6月19日から20日まで開催される、第37回国際細粒・特殊化学品展です。世界各国の特殊化学品セクターの購入者、代理店、メーカー、サプライヤー、ディストリビューターが参加します。

FIME(ヘルスケア業界)

出典:FIME | Florida International Medical Expo | Miami Fair 2024

毎年フロリダ州マイアミで開催される北米最大の医療機器展示会の一つです。2024年で33回目を迎え、世界116カ国から1,300社以上の出展者、15,000人以上の来場者が参加する見込みです。

第1位:Web広告取り組んでいる企業の割合:53.2%

施策の概要 インターネット(例:検索エンジン、Webサイト、アプリ、SNS)で広告を配信する手法
特徴 細かいターゲティングが可能:地域や国はもちろん、業界、職種、会社規模、会社名、などさまざまな属性情報に基づいてターゲットを絞り込める
簡単に始められる:ランディングページと広告設定ができれば出稿できるため、他の手法(例:展示会出展)よりも容易に開始可能
結果のフィードバックが早い:他の手法(例:SEO対策)よりもクリック数、表示回数、コンバージョン率などの指標が即座にフィードバックされるため、効果を即座に評価し、適切な改善が可能
向いている企業 特定の地域に注力して注力したい企業:地域やターゲット顧客を絞り込み集客を行いたい場合
特定の期間で集客を強化したい企業:特定の期間(例:展示会の開始前)で一時的に集客を強化したい場合
特定の製品/サービスのみ集客を強化したい企業:特定の製品/サービスのランディングページに対して集客を強化したい場合
費用の目安 広告出稿費用:数十万円〜
出稿手数料:数万円〜(代理店に依頼する場合)

以下ではBtoB企業向けの海外で使用できる主要なWeb広告の種類を紹介します。

Google広告

Google Ads - Get Customers and Sell More with Online Advertising_ - ads.google.com

出典:Google Ads – Get Customers and Sell More with Online Advertising

世界で最も使用されている(2024年2月時点で91.62%)検索エンジンであるGoogleを利用した広告です。特定の地域(例:中国、ロシア)を除いてほぼ全世界のユーザーが利用しているため、どの媒体か迷った場合は、まずGoogle広告から始めることを考えましょう。

Microsoft広告

End-to-End Digital Marketing Solutions for Advertisers - Microsoft Ad_ - about.ads.microsoft.com

出典:End-to-End Digital Marketing Solutions for Advertisers – Microsoft Advertising

世界で2位のシェア(2024年2月時点で3.31%)を誇るbingへ広告を出稿できます。Microsoft広告は、同時に世界で4位のシェア(2024年2月時点で1.08%)でYahoo!にも広告が出稿できるというメリットがあります。ただ、Google広告より平均クリック単価が安くなりやすいため、大抵の場合はGoogleと合わせて出稿し、効果が良い方に予算を増やしていく進め方がおすすめです。

Baidu広告

Baidu Advertising - www.baiduadvertising.com

出典:Baidu Advertising

中国で圧倒的なシェア(2024年2月時点で60.11%)を誇る検索エンジンであるBaiduへの広告出稿サービスです。Baidu広告は基本的に中国国内のユーザーに向けての広告配信となるため、中国語のWebサイト(ランディングページ)に向けて集客する際に活用されます。

Naver広告

NAVER AD SERVICES - saedu.naver.com

出典:NAVER AD SERVICES

韓国でGoogleの次に使用されている(2024年2月時点で32.69%)検索エンジンであるNaverへの広告出稿サービスです。Naverは仕様上SEO対策が厳しく、韓国向けにマーケティングを行う際は、Google(SEO対策・広告)と合わせてNaverへの広告出稿をおすすめします。

YANDEX広告

Website monetization – Yandex Advertising Network - partner.yandex.com

出典:Yandex Advertising Network: Website monetization

ロシアで圧倒的なシェア(2024年2月時点で71.53%)を誇る検索エンジンであるYANDEXへの広告出稿サービスです。YANDEXは、ロシアはもちろんロシア以外の一部の地域(例:トルコ)でも使用されているため、対象とする地域での使用が確認できた場合は、少額からでも試してみるとよいと思います。

Top10のまとめ

BtoB企業の海外向けマーケティングでよく使用されいてる施策Top10を紹介しました。結果は以下の通りです。

Q6-1 海外向けマーケティングで行っている施策

出典:BtoB企業の海外向けマーケティングに関する実態調査(2024年1月実施) | テクノポート株式会社

それでは最後に、これらの施策の中からどのような施策を選ぶべきなのか、どのような観点で施策を選定するべきか説明します。

施策の選び方

結論、自社の海外向けマーケティングの施策を選ぶ際は「顧客の購買プロセスに合わせた施策」を選ぶことが重要です。
顧客の購買プロセスとは、顧客が製品やサービスの購入を検討し、最終的に購入を決定するまでの一連のステップや段階を指します。以下は、アメリカの調査会社であるGartnerが発表したBtoBビジネスにおける典型的な顧客の購買プロセスを表した概念図です。

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出典:The New B2B Buying Process | Gartner

図の左上の”Start”から始まり「1. 課題の認識」「2. 解決策の探索」「3. 要件定義」「4. サプライヤーの選定」の4つのステージを経て、右下の”Purchase decision”まで到達する流れになります。

この各ステージの周辺に描かれている細かい矢印と文字は、顧客がステージ間を移動する際に取るであろう行動、直面するであろう課題が示されています。この概念図からわかるとおり顧客はステージを行ったり来たり、オフラインやオンラインで情報収集したりと、購買プロセスは非常に複雑な形へと進化しています。

このような状況において、顧客へ製品・サービスを提供する事業者側が考えるべきことは、いかにしてこの複雑化している購買プロセスの中で可能な限り見込み顧客と接点を持てるかに集約されます。あらゆるステージにおいて顧客と接点を持つことで、顧客が最終的な購買の意思決定を行う際に、業者の候補として想起、比較検討される可能性が高くなるためです。

すなわち、事業者側は自社の製品・サービスを利用する可能性のある顧客の購買プロセスを細かく把握し、彼らの購買プロセスに合わせたマーケティング施策を選ぶことが重要であると言えます。

顧客の購買プロセスを把握するための情報

以下では、顧客の購買プロセスの解像度を高めるために使用できる情報の例をいくつか紹介します。

顧客の情報探索方法を知る

以下は、世界のBtoB製造業のバイヤーが、購買先の情報収集をする際にどのような情報源を使用しているか調査したものです。

BtoBバイヤーが製品/加工技術の情報収集に使用する媒体

Channel Percentage
サプライヤー/ベンダーWebサイト 69%
検索エンジン 63%
業界イベント (Tradeshows and Conferences) 52%
業界誌 52%
業界Webサイト 40%
業界コンサルタント / 業界エキスパート 37%
動画共有サイト 29%
個別サプライヤー/ディストリビューター主催の見学会 29%
業界フォーラム 24%
業界ウェビナー 17%

出典:The Industrial Buying Influence Survey | Gardner Web

ポイント

  • オンラインの情報源が上位を占めるが、展示会や業界誌といった従来から存在する情報収集方法も半数近い企業が利用している
  • 全体の傾向は国内のバイヤーが使うものと大きく変わらないが、各媒体の具体的な中身は変わる可能性が高い

このような情報を把握することで、自社の製品・サービスの販促活動に使用する媒体の選定、優先的に取り組むべき施策が明確になります。

顧客が使用する媒体と使用用途を知る

以下は、北米のBtoB製造業のバイヤーが、購買先の情報収集をする際にどのようなSNSをどのような目的で使用しているか調査したものです。

BtoB製造業の購買担当者が仕事で使用するSNS

Social Media Percentage
LinkedIn 76%
YouTube 64%
Instagram 31%
Facebook 20%
X (Twitter) 10%
Other 8%

出典:eBook | 2021 Industrial Buyer’s Habits Survey Results

BtoB製造業の購買担当者が仕事でSNSを使用する用途

Social Media Usage Percentage
リサーチ対象ベンダーの調査と選定 69%
自社の宣伝 57%
技術 (製品やプロセス) のリサーチや学習 57%
業界同僚やコネクションの動向把握 51%
競合他社の動向監視 51%
パートナー候補者 / 補完機能 45%
業界の著名人 (インフルエンサー) のフォロー 45%
業界の講師やトレーナーのフォロー 43%
採用候補者とのコネクション 18%
求人検索 16%

出典:eBook | 2021 Industrial Buyer’s Habits Survey Results

ポイント

  • LinkedInとYouTubeを仕事の用途で使用する企業が圧倒的に多い
  • 使用用途は、情報収集、自社のマーケティング、ネットワーキング、採用に大別できる

これらの情報を把握することで、対象とする地域に向けてSNSマーケティングを行う際に、優先的に使用するべき媒体、発信するべき情報が明確になります。

顧客が購買に使用する媒体を知る

以下は、BtoB企業のバイヤーが、購買時によく使用するECサイトを調査したものです。

BtoBの購買時に使用されるECサイト

Country 1st Marketplace % 2nd Marketplace % 3rd Marketplace % 4th Marketplace % 5th Marketplace %
Australia EBAY 28% AMAZON BUSINESS 22% ALIBABA 19% UDAAN 15% TRADEINDIA 15%
Brazil AMAZON BUSINESS 38% EBAY 26% ALIBABA 26% GLOBALSOURCES 15% EWORLDTRADE 15%
China ALIBABA 66% AMAZON BUSINESS 37% EBAY 31% MADE-IN-CHINA.COM 26% GLOBAL SOURCES 20%
Germany AMAZON BUSINESS 25% EBAY 18% GLOBAL SOURCES 16% OTTO 16% ALIBABA 15%
India AMAZON BUSINESS 68% INDIAMART 38% EBAY 36% JIOMART 35% ALIBABA 35%
Japan ASKUL 24% AMAZON BUSINESS 18% EWORLDTRADE 15% MONOTARO 15% EBAY 14%
NL AMAZON BUSINESS 38% EBAY 34% EWORLDTRADE 22% ALIBABA 31% TRADELING 14%
South Africa AMAZON BUSINESS 47% EBAY 42% ALIBABA 31% TRADELING 24% MADE-IN-CHINA.COM 23%
UAE AMAZON BUSINESS 46% EBAY 37% ALIBABA 33% EWORLDTRADE 22% INDIAMART 21%
UK AMAZON BUSINESS 25% EBAY 24% ALIBABA 33% UDAAN 18% TANOMAIL 17%
US AMAZON BUSINESS 29% EBAY 25% ALIBABA 19% EWORLDTRADE 19% EXPORTHUB 16%

出典:The B2B Future Shopper Report 2023-24

ポイント

  • 中国でアメリカ企業のECサイトや、中国企業のECサイトが中国以外で使われている国も多数存在する
  • 国によって使用されるECサイトの種類や使用率は大きく変わる

これらの情報を把握することで、対象とする地域でよく使用されているECサイトが把握でき、自社が選ぶべきECサイトが明確になります。

まとめ

弊社が取得した調査結果をもとに、BtoB企業の海外向けマーケティングでおすすめの施策と施策の選び方を紹介しました。

弊社(テクノポート株式会社)では、BtoB企業向けに「自社Webサイトを活用した海外販路開拓」を支援しています。
壁打ち相談会(30分)」にてお客様の課題に合わせて、適切な施策をご提案をいたします。ぜひお気軽にお問合せください。

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【調査期間】 2024年1月22日〜1月23日
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この記事の執筆者
稲垣 達也
【経歴】
テクノポート株式会社「海外Webマーケティング」サービスの責任者
名古屋工業大学大学院 電気機械工学専攻 博士前期課程卒業
同大学 機械工学科卒業

【保有資格】
TOEIC L&R:990/990、英検一級:合格、TOEFL iBT:108/120
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