海外展示会は、現地の生の需要を把握し、国際競合との比較検証と新規商談創出を同時に叶える、BtoB製造業にとって最短距離の打ち手です。一方で、規模の大きさ・来場者の多様性・多言語対応・商習慣の違い・準備リードタイムとコストなど、国内展示会とは前提が異なります。本記事では、出展メリットから費用・準備・事前集客・当日運営・展示会後のフォロー、さらにはWebマーケ連携までを一気通貫で解説します。
この記事の目次
海外展示会に出展するメリット
海外展示会は「市場理解」「差別化検証」「商談創出」を短期間で同時達成できます。国内より規模と来場者の国籍・役割が多様で、意思決定者に直接届く確度が高いのが特徴です。英語(場合により多言語)での対話や、現地ルール・文化前提での説明が求められるため、事前に“誰に何を、どの言語で、どう訴求するか”を絞るほど成果が安定します。
メリット1. 一次情報の収集
来場者に用途・課題・評価基準・調達プロセス・予算観を直接ヒアリングできます。代理店経由ではつかみにくい「採用/不採用の決め手」や、規格・安全基準・納期・保守の期待値を把握でき、製品改良・価格設計・資料表現の即時改善につながります。
メリット2. 競合視察で市場把握
競合ブースの訴求軸、価格帯、実機デモ、導入事例の見せ方を現地で比較できます。自社の強みが刺さるセグメントと分が悪い領域を早期に見極め、開発投資・販促コストを集中させられます。
メリット3. 新規顧客と商談創出
短期間で多くの意思決定者と接点を持てます。デモやサンプルに触れてもらうことで理解度と商談化率が上がり、さらに事前アポイントを仕込めば歩留まりは一段引き上がります。
出展費用の内訳と補助金活用

費用は「ブース料」「装飾・施工」「輸送・通関」「渡航・宿泊」「人件費」「販促物」に大別されます。変動幅の大きい輸送・宿泊は早期確保でリスクを圧縮。制度面では国・自治体・JETROなどの支援も事前リサーチが肝要です。
海外展示会の費用目安(ブース・輸送・渡航)
会場の格・面積・角地の有無でブース料は大きく差が出ます。輸送は重量・容積・緊急度(空or海)で上下し、現地搬入費も計上必須。渡航・宿泊は繁忙期の価格高騰を見越し、早期に押さえましょう。
輸送・通関の注意点(ATAカルネ・保険)
一時通関にはATAカルネ(展示品や職業用機材を関税免除で一時輸入できる国際通関手帳)の活用を検討。対象品目・有効期限・発給リードタイムを逆算し、輸送保険(破損・紛失・遅延)を付与。電圧・プラグ・危険物該当・梱包(燻蒸)など国別要件も確認します。
JETRO補助の活用時期と要件
募集時期・対象経費・報告義務などの要件を早めにチェック。主催者パビリオンや自治体支援との併用可否も含め、最適な組み合わせを設計します。
海外展示会の準備チェック
「どこで/なぜ出るか」を確定し、KPIと動線設計をセットで作るのが基本。ブース・資料・人員・通訳・物流・通関を“代替策込み”で計画するほど当日の安定度が上がります。
海外展示会の選び方
まず「誰に何を見せるか」が重要です。理想の来場者(役職・決裁関与・導入規模)、いわばペルソナを1〜2タイプに絞り、その人が仕事で抱える悩みや課題を言語化します。悩みごとに見せる製品・使い方・得られる効果を企画書1枚に整理します。デモは“違いが一目で伝わる一点”(速度・精度・コストなど)に集中。国ごとの必須条件(規格・安全・供給体制)も事前確認。最後は見積もり・サンプル・技術MTGへすぐ進める導線を用意しましょう。
ブース設計のポイントと現地対策

5秒で伝わるヘッドコピー、導線を阻害しないレイアウト、体験型デモが基本。電源容量・LAN・床耐荷重・騒音・発熱・危険物規制など現地仕様を反映し、写真/動画発信に耐える見栄えも設計します。
英語資料とノベルティの作成ポイント
用途別の価値訴求を図解・数値・事例で1枚完結。FAQ(価格・納期・保証・規格対応)を先回り。ノベルティは軽量・小型・実用性重視、QRでランディングページ(LP)へ誘導します。
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英語対応の体制と通訳手配
受付・デモ・商談・記録の役割分担と英語フレーズ共有を事前に。通訳は技術理解度を重視し、用語集・想定問答・製品画像で“自社メンバー化”。商談中は記録担当を別に置き、会話に集中できる体制に。
物流計画と通関対策
最終搬入から逆算し、輸送手段・梱包・ラベルを確定。HSコード・原産地・数量・価額の整合性を二重チェック。遅延時の代替展示(動画・模型・現地調達)の用意が安心です。
人員計画と渡航手配の最適化
ピーク時間に交代要員を配置し、休憩・食事・休息の導線を設計。ビザ・保険・緊急連絡は事前に明確化。宿泊はアクセスと治安優先で、搬入・設営・撤収までの工数を見積もって無理のないシフトを。
成果を最大化する事前集客とアポイント獲得
当日の歩留まりは事前施策で決まります。ターゲット企業リストの精度、誘導LPの一貫性、KPI運用と媒体横断の接点設計で、来場“する理由”を明確に提示しましょう。

事前アポイント獲得の手法
既存リードへのメール、LinkedInの1to1、主催者マッチングを併用。限定デモ・技術相談・見積もり優先など来場メリットを明示し、候補日時を複数提示します。
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事前集客のKPI設計
来場予約・当日商談・名刺・重点アカウント接触率などを設定し、週次で進捗を可視化。媒体別反応で予算配分を柔軟に見直し、最終週は電話やパーソナルメッセージで詰めます。
集客導線の作り方
展示会専用LPで「価値→会期・場所→予約」を最短化。カレンダー連携・会場地図・デモ内容・参加特典を明示し、SNS/メール/広告から同一ランディングに集約します。
英語プレスと現地メディアのPR戦略
英語プレスは新規性・市場価値・来場メリットを簡潔に。編集者に個別連絡し、取材枠の事前確保とプレスキット(写真・スペック・事例)を用意します。
当日のブース運営で成果を出す方法
「止める→興味を深める→次アクションへ送る」の3段階で運営。全員が同じストーリーで動くほど応対品質と商談化率が安定します。
当日の運営体制の作り方

当日の運営は、RACIマトリクス(R=実行責任、A=最終責任、C=相談先、I=情報共有)で「誰が何をするか」を一目で共有しましょう。行や列に役割(リーダー/技術/営業/通訳/アシスタント)×業務(呼び込み・デモ・商談・記録・トラブル対応)を並べ、各セルへR/A/C/Iを記入。朝礼で確認し、ピーク時は「呼び込み→デモ枠予約」を最優先/商談は別席の運用を徹底。印刷配布して抜け漏れ・属人化を防ぎ、日次で更新します。
ブース集客・接客のコツ
視線を止めるキャッチ、短いデモで価値を体感、名刺取得と次アクション提示(デモ予約/見積もり依頼)をセットに。質問は用途ベースで、滞在時間を伸ばします。
言語対応と資料準備
英語1枚リーフ、用途別カタログ、比較表、FAQを常備。専門用語は簡潔に言い換え、数字と図で理解を支援。通訳は会話のテンポを崩さない配置に。
競合調査の進め方
競合の訴求・価格・事例・見せ方をテンプレで記録し、差別化仮説を即日更新。来場者の導線や質問も観察し、翌日の改善に反映します。
現地トラブル対応
機材不具合・電源不足・搬入遅延・欠品は起こる前提で予備機・代替デモ・工具を準備。主催者の連絡系統を把握し、迅速に復旧します。
商談情報の記録術
名刺は即スキャンし、会話のキーワード・温度感・次アクションをタグ管理。重要案件はその場でフォロー予定を確定し、失注を減らします。
展示会後のフォローと改善で成果を定着させる
展示会は「終わってからが本番」。48時間以内の初回フォロー、以降のナーチャリング、社内振り返りとROI評価までを完遂しましょう。
フォローを48時間以内に実施
お礼メールと資料/動画共有、次回オンラインデモの提案を迅速に。本文は相手の関心へ合わせて差し替え、CTAは1つに絞ると返信率が上がります。
リードナーチャリングの進め方

展示会後は、まず48時間以内にお礼メールと資料・デモ動画を送ります。次に、相手の関心(用途・導入時期・役職)でゆるく分類。その後はDay3/7/14…と定期メールで、事例→比較→導入手順→見積もり/デモ予約の順に案内します。反応がない相手には件名や内容を変えて再送。反応が高い相手は営業に引き渡します。名刺はすぐCRM登録し、LinkedIn接続で関係を継続。配信頻度の変更や停止も選べるように明記しましょう。
社内共有と振り返り
KPI実績・案件ステータス・勝因/敗因・改善施策を定例で共有。写真と数値で振り返り、次回の意思決定スピードを上げます。
ROIとLTVで評価する方法
単発受注だけでなく、継続取引・クロスセル・保守料まで含むLTVで評価。費用は人件費・機会費用も加味し、チャネル/国別の投資対効果を比較します。
Webマーケで展示会効果を継続させる
展示会で得た学びとリードをWebで“継続接点”に変換します。英語サイトとLPを軸に、SEO・広告・SNS・メールまで通しで回す体制づくりが鍵です。
英語版サイトの整備ポイント
用途別の導入効果、技術優位、サポート体制を英語で明確化。問い合わせ前の不安(納期・保証・規格適合)をFAQで先回りし、技術資料・事例・動画へ短い導線を設置します。
LP最適化の重点
展示会専用LPは、現地で刺さった訴求と同じ言語・ビジュアルで統一。フォーム項目を最小化し、カレンダー連携・資料DL・見積もり依頼などCTAを明確に。計測タグで媒体別CVを把握して改善します。
出展レポートでのSEOと広告活用
出展レポートや比較記事を公開し、狙うキーワードでSEOを強化。検索広告・リターゲティングで指名需要を取り切ります。
SNS運用とLinkedIn戦略
展示会前後の投稿テーマを設計し、現地写真・動画・ミニ事例を継続発信。名刺交換した担当者とはLinkedIn(BtoBの決裁者や技術職が集まり、役職・業種・企業規模で精密に絞り込めるため、自然投稿と広告の両方で狙った相手に確実に届きやすいのが特長)で接続し、1to1メッセージとタグ付けで可視性を高めます。
以上のフレームを、貴社の製品・ターゲット国・商流に合わせて具体化すれば、海外展示会の投資回収率は着実に高まります。準備から事前集客、当日運営、展示会後のWeb連携までを一気通貫で設計し、次の一歩を最短で成果につなげましょう。
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