テクノポートの小林です。近年、コロナ禍以降はとくに、中小製造業の中にもWebマーケティングを導入する企業が増えてきています。
中小企業の経営者の後継者や営業担当者がWebマーケティングの有用性を感じ「うちの会社にも導入したい!」と思っても、社内からの理解が得られず導入を進められないケースも多く見受けられます。今回は、Webマーケティングの遂行を妨げる要因と、それを乗り越えるための対処法について紹介します。
この記事の目次
Webマーケティングの取り組みの第一歩はHP改修
中小企業にとってのWeb活用の重要度は年々増してきています。限られたリソースの中でマーケティングを行うためにはWeb活用は必須になりつつあります。Webマーケティングの第一歩はホームページの改修です。展示会や広告などさまざまな営業手法がありますが、最終的にはHPを見てその会社の情報を確認します。下記は製造業界での発注側のメーカーにインタビューした際の調査レポートです。情報取集の主流はWeb検索が主流となっていることがわかります。企業からの仕事獲得のためには受注側の中小企業も同様にWebをうまく活用し自社への問い合わせを呼び込めるかどうかが新規顧客獲得のカギとなっています。
テクノポート株式会社調べ:https://marketing.techport.co.jp/proposal-report/202401-2/
Webマーケティングの遂行を妨げる要因
中小企業のWebマーケティングを遂行を妨げる要因はなんでしょうか?その要因をしっかり理解することができれば、対策の糸口は見つかるはずです。
デジタルマーケティングへの理解の不足
中小企業の経営者層がデジタルマーケティングに関する知識や理解を持っていない場合、Webマーケティングを効果的に活用することは難しいです。「よくわからないものは取り入れない」、「業界で話題になっていたとしても、うちは独自にやっている」という考えを持っているのかもしれません。
伝統的なマーケティングへの執着
一部の中小企業は、伝統的なマーケティング手法に依存していることがあります。昔ながらの足を使った営業活動に固執し、新しいデジタルマーケティングの重要性に気づいてないのです。もちろん対面での営業も重要な営業手法ですが、他の可能性を否定してしまうことはもったいないことです。
また、「うちの業界は特殊だから」という理由で可能性にフタをしてしまう会社も多く存在します。
予算の制約
中小企業は、大企業に比べてマーケティング予算が限られています。Webマーケティングには広告費や専門的な支援を必要とする場合があり、予算の制約が進展を妨げる要因となることがあります。今まで営業をせずとも仕事を受注できていたため、営業に費用をかけることに消極的な傾向があります。また、見えないWebに関して費用をかけるのにはさらに消極的になる場合があります。「展示会には費用をかけて積極的に出展しているけれど、Webはぜんぜん」というケースも少なくありません。
リソース不足(運用体制)評価体制に問題
Webマーケティングは継続的な取り組みを必要とします。中小企業は従業員数や業務量が限られていることが多く、Webマーケティングに必要なリソースや時間を割く余裕がない場合があります。専属の人間を置くことはできず、どうしても片手間になりがちです。
評価体制に問題
実施者の人事評価も重要な問題です。せっかく成果を出しても実行者への適切な評価が得られず、モチベーションの低下、予算削減などにより思うように進まなくなることがあります。
成果測定の不足
効果測定は、実施したマーケティング活動の成果や効果を測定し、改善策を立てるために重要な要素です。やったことに対する成果を見える化させる仕組みがなければ、社内での評価や賛同を得ることができません。
Webマーケティングを遂行するための4つのポイント
上記の要因を踏まえた上で、遂行するためのポイントを紹介します。
経営者層にWebマーケティングの重要性の理解をいかに得るか?
何よりも大事なことは、ユーザーがどのように新規の会社を探しているかを経営者層に理解してもらうことです。ユーザーの行動心理を理解し、その上で自社がどうあるべきかを考えることで、自然とWebの重要性が理解してもらえるはずです。
そのためには、やはり数字や生の声を利用し、根拠に基づいた説明が効果的です。担当者の気持ちや意見ではなく、客観的な意見と根拠で説明します。例えば下記のようなアンケート調査を利用すると効果的です。
情報収集段階の手段として、Webを使うユーザーが圧倒的に多いことが証明されています。
ユーザーの行動心理に合わせ、自然と自社を認知してもらい引き合いを呼び込むことは、ユーザーにストレスを感じさせないユーザーファーストな営業と言えます。
Webマーケティングの効果的な実行手段の構築
重要性を理解してもらったところで次は、「じゃあどうやってやるの?」が経営者層の興味内容です。効果的な手段が提示できなければ、せっかく有用性を理解してもらえても賛同が得られません。
限られた予算の中で、いかに高い効果をあげられるかが課題となります。まずテコ入れすべきはWebサイトです。WebサイトはWebマーケティングの中核です。ユーザーフレンドリーなデザイン、SEO対策、モバイル対応など、Webサイトの最適化を行い、集客力の高いサイト構築が必要となります。
Webマーケティングに知見のある人材が社内にいるケースは少ないため、信頼できるWebマーケティング会社と一緒に進めることをおすすめします。事例などを踏まえて効果が期待できるようなイメージをいかに持たせるかが重要です。
実施効果の見える化:Webマーケティングの運用、評価体制の構築
実施効果をどうやって計測するかが次に知りたいポイントです。やりっぱなしが一番の問題です。以下のポイントを考慮して、適切な運用・評価体制を構築しましょう。
①データ収集と分析
Web解析ツールやデータ収集手段を活用し、マーケティング活動の成果を定量的に評価します。Webサイトのトラフィック、コンバージョン率、離脱率などの指標を分析し、課題や改善点を洞察します。
②目標とKPIの設定
マーケティングの目標を明確に設定し、それに基づいたキーパフォーマンスインディケーター(KPI)を定めます。KPIは成果を評価する指標であり、マーケティング活動の進捗状況を把握するための基準となります。
③定期的な評価と改善
マーケティング活動の評価を定期的に行い、データに基づいた改善策を立てます。効果のある施策を継続し、効果の低い施策を見直すことで、効率的なマーケティング活動を実現します。
④成果の評価だけでなく、実行者への評価や運用体制について
組織としてWebマーケティングをどう運用するかを議論しておくことも重要です。誰がどのように管理し、時間をどれぐらい費やすべきか、また、その成果に対して仕事としてどのように評価すべきかまでを考えておかなければ、「頑張って成果が出たのに、人事評価とは関係なかった」となると、社員のモチベーションの低下にもつながります。
④だけは担当者としての業務遂行のしやすさや立場を守るためにも重要です。会社組織全体としてWebマーケティングに取り組むことの理解を得ましょう。
Webマーケティング遂行にかかる費用に対しての理解
最後はかかる費用に対しての合意です。費用に関しての捉え方は会社によってまちまちのため、Webマーケティングに関する費用を安いと捉える会社もあれば、高いと捉える会社もあります。一般的な説明の道筋は下記の通りです。
- 新規開拓の重要性の理解
- そのために何をするか?新規開拓の手法の提示
- その中でWebがコストパフォーマンスに優れている点
ただ、それだけだと初めてWebマーケティングに取り組む方の腰は重いかもしれません。価値をどうやって理解してもらうかの話ですので、たとえ話をしてみるのもよいでしょう。
例えば、この業界は単発の新規取引ばかりでは手間ばかりで利益が出ない業態の会社が多いです。そのため、単発取引をいくつか受ける中で、1年間に1社でも継続取引ができる顧客がもしできるとすれば、どれぐらいの費用をかける価値がありますか?
会社や組織を巻き込むためには、論理的な話だけでなく、可能性や期待、ワクワク、情熱も最終的には必要になります。
その他補足情報
一般的なHPリニューアル費用と運営費用
制作会社に依頼する場合の費用は中小企業では 50~150万円くらいといわれています。価格はページ数によって大きく変動します。公開後の運営のコストはまちまちです。サーバーの保守管理だけであれば月額数千円でも問題ありません。アクセス解析や改善を実施するサポート支援が必要となると、月額数万円~数十万円の費用がかかります。
制作業者選定の5つのポイントと見極め方
ホームページでの集客を成功させるために重要な制作業者選定ポイントは以下の5つです。
1、「集客」という成果に対して実績を積み上げているか?
Webサイト制作実績ではなく、マーケティング施策としての実績があるかどうかは非常に重要です。
見極めポイント:制作実績だけでは、マーケティングの支援実績があるとは言えません。ユーザーの声や、制作公開後の効果まで提示できる事例を保有しているかを確認しましょう。作るだけでなく、その後のサポートもしっかり行っていなければ成果を事例として紹介することはできないため、見極めるポイントになります。
2、業界知識や、理解力があるかどうか?
事業内容をしっかり理解した上でなければ、有効な戦略も立てられません。業界に関する知識や理解があるかを確認しましょう。
見極めポイント:一度打ち合わせをすれば、業界を知っているかどうかはある程度の判断はできるはずです。
3、マーケティング戦略を立てられる会社か?
企画戦略は市場、競合、自社の分析から始まり、ターゲットの選定、提供価値の設定だけでなく、具体的なキーワードの選定まで紐づけた施策が必要となります。具体的な実行施策まで一貫して企画できているかが重要です。
見極めポイント:自社の事業内容に合った戦略の提案が企画書に含まれているかを確認しましょう。サイトデザインの話ばかりで、肝心な企画戦略の提案がない場合は要注意です。
4、集客に重要なSEO対策に長けているかどうか?
SEOによる集客が施策の肝ですが、制作した会社のSEO対策が有効に実施できる会社かどうか見極める必要があります。
見極めポイント:事例の企業がどのようなキーワードで対策をして集客ができているのか実績を確認しましょう。検索需要があるキーワードでSEO対策の実績があるかどうかの確認が必要です。
5、成果が出るまでしっかり付き合ってくれる会社か?
Webマーケティングは公開後こそが重要なフェーズです。行ったことによる効果を計測し、改善につなげていく必要があります。公開後のサポート体制、契約体系がどうなっているのかを確認しましょう。
見極めポイント:わかりやすいところでは、ユーザーの声や成果を事例にしている会社は、サポートがしっかりしている可能性が高いです。なぜなら、作って終わりの会社は顧客との関係性が希薄になり、成果を後追いできないからです。「公開後のサポートまできっちりやります」と言う会社は多いですが、言われた更新内容をきっちりこなすという意味でのサポートでは意味がないため、見極めが必要です。
Webマーケティングの遂行を妨げる要因と、それを乗り越えるための対処法について紹介しました。参考にしていただけましたら幸いです。