製造業の用途開発事例を徹底解析

【執筆者紹介】永井 満
この記事の執筆者
永井 満
テクノポート株式会社 東海地方責任者

自動車部品の世界的大手メーカー(ボッシュ)で設計開発を経験。
技術的な背景を持つWebマーケターとして、製造業界のWebマーケティングを強化する。大手メーカーでの設計開発経験を活かし、技術コンテンツの制作に強みを発揮
技術の深い理解をマーケティング戦略に融合させ、価値ある成果を提供。

【経歴】
日本大学大学院航空宇宙工学専攻(修士)
ボッシュ株式会社でディーゼルエンジンのポンプ設計を担当

【専門領域】
・技術マーケティング
・技術の魅力的な伝え方
・技術コンテンツのSEO

【セミナー講師実績】
 主催:株式会社日本テクノセンター
 テーマ:技術先行型の新製品開発法と技術マーケティングの効果的な推進ポイント

【寄稿実績】
伝え方が悪いと逆効果! Webで自社技術に興味を持ってもらうための戦術

技術者なしのマーケティングはあり得ない! 巻き込みに必要な考え方
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テクノポートの永井です。今回は製造業の用途開発の事例を解説していきたいと思います。

この記事は、製造業における用途開発に関心を持つ経営者、技術開発者、マーケティング担当者、新しい市場を探求している事業開発担当者などに向けた内容になります。特に、自社技術の新たな活用方法を模索している企業にとって参考になる情報です。

要点

  1. 用途開発の定義と重要性
    用途開発とは、自社技術の新しい使用用途を見つけることで、過当競争からの脱出や売上の上昇につながる。しかし、これは継続した探索と技術開発が必要で、特に中小企業にとっては難しい課題である。
  2. 成功事例の紹介
    記事では、めっき技術、コーティング技術、塗装技術など、様々な製造業の技術を新しい用途に応用した事例を紹介している。これらの事例は、既存技術の新たな使用用途を見つけることで、新しい市場を開拓し、事業の多角化に成功している。
  3. 用途開発の方法と戦略
     用途開発には、社内外のアイデアを活用し、WebサイトやSEO対策を通じて技術の認知度を高める戦略が有効である。また、時代の変化に合わせてターゲットを見直し、新しい市場ニーズに応えることが重要。
関連資料のご案内

  • 製造業の用途開発に関する実態調査レポート
  • 製造業が持つ自社技術の用途開発をWebマーケティングにより実現する方法
  • サプライヤー企業の新市場開拓をWebマーケティングにより実現する方法

資料イメージ

製造業の用途開発とは

製造業の用途開発とは、自社技術の新しい使用用途を見つけることです。「ある分野の一般的な技術が、別の分野では貴重な技術であった」ということはよくあります。自社技術をより広い分野に展開することで、過当競争からの脱出や売上の上昇などにつながっていきます。

しかし、用途開発は容易なことではありません。用途開発には継続した探索と技術開発が必要になるため、ぎりぎりのリソースで運営している中小企業にとっては非常に難しい問題になってきます。

今回は用途開発に成功した企業の事例を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

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用途開発事例

めっきの新しい活用方法の発見

高木特殊工業は愛知県で4種類(無電解ニッケル、PTEF、セラミック、クロム)のめっきを行っています。その中でPTFEめっきは潤滑性、耐摩耗性に優れためっきで、潤滑油を使えない場所での摩擦力軽減対策として使用されてきました。

Webサイトからの問い合わせがきっかけとなり、PTFEめっきの新たな用途として、ボルトのかじり防止に役立つ可能性が出てきました。ボルトとナットで部材を固定するときに、ボルトのネジ部にナットを適切に挿入しないと、ナットがかじってうまく回転してくれません。それを解決するためにボルトにPTFEめっきを施すことで、ナットが滑りやすくなり、かじりが抑えられることがわかりました。

このような用途でPTFEめっきを使った経験はなく、既存技術の新たな使用用途につながりました。

コーティングを使った新商品の開発

デンソーは紫外線を特殊な波長に変換するコーティング技術を傘に応用することで、「若返る日傘」を試作。

もともとは自動車のフロントガラスや窓ガラスにコーティング用に開発したものですが、自動車に適用させるには耐久年数に問題があったり、変換効率が高くなかったりするなど技術的な問題を抱えていたところ、別の用途で活用できることが判明。それが日傘へのコーティングだったそうです。

このコーティングを通すと紫外線は赤色光に変換され、その赤色光は肌を傷めずに修復を促進する効果があるそうです。その機能を傘に付加することで、「若返る日傘」の開発に挑戦しています。

塗装技術の用途を公募

  • 企業名:株式会社グリムファクトリー
  • 参考サイトhttps://grimfactory.co.jp/is-not-painting
  • 内容:新技術の用途を見つけるためにクラウドファンディングを利用

独自で開発した「剥がれないデジタルカラー塗装印刷」の用途をクラウドファンディングで公募。金属塗装への応用や医療、屋外塗装などといった開発段階の案件も集まり、想定していなかった用途が見つかりました。さらに、用途開発を継続するため、Webサイトに情報を公開するとともに「剥がれない印刷」でSEO対策を行い、技術の認知度を高めています。

ポストイット|考え続けることで5年前の技術が大ヒット商品へ

ポストイットの話は有名ですね。研究者は強力な接着剤の開発をしているときに、「薄くつくが、すぐに剥がれる」という逆の性質を持つ接着剤を発見します。その研究者は弱い接借財の使用用途を見つけるために考え続けますが、アイデアが生まれるまで5年かかってしまいます。きっかけは聖歌隊の讃美歌集。ページに挟んでいた栞が何回も落ちることから、「くっついたらいいのに」というのを思いつき、弱い接着剤の使用用途をひらめいたそうです。

つまり、技術の用途開発は一朝一夕でできるわけではなく、考え続けることが大切であるという良い例です。

既存技術応用|カラーフィルム技術からヘルスケア領域に参入

富士フイルムのメイン事業はカラーフィルム事業だったのですが、デジタルカメラの登場により、需要が激減。そんな中、決定したのがヘルスケア領域への参入です。全くつながりがないと思う2つの領域ですが、実はコア技術に共通点があります。それは「高機能材料」と「3次元構造」です。カラーフィルムは高機能材料を3次元的に層を重ねる技術が必要になるため、富士フイルムは高いレベルの「高機能材料を3次元構造化できる技術」を持っていました。そして、ヘルスケアにもその技術を求める分野、例えば美容液を肌に浸透させるマイクロニードルなどがあることに気づき、ヘルスケア領域への参入を決めたそうです。

今ある技術がどこに使われる可能性があるのかを調査し、その上で「やれそう」「やるべき」「やりたい」の順で検討し、妥当性があればやってみる価値はあるという例になります。

アクリル加工技術でSEOすることで長期的に用途開発を継続

岸本工業は、東京都大田区にあるプラスチック加工を専門にしている企業です。技術開発の中で高精度板厚加工技術である「フルフラット」を確立したのですが、その使用用途に困っていました。

当時は誰も知らない新しい技術であったため、Webを使った広報に力を入れました。具体的には「アクリル加工」でのSEO対策です。

このフルフラット加工は、研磨なしでアクリルの透明性が保てるため、アクリル加工に需要があると考えて実施しました。実際アクリル加工での問い合わせは増えたのですが、アクリルに特化させたことで技術の使用用途を絞りすぎてしまった点もありました。

そのため、サイトをリニューアルし「治具製作」というキーワードでのSEO対策も追加。これにより、研究者などこれまでつながりがなかったところからの問い合わせが増えました。

技術の使用用途を限定的にし、Webを使ってSEO対策をすることで成功した事例です。

SEO対策を中心に別分野に参入

アコースティック・アドバンスは、後付けで壁にはる吸音パネルを製造している企業です。吸音パネルの利用先はいろいろと想定はできるのですが、自社の製品がどの分野にあっているか曖昧な部分がありました。そこでWebサイトを制作し、実際の問い合わせ内容やアクセスデータの解析を行うことでターゲットを明確にし、Webサイトを改善していく手法を使いました。

結果、幼稚園や高齢者向け運動施設など、需要が少ないと思っていたところにも多くの需要があることが判明し、取引につながりました。

時代に合わせたターゲティングで売上を確保

  • 企業名:第一フォーム株式会社
  • 参考サイトhttps://www.daiichi-foam.co.jp/
  • 内容:時代に合わせてターゲットを変えることで、売上を確保

第一フォームは発泡スチロールの加工を得意としている企業で、展示会やイベントなどで使われる立体的なロゴやアートなどを手掛けていました。しかし、コロナ禍でイベントの開催が減るなど仕事が激減しました。

発泡スチロールを思い通りの形に加工することは得意だったため、電波の測定台などの治具や工業製品の緩衝材の領域に参入することで成功しました。

参入のきっかけはWebサイトの解析です。Webサイトを解析すれば、どういった検索キーワードに需要があり、自社サイトがどういったキーワードで調べられているのかもわかります。

そういった調査を行うことで工業製品に需要があると判断し、参入を決めました。ただ、もともと仕事の伝手があったわけではないため、集客もWebサイトで行っています。今では全国から問い合わせがある状況になっています。

Twitterを使って使用用途を公募|米袋の新しい使い方

シコーは大阪で米袋を製造している企業です。米袋には閑散期があり、その閑散期を埋めるための対策を常に検討してきました。ある時、Twitterを使って米袋の使用用途アイデアを募集したところ、50個以上のアイデアが集まる結果となりました。それにより「米袋のニーズはある」と確信が得られ、機織作家のmusubi氏と組むことで米袋の新しい用途の開発に成功しました。

一般の人からアイデアを募集し、クリエーターに製品をデザインしてもらった良い例だと言えます。

まとめ

各社の例を見ると、用途開発は一筋縄ではいかないことがわかるかと思います。社内で検討することはもちろん、社外の人の協力やWebサイトを使うなど、あらゆる手段を駆使してアイデアを出し続けることが大切です。

テクノポートはWebサイトを使った用途開発支援を行っていますので、用途開発にお困りでしたらいつでもご相談ください。

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  • 製造業の用途開発に関する実態調査レポート
  • 製造業が持つ自社技術の用途開発をWebマーケティングにより実現する方法
  • サプライヤー企業の新市場開拓をWebマーケティングにより実現する方法

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この記事の執筆者
永井 満
テクノポート株式会社 東海地方責任者

自動車部品の世界的大手メーカー(ボッシュ)で設計開発を経験。
技術的な背景を持つWebマーケターとして、製造業界のWebマーケティングを強化する。大手メーカーでの設計開発経験を活かし、技術コンテンツの制作に強みを発揮
技術の深い理解をマーケティング戦略に融合させ、価値ある成果を提供。

【経歴】
日本大学大学院航空宇宙工学専攻(修士)
ボッシュ株式会社でディーゼルエンジンのポンプ設計を担当

【専門領域】
・技術マーケティング
・技術の魅力的な伝え方
・技術コンテンツのSEO

【セミナー講師実績】
 主催:株式会社日本テクノセンター
 テーマ:技術先行型の新製品開発法と技術マーケティングの効果的な推進ポイント

【寄稿実績】
伝え方が悪いと逆効果! Webで自社技術に興味を持ってもらうための戦術

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