テクノポートの廣常です。BtoB製造業のマーケティングにおいて新製品を売り出していく場合には、既存製品やすでに市場シェアの高い製品のマーケティングとは少し異なる特徴が見られます。 当記事では特にWebマーケティングにおいて、新製品のマーケティングの実際の成功事例と、4つのコツについてご紹介します。
この記事の目次
新製品マーケティング成功実例
アドレック
出典:アドレック株式会社
- 製品概要
– 工場用のデジタルトルクレンチ
– 製造支援ソフト「デジプロマスタ」 - 状況
展示会出展が困難になり、インサイドセールスの強化が必要に - 実施施策
製品特徴がより伝わるよう、Webサイト全体をリニューアル
– SEOによる集客
– 課題解決事例や製品紹介動画による訴求
– デモ機貸し出し - 結果
– ホームページの新規流入数が大幅に向上
– 資料ダウンロード数と問い合わせ件数が増加
リソー技研
出典:株式会社リソー技研
- 製品概要
超音波はんだごて「Velbond」 - 状況
ニーズがあるだろうと想定していた機能(具体的には異素材接合)に対する市場ニーズが薄かったため、新たな用途で活用してもらえるターゲット顧客を模索する必要があった - 実施施策
– MFTフレームワークで技術を要素分解
– 要素分解した結果をもとにSEO対策を実施
– アクセス解析により新たなニーズを発掘 - 結果
– 低温接合という機能に市場ニーズがあることを発見
– 低温接合が求められるアルミ接合にフォーカスし、多くの分野で困っていたアルミ同士の接合に関する問い合わせを獲得
森田テック
出典:森田テック株式会社
- 製品概要
– 5G関連製品機器(コンパクトアンテナ、各種シールドボックス、双方向周波数コンバータ など) - 状況
当初保有していたサイトは営業用として活用できておらず、売り出していきたい5G関連機器の情報も掲載ができていない状況であった - 実施施策
主製品である5G関連製品機器をメインに打ち出す形でWebサイトをリニューアル
– 製品の詳細情報の掲載
– SEOによる集客
– ダウンロード資料(製品カタログ)の提供 - 結果
– 問い合わせ数が大幅に増加。
半年に1件だった問い合わせが月に数件にまでに
必要な事前準備
柔軟なWebマーケティング体制の構築
新製品のマーケティングを成功させるには、柔軟なWebマーケティング体制の構築が不可欠です。
新製品はまだ売り出し方が確立されていないため、広告や製品ページの方向性について大幅な改善が必要になることも考えられます。ユーザーの反応をみながら適宜Webサイトなど更新できるよう、体制を整えることが重要です。
また、マーケティングを進めていくにあたって、できるだけ技術者や営業担当者など、さまざまな職種のメンバーにも参加してもらうことをおすすめします。技術者や営業担当者の意見を踏まえながらマーケティングを進めていくことで、訴求内容を技術的な観点から根拠づけしたり、見込み顧客の心理に合わせたコンテンツを掲載したりと、より精度の高いWebページを作ることが可能です。
新製品の売り上げを上げるための4つのコツ
1. マーケティング施策全体
製品を誰に・どのように見せたいかを考える
新製品を市場に導入する際、まずは製品を「誰に、どのように見せたいか」を整理すべきだと考えます。
これらが明確に定まっていない場合、いきなり製品のキャッチコピーや、宣伝をする媒体を考えるのはなかなか難しいです。製品開発段階から構想している内容ではあるかと思いますが、今一度「誰に」売りたいかを考え、その狙いとする顧客に対して「(製品に対し)どのような印象を持ってほしいか」「どんなメリットがあるか」を整理します。
これらを整理した上で、製品の売り出し方や伝え方を考えていきます。
2. 集客面
集客手法は顧客の検討段階に合わせて選定する
Webマーケティングにおける集客手法はWeb広告、SEO、SNSなどさまざまですが、これらの選定は顧客の検討段階に合わせて行うことが重要です。
まだ導入意欲が低い顧客に対しては、そもそも製品の存在や必要性を知らしめるためのアプローチが有効です。顧客側が探そうとしなくても自然に製品を認知してもらえるよう、メディアへの露出やディスプレイ広告の配信、SNS活動などが手法として挙げられます。
一方で、自発的に製品を探し求めているような導入意欲が高い顧客は、能動的なアプローチが必要です。顧客が行動したタイミングに合わせて、SEOやリスティング広告の配信を通じて情報を露出し接触を図ります。
また、導入意欲が高い顧客の方がすぐ問い合わせや利益につながりやすいため、マーケティング活動の初期では、こちらの顧客に向けた対策を優先するべきだと考えます。
3. 訴求面
導入時の懸念を払拭する情報を提示する
新製品の訴求においては、導入時の懸念を払拭する情報の提示が重要です。
新製品は歴史も浅く、特に従来製品・他社製品が市場に浸透している場合は導入されにくい傾向があります。顧客側も慣れていない製品を使うことに不安を感じ、導入への障壁となってしまいます。
製品訴求時には製品の新機能や売りポイントばかりを全面に出すのではなく、ユーザーにとってのメリットや懸念の払拭(従来品との比較ポイント等)に重点を置くべきです。売り出し初期では実績が少ないため、ユーザーの声や評価は積極的に集め、事例としてサイト上に掲載していくことをおすすめします。
また、BtoBの特性上製品の導入までに複数の意思決定者が関与します。製品の機能面だけでなく、購買調達の方向けにコストメリットの提示など、あらゆる観点からの納得を促すコンテンツが準備できるとよいでしょう。
4. 問い合わせ面
製品理解を深める場を提供する
前述の通り、顧客はどうしても新製品導入へのハードルを感じてしまいます。製品理解を深めてもらい、少しでも導入へのハードルを下げるため、「とりあえず話を聞いてみよう」「試してみよう」といった気持ちにまで誘導することが重要です。
< 導入のハードルを下げるために効果的な施策 >
- 無料相談会:「無料相談会」と題して、気軽に製品について質問できる印象を打ち出す
- ウェビナー:視覚的にアピールするため、製品紹介ウェビナーを実施。参加者の質問にリアルタイムで回答するなど
- デモ機貸し出し、サンプル提供:導入前の不安を解消するため、デモ機の貸し出しやサンプル提供を実施。問い合わせよりもハードルが低く、ユーザーの情報をつかむきっかけにも
新製品のプロモーション手法7選
新製品のマーケティングを進めていく上で役立つプロモーション手法については、以下の記事で詳しくご紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。