テクノポートの井上です。今回は受託加工を主とした中小製造業が、Webマーケティングを行う際の戦略について紹介します。
この記事の目次
Webにおけるマーケティング戦略とは
マーケティングとは顧客を獲得するための仕組みを作ることです。「だれに」「何を」「どのように」訴求をするか?を決めることができれば大枠の戦略を立てることができます。戦略は対象とするユーザーに対し訴求力を高めることができ、Webサイトの構成や掲載内容にブレない軸を作るためにも重要です。Web上で考える際には、従来の戦略とは異なるポイントもありますので、それも含め説明します。
3つのWebマーケティング戦略
弊社では製造業界で数千社に及ぶ会社のWebマーケティング施策を立ててきました。施策には共通項が出てきますので、そこから導き出された3つの代表的な戦略を紹介します。
領域特化戦略
既存市場の得意領域に特化する戦略です。
一般的な戦略は市場調査を行い、市場を細分化し、攻める市場を特定、顧客のニーズを想定し、他社との差別化と競争優位性を確立させる戦略をとります。
ただ、受託加工の場合、自社でできる加工であれば市場を特定しないケースが多く、そこまでの独自性を持った技術を持つ会社は稀です。そのため、まずは自社の加工領域を細分化して、訴求ポイントを探し、できることを明確化させる戦略を弊社では推奨しています。
加工製品・材質・加工サイズ・加工方法・加工技術などさまざまな切り口で分析を行い、得意領域のキーワードで対策し問い合わせを呼び込む手法です。顧客にその加工ができることを認知させられるかが、顧客獲得の大きな分かれ目になるためです。
市場の細分化から組み立てる手法は下記にて詳しく説明しています。
市場拡大戦略
他の加工方法の市場から需要を生み出す戦略です。
自社の所属する加工市場では、コスト競争になりやすく、市場も限られていることから、加工自体の魅力を他市場にも広め、自社の置かれている市場自体の拡大、及び他市場からの顧客獲得を狙います。
ユーザーが必要とする部品を検討する際には数量、精度、コストなど多くの要素から、最適な工法を選択しています。例えば、金属の切削加工で行っていたものが、本当はプレスや鋳造+2次加工で行ったほうが低コストでできる場合があります。
つまり、従来の工法と他の工法を比較することで、自社の加工領域の優位性をより深く知ってもらうことができます。ものづくり業界に所属している顧客であっても、加工技術一つひとつを正確に理解している方は意外にも少ないです。特に認知度の低い加工方法(加工方法の特徴や優位性が理解されていない)場合に有効な手法です。
コンテンツ 候補例
- ◯◯加工とは?
- ◯◯加工のメリット・デメリット
- ◯◯の利用用途
- ◯◯の△△と比較した際の違い など
ここでのポイントは自社を売り込むのではなく、加工自体の魅力やメリット・デメリットを公平な立場で情報提供することです。なんでも自社の持つ加工が優位なように見える内容は、かえって顧客に疑われやすくなるため、公平な立場での情報提供を心がける必要があります。また、その提供する情報が一般的な加工情報なのか?自社独自が持つ特徴なのかも切り分けます。
市場浸透戦略
自社の行っている加工領域にて自社の認知度を上げ、「◯◯加工と言えば△△会社」という認識を顧客に持たせ、早い段階で相談を呼び込む戦略です。
全方位戦略に近いため、大企業がとる作戦ではと思われるかもしれません。しかし、Web上では、「会社が大きいから」「上場している」という理由で上位表示されるわけではありません。検索キーワードに対して適切な答えを用意できれば、どんな会社でも上位に表示される可能性があります。また、検索する側のユーザーは検索ページを何ページも開いて探すことはなく、対応できそうな会社を数社選定し、連絡を入れます。つまり早い段階で自社HPが認知されれば、問い合わせを呼び込むチャンスを格段に増やすことができます。
その方法として、自社の所属する加工領域のビッグキーワードを狙う作戦です。
キーワード 候補例
切削加工/マシニング加工/旋盤加工/プレス加工/板金加工 など
ただ、この作戦の難点は競合も多いため検索上位に上げづらいこと、また、上位に上がっても自社の差別化はできていないため、相見積もりが多くなる可能性があることです。
まとめ
中小製造業が実行できる、3つのWebマーケティング戦略について紹介しました。ちなみにどの戦略を選べば良いかというと、答えは全部です。なぜなら、Webサイトのページやコンテンツづくりに制限はないため、戦略ごとにページを作成し訴求できます。
手当たり次第にコンテンツを用意するのではなく、何のために何を用意するのかを明確にすることが重要です。その上で優先順位をつけ、コンテンツが用意できるところから、順次進めていくのがよいでしょう。もちろん資金やかける労力が必要になりますが、Webの良いところは、低コストですぐに実行でき、大きな成果が期待できることです。
Webサイト企画の参考にしていただければ幸いです。