テクノポートの永井です。テクノポートでは、技術を発信したい製造業のWebマーケティングを支援しています。
今回は技術をわかりやすく説明する方法について紹介します。
この記事の目次
技術の説明に使える4種類の方法
1:テキスト
テキストは最も基本的な情報伝達手段です。
簡潔にポイントを伝え、要点を押さえた文章を心がけることはもちろんのこと、コンテンツ全体の構成にも気を配らなければなりません。例えば、「起承転結」「序破急」といった一般的な構成にしてみたり、相手の興味を引くために「起転承結」と順番を変えてみたりしてもいいでしょう。
しかし、テキストだけでは伝わりにくい情報もあるため、他の伝達方法と併用することをおすすめします。
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2:グラフ、表
数字や比較が必要な場面でグラフや表を使用すると、情報が一目で分かりやすくなります。特に、複数のデータを比較する際やプロセスを視覚的に示す場合に有効です。
グラフを描くポイントは、横軸と縦軸に必ず単位をつけることです。また、差異を強調したい場合は縦軸のメモリ幅も調整しましょう。プロットは比較的大きめに設定し、必要であればプロットの上に数値も記入しましょう。識別のポイントはプロットの形と色になりますので、一つのコンテンツ内では同一ラベルには同一のプロットを使うことをおすすめします。また、データがリニアで上下している場合は、近似直線を書くと相手に伝わりやすくなります。
また、プロット以外にも棒グラフや円グラフがあります。データをどのように受け取ってもらいたいかによってグラフの種類が変わってきますので、さまざまな方法でグラフを書いてみて、最も伝わりやすいと思うものを採用しましょう。
表は具体的な数値を比較したり、スペックを伝えたりするときに有効な方法です。表の項目は背景を色付けしたり、文字を太くしたりするなど、内容と差別化すると見やすくなります。
3:図解・イラスト
複雑な仕組みや流れを理解させる際に、図解やイラストは非常に役立ちます。ビジュアルを取り入れることで、読者の興味を引き、記憶に残りやすくなります。
技術者の場合、絵を描くことが苦手だったり、描くための時間が取れなかったりすることも多いと思います。そのような場合はデザイナーに依頼することも検討してみてください。たとえ費用がかかったとしても、イラストがあったほうが情報は伝わりやすくなります。情報が正確に伝わらなかった場合のリスクと合わせて、外注も検討してみてください。
4:動画
動画は実際の動作やプロセスを示すことができるため、説明が難しい内容の説明や実際の使い方を示したい場合に適しています。また、音声と映像の組み合わせが、理解を深める要因となります。
1分間の動画の情報量は、一般的なWebページの3600ページ分と言われており、有効に使うことで情報を効率的に伝達できます。
ただし、質の悪い動画はすぐに再生を止められてしまうため、動画のクオリティにも注意が必要です。質の高い動画を作るのに時間やコストはかかりますが、効果が得られるのであれば動画を作る価値は高いと言えるでしょう。
技術を説明するための準備
技術について理解する
技術を他者に伝えるためには、まず自身がその技術を深く、正確に理解していることが何よりも重要です。半端な理解や不明確な点が残っていると、伝える際に誤解や混乱を招くリスクが高まります。
疑問点や不明点がある場合、待ち構えることなく積極的にそれを解消することが大切です。技術に関する書籍やオンラインリソースを参考にするのはもちろん、経験豊富な人に直接アドバイスを求めることも非常に有効です。
そして、学び取った知識を定着させるためには、単に情報を受け取るだけでは不十分です。ノートにまとめる、自分なりの言葉で説明する、実際に手を動かして試すなどのアクションを取ることで、より深く知識を身につけることができます。
最終的な目標は、その技術に関するあらゆる質問に対して、自信を持って回答できるレベルに到達することです。ここまでの深い理解があれば、他者に技術を効果的に伝えることができるでしょう。
技術の使用用途をまとめる
技術を伝える際、それがどのような場面や状況で活躍するのかを具体的に示すことで、相手の理解が深まります。ただ「この技術は役立つ」と伝えるのではなく、「この技術を使用することで、〇〇のタスクが効率的になる」といった具体的なシチュエーションを示すことが重要です。
また、その技術の持つ独特のメリットや、他の方法と比較した際の優位点を明確にすることで、相手がその技術を採用すべき理由を明瞭に捉えられます。
例えば、あるプログラミング言語やツールの利点を説明する場合、その速度、安定性、使いやすさなどの特性を具体的な数値や事例とともに伝えることで、聞き手の納得感を高められるでしょう。
要は、技術を紹介する際には、その「なぜ」「どのように」という背景や具体的な使用例をしっかりと説明することで、相手に技術の価値を効果的に伝えることが可能となります。
技術を説明するための資料作り
ターゲットを決める
技術を伝える際の最も重要な要素の一つは、聞き手や読者、つまり「伝える相手」を明確に定義することです。技術の深さや広さは人それぞれ異なり、一つの説明方法が全ての人に合うわけではありません。
初心者向けに説明する場合、基礎から丁寧に、用語の定義や基本的なコンセプトを中心に資料を作成する必要があります。一方、基本的な知識を既に持つ専門家向けには、より高度な内容や細かい技術的詳細を強調して資料をまとめるべきです。
資料作成の前段階でターゲットを正確に特定することで、その後の構成や内容の選択、表現方法などがより明確になります。これにより、伝えるべき技術の魅力や重要性を、最も効果的に相手に伝えることが可能となります。
ターゲットの課題を洗い出す
技術やサービスを伝える際、単にその機能やメリットを紹介するだけではなく、ターゲットが抱える潜在的な課題や疑問を正確に把握することが欠かせません。これにより、技術の有用性や必要性が具体的に伝わるようになります。例えば、新しいソフトウェアツールを導入する際、そのツールが解決できる具体的な業務の煩雑さや時間の無駄を洗い出すことで、導入の必要性が際立ちます。
ターゲットの課題と自社の提供価値を結びつける
ターゲットの課題を洗い出したら、次はその課題を解決するための自社の技術やサービスの価値を明確にし、両者を結びつけるプレゼンテーションや資料を作成することが求められます。
これにより、ただの技術紹介ではなく、具体的な「解決策」としての位置づけができるのです。
例えば、上記のソフトウェアツールの場合、具体的にどのような操作が簡略化されるのか、どれだけの時間短縮やコスト削減が期待できるのかを示すことで、その技術がもたらす実際の価値を明確に伝えることができます。このアプローチにより、ターゲットは自身の課題が具体的にどのように解決されるのかをイメージしやすくなり、技術の採用意欲も高まるでしょう。
ターゲットが疑問を持たないようなストーリーを作る
分かりやすいストーリー展開で疑問を未然に防ぐ
ターゲットに技術やサービスを伝える際、情報の断片的な伝達ではなく、一貫性を持ったストーリーとして情報を提示することが重要です。ストーリーを組み立てることで、読者や聞き手は情報を順序立てて消化でき、疑問や不明点を持ちにくくなります。
ストーリーを作る際のポイントは以下の通りです:
- 導入部:ターゲットの抱える課題や疑問、背景を明確に伝えることで、読者の関心を引きつけます。
- 本論:ここでは、提供する技術やサービスの具体的な機能や特徴を紹介します。この際、課題とどのように関連しているのか、どのようにその課題を解決するのかを中心に説明します。
- 結論:最後に、技術やサービスの提供する総体的な価値や、今後の展望などをまとめて伝えることで、ストーリーを締めくくります。
このように一貫性のあるストーリーを構築することで、読者は複雑な技術やサービスに関する情報をスムーズに理解し、疑問を持つことなく内容を追っていけるでしょう。
ストーリーを補足するための素材を集める
テキストだけでなく、視覚的な要素は情報の理解を大きく助ける要素となります。
図表やイラストは、複雑な情報を簡潔に伝える効果があります。動画は、手順や流れをリアルタイムで示すことができるため、特にプロセスや動作を伝える際に非常に効果的です。
これらの素材は、ストーリーの中で自然に組み込まれ、情報の理解を深める役割を果たします。選定する際には、ターゲットのニーズや理解度を考慮し、最も効果的な素材を選びましょう。
情報と素材を一体化させた資料の完成
すべての情報と素材を集めた後、それらを効果的に組み合わせることで、一つの完結した資料を作成します。この際、資料の構造や流れ、ページのレイアウトなどに気を付けることで、より伝わりやすく見やすい資料となります。
特に、情報の量や密度、ページのデザインや色使い、文字の大きさやフォントなど、細部にわたる要素も考慮に入れることで、高品質な資料が完成します。完成した資料は、ターゲットとのコミュニケーションツールとして大きな役割を果たすでしょう。
徹底的な推敲で資料の品質を高める
資料を作成した後の推敲は、その資料の質を大きく左右する重要なプロセスです。テキストの流れ、情報の整合性、文法や表現の誤りなど、さまざまな角度から資料をチェックし、最適化します。
- 内容の整合性:情報が一貫しているか、またストーリーが自然に進行しているかを確認します。
- わかりやすさ:専門用語の使用や文の構造、情報の提示方法など、読者が内容を理解しやすいかどうかを再評価します。
- 文法・表現の確認:誤字脱字、不自然な文構造、矛盾した表現などがないかを厳しくチェックします。
さらに、資料作成者自身が気づかない盲点や誤解を避けるため、第三者の目線でのフィードバックを取り入れることは非常に有効です。異なる背景や知識を持つ人からの意見や感想は、資料の普遍性やアクセシビリティを高めるための貴重な指針となるでしょう。
資料を作る際の注意点
ターゲットを絞り込み過ぎない
あまりにも特定のグループに絞り込むと、他の人々には伝わりにくくなる恐れがあります。適度な幅を持たせることを心がけましょう。
ターゲットが何で閲覧するのかも決めておく
スマートフォンでの閲覧を主に考えるのか、パソコンでの閲覧を主に考えるのか、その違いによってデザインやレイアウトを調整する必要があります。
専門用語は必ず説明を入れる
技術的な専門用語は避けられない場面もあるでしょう。しかし、それらの用語を使用する際は、必ずその意味や背景を説明しましょう。
色使いや配置、フォントサイズなどにも気を配る
視覚的にもわかりやすく、読みやすい資料を作るために、デザインの細部にも注意が必要です。特に、色の選び方や文字の大きさは、情報の伝わりやすさに直結します。
これらのポイントを意識して、技術の説明を行えば、より多くの人に正確でわかりやすい情報を伝えることができるでしょう。
まとめ
技術をわかりやすく説明するためには、受け手の立場に立ち、どのような情報が求められているのかを常に意識することが重要です。また、複数の手段や方法を組み合わせることで、より効果的な伝達が可能となります。最後に、常に改善の余地を追求し、新しい方法や技術にもアンテナを張り続けていれば、技術伝達のスキルを磨いていくことができます。