テクノポートの小林です。自社の成長戦略を考える受託加工業に向けに、バリューチェーン分析をWebマーケティングに活かす方法を紹介します。
この記事の目次
SEO施策の壁に直面していませんか?
中小製造業の経営者の皆さん、Webからの問い合わせ獲得のためにSEO対策に一生懸命取り組んできたものの、最近効果が頭打ちだと感じていませんか?実は、SEOだけに頼った集客にはいずれ限界が訪れます。検索順位を上げること自体は重要ですが、それだけでは本当に欲しい顧客からの問い合わせを増やし続けることは難しいのです。
そこで必要になってくるのが「戦略的な視点」です。Webマーケティングを自社の事業戦略としっかり連動させることで、初めて継続的な成果を生み出せます。単発の施策にとどまらず、事業全体を見据えた戦略を持ってWebで情報発信することが、問い合わせアップのカギになるのです。
なぜWebマーケティングに戦略的視点が必要なのか
Webマーケティング(SEOや広告、コンテンツ発信など)は、会社の成長戦略と一体化してこそ威力を発揮します。言い換えれば、「誰に・何を・どう提供するか」という経営の基本方針が定まっていないと、どんなにSEOで人を集めても見込み客から選ばれる情報発信になりません。たとえば、「とりあえず自社の技術をアピールする記事を書こう」「人気のキーワードで上位表示しよう」と闇雲に進めても、肝心の自社の強みや差別化ポイントが伝わっていなければ、訪問者は問い合わせに至らず離脱してしまいます。
逆に、事業戦略に基づいて発信のターゲットや提供価値を明確にすれば、SEOの効果も高まり、質の高い問い合わせが増えていきます。 では、具体的に「戦略的な視点」をWebマーケティングに取り入れるにはどうすれば良いのでしょうか?そのヒントとして有効なのが、バリューチェーン分析という手法です。以下では、バリューチェーン分析の基本と活用方法、そしてそこで得られた気づきをどのようにWebマーケティング施策へ落とし込むかを解説します。
バリューチェーン分析ってなに?
バリューチェーンとは、自社の製品やサービスが顧客に届くまでのプロセスを段階ごとに分析し、それぞれの段階で「付加価値」をどれだけ創造できるかを可視化する手法です。
例えば、樹脂製品の製造業なら、企画、試作、量産、加工、検査といった一連の工程があります。各工程で顧客がどのような価値を求めているか理解することで、自社の競争優位性をはっきりさせることができます。
Webマーケティングにバリューチェーン分析を使うメリット
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自社の強みや独自の価値をWeb上で明確に打ち出せる
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SEOやコンテンツ制作の方向性が明確になる
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問い合わせや商談につながる質の高いリードが得られるようになる
実践編①:まずは自社の「位置づけ」を見つけよう
自社がバリューチェーンのどこに位置しているか考えてみましょう。自社は試作が得意なのか、量産が得意なのか?それとも設計段階からトータルサポートが可能なのか?ポイントは自社のバリューチェーンを書くのではなく、ユーザー側のバリューチェーンを書くことです。そうすることで自社の立ち位置を把握することができます。
実践編②:実践編②:上流・下流への拡張で競争力UP!
自社が今いる位置から上下(上流・下流)への展開を考えましょう。例えば量産加工をメインにしているなら、試作設計などの上流工程への進出や、加工後の表面処理・組立といった下流工程への展開で、新しい価値を提供できます。
射出成形の会社の場合
試作段階からの案件獲得を目指す 量産段階で案件を獲得する場合、仕様変更や量産におけるコスト競争に巻き込まれることがあります。そのため、試作段階から案件を獲得することができれば、仕様の変更や量産へのスムーズな移行、顧客との信頼構築が可能です。また、価格競争にも立ち向かいやすい状態になります。試作系業者との連携を強化するか、試作に関連する設備の内製化に注力することで、この戦略を実行することができます。
試作加工業者の場合
製品の開発をトータルサポート 逆に、試作加工業者は量産を受けていない場合があります。この場合、試作段階で問題なく製品ができても、量産時に形状の不一致が発生することがあります。そのため、製品の開発をトータルでサポートし、付加価値を提供します。量産会社と提携し、試作から量産までのサポートを提供する戦略です。
実践編③:横方向の拡張も見逃さない!
現在、自社で行っている加工方法は何かの製品を作る際の手法の一つのはずです。ユーザーが必要な製品に対し、自社の加工方法が適切でない場合もあります。最適な手法を提案してこそ新しい価値提供が生まれるという考えのもと加工の選択肢を増やす戦略です。もちろん自社だけでは不足するものは協力工場のネットワーク構築が必要不可欠です。
樹脂試作切削業者の場合
多様な加工方法を提案 顧客が試作品を作成する場合、樹脂の切削は1つの手法ですが、他にも加工方法が存在します。ユーザーが適切な方法を選ぶ際、最適な加工方法が何かを検討します。そのため、自社での切削以外の加工方法にも知識を広げ、光造形や真空注型などさまざまな加工方法から最適な提案を行うことで、提供価値を高めることができます。ターゲットを製品開発者に設定した場合、自社の提供価値を「最高の切削加工品を提供することを突き詰める」だと、内部資源だけで決めてしまっては、顧客が本当に欲しいものが提供できない場合があります。
実践編④:新規事業として提供価値を再構築
さらに一歩踏み込み、自社がまだ展開していない新しい事業を検討することで、市場での競争力を一気に高められます。金型製作会社が新規に金型修理・メンテナンス事業を始めたり、試作加工から量産までの一貫体制を構築するなど、新しい提供価値を考えましょう。
プレス金型業者の場合
顧客の対象を変える:プレス加工業者→メーカー 売り型の金型業者にはプレス加工業者からの依頼が中心です。しかし、プレス加工業者が案件を持ってこない限り、新しい案件が得られません。そのため、メーカーに対して自社の金型でどのような製品を作れるかをPRすることで、メーカーから直接案件を獲得し、プレス加工業者に発注する流れを構築することで商機を広げることができます。この方法は一般的なビジネス拡大の方法とも言えます。
冷間鍛造の2次加工業者の場合
自社の強みを戦略に落とし込み、発信せよ
問い合わせを増やしたいからといって、目先のSEOテクニックや広告予算配分だけに気を取られていては、本質的な成果は得られません。製造業のWebマーケティング成功のカギは、自社の強み・提供価値を改めて見直し、それを軸に戦略を持って発信することです。
バリューチェーン分析はそのための有効な手段の一つです。自社と顧客の事業の流れを俯瞰し、「まだ提供できていない価値はないか?」「狙っていない顧客層はないか?」といった問いを持つことで、新たな戦略アイデアが生まれます。そして、その戦略に基づいて情報発信を最適化すれば、SEO対策も単なる集客テクニックではなく事業成長のドライバーとなるでしょう。
ぜひ一度、SEOの次の一手として戦略的なWebマーケティングに踏み出してみてください。自社の強みに根ざした発信は必ずや他社との差別化となり、継続的な問い合わせ増加につながっていくはずです。