【製造業の集客】ターゲット別でクリック率が劇的に上がるタイトルの付け方

【執筆者紹介】渡部 仁志
この記事の執筆者
渡部 仁志
会社名:テクノポート株式会社
役職:コンサルティング課、上級ウェブ解析士
執筆テーマ:ホームページの制作に役立つ記事や、Webに関する最新情報など
【経歴】
2013年入社。
ホームページ制作ディレクションやWeb解析の仕事に従事。上級ウェブ解析士の資格を持ち、GA4の活用方法について幅広い知見を持つ。
渡部 仁志 が執筆した他の記事をみる

こんにちは、テクノポートの渡部です。製造業のコーポレートサイトでは、コンテンツを作り込むことができずに「自社そのものや自社が持っている技術の紹介」で終わってしまうケースもまだ少なくありません。高品質で複雑な技術情報を過不足なく伝えることに注力するあまり、SEOやユーザーの視点が抜け落ちてしまっているのです。

コーポレートサイトで集客を成功させるためには、SEO対策キーワードを選び、コンテンツを作り込むことが重要になってきます。しかし、意外な落とし穴として、そのページのタイトルを適当につけてしまうことが挙げられます。制作したページのタイトルは、検索結果画面においてユーザーが最初に目にするものです。専門家や経営層といった、将来、自社の顧客になりうる見込みユーザーが「クリックして自社の課題を解決してくれるサイトか」を瞬時に判断する唯一の手がかりが、そのわずか30文字程度のテキストだというわけです。

製造業のBtoB取引では、検討期間が長く、顧客は非常に具体的で専門的なキーワード(例:「難削材加工 歪み 対策」、「SUS316 板金加工」)で検索します。もしタイトルが「技術名|○○株式会社」といった簡素なものだったら、ユーザーは「自分の抱える課題を解決できる」という確信を持てず、競合他社のサイトへ流れてしまいます。

製造業のコーポレートサイトが陥りがちな落とし穴を避け、検索エンジン(SEO)とユーザーの関心(CTR)の両方を満たす、集客力がアップするタイトル作成の具体的なノウハウを徹底解説します。

製造業タイトル作成の基本原則(SEOとCTR)

製造業の技術は専門性が高いため、「正確さ」を追求するあまり、Webマーケティングにおける基本的なルールを無視しがちです。ここでは、SEO対策の観点とクリック率を高めるという観点から、すべてのタイトルで遵守すべき基本原則を解説します。

検索エンジンに好かれる「SEOの3原則」

製造業のニッチで専門的なキーワードこそ、基本のSEO対策が効果を発揮します。

【原則1】キーワードの「左詰め」徹底

タイトルを読み込む検索エンジンやユーザーは、情報の重要度を左側(冒頭)から判断します。最優先で集客したいメインキーワード(例:「難削材加工」「高精度検査装置」)は必ず冒頭に配置しましょう。これにより、そのページが何に関する情報なのかを明確に伝え、関連性の評価を高めます。

  • 悪い例:弊社が誇る超精密な加工技術をご紹介 – 難削材加工
  • 良い例:難削材加工の課題解決策|〇〇社独自の切削技術

【原則2】適切な文字数(表示が切れない目安) 

Googleのタイトルリンクは、目安としてPCで約28〜32文字(全角)、スマートフォンで約35〜40文字でタイトルが省略されます。重要なキーワードやベネフィットが末尾に追いやられて「…」で省略されないよう、文字数を意識しつつ、重要な情報を前半に凝縮させることが重要です。

【原則3】コンテンツとの一貫性

タイトルタグの内容と、ページ内のメイン見出しであるh1タグ、そして本文の内容が必ず一致している必要があります。タイトルで謳っている技術やソリューションがページ内に存在しない場合、Googleはユーザーを欺いていると判断し、タイトルを勝手に書き換えたり、評価を下げたりする恐れがあります。

ユーザーを惹きつける「クリック率(CTR)向上のコツ」

検索結果に並んだ数々のサイトの中から、あなたのサイトをクリックしてもらうためには、ユーザー心理に訴えかける工夫が必要です。

ベネフィットの強調

技術の「機能」よりも、それがもたらす「利益」を具体的に示します。技術者は「製品が長持ちする」、経営層は「コストが下がる」というメリットに惹かれます。

  • 悪い例(機能ベース):高性能な防錆コーティング技術
  • 良い例(ベネフィットベース):製品寿命を3倍に延長する高耐久コーティング技術

信頼性ワードの利用

BtoBの技術選定において、信頼性は不可欠です。「導入事例あり」「ISO 9001認定」「特許技術」「〇〇業界トップシェア」といった権威性を感じさせる言葉は、不安を解消しクリックへの後押しになります。

記号・数字の活用

読みにくい専門的なテキストは、【】(墨付き括弧)や |、: を使って視覚的に整理します。特に具体的な数字(25%向上、5つの方法 など)は、信憑性を高め、タイトルを際立たせるために非常に効果的です。

ターゲット別!響くタイトルテンプレート

製造業の購買プロセスは複雑で、技術者と経営層では求める情報が根本的に異なります。集客力を高めるためには、検索ユーザーが「誰」であるかを想定し、それぞれの関心に応じたタイトルをつける必要があります。

1. 【技術者・専門家向け】課題解決型テンプレート

技術者は、具体的な課題の解決策や、競合との性能差を知りたいと考えています。タイトルで具体的な技術用語と、達成可能な性能を提示します。

  • 検索意図:技術課題の解決、性能の比較
  • テンプレート:【課題】を解決する [技術/製品名]:[具体的性能] を実現
  • 事例:【溶接歪み解消】高精度な接合を実現するレーザー加工技術:熱影響を最小化

2. 【経営層・調達担当者向け】ROI(投資対効果)強調型テンプレート

経営層や調達担当者は、技術の導入によるコスト削減、生産性向上、リスク低減といったビジネス上のメリットに関心があります。

  • 検索意図:コスト、効率、投資対効果
  • テンプレート:[数値効果] を実現する [ソリューション] の選び方:[導入のメリット]
  • 事例:【生産コスト30%減】を実現するAI外観検査システムのROI徹底解説

3. 【初期検討層向け】比較・解説型テンプレート

技術者、経営層に関わらず、まだ導入を具体的に決めていない層は、技術の基本、仕組み、メリット・デメリットを知りたいと考えています。

  • 検索意図:基本情報、製品/技術の比較、最新動向
  • テンプレート:[技術名]とは? [比較対象] とのメリット・デメリットと最新事例
  • 事例:3Dプリンティングとは?射出成形との徹底比較と活用成功事例

4. 【現場の使用者(ユーザー)向け】操作性・安全性強調型テンプレート

実際に技術や設備を使う現場のオペレーターは、使いやすさ、安全性、作業負担の軽減を最優先します。

  • 検索意図:技術の基本情報、製品/技術の比較、最新動向
  • テンプレート:【現場の負担軽減】 [製品名] の[特徴]:[操作性/安全性] を実現
  • 事例:【作業負担を激減】直感的な操作でミスを防ぐ新型検査装置:30分で習熟可能

ターゲットに合わせたテンプレートを用いることで、検索意図とのミスマッチを防ぎ、効率的に集客力を高められます。

タイトル最適化を継続的な集客力アップへ

製造業の技術マーケティングにおいて、タイトルは一度設定したら終わりではありません。むしろここからが、真の集客力アップに向けた改善サイクルのスタートです。

どれだけ完璧だと思った構成でタイトルを作成しても、検索エンジンとその市場は常に変化しています。検索エンジンの評価基準が変わったり、競合がより魅力的なタイトルに変えたり、ユーザーの検索意図がトレンドとともに変化したりするからです。

成功の鍵は、以下の2つの指標を継続的に計測し、市場の「声」を反映させることにあります。

  1. 検索順位:タイトルを変更した後、特定のキーワードでの順位が安定しているか。
  2. クリック率(CTR):検索結果に表示された回数に対し、実際にクリックされた割合が改善したか。

これらのデータは、Google Search Consoleなどのツールを使って容易に確認できます。順位は高いのにCTRが低い場合、それはタイトルが「SEOには合致しているが、ユーザーを惹きつける力がない」ことを意味します。この時こそ、ベネフィットや信頼性を強調するチャンスです。

製造業のコーポレートサイトの集客力は、PDCAサイクルを回し続けることによってのみ、継続的に向上します。本コラムで紹介したテンプレートを土台に、常に市場の反応を見て改善し、貴社の専門技術を必要とする見込み顧客との接点を最大化してください。

この記事の執筆者
渡部 仁志
会社名:テクノポート株式会社
役職:コンサルティング課、上級ウェブ解析士
執筆テーマ:ホームページの制作に役立つ記事や、Webに関する最新情報など
【経歴】
2013年入社。
ホームページ制作ディレクションやWeb解析の仕事に従事。上級ウェブ解析士の資格を持ち、GA4の活用方法について幅広い知見を持つ。
渡部 仁志 が執筆した他の記事をみる

関連記事