執筆者:永井 満
日本大学大学院 航空宇宙工学専攻(修士)
ボッシュ株式会社でディーゼルエンジンのポンプ設計を担当
技術的な背景を活かし、BtoB製造業に特化したWebマーケティングを専門とするWebマーケッター。
この記事の目次
テクノポートのサイト制作実績
ユニテック株式会社 様
https://www.unitec-mt.com/
カスタムモータの開発・製造
有限会社小林製作所 様
https://www.ksx.jp/
金属プレス板金・金型設計製作・切削加工
株式会社北進 様
https://www.hokushin1959.co.jp/
酸洗処理・電解研磨
鳴海製陶株式会社 様
https://www.narumi.co.jp/en/home/
洋食器(陶磁器)の企画、開発、製造
有限会社扇ゴム工業 様
https://ohgigomu.co.jp/
ゴム巻蒸加工
株式会社山善 様
https://tfs.yamazen.co.jp/
生産財関連(工作機械、エンジニアリングソリューションなど)および消費財関連(住建、家庭機器など)の販売
株式会社シーティーケイ 様
https://en.hotmarker.com/
産業用印字機器の製造・販売・輸出
株式会社サンコー技研 様
https://sankogiken.com/uchinuki/
精密プレス加工、アプリ開発・運営
有功社シトー貿易株式会社 様
https://www.yct.co.jp/
包装パッケージ製造関連素材の販売
技術・製品紹介ページの重要性
サイトの中で最も重要とされているのが技術、製品ページです。このページの良し悪しで問い合わせの質や量が変わってきますので、技術や製品を紹介するページについてはしっかりと作り込みをしましょう。逆に、このページさえ作り込みができれば問い合わせは増えていきます。
技術・製品ページには大きく2つの役割があります。
- 訴求(お客様が問い合わせしたくなる)
- SEO(サイトへのアクセスを増加させる)
1つ目の役割は訴求です。基本的には探索者は「抱えている課題を解決できそう」と思った企業に問い合わせを行います。そして、問い合わせをするかを判断するのが技術・製品ページになります。「どんな技術で、どこに使われていて、どういった課題を解決できるのか?」これが知りたいんです。これが探索者の課題と一致したときにはじめてお問い合わせが発生します。つまり、ここをうまく作れるかどうかがお問い合わせの有無につながってきます。
訴求方法はテキスト、画像、動画、グラフ、表などいろいろありますので、それらを駆使してできるだけわかりやすく相手に伝わるように工夫してください。
2つ目の役割はSEOです。BtoB製造業の場合、研究開発や設計、購買、生産技術、品質管理の方たちは社内で解決できない課題を抱えたときに、外部の企業に協力を求めます。
じゃあ、どうやって外部の企業を探すかというと、展示会に出向いたり、社内の購買や関係性のある商社に聞いたりすることもあるのですが、一番多いのはWebサイトを使った「検索」になります。
調査レポートのダウンロードはこちら
例えば、GoogleやYahoo、Bingの検索窓で「課題を解決できそうな企業が検索結果に出てくるようなキーワード」を入力して調べています。で、このときの検索結果に自社のサイトが出てこない場合、絶対に問い合わせは来ません。
逆に検索結果に表示されさえすれば、自社のサイトを見つけてもらえる可能性が高まり、ページの内容がよければ問い合わせは必ず来ます。
この検索結果に出すための手法がSEOであり、SEOをすることで自社を知らない方にも自社を見つけてもらえるという強いメリットがあります。で、SEOは基本的にはサイト内のページ全ページで行ったほうがいいのですが、最も効果を得やすいのが技術、製品ページになります。
というのも、SEO用専用記事から技術・製品ページに遷移してもらう作戦もあるのですが、そうすると技術・製品ページにアクセスしないという可能性も残ってしまいます。こちらが見せたいのは技術・製品ページになるので、直接アクセスしてもらえるようにSEOはしっかり行いましょう。ただ、問い合わせをより増やすためには、絶対的にアクセス数が必要なので、先ほどの作戦も併用して行う必要があります。
SEOの詳しい情報についてはこちらをご確認ください。
それでは、技術紹介ページと製品紹介ページにわけてポイントを紹介していきます。
技術紹介ページの作り方
ユーザーが求める情報とは
弊社が設計開発者にインタビュー調査を行った結果、ユーザーが求めている情報は実績と技術情報でした。
特に実績を重視していました。
では、実績とは何かについて、これは実際のモノがあればそれを画像にすればいいのですが、モノがない場合は伝え方が非常に重要になってきます。
例えば、テキストで表現したり、グラフや表を活用したり、動画、イラストなども有効です。このとき大切になるのが、相手に「あっ、この技術だったら課題解説できそう!」と思ってもらえるような情報を掲載することです。
そのため、まずメリットを伝えることから始めてください。どういったものを解決できるのかを説明した上で、技術の詳細を解説していく必要があります。相手が真っ先に知りたいのはその技術が課題を解決できるかどうかです。はじめに解決できることを伝えることで相手に興味を持ってもらい、その上で技術の詳細を説明すると最後まで読んでくれるようになります。
よくある失敗は一番はじめから技術の詳細を説明をし、最後の方に解決できる課題を提示するやり方です。何ができるかよくわらない技術情報を最後まで読んでくれる人はいないため、途中にもかからわずページを閉じてしまいます。そうならないように、まずは相手の興味を引くことが大切です。
技術のキャッチコピーの書き方
相手の興味を引くために欠かせないものがキャッチコピーです。
探索者は「ページを閲覧するかどうかをキャッチコピーを見て決める」と言われるほど、キャッチコピーは重要です。ただ、キャッチコピーと書くと「ひねったもの」「壮大なもの」を作らないといけないと思う方が多いのですが、それは絶対にやらないでください。相手に伝えることを意識したキャッチコピーが重要です。また、機能訴求でなく、課題解決を意識し、自社の技術をひと目で伝えられることを念頭に置いて作ってください。
例えば、
- 焼付きを防止するPTFEめっき
- 10,000rpmの高回転でも軸ブレしない円筒度0.01レベルの切削加工
- 不良率の2ppmで丸物の量産加工(手のひらサイズ)
キャッチコピーは検索結果にも表示される可能性が高いため、クリックしたくなる、つまり課題が解決できそうなキャッチコピーを作ることが大切です。
最後にもう一度お伝えしますが、BtoB製造業などの技術系企業の場合のキャッチコピーは奇抜なものより、わかりやすさを重視したものをおすすめしています。
最も重要な実績の掲載方法
具体的な事例をもとに技術ページの作り方を紹介します。下記は必ず押さえるようにしましょう。
- 文字以外の情報を出す。
文字情報はあまり読まれないため、画像、イラスト、グラフ、表、動画など、できるだけ文字以外の情報を入れて、見るだけで伝わるようにしましょう。 - 文字しか使えない場合は強調させる。
文字が並んでいるだけでは全く読まれないので、サイズを大きくする、太文字にする、色をつけるなど、読むべきところがひと目でわかるようにしましょう。
まずはこの2点を気をつければ大丈夫です。
事例1:解決できる課題を網羅的に掲載
ロボットを使った自動搬送システムを提供している水野鉄工株式会社は、探索者が興味を持つように、具体的な課題を多数掲載しています。
解決できる課題を掲載することで、探索者の様々な課題に対して自社の技術が有効であることをアピールしています。
事例2:技術の特徴を紹介
切削からプレス、溶接、組立までも社内で一貫して対応できる山陽株式会社は、個々の技術紹介の前に何ができるかをまとめた画像を掲載しています。
株式会社サイトウ工機は、具体的な精度ではなく高精度な加工が得意であることを説明しています。文字がメインですが、測定時の画像を使うことで精度の高さを表現しています。
超音波はんだ装置を販売している株式会社リソー技研は、代用技術との比較(メリット・デメリット)を掲載しています。
同じ分野の既存技術は技術の詳細だけでもある程度理解できますが、同じ分野でも新しい技術の場合や分野が異なる場合は、探索者がその技術について知らない可能性があります。そのため技術を理解してもらうためにはそれなりの前情報が必要です。この前情報がないと、探索者に技術を理解してもらえずページから離脱されてしまいますので、それを防ぐためにこのような見せ方を行っています。
切削加工を得意としている大鉄精工株式会社は、図面を出すことで技術力の高さを示しています。発注する側としては一番うれしい情報です。
めっきを行っている高木特殊工業株式会社は、実験結果を掲載してめっきの実力値を見える化しています。
以上のように、探索者に「その技術なら、抱えている課題を解決できそう」と思ってもらえるような情報を掲載することが大切です。
製品紹介ページの作り方
ユーザーが求める情報とは
ユーザーが求める情報は製品紹介のときと同様で、「この製品だったら、抱えている課題を解決できそう」と思える情報です。技術と異なる点としては、実績以外に「機能」や「アフターサービス」などの情報も重要になります。
ページの作り方
工場向けのデジタルトルクレンチメーカーである株式会社アドレックの場合、機能がひと目でわかる画像の掲載、オンラインでのサポート体制、さらに動画を使ってどのようにデジタルトルクレンチを使うのかというのをわかりやすく表現しています。
カシメ機メーカーの株式会社ファブエースは、設備の特徴、解決できる課題、そして実績として納品先のお客様の声を掲載しています。実際に使っている企業を一社一社丁寧に紹介することで実績の質を高めています。
また、サイト内では動画で製品を紹介したり、イラストを使って駆動方法をわかりやすく伝えるように工夫されています。
製品紹介は1ページで収めるよりもコンテンツを複数用意し、ページも複数作るほうが相手に伝わりやすくなるでしょう。
また、カタログや使い方などについては資料ダウンロードページなどできるようにすると、お客様との接点も増やすことができるようになります。
SEO対策について
SEOについてですが、実はこれまでの流れで技術情報を掲載すれば最低限のSEO対策はできています。あとは、見出しを少し工夫することでより強いSEOを行えるようになります。
具体的には、
<h1>見出しタイトル</h1>
のような見出しタグの中にSEOキーワードを入れたり、キャッチコピーや見出しタイトルがタグの中に入るように設定すれば十分です。ただし、技術・製品ページはSEO専用として作るわけではないため、より強いSEOについては下記をお読みいただくか弊社にご相談ください。
キーワードの選定、競合調査、記事の構成など細かな作業はありますが、コツコツ丁寧に記事を書けば上位表示されやすくなりますので、本気でアクセスを増やしたい場合はSEO専用ページの制作をおすすめしています。
SEO対策についての詳細はこちら
このように技術・製品ページは探索者の解決したい課題から始まり、技術概要の紹介、技術の詳細説明と、探索者の顕在ニーズから説明していくと技術を理解してもらいやすくなります。ページのボリュームが多くなりすぎる場合は、画像やイラストを効果的に掲載したり、詳細ページへのリンクを設置したりするなど読みやすくなる工夫が必要です。
他にもWebサイト制作時における企画手法をまとめた記事もございますので、こちらもご参照ください。
テクノポートでは、技術や製品の情報を広く発信したいとお考えの企業のWebマーケティングを行っています。技術の伝え方についてお困りでしたら、ぜひ弊社にご相談ください。