【概要から応用】SEOのキーワード選定方法(リスト例、コツ、ツールの解説)

【執筆者紹介】永井 満
この記事の執筆者
永井 満
テクノポート株式会社 東海地方責任者

自動車部品の世界的大手メーカー(ボッシュ)で設計開発を経験。
技術的な背景を持つWebマーケターとして、製造業界のWebマーケティングを強化する。大手メーカーでの設計開発経験を活かし、技術コンテンツの制作に強みを発揮
技術の深い理解をマーケティング戦略に融合させ、価値ある成果を提供。

【経歴】
日本大学大学院航空宇宙工学専攻(修士)
ボッシュ株式会社でディーゼルエンジンのポンプ設計を担当

【専門領域】
・技術マーケティング
・技術の魅力的な伝え方
・技術コンテンツのSEO

【セミナー講師実績】
 主催:株式会社日本テクノセンター
 テーマ:技術先行型の新製品開発法と技術マーケティングの効果的な推進ポイント

【寄稿実績】
・伝え方が悪いと逆効果! Webで自社技術に興味を持ってもらうための戦術
・技術者なしのマーケティングはあり得ない! 巻き込みに必要な考え方
・マーケターにも技術的知識が必須に マーケティング成功の鍵は「相互理解」
・製造業のマーケティング担当者必見、「サプライヤーの探し方と選定基準」の本音」
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テクノポートの永井です。Web上で自社を知ってもらうための施策として、SEO対策は非常に効果的です。しかし、SEO対策に取り組んだ経験がない場合、どんなキーワードが最適なのかわからず、うまく選定できないといったお悩みもあるのではないでしょうか。

そこで、本記事ではSEOのキーワード選定の重要性や適切なキーワードの選定方法を解説します。合わせて、キーワードを選定する際に便利なツールもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事の目次

SEOキーワード選定の重要性

SEOはSearch Engine Optimizationの略で「検索エンジンへの最適化」を意味します。検索エンジンへの最適化とは、GoogleやYahooなどの検索エンジンでユーザーに検索された際に、サイトを上位表示させるために行う施策のことです。

SEOにおけるキーワード選定とは、ユーザーに検索された時に上位表示したい単語や文章を選ぶことです。狙ったキーワードで上位表示されると、自社サイトへのアクセス数が増え、ターゲットにコンテンツを届けられるようになります。

逆に、キーワード選定が適切でないと、自社サイトにアクセスしてもらえず、問い合わせも増えないという結果になってしまいます。検索結果の1ページ目にサイトが表示されていないとアクセス数が増えないため、1ページ目に表示できるキーワード選定を行う必要があります。

問い合わせを増やす上でSEOキーワードの選定は非常に重要になってきますので、しっかりと検討した上でキーワードを選んでみてください。

SEOキーワード選定のよくある失敗

SEOキーワード選定のよくある失敗を紹介します。

最も多い失敗例はビッグキーワードのみを選定しているパターンです。ビッグキーワードとは、多くのユーザーから検索される、検索ボリュームの大きいキーワードのことです。例えば、「スマホ」「リフォーム」などがビッグキーワードにあたります。

ビッグキーワードで上位表示されれば一気にアクセス数を増やすことが可能ですが、競合サイトも多く、表示順位をあげる難易度は非常に高いといえます。そのため、ビッグキーワードばかりで対策してると順位が上げられず、アクセスが増えないということになってしまいます。

逆に、ニッチすぎるキーワードのみを選定することもよくある失敗の一つです。ニッチキーワードは自社との親和性が高く問い合わせに繋がりやすい傾向にありますが、検索需要がほとんどないことも多く選定には注意が必要です。

また、自社と親和性が薄いキーワードで対策を行うのもやめましょう。検索ボリュームがあったとしても、自社の事業と関連性が薄いと問い合わせには繋がりません。

問い合わせを増やすためには質と量が大切

サイトへの問い合わせを増やすための施策をみていきましょう。

量:検索需要が多いキーワードでアクセス数を増やす

サイトへのアクセス数を増やすには、需要のあるキーワードで上位表示させるコンテンツを積み上げていく必要があります。

検索キーワードには「需要」というものがあります。簡単にいうとそのキーワードで検索する人の数です。この需要のことを検索需要といい、◯◯回/月で表されることが多いため、月間検索数とも言われます。

例えば、「金属加工」というキーワードは月に8,100回、「チタン 加工」では月に720回調べられている場合、「金属加工」をキーワードに選定する方が多くのアクセスを集めることができます。

ただし、ビッグキーワードのみをキーワード選定してしまうと、上位表示の難易度があがるため、ちょうど良いキーワードを見つけることが大切です。

質:自社との親和性が高いキーワードで問い合わせの確率を上げる

自社のサービスと親和性の高いキーワードを選定することが重要です。

親和性とは自社の事業内容や強みとどれくらい合っているかどうかというもので、数値ではなく定性的な判断になります。

例えば、自社がチタン加工を得意としている場合、「金属 加工」で上位表示されるよりも、「チタン 加工」で上位表示されたほうが問い合わせに繋がりやすくなります。

ただし、親和性の高いキーワードはニッチなものになる可能性が高いため、検索需要が少なく多くのアクセスを集めることはできません。アクセスを集めるためにはコンテンツを増やす必要があります。

月間検索数と自社との親和性を考慮して、バランスよくキーワード選定することが大切です。

SEOキーワードを選定するための前準備

SEOキーワードを選定する際に、意識すべき項目をみていきましょう。

目的を定める(ブランディング、コンバージョン、アクセス増加など)

まずは、自社サイトのSEO対策を行う目的を言語化しましょう。ほとんどの場合、SEO対策の目的はより多くのユーザーに自社のことを知ってもらい、問い合わせに繋げることです。

例えば、長期的なブランディングをしたい場合のキーワード、とりあえずアクセスを増やすためのキーワード、アクセスは少なくてもいいので問い合わせの質を上げるためのキーワードなど、目的によって選定するキーワードは変わってきます。

この目的を明確にしておかないと、「あれもしてみよう。これもしたい。」となんとなくのコンテンツ作りになり、結果アクセスの見込めないサイトになってしまいます。

最終的には網羅性の高いサイトをめざすにしても、今何が大切なのかをしっかりと決めましょう。

検索需要を数値でみることを徹底する

キーワードには検索需要があり、SEO対策において非常に重要な項目です。検索需要とは、「キーワードの検索回数」を意味します。

  • 検索需要が多い→SEO対策が難しいけど、アクセスは集まりやすい
  • 検索需要が少ない→SEO対策は簡単だけど、アクセスは集まりにくい

というイメージです。ちなみに、検索需要が多いか少ないかの判断ですが、業界によって異なってくるため自社の業界でいろいろと調べてみて相対的に判断してみてください。特に、BtoBの場合は検索需要が少なくなる傾向にあります。検索需要の調べ方はページの最後に記載します。

候補とするキーワードが、月にどれくらいの回数検索されているのかを調べて把握するようにしましょう。

SEOの難易度(競合調査)を自分なりに把握する

SEO対策には難易度があります。難易度を確認するためにも、選定候補のキーワードで実際に検索し、上位表示された競合サイトを調査しましょう。

競合サイトがSEOに力を入れていたら、自社もよりSEOを意識する必要があり、それだけ難易度は高くなります。また、検索した際にあまりにもヒットする競合サイト数が多い場合も、同様に難易度は高いと言えるでしょう。

SEO難易度は「ページの文字数と質」で判断できます。選定候補のキーワードで検索し、上位の3サイトがどのような情報を出しているか、だいたい何文字くらいかなどを把握しておくといいでしょう。

検索結果の1ページ目に自社サイトが表示されないと、アクセス数を増やすことは難しいため、SEOの難易度チェックは必ず行うようにしましょう。

問い合わせの繋がりやすさいキーワードかどうかの判断材料を持つ

自社の強みと合致するキーワードかどうかは、問い合わせへの繋がりやすさに影響します。競合調査をし、比較した上で優位性が発揮できるキーワードを選定することが重要です。

記事が社内で書けるか、もしくはチェックできるかどうかの判断基準を持つ

記事の書きやすさも評価軸の一つです。

まず社内で書ける内容かどうかが大きな基準になります。記事を外注する場合も最終的なチェックは社内で行うため、社内で判断できない内容になりそうなキーワードは除外しましょう。

また社内で書く場合でも記事を書くのは意外と時間がかかるため、本業が忙しいとなかなか進まないという問題もあります。

SEOキーワード選定手順

実際にSEOキーワードを選定する手順を解説します。

キーワードリスト選定の基準を決めてリストを作成

キーワードを選定する際には必ずリストを作りましょう。

リストはキーワードの選定基準を明確にするための項目から作ります。項目は、検索需要、競合数、SEO対策のし易さ、自社との親和性、記事の書きやすさなどにすれば問題ありません。最低でも検索需要と自社との親和性は必ず入れましょう。この2つがキーワード選定の基準になります。

SEOキーワードの洗い出し

リストの項目ができたら次にキーワードの洗い出しを行います。SEOキーワードの洗い出しは最も重要な工程です。キーワードは自然に見つかるのではなく、頑張って見つけなければなりません。

まずはターゲットの行動原理を理解し、ユーザーが検索するであろうキーワードを想定して、大まかな洗い出しを行います。できる限り多くのキーワードを洗い出すのが良いため、1人ではなく、複数人で行うのがおすすめです。

弊社はターゲットの行動原理を4つの段階で評価するようにしていますので、参考にしてみてください。
https://marketing.techport.co.jp/archives/26926

大体のキーワードを洗い出したら次に、想定していなかったキーワードを見つけるために、カテゴリー分けやツール、フレームワークを使っての洗い出しを行います。

  • カテゴリー(マインドマップ)
    キーワードを洗い出す前にカテゴリーから作る方法です。カテゴリーは何でも構いませんが、例えば「製品別」「業界別」「課題別」などで分けるとわかりやすくなります。
  • サジェストツール
    サジェストとは、ユーザーが検索窓にキーワードを入力した際に検索エンジン側が提案してくれる候補のことです。このサジェストを一括で取得できるツールがあり、活用することで効率的にキーワード候補を抽出可能です。
  • MFTフレームワーク
    Market(市場)、Function(機能)、Technoogy(技術)のそれぞれの観点で分析できるフレームワークです。
    詳細はこちら:https://marketing.techport.co.jp/archives/5528

キーワードはどれだけ洗い出しても大丈夫です。最低でも50個以上は洗い出してください。

検索需要の確認

洗い出したキーワードの検索需要を確認しましょう。キーワードプランナーというGoogle公式のツールを使用することで、検索需要を確認することができます。検索需要が多いかどうかはリストを埋めてからになりますので、まずは一心不乱に検索需要を調査してください。

SEOの難易度確認(洗い出したキーワードで検索)

SEOの難易度は、洗い出したキーワードで実際に検索し、上位10サイト程度のタイトル、見出し、企業などを確認しましょう。大手企業が多い、AmazonやモノタロウなどECサイトが多い、まとめサイトが多い場合は難易度が高いキーワードと言えます。自社と同規模の企業でも検索上位に上がるのか、上げるためにはどういう情報を出せばいいのか、自社でその情報は用意できるのかなどを調べます。

SEOの難易度は数値で出せませんので、定性的な判断になってしまいます。調査を繰り返すことでSEO難易度が高いか低いかをある程度判断できるようになってきますので、まずは3段階くらいで評価してみてください。

また、洗い出したキーワードが多い場合はざくっとした調査でも大丈夫です。まずはリストを埋めることを優先しましょう。

問い合わせの繋がりやすさを確認

キーワードごとに、自社との関連性を3〜5段階くらいで評価しましょう。このとき、自社の強みが活きるかどうかも合わせて検討しましょう。

こちらも定量的な判断はできないので、だいたいで大丈夫です。

記事の書きやすさを確認

自社で書く場合は、選定したキーワードで記事が書けるかどうかを3段階で評価してみましょう。記事を書いて公開することが重要なので、書けそうなものから書いていくという方法でも問題ありません。

キーワードリストに優先度を記入

リストが完成したらリストの総合評価を行い、キーワードに優先順位をつけましょう。

SEOキーワード選定のコツ

SEOキーワードを選定する際のコツを解説します。

検索需要の低いものも積極的に選んで行く(ロングテールSEO)

キーワードの中には、「ロングテールキーワード」と呼ばれる、複合キーワードなどの検索需要が少ないキーワードがあります。

アクセス数は少なくとも、具体的なキーワードの方が問い合わせにつながる確率は高いため、ロングテールキーワードも積極的に選択するといいでしょう。

検索需要の高いものでも検索順位は上がる(ビッグキーワード狙い)

検索需要の高い、いわゆるビッグキーワードで上位表示を狙う場合は、基礎的な内容も掲載するというテクニックがあります。コンテンツの網羅性を意識して記事を書いていけば、検索順位は上がっていくでしょう。

ただし、上位表示させることは難しいので、ロングテールも狙いつつ、ビッグキーワードを狙うことをおすすめしています。

関係の薄いキーワードも捨てずに採用したほうがいい(長期ブランディング)

関連性が薄いキーワードであっても、ターゲットが同じであれば選定しても問題ありません。この場合、短期的な効果は見込めませんが、長期ブランディングとしては効果があります。

例えば、ステンレスの加工を得意としている場合でも「アルミ 加工」を選定するケースもあります。ターゲットが設計だった場合、「ステンレス 加工」のニーズも持っているかもしれませんし、将来的に出てくる可能性もあります。今は関係ないかもしれませんが長期的にみて関係が出てくる場合は、親和性の薄いキーワードを選定することもあります。

事例|SEOキーワード選定のリスト例

SEOキーワード選定のリスト例をお見せいたします。必ずしもこの表に準ずる必要はありませんが、参考として使っていただければと思います。まずはカテゴリーを分けてからキーワードは洗い出しを行いました。サジェストツールはラッコキーワードを使い、2つ以上の複合キーワードももれなく洗い出しを行っています。その上で、検索需要(キーワードプランナー)、競合数(Google)を数値で表し、製品との関連性を定性的に評価しています。

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キーワード選定をプロに依頼するときは慎重に

キーワードの選定はSEOの知識が必要であるため、外部のプロに依頼しようという方もいるかと思います。ただし、技術系のコンテンツ作成を依頼する場合は、注意が必要です。

具体的には、以下の3つのことに注意して依頼を検討しましょう。

  • 自社の技術を理解できるか
  • 技術を読みやすい文章で表現できるか
  • 円滑なコミュニケーションが取れるか

テクノポートは技術系に特化したライティングサービスやコンテンツマーケティングのコンサルも行っていますので、お困りでしたら弊社にもご相談ください。

SEOキーワードの洗い出しに使えるツールの紹介

最後にキーワードの選定に便利なツールをご紹介します。

ラッコキーワード

ラッコキーワードはサジェストキーワードを取得できるツールです。サジェストキーワードとは、ユーザーが検索窓にキーワードを入力した際に検索エンジン側が提案してくれる候補のことです。

検索意図・コンテンツニーズの把握が効率的になるため、活用しましょう。フリープランで50回/日キーワード調査が可能です。

ラッコキーワード:https://related-keywords.com/

キーワードプランナー

キーワードプランナーとGoogle公式のツールで、Google広告を配信する際に、検索ボリュームや入札価格を調査することができます。Google広告を配信する方に向けたサービスですが、登録することで一部機能は無料で使用できます。

キーワードプランナー:https://ads.google.com/intl/ja_jp/getstarted/

サーチコンソール

Google Search Consoleは、Google 検索結果でのサイトの検索順位を分析、管理、改善するのに役立つ Google の無料サービスです。「どんなキーワードでの流入が多いのか」などを調査でき、ユーザーのニーズを理解するのに役立ちます。

サーチコンソール:https://search.google.com/search-console/welcome

競合サイト

自社サイトに加え、競合サイトのキーワード順位も取得し、比較しましょう。競合サイトよりも順位が低いキーワードを抽出することで、効果的な改善策を立てることができます。

まとめ

SEOにおけるキーワード選定は、テクニックやコツに加えてターゲットへの理解が必要です。本記事で解説したキーワード選定の手順に沿って、ぜひ自社サイトに最適なキーワードを見つけてみてください。

皆様のサイトが多くのユーザーの目に触れるための一助になれば幸いです。

この記事の執筆者
永井 満
テクノポート株式会社 東海地方責任者

自動車部品の世界的大手メーカー(ボッシュ)で設計開発を経験。
技術的な背景を持つWebマーケターとして、製造業界のWebマーケティングを強化する。大手メーカーでの設計開発経験を活かし、技術コンテンツの制作に強みを発揮
技術の深い理解をマーケティング戦略に融合させ、価値ある成果を提供。

【経歴】
日本大学大学院航空宇宙工学専攻(修士)
ボッシュ株式会社でディーゼルエンジンのポンプ設計を担当

【専門領域】
・技術マーケティング
・技術の魅力的な伝え方
・技術コンテンツのSEO

【セミナー講師実績】
 主催:株式会社日本テクノセンター
 テーマ:技術先行型の新製品開発法と技術マーケティングの効果的な推進ポイント

【寄稿実績】
・伝え方が悪いと逆効果! Webで自社技術に興味を持ってもらうための戦術
・技術者なしのマーケティングはあり得ない! 巻き込みに必要な考え方
・マーケターにも技術的知識が必須に マーケティング成功の鍵は「相互理解」
・製造業のマーケティング担当者必見、「サプライヤーの探し方と選定基準」の本音」
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