アメリカ向けWebマーケティングの基礎 (SEO, Web広告)

【執筆者紹介】稲垣 達也
この記事の執筆者
稲垣 達也
【経歴】
テクノポート株式会社「海外Webマーケティング」サービスの責任者
名古屋工業大学大学院 電気機械工学専攻 博士前期課程卒業
同大学 機械工学科卒業

【保有資格】
TOEIC L&R:990/990、英検一級:合格、TOEFL iBT:108/120
稲垣 達也 が執筆した他の記事をみる

テクノポート株式会社の稲垣です。
BtoB企業向けの「海外向けWebマーケティング」サービスの責任者を務めています。

この記事ではアメリカ向けのマーケティングをご検討されている(実施されている)事業者の方に、役に立つ情報をまとめました。

【2024年最新】調査レポートのご案内
BtoB企業の
海外向けマーケティングに関する
実態調査
資料イメージ

【調査期間】 2024年1月22日〜1月23日
レポートの詳細はこちら


アメリカ向けBtoBマーケティングの実態

弊社(テクノポート株式会社)が、2024年1月に海外向けマーケティングを実施している国内のBtoB企業を対象に行った調査によると、アメリカ向けBtoBマーケティングで成果を感じている企業は、以下のような施策に取り組んでいることが明らかになっています。

Q6-7 北米
出典:BtoB企業の海外向けマーケティングに関する実態調査(2024年1月実施)

他の地域向けのマーケティング施策と比較すると、以下のような施策に力を入れている企業が多いことがわかります。

  • Webサイトを活用した施策(例:Web広告、検索エンジン最適化(SEO対策)、外国語コンテンツの制作)
  • 展示会/イベントへの出展
  • セミナー/イベントの開催(特にオンライン)

「BtoB企業の海外向けマーケティングに関する実態調査(2024年1月実施)」の結果をまとめたレポートは、こちらからダウンロードいただけます。

アメリカの顧客の特徴

アメリカ向けのマーケティングを実施する上で知っておきたい、現地のユーザーの行動の特徴をまとめました。

デバイスのシェア(2024年1月更新)

デバイス シェア
Desktop 54.22%
Mobile 45.13%
Tablet 2.65%

出典:Desktop vs Mobile vs Tablet Market Share United States Of America | Statcounter Global Stats

デバイスシェアの傾向

アメリカでのデバイスシェアについて、以下のような傾向があると言えます。

  • 全世界の平均と比較すると、デスクトップの使用頻度が高い
  • 日本と比較すると、デスクトップの使用頻度がやや低く、モバイルの使用頻度が高い

検索エンジンのシェア(2024年1月更新)

全デバイス

検索エンジン シェア
Google 88.5%
bing 6.71%
Yahoo! 2.44%
DuckDuckGo 1.93%
YANDEX 0.17%

出典:Search Engine Market Share United States Of America | Statcounter Global Stats

デスクトップ

検索エンジン シェア
Google 76.2%
bing 17.21%
Yahoo! 3.83%
DuckDuckGo 2.06%
AOL 2.01%

出典:Desktop Search Engine Market Share United States Of America | Statcounter Global Stats

モバイル

検索エンジン シェア
Google 95.4%
DuckDuckGo 1.71%
Yahoo! 1.37%
bing 1.22%
YANDEX 0.17%

出典:Mobile Search Engine Market Share United States Of America | Statcounter Global Stats

検索エンジンの傾向

アメリカでの検索エンジンシェアについて、以下のような傾向があると言えます。

  • Googleのシェアが圧倒的であり、特にモバイル端末ではGoogleがよく使用されている
  • デスクトップユーザーに限定すると、bingの使用率が上がる
  • 日本に比べるとYahoo!のシェアが低い(日本では同期間、全デバイスで12.55%)

SNSのシェア(2024年1月更新)

全デバイス

SNS シェア
Facebook 50.24%
Pinterest 21.94%
Twitter(X) 11.36%
Instagram 10.88%
YouTube 2.15%
reddit 1.94%

出典:Social Media Stats United States Of America | Statcounter Global Stats

デスクトップ

SNS シェア
Facebook 34%
Pinterest 31.52%
Twitter(X) 14.94%
YouTube 6.66%
reddit 5.07%
LinkedIn 4.07%

出典:Desktop Social Media Stats United States Of America | Statcounter Global Stats

モバイル

SNS シェア
Facebook 52.62%
Pinterest 18.66%
Instagram 13.27%
Twitter(X) 11.57%
reddit 1.57%
YouTube 1.5%

出典:Mobile Social Media Stats United States Of America | Statcounter Global Stats

SNSの傾向

アメリカでのSNSシェアについて、以下のような傾向があると言えます。

  • Facebookの使用率が高く、特にモバイル端末ではよく使用されている
  • 世界平均と比べると、Pinterestの使用率がかなり高い(特にデスクトップユーザー)
  • デスクトップユーザーに限定すると、LinkedInのシェアが大きい

アメリカ向けWebマーケティングの手法

冒頭で紹介した調査結果の中でも、Webマーケティングに分類される手法について詳しく紹介します。

SEO対策(取り組んでいる企業の割合:61.8%

アメリカ向けのSEO対策では、以下3つの点が国内向けのSEO対策と異なると考えます。

1. 競合の数とレベルの高さ

一番大きな違いは、競合の数と競合のレベルの高さだと感じます。
以下の表は、各地域における製造業事業者の数を比較したものです。

国/地域 製造業事業者の数
日本 176,858
アメリカ 623,066
全世界 7,110,000

こちらの表からわかるように、日本国内と比べるとアメリカの製造業事業者は約3倍に増えます。またアメリカは、その市場価値から世界中の企業が積極的に進出を計っています。そのため、アメリカ市場での競争に勝つためには、アメリカ現地の企業はもちろん、アメリカ進出を行っている国外の企業との競争にも勝つ必要があります。これはSEO対策でも同じような状況が当てはまります。

またマーケティング発祥の国であるアメリカでは、SEO対策を含むマーケティングの文化がBtoB企業においても広く浸透しており、日本国内よりもレベルが高いと感じます。したがってアメリカ向けのSEO対策においては、高い確率で国内よりもレベルの高い競合と戦うことになります。

出典

2. テクニカル面

Webサイトのサーバーの設置場所やドメインの選び方が検索順位に影響を与えることは、以下の記事で既に解説しています。

アメリカ向けのSEO対策を行う場合は、上記の内容を考慮すると以下のような選択が望ましいといえます。

  • サーバーは、アメリカ本土のレンタルサーバー or アメリカ本土にデータセンターのあるクラウドサーバーを使用する
  • ドメインは、アメリカ現地法人がある場合、アメリカ企業ドメイン(.co.us)を取得する
  • 上記のドメインの取得が難しい場合は、全世界向けドメイン(例:.com)を取得する

3. Googleのアップデート

これはさほど気にしなくてもいい内容ですが、Googleのアップデートがアメリカでは世界各国に先駆けて実施されます。過去には以下のようなアップデートが、日本のGoogleに先駆けて実施されています。

実体験を共有するコンテンツを高く評価するようにGoogle検索が改良される

上記のような情報は、国内でGoogleを使っているだけでは気付けません。そのため、アメリカ向けのSEO対策を行う場合は、定期的に情報収集を行い、検索エンジンの動向について把握しておく必要があります。

Web広告(取り組んでいる企業の割合:73.5%

アメリカ向けのWeb広告では、以下3つの点が国内向けのWeb広告と異なると考えます。

1. 出稿媒体

一番の違いは、ユーザーが使用する媒体と使用方法です。例えば、先ほど紹介したデバイス別のSNSシェアの結果を見てもわかる通り、国内ではあまり使用されていないSNS(例:Facebook)が使用されていたり、その逆の場合もあります。

Web広告を出稿する場合、事前にこのような傾向の違いを把握しておくことで、自社の製品・サービスに関心のある顧客がどのようなデバイスを使い、どのような方法で情報を収集しているか判断する際の材料になります。

上記で紹介したデータはあくまで全体の傾向でしかないため、詳細な情報は別途公開情報や、見込み顧客へのアンケート調査を実施し把握しておくことが望ましいです。

2. 広告単価

アメリカ向けの広告出稿は、どのような媒体を使用しても広告出稿料金(例:クリック単価)が日本よりも高い傾向があります。こちらの記事によると、UAEを除くとアメリカは世界で2番目に広告のクリック単価が高い国であると紹介されています。

要因は以下のようなものが考えられます。

  • 円安(日本円の価値の減少)
  • 競合企業の多さ(アメリカ国内をはじめ世界各国の企業がアメリカに広告を出稿しているため)
  • 企業の購買力の違い(アメリカ企業のほうが購買力が高いため、広告単価が高くなっても利益が出る)

3. LinkedIn広告

国内に比べて、アメリカではLinkedInがBtoB企業の広告出稿媒体として選ばれるケースが多いです。以下の表は、国別のLinkedIn広告を使用する企業の数です。LinkedIn Ads customers by country
出典:Companies using LinkedIn Ads and its marketshare

またこちらの記事からもわかるように、アメリカはLinkedInのユーザーが数が世界で最も多く、多くの顧客にアプローチできる広告媒体であるといえます。またLinkedInは、ビジネス向けのSNSとしての使用用途が一般的であり、BtoB企業のマーケティングにおいても使用されます。

そこで、BtoB企業がアメリカ向けの広告運用する上で知っておきたい、LinkedIn広告の特徴を紹介します。

豊富なターゲティングの種類

以下の表は、LinkedIn広告のターゲティングオプションを示したものです。

LinkedIn広告_ターゲティング
出典:サービス資料ダウンロード(海外向けLinkedIn広告運用代行) | テクノポート株式会社

特に特徴的なのは、ユーザーが属する企業、企業の業種、職種といった仕事に関わる属性で詳細なターゲティングができることです。これはBtoB企業がWeb広告を運用する上で、自社の顧客と近い属性に絞って広告配信をする際に有用な機能になります。

豊富な広告の種類

以下の表は、LinkedIn広告の広告の種類を示したものです。

LinkedIn広告の種類
出典:サービス資料ダウンロード(海外向けLinkedIn広告運用代行) | テクノポート株式会社

広告の種類も目的ごとに細分化されており、企業の広告運用の目的に合わせて所望の種類を選択することができます。特に特徴的なのは、会話型広告やメッセージ広告と呼ばれる、1対1のやり取りに近い形での広告配信です。

外国語Webサイトの構築/更新/改善(取り組んでいる企業の割合:41.2%

最後は、外国語Webサイトの構築に関わる施策です。日本とアメリカのWebサイトの違いは、こちらの記事で詳しく解説していますので、ここでは要約を紹介します。

アメリカのBtoB企業のWebサイトの特徴

  • 訴求方法:業界によって訴求の方法に特徴が出る、製品に加えて、働く人、顧客の顔写真を使用するサイトが多い
  • 配色:白が基調、コーポレートカラーをメインカラーとして大胆に使用するサイトもあり
  • レイアウト・情報量:直感的にわかりやすい説明と、文字による詳細な説明部分が分かれている

まとめ

アメリカ向けのWebマーケティングについて、定量的なデータとこれまでの経験をもとに解説しました。本記事の内容が、BtoB企業のアメリカ向けマーケティングの役に立てれば幸いです。

弊社(テクノポート株式会社)では、BtoB企業向けに「海外向けWebマーケティング」を支援しています。
壁打ち相談会(30分)」にてお客様の課題に合わせて、適切な施策をご提案をいたします。ぜひお気軽にお問合せください。

【2024年最新】調査レポートのご案内
BtoB企業の
海外向けマーケティングに関する
実態調査
資料イメージ

【調査期間】 2024年1月22日〜1月23日
レポートの詳細はこちら


この記事の執筆者
稲垣 達也
【経歴】
テクノポート株式会社「海外Webマーケティング」サービスの責任者
名古屋工業大学大学院 電気機械工学専攻 博士前期課程卒業
同大学 機械工学科卒業

【保有資格】
TOEIC L&R:990/990、英検一級:合格、TOEFL iBT:108/120
稲垣 達也 が執筆した他の記事をみる

関連記事