北米向けの製造業Webマーケティングを徹底解説

【執筆者紹介】山下 展義
この記事の執筆者
山下 展義
経歴
エネルギー分野のエンジニアとして10年間、小規模工場の省エネ提案や大規模プラントの蒸気システム診断、セミナー講師、バイオマス発電プラントの設計・建設プロジェクトを経験。また、個人で工業技術ブログを運営し、500本以上の記事を執筆。最高月間20万PVを記録し、YouTube登録者2万人、Xフォロワー8,000人を突破。

現在はテクノポート株式会社で製造業向けの海外Webマーケティングを担当。エンジニアリングの知見と情報発信力を組み合わせ、企業の販路拡大を支援している。

保有資格
エネルギー管理士(熱)、第三種電気主任技術者

SNS
LinkedIn
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北米で製造業の商談を増やすには、現地の背景を押さえた戦略設計と小規模から始められるデジタル施策が重要です。

本記事では、アメリカ・カナダ・メキシコの市場規模や人口分布、製造業の位置づけ、検索エンジンや言語といった現地の実態を踏まえたWebマーケティングの施策について解説します。

北米の現状と製造業の特徴

北米市場は、世界の中でも製造業が非常に活発な地域です。特にアメリカ、カナダ、メキシコの3か国は、それぞれに異なる産業構造と強みを持っています。

ここではまず「北米とはどんな地域か」という基本から整理し、人口や経済の特徴、製造業の規模感を数字で見ていきます。

北米とは

北米(North America)は、地理的にはアメリカ大陸の北側に位置し、主に アメリカ合衆国、カナダ、メキシコの3国が中心です。この3か国だけで北米の経済活動の大部分を占めており、世界でも有数の生産・消費地域になっています。

経済規模で見ると、2024年時点で北米全体の名目GDPはおよそ31兆ドル。世界全体の4分の1以上を占める巨大な市場です。さらに先端技術や資本が集まる地域でもあり、自動車、航空、エレクトロニクス、化学といった分野では常に世界をリードしています。グローバル展開を考える製造業にとって、北米は「避けて通れない市場」と言えます。

国別の人口と人口分布

北米の人口は約4億9,000万人で、そのうちアメリカが約3億3,000万人、メキシコが約1億2,000万人、カナダが約4,000万人ほどを占めます。

アメリカでは人口の集中が顕著で、カリフォルニア州やテキサス州、ニューヨーク州などの大都市圏が経済の中心になっています。メキシコはメキシコシティやモンテレイなどの工業都市が発展し、カナダはオンタリオ州・ケベック州に製造業が集まっています。

GDPの製造業が占める割合

北米では、今でも製造業が経済を支える大きな柱になっています。

アメリカでは、製造業がGDP全体の約10%を占めていますが、関連産業まで含めると経済への影響はさらに大きくなります。自動車、航空機、半導体、医療機器など、世界市場をけん引する分野が数多く存在します。

メキシコは自動車や電機、組立産業が急成長しており、近年は「メイド・イン・メキシコ」の存在感が増しています。カナダは資源と機械産業が中心で、アメリカとの連携が強いのが特徴です。

これらを表にまとめると以下のようになります。

  アメリカ合衆国 カナダ メキシコ
人口 約3億3,000万人 約4,000万人 約1億2,000万人
主な人口集中地域
カリフォルニア州、テキサス州、ニューヨーク州など オンタリオ州、ケベック州など メキシコシティ、モンテレイなど
経済規模
世界最大級の経済大国。北米GDPの大半を占める。先端技術・資本が集中 資源と製造業を両立。アメリカとの経済連携が強い 中進国として急成長中。製造拠点としての存在感が増大
製造業の特徴
GDPの約10%が製造業。自動車、航空機、半導体、医療機器などで世界をリード 資源産業(鉱業・エネルギー)と機械製造業が中心。アメリカ向け輸出が多い 自動車・電機・組立産業が急拡大。「メイド・イン・メキシコ」が定着

次に検索エンジンやSNS、言語、OSなどのデジタルツールの普及状況を見ていきます。

北米のデジタルツール普及率

北米で製造業向けWebマーケティングを行う際には、「人」がどうやって情報を探すかが重要です。ここでは、検索エンジン、使用言語、OS、SNSという4つの要素を通じて、北米のデジタル環境の数値情報を見ていきます。

検索エンジンの利用割合

アメリカにおいては、検索エンジン市場でGoogle が圧倒的優位を保っています。直近のStatcounterデータによれば、アメリカにおける検索エンジンシェアは次のようになります。

  • Google:約 85%
  • Bing:約 8〜9%
  • Yahoo:約 3%

(引用元:startcounter

モバイル端末での検索ではGoogleのシェアはさらに高く、モバイル検索においては 94〜95%程度を占めるという報告もあります。ただしデスクトップではBingやYahooの存在感も無視できず、特にBingはWindows/Microsoft環境との親和性が理由で、一定ユーザーを持っています。

したがって、北米向けSEOやリスティング広告を考える際は、まずGoogleを中心に置きつつ、Bingによるカバー拡大を行うのが現実的です。

言語の割合

北米では英語が圧倒的に主流ですが、地域によってはスペイン語も重要です。特にアメリカ南部や中西部、テキサス州、フロリダ州などではヒスパニック系住民が多く、スペイン語での情報提供需要も一定水準あります。

また、カナダでは英語・フランス語の二言語対応が必要な場面があり、ケベック州などではフランス語が強い影響力を持つため、その地方ターゲットでは多言語対応が求められます。

こうした言語比率を無視して英語だけで押し切ろうとすると、潜在的な見込み顧客を取りこぼすリスクが出てきます。Webサイトや広告文、コンテンツ、メールなど、接点ごとに適切な言語選択を設計することが重要です。

  アメリカ合衆国 カナダ メキシコ
公用語 連邦レベルでは定めなし(事実上の公用語は英語) 英語・フランス語の2言語が公用語 公用語
スペイン語
主な使用言語 英語(約80%)・スペイン語(約13%) 英語(約75%)・フランス語(約23%) スペイン語(約98%)・先住民言語など少数
地域的特徴 南部・中西部・テキサス州・フロリダ州などでヒスパニック系住民が多く、スペイン語需要が高い ケベック州ではフランス語が主流。政府・教育・広告でも二言語対応が基本 全国的にスペイン語が支配的。アメリカとの国境地帯では英語理解者も増加傾向
ビジネス上の言語対応 英語中心だが、スペイン語併用が効果的(特に広告・カスタマーサポートなど) 二言語(英語・フランス語)対応が必須。地域ターゲティングでは翻訳の精度が重要 スペイン語が基本。英語対応はビジネス・観光・国際取引向けに限定される

OSの割合

北米でのモバイルOSの利用割合をまとめると、以下のようになります。

  • 北米では iOS(Apple)とAndroidの二強構造
  • iOSがやや優勢(約55〜60%)、Androidが約40〜45%ほど
  • 世界全体ではAndroidの方が多いが、北米はiPhone人気が非常に高い
  • アプリやWebは 両OS対応が必須

(引用元:startcounter

一方でPCのOSについては以下のようになります。

  • Windowsが圧倒的多数(約70%以上)
  • macOSが約10〜20%、主にクリエイティブ職や教育分野で利用
  • Linuxは少数派(開発・研究用など)
  • 企業利用では Windowsを前提に設計するのが基本

(引用元:startcounter

広告出稿などを行う場合は、これらの背景を理解しておくことが重要です。

SNSの普及率

北米ではソーシャルメディアの利用率も高く、B2B/B2Cを問わず、情報接触の主要チャネルのひとつとなっています。Pew Researchの調査によれば、アメリカ成人の大多数が何らかのSNSを使っており、ニュース情報を得たり、ビジネスネットワーキングに活用したりしています。

  • YouTube:利用率約80〜85%で最も普及。全年齢層に浸透
  • Facebook:約65〜70%が利用。中高年層にも強い影響力
  • Instagram:約45〜55%が利用。若年層・女性ユーザー中心に人気
  • LinkedIn:約30%前後が利用。ビジネス・B2B領域で必須
  • X(旧Twitter):約20〜25%が利用。ニュース・速報目的で活発

(引用元:Pew Research)

このように、北米では Google が強い影響力を持ちつつ、言語やOSなどの使われ方に地域差もあります。

次に多くの製造業が北米向けWebマーケティングに力を入れている理由について解説します。

製造業の北米向けWebマーケティングが重要な理由

高品質な製品を持つ日本の製造業にとって、Webを通じて現地企業との商談機会を増やすことは極めて重要です。ここでは、製造業の北米向けWebマーケティングが重要な理由について解説します。

市場規模が大きい

北米は、製造業にとって市場規模が非常に大きいです。

特にアメリカは高付加価値製品や精密部品への需要が高く、日本の技術力が評価されやすい傾向があります。さらに、製造業のサプライチェーンが広範囲に及ぶため、部品供給やOEMなど多様な形で参入機会があります。

  • 北米全体の名目GDP:約31兆ドル(世界の約25%)
  • 製造業GDP:約3〜4兆ドル規模(世界シェア約20%)
  • USMCAにより生産・物流の連携が強化され、北米は一体的な製造圏を形成
  • 世界でも中国・EUと並ぶ三大製造拠点の一つ

調達行動のデジタル化が進んでいる

北米では、製造業の購買担当者やエンジニアがオンラインで情報を収集・比較検討するのが一般的です。特にコロナ禍以降、展示会や訪問営業よりもWeb検索や専門サイトを通じた調達行動が増加しています。

SEO対策や英語での技術コンテンツ発信を通じて、見込み客の検索行動に対応することが、商談獲得には重要です。

  • McKinseyの継続調査では、B2Bの意思決定者は対面・リモート・デジタルセルフサーブの併用を強く好み、オムニチャネルの有効性が高いと回答
  • 購買の自己主導的なオンライン調査は明確に拡大している
  • 業界・企業規模により幅があるものの、一部調査ではデジタル経由の購買比率が3割近い

(参照元:マッキンゼー調査レポートBtoB Report)

信頼性の波及効果が狙える

北米市場では、一度信頼を得た企業が他業種・他企業に紹介されるケースが多く、Web上での信頼構築が大きな波及効果を生みます。

事例紹介や顧客の声、認証・受賞歴などを発信することで、ブランドの信頼性を高められます。また、LinkedInなどのBtoB向けSNSと連携すれば、現地企業との接点を拡大でき、リード獲得の効率も向上します。

  • アメリカで高評価のB2B企業は市場シェア拡大が容易
  • アメリカ市場基準の品質・安全規格を満たすと、欧州・アジアでも通用するケース多数

北米に進出している日系製造業とWebマーケティングの現状

北米市場では、すでに多くの日系製造業が現地拠点を構えています。自動車、機械、化学、電子部品など幅広い分野で日本企業が活動しており、それぞれが独自の戦略で現地市場への適応を進めています。

自動車・輸送機器メーカー

トヨタ、ホンダ、日産、スズキなどの日本の自動車メーカーは、北米で最も存在感のある日系企業群です。トヨタはケンタッキー州、ホンダはオハイオ州、日産はテネシー州など、複数の州に生産拠点を展開しています。

これらの企業は、現地市場向けにWebサイトをローカライズし、製品紹介やリクルート情報、地域貢献活動などを発信しています。特にトヨタUSAのサイトでは、環境対応技術やサステナビリティに関する情報発信が積極的に行われており、企業イメージ強化とブランディングの両立が図られています。

会社 主なオウンドメディア コンテンツ施策(例)
トヨタ 公式グローバルサイト、グローバルニュースルーム(英語・日本語 他) オウンドメディア「トヨタイムズ」で経営メッセージ、プロジェクト、スポーツ等を継続発信(記事・動画)→ブランド理解を深めるストーリーテリング型運用
ホンダ Honda Global(The Power of Dreams)/Global Newsroom(英語中心) ブランド・ミッションを“Power of Dreams”で統一し、テック/製品/社会活動を記事・動画で継続配信。北米では「Honda/Acura Newsroom」で製品発表・モータースポーツをタイムリー展開
日産 Global Newsroom/日産ストーリーズ(多言語) ストーリーテリング特化の「Nissan Stories」で技術・サステナ・人財・モータースポーツ等を“読み物+動画”で継続配信(グローバル/地域版を横展開)
スズキ Global Suzuki(製品・IR・Global News) グローバルニュースで四輪・二輪・船外機など幅広い製品カテゴリを定期発信。地域の生産・販売ニュースも蓄積しロングテール検索に対応

機械・産業設備メーカー

コマツ、DMG森精機、ヤマザキマザックなどの工作機械メーカーも北米での活動が盛んです。例えばマザックはケンタッキー州に北米本社と生産拠点を持ち、製造・展示・教育の一体型施設を運営しています。

こうした企業は、Web上での技術情報発信に力を入れており、北米市場向けの製品情報・技術トレンド・導入事例を英語で分かりやすくまとめています。特にB2Bマーケティングでは、オンライン展示会やウェビナー、3D製品ビューなど、Web上での“体験的な情報提供”が主流になりつつあります。

会社 主なオウンドメディア コンテンツ施策(例)
コマツ グローバル公式サイト/ニュースルーム(英語) グローバルブランドキャンペーン「Demining Cambodia」:アニメ映像 + デジタルストーリー展開
DMG MORI “DMG MORI Media” オンラインメディア ブログ/技術記事/ストーリー形式の「Blog & Stories」コンテンツ配信
ヤマザキマザック 公式 Mazak サイト/ニュース・メディア欄 “News & Media / CYBER WORLD” 等 顧客加工事例紹介、技術トレンド記事掲載、ソリューション提案型コンテンツ、クラウド/ソフトウェア連携訴求(Mazak iCONNECT 等)

素材・化学・電子部品メーカー

旭化成、三菱ケミカル、村田製作所、オムロンなど、素材・電子分野の企業も北米に幅広く進出しています。この領域の特徴は、最終製品よりも「技術提案型」の営業が多いこと。そのためWebサイトでも“用途別の課題解決”を軸にした構成が目立ちます。

例えば、オムロンアメリカでは自動化・センシング技術の活用事例を中心に発信しており、閲覧者が業界別・課題別に情報を探しやすい設計になっています。

会社 主なオウンドメディア コンテンツ施策(例)
旭化成 公式グローバルサイト / 事業サイト / 各事業部サイト B2B 向け技術・製品説明コンテンツ、事例紹介、技術セミナー告知、技術コラム配信
三菱ケミカル 公式グループ提供サイト / 事業ブランドサイト 製品ソリューション紹介、アプリケーションガイド、技術紹介
村田製作所 製品サイト/グローバル Web プレゼンス(製品情報、展示会、技術ニュースなど) 製品情報、アプリケーション例、展示会・ウェビナー情報、技術解説
オムロン 公式コーポレートサイト / 製品サイト / 技術領域サイト 製品仕様説明、技術解説、品質・安全性訴求、グローバル拠点紹介

北米向けの製造業に適したWebマーケティング施策

北米市場で成果を上げるためには、日本国内向けとは異なる視点でWebマーケティングを設計する必要があります。BtoB取引が中心のため、技術力・信頼性・実績を論理的に示すコンテンツが求められます。また、検索エンジンやSNSなどのオンライン接点を活用し、ターゲット企業の意思決定層に直接アプローチできる仕組みづくりが重要です。

以下では、北米市場に特に効果的な主要施策を紹介します。

Webサイト設計

北米向けのWebサイトでは、「見やすさ」と「信頼性」を両立させた設計が不可欠です。英語での正確な技術情報はもちろん、企業の強みや実績をデータや事例で明示することが重要です。

また、問い合わせフォームやチャット機能をシンプルに設計し、見込み顧客がスムーズに行動できる導線を整えることで、Webサイトを“営業ツール”として最大限に活用できます。

SEO/コンテンツマーケティング

北米の購買担当者は検索エンジンで製品情報を調べる傾向が強いため、SEO対策は最優先の施策です。

専門用語を含むキーワードを英語で最適化し、技術解説記事や事例紹介などを継続的に発信することで、検索経由のリード獲得を促進します。特にGoogleを中心とした検索アルゴリズムでは、専門性・権威性・信頼性(E-E-A-T)が重視されるため、現場知見を活かしたコンテンツが高く評価されやすくなります。

業界特化プラットフォームの活用

北米では、製造業者やエンジニア向けのBtoBプラットフォーム(例:Thomasnet、IndustryNetなど)が広く利用されています。これらに製品情報を掲載することで、現地の購買担当者に直接アプローチできるほか、SEO効果の向上にもつながります。特にニッチな業界ほど専門プラットフォームでの露出が有効です。

さらに、問い合わせ管理や分析機能を活用することで、効率的にリードを育成・評価することができます。

LinkedInを軸としたBtoB広告

LinkedInは北米のビジネスパーソンに最も利用されているSNSであり、BtoB企業にとって有力な広告媒体です。

役職・業種・企業規模などで精密にターゲティングできるため、購買意思決定層への直接的なアプローチが可能です。自社の技術記事やホワイトペーパーを広告として配信し、Webサイトへの流入や問い合わせ獲得につなげる施策が効果的です。

動画マーケティング(YouTubeなど)

製造現場や製品性能を視覚的に伝える動画は、北米市場で非常に高い訴求力を持ちます。

YouTubeをはじめとする動画プラットフォームを活用し、製品紹介、加工プロセスのデモ、導入事例などを発信することで、理解と信頼を同時に獲得できます。特に、短時間で要点を伝える英語字幕付き動画は現地ユーザーに好まれます。

さらに、動画をWebサイトやSNS広告に組み合わせることで、リード獲得効率を高められます。

北米製造業向けWebマーケティングにおける注意点

北米市場で成果を上げるためには、単に英語で情報を発信するだけでなく、現地のビジネス文化や規制への理解が欠かせません。

特に、言語や品質規格、データ保護に関する対応は、現地企業からの信頼獲得を左右する重要な要素です。以下では、北米向けマーケティングで注意すべき代表的な3点を解説します。

ターゲット企業の言語を確認する

北米と一口に言っても、アメリカとカナダでは使用言語や文化的背景が異なります。アメリカでは英語が中心ですが、カナダでは英語とフランス語の併用が一般的で、特にケベック州ではフランス語対応が求められることがあります。また、英語圏でも業界特有の専門用語や表現が存在するため、直訳ではなく現地の技術担当者に伝わる自然な表現を用いることが重要です。

品質規格を確認する

北米市場では、ISOやASME、ULなどの国際規格・認証が商談成立の前提条件になるケースが多くあります。日本では一般的な基準でも、北米では安全性や環境対応の観点から追加の認証が必要になる場合があります。そのため、自社製品がどの規格に適合しているのかを明示し、Webサイト上で証明書や認証ロゴを掲載することが効果的です。

プライバシー & 同意設計

北米では、個人情報保護やCookieの利用に関する法規制が強化されています。特にカリフォルニア州のCCPA(California Consumer Privacy Act)などは、EUのGDPRと並び厳格な運用が求められます。Webサイトでのトラッキングやフォーム入力の際には、ユーザーの同意を明示的に取得する仕組みが不可欠です。

また、プライバシーポリシーを英語で明確に提示し、データ利用目的を透明化することで、現地企業からの信頼を高められます。

北米向けの製造業Webマーケティングを行う上で重要なこと

北米市場でのWebマーケティングは、単発的な施策ではなく「戦略的な全体設計」が重要です。市場調査、競合分析、顧客ターゲティングを踏まえた上で、Webサイト、SEO、SNSなどを連携させることで長期的に運用できます。

全体戦略を描いてから施策に落とし込む

まずは、北米市場での「目的」と「ターゲット」を明確に設定します。自社の強みをどのように現地で訴求するか、どの産業・地域に焦点を当てるかを定義したうえで、Webサイト構築・SEO・広告などを戦略的に組み合わせる必要があります。

各施策をバラバラに実施しても効果は限定的です。市場環境を踏まえた全体戦略を先に描き、それに基づいて具体施策へ落とし込むことで、統一感のあるマーケティングを実施できます。

優先順位をつけてリソースを集中する

Webマーケティングは、やるべきことが多岐にわたるため、すべてを同時に進めるのは難しいです。自社の強みや市場ポテンシャルを基準に、最も効果が高いであろう施策から取り組むことが重要です。

例えば、リード獲得が目的ならSEOやリスティング広告、LinkedIn広告、認知拡大が目的なら事例コンテンツや動画発信に集中するなど、目的別に優先順位をつけます。限られたリソースを一点集中することで、早期に成果を可視化しやすくなります。

スモールスタートでリスクを抑える

初めから大規模な投資を行うのではなく、小規模な施策から検証を始めるのがWebマーケティングの基本です。例えば初期のころは広告配信エリアを絞って公開し、アクセス状況や問い合わせ反応を見ながら改善を重ねることで、リスクを最小限に抑えられます。また、現地広告の出稿や展示会出展なども、限られた範囲で試行し、データに基づいて判断することが大切です。

段階的に拡大することで、コスト効率と学習効果の両立が可能です。

成果が出た施策を横展開する

テスト施策で成果が確認できたら、その成功要因を分析し、他の市場・製品・チャネルにも横展開していくことが重要です。

例えば、特定業界向けの記事が高い反応を得た場合、その構成やトーンを他の業界向けにも応用できます。成功パターンを社内で共有し、再現性のある仕組みにすることで、マーケティング全体の効率が大幅に向上します。

単発の成功で終わらせず、継続的な拡張を意識することが重要です。

データに基づき改善と拡張を続ける

アクセス解析や広告効果測定、コンバージョン率の変化を定期的に確認し、施策の改善に反映させましょう。GoogleAnalyticsやCRMツールを活用すれば、見込み顧客の行動や傾向を可視化できます。

改善サイクルを継続することで、費用対効果を高めるだけでなく、新しい市場機会を発見できます。

北米向け製造業のWebマーケティングを行うなら

製造業が北米向けWebマーケティング成果を出すためには、技術の訴求点を明確化し、現地の特性と競合動向を正しく理解しながら、単発ではなく長期の全体戦略で取り組むことが重要です。

まずは優先市場・優先製品を定め、英語(スペイン語/フランス語)での訴求軸を整理し、スモールスタートで検証→改善→横展開というサイクルを着実に回していきましょう。

テクノポートでは、製造業に特化した海外Webマーケティング支援(市場仮説設計/SEO・広告・コンテンツ運用/リード獲得まで)をワンストップで提供しています。

「まずはどこから始めるべきかを相談したい」「既存サイトを北米向けに最適化したい」「英語の技術記事や事例を整備したい」など、どんな小さなご相談でも歓迎です。

ご興味のある方は是非、お気軽にご相談ください。

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【2024年最新】調査レポートのご案内
BtoB企業の
海外向けマーケティングに関する
実態調査
資料イメージ

【調査期間】 2024年1月22日〜1月23日
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