こんにちは、テクノポートの渡部です。製造業のWebマーケティングをする上で難しい点の一つとして、技術の詳細をどこまで開示するのかという点が挙げられます。自社の特異技術について情報を開示しすぎてしまうと、他社にその技術を模倣され、市場での優位性が損なわれる可能性もありますし、逆に開示をしなさすぎると、その技術に対して魅力があるようにWebマーケティングができなくなってしまいます。
本日は、技術の核となるいわゆる「秘伝のレシピ」を公開せずにWebマーケティングを行う手法について解説します。
この記事の目次
何を公開して何を非公開にするのか
自社が持っている技術の中でも、自社が長年の経験から培った独自のノウハウや、自社で開発した装置の内部構造がどうなっているかなどを、Webサイトにすべて公開してしまうのはさすがにリスクが高いです。とはいえ、自社の技術について一切情報を公開せずに、自社の技術が優れていると声高らかに叫んだとしても、それはユーザーには響きません。
そこで自社の技術の中で、公開できる部分と公開できない部分をしっかりと要素分解する必要があります。要素分解の仕方についてはMFTフレームワークで情報の整理をするとスッキリすると思います。
MFTフレームワークについてはこちらの記事をご覧ください。
自社の技術の情報整理に関して、特に「市場に対してどのような効果が期待できるのか?」については入念に考えてみてください。自社技術の整理ができたらそれをどのようにWebマーケティングするかについてですが、主に以下の2つのアプローチがあります。
- 自社技術の先に焦点を当てる
- 技術のバックグラウンドに焦点を当てる
自社技術の先に焦点を当てる
1つ目はMFTフレームワークで整理をした自社の技術が、市場に与えるインパクトを考えてマーケティング戦略を立てるやり方です。
自社技術が解決した(解決できる)課題を掲載する
技術を具体的に説明せずに、その技術がどのような課題を解決した(解決できる)か、顧客にどのようなメリットを提供した(提供できる)かを紹介します。なぜそうなるかは公開できる範囲に限定し、技術の課題解決力にフォーカスをしてコンテンツを作成します。実際の事例がある場合は、顧客がどのような課題を抱えていて、それに対して自社の技術がどのように作用して解決したか、具体例をコンテンツ化するとよいと思います。
今後の発展に寄与する情報を掲載する
企業が持つ技術が業界全体にどのような影響を与える可能性があるかを解説するコンテンツを作成します。1つ目のように具体的に自社の技術によって課題解決した事例が乏しい、次世代の新技術のマーケティングの場合は、未来志向の内容にすることで技術への関心を高め、新規の開発案件の問い合わせにつなげます。
顧客に選ばれている声を集める
なぜ顧客が自社を選んでくれているのか、顧客満足度に焦点を当ててコンテンツ化します。これは自社の技術が説明しづらいもの、例えばQCDのDの部分だったり、対応のクオリティだったり、トラブルの対応だったりする場合にも有効です。技術の詳細を公開することなく、顧客の声を集めることで、信頼性の高い企業であることを強調する方法です。
技術のバックグラウンドに焦点を当てる
技術が課題解決の力になることは大前提ですが、そちらからのアプローチだけではなく、技術の背景に焦点を当ててコンテンツ化することで、自社の技術の信頼性を上げることができます。
他社比較で競争優位性を強調する
他技術や他社との比較で、自社の技術競争優位性があることをコンテンツ化します。同業他社との比較のコンテンツを作成する場合は比較元を匿名にしたり、他社を下げるようなコンテンツを作成しないように注意が必要です。それよりは、似た技術との比較で自社が持つ技術に優位性があるポイントがあるといったコンテンツを作成すると、SEO対策にもなるのでおすすめです。
技術力の裏にある第三者からのデータで信頼性を担保する
企業が提供する技術がどれだけ優れていても、その技術の信頼性を効果的にアピールするには、客観的な証拠が必要です。第三者機関による認証や外部データは、その技術の性能や品質を裏付ける有力な証拠となります。認証機関の他に大学や研究機関からのお墨付きのコメントがあると信頼性がぐっと高まります。
いっそのこと特許を取ることも視野に
自社の技術に絶対的な自信があり、優位性を確保したい場合は、いっそのこと特許を取ってしまうことも一つの手法です。特許を取ることで要素技術の一部を公開することにはなりますが、特許を取っておけば技術を模倣されたときの対策にもなります。また、技術に対して裏付けを取ることができ、信頼性を向上させ、マーケティングする上で強力な付加価値になります。
まとめ
独自技術を持つ企業にとって、技術の詳細を公開せずに競争力を維持しながらのWebマーケティングが重要になってきています。誰も自社の技術のノウハウは外部に漏らしたくはないものです。製造業の技術はWebサイトに公開したところで簡単に模倣できるものでもありませんが、無駄なリスクは抑えておいて損はないと思います。その中で、最大限自社の技術の魅力をPRできる方法をいくつか紹介しましたので、ぜひ参考にしてみてください。