製造業専門のWebマーケティングを展開しているテクノポートがメーカーの開発者を対象に「Webデザインについてのインタビュー調査」を行いました。今回はその結果を基に「顧客が求めるWebデザイン」についてお話ししたいと思います。
ちなみに、私自身も大手自動車部品メーカーの出身であり、感覚的には非常に近いものを感じました。
調査資料のダウンロード:https://marketing.techport.co.jp/proposal-report/202401-2/
この記事の目次
大手メーカー設計開発者に対するサプライヤーの探し方と選定基準に関する調査結果
質問1 Webのデザインや構成についてどう思っているか教えてください。
Webのデザインや構成についてどう思っているか教えてください。 | |
インタビュイー1 自動車(Tire1) |
かっこいい方がいいっていうのはありますが、デザインはそこまで重要ではありません。内容重視ですね。 |
インタビュイー2 精密機械のメーカー |
稟議に上げるときに、稟議乗せるので、昔すぎる感じだと、大丈夫?と言われることはあります。ただし、意思決定にはデザインは反映されません。やはり実績がすべてですね。欲しい情報がすぐに見つけらるような構成にしておいてほしいです。 |
インタビュイー3 医療機器関係 |
見えやすい、見えにくいは多少気にします。わかりにくいのはNGですね。デザインが悪いとセンスがないなぁと思うことはありますが、デザインを気にしない会社だから技術もない、とは思いません。 |
インタビュイー4 家電(OEM) |
デザインが古いと気配りができそうなイメージはありますね。あと、経営大丈夫か?って思うこともあります。そこまで手が回らない状況だと頼むのに躊躇しますね。実績や技術がわかりやすく見られるようにしてくれると助かります。 |
デザインはほとんど気にしないそうです。それよりも、見たい情報をすぐ探せるようにメニューなどを構成したほうがよいでしょう。
質問2 どういった企業は選びませんか?
どういった企業は選びませんか? | |
インタビュイー1 自動車(Tire1) |
欲しい情報にたどり着かなかったり、見にくいともういいやってなりますね。デザインは気にしませんが、ある程度見やすくしてもらいたいです。 |
インタビュイー2 精密機械のメーカー |
問い合わせしてからのレスポンスが遅いと頼みません。最低でも3日以内に返事はほしいですね。 |
インタビュイー3 医療機器関係 |
整理されていないホームページだと、もう見るのを諦めますね。 |
インタビュイー4 家電(OEM) |
取引実績が少ない企業は選びません。あまりにもデザインが古いと、業績が悪い、営業する気がないなどのイメージを持ちますね。 |
見にくい構成は避けましょう。また、デザインは重要ではありませんが、古すぎる場合は信用力を落としますので、ある程度のメンテナンスは大切だといえそうです。さらに、お問い合わせがきたら返信は可能な限り早くできるような体制を作りましょう。
質問3 SNSは見ますか?
SNSは見ますか? | |
インタビュイー1 自動車(Tire1) |
ほとんど見ません。 |
インタビュイー2 精密機械のメーカー |
インスタは興味あれば見たりします。地域とのコミュニケーションや働き方などがわかるといいですね。ただ、稟議には入れません。 |
インタビュイー3 医療機器関係 |
時間があればYouTubeを見て、会社の状況を確認したりします。できれば、加工しているところや段取りなど、工場の雰囲気がわかると助かります。 |
インタビュイー4 家電(OEM) |
動画があれば。実験や加工の様子、どういうふうに部品の管理をしていて、どういうふうな作業工程で、チャッキング調整しているかなどがわかるものがあればいいですね。 |
SNS(Facebook、Instagram、X)はほとんど見ないということでした。ただし、工場や作業の様子がわかるのであれば、動画は効果的です。
質問4 ホームページの何を確認しますか?
ホームページの何を確認しますか? | |
インタビュイー1 自動車(Tire1) |
まずは実績です。過去どういったメーカーと取り引きしていて、どういったものを作ったのかを知りたいので、製品写真は必ず見ます。あとは会社概要ですね。歴史やISO、特に9001については確認します。会社規模は数十名だと小さいというイメージで、100名前後だと安心感はありますが、そこまで重要視するわけではありません。強みのページについては技術力、例えば精度がどこまで出せるかなど書いてあると嬉しいです。あと、工場の様子も見たいですね。工場を見れば大体のイメージはつくので、全体や検査室なども見たいです。 |
インタビュイー2 精密機械のメーカー |
精密機械のメーカー実績が大切です。大手と取り引きがあるかどうか、何年前からあるかなどは結構気にします。「大手〇〇メーカー」とだけしか書いていないと少し不安になりますが、口頭で教えてもらえたら問題ありません。品質や会社規模はそこまで気にしません。不具合が発生したときの対応力(サポート力)も知りたいですね。 |
インタビュイー3 医療機器関係 |
実績と技術を見ます。特に、取り引き実績は大事ですね。ISOは気にしないというより、持っていて当然というイメージですね。実績がなくても加工技術が高い場合は検討します。場所などは気にしません。 |
インタビュイー4 家電(OEM) |
実績と技術がメインです。それがないと問い合わせはしません。取り引き先や製品写真は必須です。性能のグラフやデータなどもあると助かります。先行開発の場合はISOは気にしませんが、量産段階に入ると気にすることはあります。帝国データバンクで調べるときもあります。 |
最も重要視していたのは実績でした。実績は製品実績、取引先実績を確認し、ISOなどはそこまで重要ではないとのことです。ただし、工場や検査室の様子、不良品が発生したときの対応実績などは確認したいそうです。
結論:製造業において、デザインは思っている以上に重要ではない
メーカーの開発者を対象に「Webデザインについてのインタビュー調査」をした結果、Webデザインについてはあまり重要していないことがわかりました。それよりも「実績」のほうがウエイトは重いそうです。ただし、デザインが古すぎる場合は「気配りができない」「HPにお金をかけられないほど経営がきついのかな?」など、信用力にかかわる事態になりかねませんので、定期的にデザインを変えていったほうがよさそうです。
製造業のターゲットであるメーカーの設計開発者は、「仕事を発注すること」を目的として企業のホームページを確認しています。そのため、実際に作れるかどうか、長期的に付き合えるかどうかが重要であり、Webデザインはあくまでも参考程度になるといえます。
調査結果のダウンロードについて
今回の調査では、本記事でご紹介した内容以外にもさまざまな質問をしています。ご興味がある方はぜひダウンロードをお願いいたします。
調査資料のダウンロード:https://marketing.techport.co.jp/proposal-report/202401-2/
調査内容
1.外注先を探すシチュエーション
2.外注先の探し方 (Web、商社、展示会など)
3.Webを使うときの検索条件
4.ホームページの確認内容
5.相見積もりの社数
6.外注先を決めるときの決定者
7.Webのデザインや構成について
8.どういう企業は選ばないのか
9.特化している系、何でもできる系、どちらがいいか
10.SNSは見るか
調査資料のダウンロード:https://marketing.techport.co.jp/proposal-report/202401-2/
テクノポートのホームページ制作実績
テクノポートは「情報の探しやすさ」と「伝わりやすさ」を軸にWebデザインを作っています。弊社の実績の一部をご紹介します。
ユニテック株式会社 様
https://www.unitec-mt.com/
カスタムモータの開発・製造
有限会社小林製作所 様
https://www.ksx.jp/
金属プレス板金・金型設計製作・切削加工
株式会社北進 様
https://www.hokushin1959.co.jp/
酸洗処理・電解研磨
鳴海製陶株式会社 様
https://www.narumi.co.jp/en/home/
洋食器(陶磁器)の企画、開発、製造
有限会社扇ゴム工業 様
https://ohgigomu.co.jp/
ゴム巻蒸加工
株式会社山善 様
https://tfs.yamazen.co.jp/
生産財関連(工作機械、エンジニアリングソリューションなど)および消費財関連(住建、家庭機器など)の販売
株式会社シーティーケイ 様
https://en.hotmarker.com/
産業用印字機器の製造・販売・輸出
株式会社サンコー技研 様
https://sankogiken.com/uchinuki/
精密プレス加工、アプリ開発・運営
有功社シトー貿易株式会社 様
https://www.yct.co.jp/
包装パッケージ製造関連素材の販売
Webデザインで必ず押さえるべき3つのポイント
1.実績がわかる、もしくはすぐに見つかるデザインにする
まずはぱっと見で実績がわかるようなデザインにしましょう。実績は、製品写真、工場内写真、検査写真などになります。
製品はまとめて撮影し、一目で大体何が作れるか伝わるようにしましょう。
工場はできるだけきれいに映るように、3S(整理、整頓、清掃)をしてから撮影しましょう。メーカーの設計開発者の方はさまざまな工場を見ているため、いい製品を作る工場=きれいな工場というイメージを強く持っています。汚い工場には依頼しようと思いませんので、3Sは徹底して行ってください。
検査室も工場と同様、3S後に撮影をしてください。
2.デザインよりもキャッチコピーが大切
デザインで雰囲気を知ってもらうことも大切ですが、自社の強みや得意加工を言葉で伝えることも大切です。キャッチコピーの決め方は「夢系」と「直球系」の2種類あり、中小企業の場合は「直球系」をおすすめいたします。
例:夢系
- The Power of Dream
- Drive your dreams
- 地図に残る仕事
例:直球系
- 金属加工のコンビニエンスストアを目指して
- 絞り加工技術のパイオニア
- 安心できるサプライヤー
夢系は大手企業には効果的なのですが、中小企業には向いていません。ブランディングをする目的が採用や長期ビジョンの共有とかであれば夢系でも問題ないのですが、売上を上げる、つまり仕事を依頼してもらうためには直球系のほうが効果的です。
参考
製造業のブランディングとは?
顧客に刺さるキャッチコピーとストーリーの作り方
3.可読性を重視するため背景は白、文字は黒のルールを守る
製造業のホームページでは情報を伝えることが重要です。つまり、文字を読んでもらうことを前提とした作り方をしなければなりません。
そのためには、背景は白、文字は黒でデザインを作ってください。ホームページの全体を黒にして、文字を白にすると一見かっこよく見えますが、文書が読みづらく伝えたいことが伝わらない確率があがります。
アメリカのダニエル・スターチの研究では、色を反転すると読む速度が遅くなったという結果があります。また、心理学者のパターソン氏とティンカー氏の実験では、反転バージョンの可読性は16%も低かったそうです。これらの実験は紙ベースの実験ですが、Webに置いても反転させないほうが無難と考えられます。
ダニエル氏、パターソン氏、ティンカー氏の実験について
まとめ
製造業において、問い合わせを増やす目的でWebサイトを作る場合、Webサイトのデザインよりも内容にこだわったほうが効果が高いという結論になりました。内容にこだわった上でWebデザインにこだわる分には問題ありませんので、内容にこだわりつつ納得のいくデザインを検討してみてください。テクノポートは内容を重視したWebマーケティングを得意としています。「まずは内容にこだわりたい」という方はぜひ弊社にご相談ください。